エイリム×トライエース×集英社 キャラクタービジネス室という豪華な体制によって作られたスマホ向けRPG「MIST GEARS」(ミストギア)。本稿ではメンテナンス後改善された本作をプレイした上でのレビューをお届けしたい。
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「ミストギア」は、エイリム×トライエース×集英社 キャラクタービジネス室という強力な布陣によって作られたスマホ向けRPG。「ブレイブフロンティア」や「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」といった人気スマホ向けRPGで知られるエイリム、そして「スターオーシャン」シリーズや「ヴァルキリープロファイル」といった人気コンシューマRPGで有名なトライエース、さらにコミック界の巨星「週刊少年ジャンプ」を発行している集英社という取り合わせは、話題性抜群!
一方で、リリース直後の不具合発生、それに伴うメンテナンスによって今のところ評判が芳しくない状況だ。だがしかし、11月29日のメンテナンスによってプレイ環境は改善されており、現在は本作の真価が楽しめる状況になっている。そこでこのレビューではメンテナンス後の本作をプレイした上で、本作の真のゲーム性をお伝えしたい!
メインはマップ探索!伝統的なコンシューマRPGのシステムをスマホナイズ
エンバイロメントRPGと銘打たれた本作は、しかしパッとプレイした感じではとごくごく一般的なスマホRPGに思える。戦闘を繰り返してストーリーを進める形式、タップでコマンドやスキルを選択する戦闘など、ゲームシステムも比較的オーソドックスだ。しかし、プレイを重ねることで本作の異なる姿が見えてくる。
現在の一般的なスマホRPGでメインになっている要素は、育成、ストーリー、戦闘の爽快感などだ。もちろん本作もこれらの要素は備えている。しかし、本作がメインにしている要素は、これらの要素ではなく「探索」。エンバイロメントRPGというキャッチフレーズも、探索にかかっている。
本作は、一般的なスマホRPGと異なり、クエスト一覧画面は用意されていない。マップ上でクエストの受注を行う形式だ。マップにはポイントが描かれており、ポイントとポイントがすごろくのように線で結ばれている。次のポイントをタップすることでクエストを受注し、移動が始まる。つまり、次のポイントへの移動そのものがクエストになっているわけだ。
これだけなら、見た目上、クエストの受注をクエスト一覧形式からマップ形式に変えただけように思える。しかし、そうではない。というのも本作、ゲーム進行のためにはクエストではなく、「シナリオ」というものを達成しなければならないのだ。シナリオはたいてい、マップ上の特定のポイントで発生するクエストをクリアすることで達成できる。つまりシナリオ達成のためにマップ上をあっち行ったりこっち行ったりしなければならず、その過程でクエストをこなしていく…という形式になっているのだ。この形式はスマホRPGよりもコンシューマRPGの形式に近い。
ここに絡んでくるのがエンバイロメント…環境だ。何の環境かというと、本作のタイトルにもなっている「ミスト」の環境。マップ上で「ミスト」が濃くなっている部分では、強力なモンスターが出現する代わりにより強力なアイテムがゲットできる。強力なモンスターを避けるのか?あるいはアイテムを求めてあえてミストの濃いポイントに向かうのか?はプレイヤー次第だが、どんなポリシーでプレイするにせよ、環境は常に変わり続けているので、思わぬ回り道を強いられることもあるだろう。
「回り道」と書いたが、本作が一般的なスマホRPGと異質な点がここにもある。本作は、クエストを達成してもHPが回復しない。HPを回復するためには、マップ上の「拠点」に戻る必要がある。このため、クエストを繰り返してHPが低くなってきたら回り道してでも「ミスト」の濃いところを避ける必要が出てくるってわけ。HPやMPの残量を常に気にしながら移動ルートを考える…というのもまた、コンシューマRPGが持つ伝統的な要素。こうしたコンシューマーRPG的な要素を、スマホRPGの形式に落とし込んでいる点が本作のユニークな点と言えるだろう。
ちょっと面倒に感じてしまったのが、一度達成したクエストをスキップすることができないという点。もちろん、HPの残量を管理しながらクエスト達成を目指す…というゲームメカニズムを実現するためには、ポイントごとにどれだけダメージを受けたのか計算する必要がある。じゃないと移動の度にダメージが蓄積されていくという形にならないからだ。
しかし、ダメージ計算だけ行い戦闘演出はカットしてしまう方法もあるだろう。生真面目に全ターン文のダメージ判定を行わずとも、総合戦闘力の比較でダメージを決めてしまうという方法だってある。シナリオ達成ポイントまで10近くのクエストをこなす必要があるため、クエストのスキップについては今後のアップデート項目として検討してほしいと強く感じた。
ちなみに、クエストのスキップ機能こそないものの、オートや倍速機能は持っている。一度クリアしたクエストであれば、オート&倍速に任せて放置してもバッチリOKだ。
スキルの連携を考えるのが楽しい!ミストコア・オーバードライヴ
さて続いては、バトルについて触れたい。バトルで特徴的なシステムが、ミストコア・オーバードライヴだ。本作は時間とともにゲージが貯まり、満タンになったアイコンをタップすることで通常攻撃やスキルといったアクションがとれる。さらに、アイコン同士がドライヴラインと呼ばれる線で繋がっている場合、スワイプ操作でで複数のアイコンを選択可能。複数のアイコンを選択すると、通常攻撃やスキルを連続で繰り出すことができる。ただ技が繋がるだけでなく、スキル名を繋げた技名も表示。コンシューマーRPG「サガ」シリーズの連携を思わせるシステムだが、色々と組み合わせを試したくなる楽しさを持っている。
なお、バトルで使用するスキルは自由に編成可能だ。タイトルである「ミストギア」は、本作における武器の事を示している。「ミストギア」には「コア」を設置することができ、「コア」によってバトル中使用可能なスキルが変わる形だ。装備する「ミストギア」によって「コア」の設置数はもちろん、設置場所、ドライヴラインの形式も異なるので、これまた色々と組み合わせを試したくなってしまう。
新しいタイプの楽しさを味わうつもりでプレイしたい意欲的な作品
本作は、既存のスマホRPGのような楽しさを求めてプレイしてしまうと、その楽しさを味わえない作品だと思う。特に、既存スマホRPGで周回プレイに慣れた人にとっては、クエストをスキップできないという点を面倒に感じずにはいられないだろう。しかし、マップ探索こそメインという風に気持ちを切り替えることができれば、本作のプレイ感が変わってくるはずだ。
本作の世界観は、亀裂から出現したミストの影響で、強大な力を持つ敵・ミストエネミーが出現、さらにミストは人体にも影響し、病に侵される人間が続出しているというもの。そんな中主人公たちは、ミストを止める手段を探すため、ミスト内の探索を進めている…。つまり、人間に悪影響を及ぼす荒廃した世界を、探索によって切り開いていくという世界観。そこにあるのは、探索の心細さや探索で希望を発見する喜び…。
こうした世界観を表現したものとして、本作の探索メインシステムは、よくできていると筆者は感じた。「拠点」から離れる心細さ、クエストをクリアした瞬間、新たにルートが切り開かれる楽しさ。序盤こそ、ガチャで手に入れた高性能武器が猛威を振るうため余裕で進めるものの、ゲームが進み強い敵が出現し始めると、世界観に合ったドキドキとワクワクを感じられるようになる。古き良きRPGの持っていたリソース管理の楽しさが好きな人、探索メインという新しいタイプの楽しさを味わいたいという人は、是非手に取ってほしい意欲的な作品だ。
(C)Alim Co.,Ltd./tri-Ace,Inc./集英社
※画面は開発中のものです。
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