「スーパーロボット大戦(以下、スパロボ)」シリーズの新たなiOS/Android向けアプリとなる「スーパーロボット大戦DD」。2018年12月14日から16日にかけて行われた先行テストプレイのインプレッションをお届けしていく。
目次
プレイフィールは「スパロボ」そのもの!戦闘アニメの美しさは本シリーズと遜色なし!
本作は、スマートフォンやタブレット端末向けに操作を最適化した、まったく新しい「スーパーロボット大戦」シリーズの新作。すでにiOS/Android向けには、「スーパーロボット大戦X-Ω」がリリースされているが、「スパロボDD」は従来のシリーズ作品と同じ、シミュレーションRPGとして作られているのが大きな特徴となっている。
ゲームを開始すると、プロローグがスタート。通常のシナリオは、バストアップのキャラクター達の会話が画面下のメッセージウインドウに表示される、こちらは「スーパーロボット大戦α」以降のシリーズでお馴染みの形式となっており、実に「スパロボ」らしさを感じられる。
今回の主人公機である「ディーダリオン」は異星人の戦艦「エルツァード」の中から発見された巨人型兵器。本作のヒロインである大門恵留やユンナ・ドーソンらは、MART(南極氷床下調査隊)のメンバーとして、ディーダリオンの調査にあたっている。 |
最初のシナリオを読み終えると、早速バトルパートへと突入。本作の戦闘システムは、上記でも説明した通り、グリッド式の戦闘マップ、命中率・回避率に、精神コマンドの存在と、従来の「スパロボ」シリーズと同じシミュレーションRPGとなっている。「スパロボ」本編でお馴染みのBGMやSEが使われているのもあって、かなり近い感覚でプレイすることができる。
ただし、そのまま「スパロボ」の戦闘システムを再現しているわけではない。もっとも大きな違いとなっているのは、ユニットがもつ武装回りのシステム。従来の「スパロボ」では、ユニットごとに設定されたいくつもの武装を使い分けながら戦うが、本作のそれぞれのユニットが戦闘中に使用できるのは、「通常攻撃」「必殺技」の2種類となっている。
通常攻撃にはEN消費や弾数の概念はなく、何度でも使用可能。ガンダム系なら「ビーム・ライフル」、ボルテスⅤなら「超電磁ゴマ」、ブラックゲッターなら「トマホークブーメラン」といった、ある程度射程が長く、使用頻度の高めの武器が通常武装として選ばれていることが多い。また、すべての武装が移動後に使用できる。
一方の必殺技は、ガチャや報酬などで入手できる「ユニットパーツ」を装備することで使用可能となる武装。こちらは通常武器に比べて攻撃力が高く、ユニットパーツごとに異なるアビリティ(攻撃時に防御力を低下させるなど)をもっており、かなり強力だ。
ただし、武器ごとに設定されたターン数が経過しないと使用できない上、1クエストごとに使用できる回数に上限が設けられており、おいそれと使うことはできない。最近の「スパロボ」では、最強武器を何度も使用できるものも珍しくないが、本作の必殺武器は1戦闘に1~2回しか使えない、切り札的な位置づけとなっている。
また、従来の「スパロボ」シリーズは、味方と敵のターンで完全に別れていたが、本作ではユニットの「スピード」の順番に行動が行われる。そのため、いつもの「スパロボ」の感覚で、別のユニットで倒そうと半端にHPを残しておくと、味方の行動前に敵に先に動かれ、余計なダメージを受けてしまうことも。画面左上に表示される行動順を確認しながら、できるだけ敵に行動を回さないような戦略を心がける必要がある。
ダメージを1.5倍にする「熱血」、指定した味方のHPを回復する「信頼」など、一時的に能力を高められるシリーズおなじみの「精神コマンド」も健在。ただし本作の精神コマンドは、SPではなく回数制となっている。
さらに、パイロットは3つまでの精神コマンドを覚えられるのだが、その中から事前に選択していた1種類しか使うことができない。今回体験できたバージョンには、精神コマンド以外でのHP回復手段が一切存在しなかったため、「信頼」でのHP回復がかなり重要となっていた。
また、「スパロボ」の魅力といえば、まさに職人芸というべき戦闘アニメーションを思い浮かべる方も多いかと思うが、本作でもロボット達が動き回る美麗な戦闘アニメを堪能できる。もちろん、予め戦闘アニメをオフにしたり、画面をタッチすることでアニメを中断することもできる。据え置き機や携帯ゲーム機で発売された「スパロボ」と比較しても、一切見劣りしないクオリティとなっており、「スマホでもここまでできるのか!」と衝撃を受けた。
