東京・ビッグサイトにて12月15日より開催の「コロラプフェス2018」。12月15日に行われた、「Project Babel」のステージのステージをレポートする。
本作については、試遊レビューを掲載しているので、実際のゲームの感触についてはそちらの記事を参考にしてほしい。このステージでは、試遊版では明らかにならなかった本作の更なる設定や制作秘話などが明かされた。
ステージには司会の岡崎奈々さん、本作のプロデューサーである森先一哲氏、そして開発スタッフとしてメインプランナーの芳賀氏とアートディレクターの尾崎氏が登壇した。そしてステージには、今回初お披露目となる新作PVが公開された。
幻想的な音楽と共に画面に現れるのは、どこか神秘さを感じる風景だったり、まるでエジプトかどこかのような場面もあり、この世界がどのような要素で構築されているか、その僅かだが知ることが出来た。
また、今回のPVではゲーム画面が初公開となっている。キービジュアルは謎の塔がそびえたつ世界で、主人公のライとヒロインのマイリージャの2人を中心に描かれている。まるで恋人同士のように寄り添っている二人だが、彼らの関係性は物語的にとても重要とのことで、どうやらまだまだ明かせない要素のようだ。
王道のファンタジーRPGで、「ファイナルファンタジーVII」の野島一成氏や、「タクティクスオウガ」の作曲をした崎元仁氏らとタッグを組んで本格的なJRPGをつくろう、というのがこのタイトル。そうして、このゲームを表現する一枚のスライドが公開された。
なんとも気になる文章だが、これは本作の世界観を想像してもらうために野島氏に書いてもらったものだという。街が死んでしまうというそこから物語が始まり、そして主人公のライが世界を知っていく物語が本作だ。
なお、筆者は試遊版を遊んでいたときに「ここからどんどん仲間キャラクターが増えていくのだろう」と漠然と思っていたのだが、エンディングまでこのキャラクターたちと遊ぶことになるということだ。
本作ではキャラクターを大事にしており、多くのキャラクターをいれかえて遊んでいくのではなく、最後までこのキャラクターたちを育てて進んでいく。「エンディングまで」と言われているように、きちんとストーリーはひとつの結末に向かっていくのも本作の特徴。
主要キャラクターたちをチェックしよう!
それではここで、本作に登場するキャラクターたちを紹介しよう。
ライ
17歳で、長い間自分の部屋にとじこめられていて外の世界を知らずに育った少年。周りの人に大切に育てられていて、本人はまっすぐで明るい少年になっている。ちなみに閉じ込められている理由は物語上の大きなポイントのため、まだ明かせない。
マイリージャ
ライのように鳥かごのよな部屋にとじこめられていた。ライとは違って心に重いものをかかえていて、ひとりでいるのを好む少女となっているが、ライと出会うことで感情が豊かになっていく。
ヒロインらしくないヒロインだが、野島氏らしいキャラクター作りになっているというので注目したいキャラクターだ。ライとは閉じ込められている場所が違うというのも、物語上のポイント。
ポッケ
お嬢様だけどとても明るくてちょっとおせっかいな女の子。閉じ込められているライをかわいそうに思って、いつもライとあそんでいる。ポッケがマイリージャと出会うことによって、それまで閉じていたマイリージャの心も開いていく。
イタク
ライの兄貴分的な役割で、ライが迷ったときに相談にのってくれたりもする。真面目な性格だが、中には秘めたものを持っており、彼がきっかけで物事が進んだり、意外と熱いところを持っている魅力的なキャラクター。ライのひとつ年上の18歳。
トノト
33歳。全員傷だらけの戦士で自分のことはあまり喋らない。ライをまもるために現れた。そしてライの守護として旅に同行する。過去をなくしていて、そのために寡黙。ライと旅をするうちにだんだんと心を開いていく。記憶をなぜなくしたのかは物語のなかで明らかになる。
以上の5人が主要メンバーだが、もちろんその他にも色々なキャラクターは出てくるということなので、続報を楽しみにしていよう。
この後ステージでは、開発メンバーによる試遊版の実機プレイが行われたが、そちらの内容については既に掲載している試遊レポートを参考にしてもらえればと思う。
シナリオの野島氏と音楽の崎元氏がゲストに登壇!
