セガゲームスが2018年11月22日に発売を予定しているPS4用ソフト「シェンムー I&II」の先行プレイレポートを紹介する。
そもそも皆さんは「シェンムー」というゲームをご存知だろうか。なにせ約20年も前のゲームで、しかも国内ではドリームキャスト以外のハードで一切リリースされなかったゲームだ。たとえゲームが好きであっても「名前だけは知っているけど、実際にプレイしたことはない」という人が結構な数になるのではないだろうか。
本シリーズは1999年に1作目となる「シェンムー 一章 横須賀」が発売、その2年後の2001年には「シェンムーII」が発売された。日本と香港を股にかけた壮大なストーリー、それを描くために用意された箱庭。今や一大ジャンルとなった3Dオープンワールドの礎となった作品として、伝説的な存在になっている。しかし先に書いたとおり、この記念碑的作品をプレイした経験がある人は決して多くないのが実情だ。
そんな折、ついに登場するのが今回紹介する「シェンムー I&II」である。画質の向上はもちろん、操作設定やユーザーインターフェースの最適化と、さまざまな面をリファインした作品だ。本作を発売前にプレイする機会が得られたので、プレイレポートを通して「シェンムー」のなにが凄かったのかを振り返ってみたいと思う。
始まりは1986年の横須賀、芭月涼の物語が始まる
本作は「シェンムー 一章 横須賀」がタイトルにもあるとおり横須賀、続編の「シェンムーII」は香港が舞台となる。物語は地続きとなっているので、プレイ経験のない人は素直に1作目から順番に触れてみることをおすすめする。
1作目の冒頭で描かれるのは1986年。高校三年生の主人公・芭月涼は、目の前で父親を殺害されてしまう。涼は父親の仇を取るため、殺害の首謀者である謎の男を追うことになる。
ゲームの基本となるのはどんなときでも情報収集。涼が住んでいる街の商店街で話を聞いて回るのだが、店で働いている人はもちろん、道を歩いているだけの人にもすべてボイスがあり、人柄も違うことに驚かされる。会話自体はシンプルとはいえ、ここまでの作り込みは今でもなかなか見ることはできないはずだ。
聞き込みの作業自体は地味に見えるが、2、3人に話を聞けば自然と次へのヒントを聞き出すことができる。スムーズにメインストーリーが進行していくのでストレスを感じないのも嬉しいところ。
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進行状況はメモ帳に逐一残されていく。次になにをすればいいか分からないときはチェックしよう。 | |
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街の中にはガチャガチャなど遊び心に満ちた演出も。 ソニックやバーチャファイターといったセガの代名詞は今も昔も変わらない。 |
ひとつ注意したいのが、本作ではリアルタイムで時間が流れ、それが攻略に影響を及ぼす点だ。例えば裏路地にあるバーは夜しか開いてないし、探している人物がさらに遅い時間にしか現れないこともある。適当に時間を潰して待つのもありだが、そんなときこそ聞き込みを再び行うのも手のひとつ。意外なところで、別の切り口による突破口が見つかるかもしれない。
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涼の拠点ともいえる自宅から行きたい場所へ瞬時に移動することが可能。 ちなみにドリームキャスト版では自宅でしかセーブできなかったが、 本作ではいつでもセーブできるよう改善されている。 |
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メニュー画面ではドリームキャストのコントローラーやビジュアルメモリのアイコンが確認できる。 往年のファンには嬉しい遊び心だ。 |
そして要所では涼と敵対する人物とのバトルが始まるケースもある。バトルシステムは×ボタンで足技、○ボタンで投げ技、□ボタンで手技、△ボタンで防御と割り振られている。また方向ボタンとの組み合わせで特殊な技を繰り出すことも可能だ。このあたりは格闘ゲームを彷彿とさせるが、技のひとつをL2ボタンに登録して、すぐさま発動するシステムもある。このおかげもあって操作は手軽になっており、アクションゲームに不慣れな人でも安心して楽しめるはずだ。
バトルとは少し違うが、画面に表示されたボタンをすばやく押すイベント、いわゆるQTEも存在する。タイミングはシビアではないものの、緊張感のあるイベントシーンでは一応備えておいたほうがよさそうだ。
次なる旅は香港―さまざまなトラブルが涼に襲いかかる
前作で謎の男にたどり着くヒントが香港にあることを知った涼は、さっそく船で現地に足を踏み入れる。2作目「シェンムーII」では、香港の港に降り立ったところからスタートする。
目的を果たすために歩き始める涼だが、いきなりトラブルに巻き込まれる。全財産の入ったカバンを盗まれてしまうのだ。なんとかカバンは取り返したものの、現金は抜き取られており、異国の地で無一文という状況に陥ってしまう。宿敵を追うことに加えて、日々を生き抜くためにお金を稼ぐことも、本作では重要になってくる。
基本的な操作方法は前作とまったく同じで、町の住人に話を聞き、時折バトルも発生する流れも変わらない。その一方で、本作ならではの遊びも数多く用意されている。そのひとつは、やはりお金を稼ぐために用意された多彩な手段だ。手段は大きく分けて「質屋でアイテムを売る」「アルバイト」「ギャンブル」の3種類で、アルバイトやギャンブルにもさまざまな種類がある。
一番健全な方法はやはりアルバイト。序盤から頻繁に見かけるのは「落とし玉」の店番で、NPCとの勝負に勝てば報酬を受け取れる。ちなみに落とし玉とは、釘を打ち付けた台に玉を落とし、◎が付いた枠を狙う、というもの。台はかなりの長さで、釘も大量に打ち付けられているため運の要素が強め。そのため1勝するだけならまだしも、連勝は至難の業だ。
ひとつ面白いのが、店番が妙にリアルな点だ。というのも、店番を始めるとプレイヤーは呼び込みを行う程度で、ほとんど操作の余地がない。客が来るのをじっと待つことになる。店番は5分~10分程度に及び、その贅沢な時間の使い方に驚く人もいるだろう。そしてこの贅沢なところが、「シェンムー」の世界にいる人々の生活感をより深いものにしているのではなかろうか。
そうは言っても約20年前のゲームだ。現在のゲームと比べると、操作感覚やカメラワークに至らない点があるのも事実。しかし、それを補って余りある魅力が詰まっているのもまた事実だと思う。
ただの通行人にまでボイスが付き、そして彼らは時間に合わせた行動を取る。会話をすると、涼との関係性が自然と分かる。一人ひとりが生活を営んでおり、それが大きな世界を形成している。こんな壮大なことを1998年発売のハードで実現したのだから、今でも語り継がれているのは当然のことと言えよう。
2019年には満を持して「シェンムーIII」の発売が予定されている。これもまた物語は地続きになっているようなので、前作の復習は必須。過去を振り返るだけでなく、未来へ目を向けるためにも、「シェンムー I&II」をプレイする価値は充分にある。
(C)SEGA
※画面は開発中のものです。
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