一方、「スパロボDD」独自の要素として、「ブレイクゲージ」と呼ばれる、HPとは別のゲージをもつ敵が出現する。このブレイクゲージは、もう一つのHPとも言うべきもので、ゲージが残っている状態ではブレイクゲージに一部のダメージが吸収され、思うようにHPを減らすことができない。
本作の敵ユニットには、「斬撃」や「ビーム」などの弱点が設定されており、味方の武器ごとに設定されている特性と弱点が噛み合うと大幅にブレイクゲージを減らすことが可能だ。ブレイクゲージを削りきれば大きなダメージを与えられるようになる。
もう一つの新要素となるのが、「チェイン」と呼ばれるシステム。これは攻撃を連続であてていくことで溜まり、チェイン数に応じて自軍全体の攻撃力が上昇していくというものだが、自軍ターンに攻撃を行わなかったり、敵の攻撃の反撃を行わない(防御・回避を選ぶか、射程外から攻撃される)、攻撃が外れた場合もチェインは終了となる。できるだけチェイン維持しながら戦いたいところだが、チェインの維持のために味方が撃破されては元の子もないため、なかなかうまく戦術に組み込むのが難しいシステムだと感じた。
また本作ならではの機能としては、オート操作も搭載されており、オンにすることで自動的にユニットの移動や攻撃を行ってくれる。必殺技や精神コマンドは使用してくれないため、難易度の高いステージには不向きだが、育成のためにバトルを周回する時にはかなり重宝する。
雑魚戦はオートで進めて、ボスが近づいてきたらマニュアルに切り替えて精神や必殺をフルに使って戦う……といったこともできるので、何かと便利に使えそうだった。
ワールド2は「スーパーロボット大戦α」を思わせる世界観
プロローグをクリアすると、続いて表示されたのが、ワールドの選択画面。「スパロボDD」では、序盤のストーリーが4つのワールドに分けられており、加入するユニットが変化する。今回選ぶことができたのは「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」「勇者王ガオガイガー」「真(チェンジ!!)ゲッターロボ」といった、「スパロボ」では常連とも言えるメンバーが揃う「ワールド2」。
ワールド2では、ブライト・ノアの指揮するラー・カイラムを母艦とした「ロンド・ベル隊」が自軍となり、「ボルテスⅤ」の岡長官や、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の葛城ミサトが会話によく登場するなど、「スーパーロボット大戦α」に非常に近い雰囲気。「SR計画」という、「α」で登場した「SRX計画」を彷彿とさせるようなワードも登場したりと、古くからのファンとしてはたまらなかった。
本作のユニットはガチャではなくストーリーを進めることで入手できるようになっており、選択したワールドに登場するロボットは比較的早めに自軍に加入してくれる(選ばなかったワールドのロボットは、後からシナリオをクリアすることで加入する)。「次にどのユニットが登場して仲間になってくれるのか」というワクワク感は、まさに「スパロボ」をプレイしている時の楽しさを思い出させてくれた。
なお本作では、1チャプターという区切りでシナリオが分けられており、4機までのユニットを編成して挑むことになる。主に1つのチャプターは、シナリオ(インターミッション)→戦闘→シナリオ(戦闘中のイベント)→戦闘→シナリオ(インターミッション)といった流れで構成されており、同チャプター内で複数回の戦闘が発生することも珍しくない。
その場合、戦闘ごとにユニットを交代することはできず、HPや精神コマンド、必殺技の使用状態などが全て前回の戦闘時のものが引き継がれるため注意が必要だ。シナリオや複数回のバトルと、細かくステージが区切られてはいるものの、1チャプター全体=従来の「スパロボ」1話分をイメージしてもらうとわかりやすいだろう。
「ユニットパーツ」「改造」「パイロットレベル」の3種の育成で自軍を強化
本作における個々のユニットの性能は、主に「機体の改造度」「パイロットの能力値」「ユニットパーツの能力値」の3つによって構成される。
中でももっとも「スパロボ」らしさを感じることができたのが、「機体の改造度」。資金を使って改造を進めていき、全ての段階を5段階ずつ改造するごとにボーナスを習得できる。従来の「スパロボ」とほぼ同じシステムだが、改造には資金の他に、改造用の素材が必要になる。