ステージには、シナリオを担当している野島一成氏と、音楽を担当している崎元仁氏が登壇し、トークテーマに応じてそれぞれが開発者と共に語ってくれた。
「本作の依頼をうけてどう感じたか」という問いに、野島氏は初めて仕事をする人と何かを作ると、自分の新しい部分を引き出してもらえると考えている部分もあり、そういった経緯で本作の依頼を引き受けたそうだ。
崎元氏は、本作の話を最初に聞いてプレゼン用の企画書を見た時に、特にキャラクターの絵に心が動いたとのこと。その時のプレゼンでキャラクターの顔を描いていたのは、本日もこのステージに登壇していた森崎氏ということで、その森崎氏の絵があまりに魅力的だったために崎元氏はこのプロジェクトに興味をもったという。
森崎氏によれば、野島氏のシナリオを見たときに感銘を受け、衝動的に描きたくなってしまったそうだ。それは制作する側ならではの醍醐味、と崎元氏も述べていたが、シナリオやイラスト、楽曲、全てが素晴らしくて新しいものが出来上がってくるたびに開発現場が盛り上がり、開発にも力が入っているのだとは、尾崎氏と芳賀氏の開発チーム2人。
芳賀氏も、崎元氏から提供された楽曲を100回以上も聴き、時には一人で涙を流しているという秘話を明かした。
「本作の世界観を通して伝えたかったこと」に、野島氏はここしばらくのゲーム業界のシナリオの流行を考えたという。野島氏の分析では大きく分けて昔は少年が大きなものに挑もうとする話、最近では自分のいる世界を守る話が多く、ならばこれを両立できないかと考えたのが、本作のシナリオのベースになったとのことだ。
野島氏の作品は、故郷に想いを残しながらも故郷を出てやがてはその故郷に帰ってくる、というものが多いが、今作ではあえて故郷に何の思い入れもない主人公にしたのも、新しい挑戦だ。
まだ明かせない本作のストーリーの様々な部分で今作のテーマは徐々にわかってくると思うが、野島氏はそれがプレイヤーにうまく伝わってくれればいい、と語った。
「本作の曲について」を問われると、崎元氏はSF好きなことを明かし、本作にもSF要素があるのを知り、こっそりと曲にシンセサイザーの音を混ぜているそうだ。ちなみに、最初に森崎氏に出した曲はもっと明るい曲だったが、それはボツになってしまい、現状のPVなどで使われているような曲調に落ち着いたとのことだ。
最後に、このゲームを何十年と語り継がれるほどの作品にしたい、というその心でもって制作・開発にあたっていくつもりであると、強く述べた。
なお、事前登録が本日の12時から既に開始されているので、気になる人は事前登録をしてほしい。
「Project Babel」公式サイト
https://colopl.co.jp/colopl_babel/
崎元氏と野島氏にミニインタビュー
――まずは本日のステージの感想をお願いいたします。
崎元氏:ディレクターなど含め主要なメンバーがそろったのは今回が初めてなんですよ。皆さんとお会いできる機会がこうしてできて嬉しかったですし、楽しかったです。
野島氏:僕はPVが見れて嬉しかったです。初めて完全版のものが見れたので。音もちゃんと入っていてよかったですね。
崎元氏:僕も長いバージョンを見たのは初めてでしたね。
――野島さんと崎元さんは随分とお久しぶりではないのかと思いますが、お互いに久しぶりにお仕事をご一緒されていかがでしょうか?
野島氏・崎元氏:4~5年ぶりとかになりますかね。
野島氏:ステージで崎元さんがSFの話をしていましたけど、崎元さんいつもSFの話を語るなぁというのを思い出しましたね(笑)。このゲームにSF要素をいれておいてよかったと思いました。
崎元氏:僕は個人的に野島さんの名前を聞くだけで心が温まる感じなんですよね(笑)。多分シナリオの印象なんじゃないかと思うんですが、僕の中で野島さんが癒し系なんですよ。
野島氏:光栄ですね。
――今回は何曲くらい作られましたか?
崎元氏:結構多いですよ、4~50曲くらいありますかね。これでもまだ終わっていなくて、3/4くらいです。
――シナリオのボリュームは現在どれくらいのものになっていますか?
野島氏:私がスーパーファミコンでシナリオを書いていた頃くらいのボリュームにはなっていますね。量としては結構あると思いますよ。デフォルメキャラが久しぶりなので、はりきっていっぱい書いています。
――いまはスマートフォンでゲームを遊ぶのは比較的若い方が多いかと思いますが、今回の制作メンバーは30歳以上のゲーマーが喜ぶ制作陣かなと思います。ここであえてこういった層に向けて一言いただけますか?
野島氏:作っている僕たちはあまり変わっていないんですよね。当時と感じ方が違ったら、それはプレイヤーの皆さんが成長したんだな、ということですね。秘密とかはたくさんあるゲームですし設定もちょっと凝りましたけれど、やっていることは本当に昔と変わりませんので、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
崎元氏:野島さんが言っている通りで、本質は変わらないんですよ。ゲーム業界は、とにかくすごい勢いで進化していったじゃないですか。それでもゲームに本来求めていることはあまり変わっていないんじゃないかと思います。実際僕は変わっていなくて、だからとっつきやすさはさておき、共通したこういうものが見たいという感覚はあるんじゃないかなと。そこをずっと変わらずにやっていますので、そういうところを感じてもらえればと思います。
――長い間コンシューマでゲームを作ってこられましたが、スマホゲームならではの苦労はどのようなところでしょうか。
野島氏:語ると長いんですけれど(笑)。プレイヤーと主人公キャラの関係性をどうするか、というのはかなり悩みましたね。その中で、プレイをする画面が大きいか小さいかも重要で、それがキャラクターたちが遠くなったり近くなったりする要素のひとつになるんですよ。そういった中で、このキャラクターたちをどうしたらプレイヤーの皆さんに愛情を持ってもらうかというのは悩みましたね。
崎元氏:曲の長さとかはコンシューマで作った時とほとんど変わっていないんですけれど、スマホで聴きやすいように音を調整したりはしています。実際、昔のパソコンゲームの時代からこういう仕事をしてきて音楽とか効果音とかは不要ってずっと言われていた職種だったので、いつでもプレイヤーの皆さんに音楽を聞いてもらえる方法や足を止めてもらえる方法を一生懸命考えていて、やり方は少し違えどやっていることは変わらないです。
――ありがとうございました!