「パイロットの能力値」については、「ニュータイプ」や「聖戦士」、「アタッカー」といったアビリティは存在せず、レベルアップでの能力値上昇のみというシンプルな形に。本作では、敵を撃墜した場合でも経験値は入らず、代わりにステージクリア時の報酬として、クリア時まで生き残っているユニットに乗っているパイロット全員に経験値が加算されるというシステムになった。
もっとも特徴的なのが「ユニットパーツの能力値」。前の項目でも軽く触れたが、本作では個々のユニットに「ユニットパーツ」を装備させることで装備させたユニットパーツに対応した必殺技が使用可能になる。ただし、必殺技が使用できるのは同じユニットとユニットパーツの組み合わせのみとなっている。(ユニットパーツ「ヘル・アンド・ヘブン」であれば、ガオガイガーに装備させれば必殺技として使用できるが、νガンダムに装備させても「ヘル・アンド・ヘブン」が使えるようにはならない)
ユニットパーツを装備可能なスロットには、メインとサブの2種類があり、必殺技として使用できるのはメインスロットに装備したパーツのみ。ユニットパーツ自体にもパラメーターが設定されており、メインスロットに装備したパーツはそのパラメーターが100%反映される。
一応、サブスロットに装備したパーツも、パラメーターの10%が加算されるのだが、メインスロットと比較するとその影響は控えめ。ではサブスロットにパーツを装備するメリットは何かというと、個々のパーツに設定されているアビリティの存在が挙げられる。
アビリティは、特定の属性の武器の攻撃力を上昇させたり、攻撃時に敵のパラメーターを下げるなど様々な効果をもつ。通常武器「ビーム・ライフル」を多用するνガンダムなら、ビーム武器の攻撃力が上昇するアビリティのユニットパーツを装備させるなど、アビリティとユニットの相性を考えることで、その性能を飛躍的に高められる。
アビリティは、メインとサブのどちらに装備するかによっても効果がまったく異なってくる。とくにサブスロットのスキルは、「ユニコーンガンダムの必殺技なら、ユニコーンガンダムにつけておけばいい」という単純な構成にならないことが多いのが面白い。 |
そんなユニットパーツの主な入手手段は、ストーリーやデイリーなどのミッションをこなしていくことでもらえる「Dクリスタル」を消費して回せるガシャとなる。
ガシャを回していると、当然ながら同じユニットパーツが排出されることもある。こうした場合は、最大5回まで限界突破(同じユニットパーツを重ねる)を行うことができ、限界突破を行うとレベルの上限が開放される他、「必殺技の攻撃力倍率が増加」「必殺技の使用までに必要なターン数が減少」、「必殺技の使用回数が増える」、「アビリティレベルが上昇し、アビリティが強化される」といったメリットがある。
パラメーター的には、やはりレアリティの高いものが強くなっているものの、とくに必殺技の必要ターン数減少・使用回数の増加はメリットが大きく、限界突破がしやすい低レアリティの必殺の方が使い勝手がいい面もあるとも感じた。
ユニットパーツの中には、「支援パーツ」と呼ばれるキャラクターをモチーフとしたものも。支援パーツを装備すると、攻撃前に特別なカットイン演出が挿入されたり、特定の組み合わせで台詞が変化するなどの楽しみもある。 |
高難易度クエスト「忌まわしき記憶と共に」に挑む
メインストーリーの他にも、ユニットパーツの育成や改造、精神コマンド素材、経験値が多く手に入るものなど、イベントクエストも存在。自軍の強化をする際は、これらの強化用のクエストを何度もプレイすることがもっとも効率が良い。今回のテストでは、育成が進むとほぼオートでクリアできるようになっていたので、周回はそれほど苦にはならなかった。
またイベントは強化用のものだけではなく、特別なクエストが発生することもあり、今回のテストでは「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」をモチーフとした高難易度ステージ「忌まわしき記憶と共に」に挑戦することもできた。
アクシズを背景に、サザビーに搭乗するシャア率いるネオ・ジオンと戦う、「スーパーロボット大戦IMPACT」の隠しマップも彷彿とさせるステージとなっており、特に難易度「中級」のクリア後に開放される「上級」では、周辺のギラ・ドーガですら気の抜けない相手となる。
そんなマップで頼りになるのが、通常攻撃の射程が長いユニット。HPの回復手段が限られる本作では、「射程外から反撃を受けずに攻撃する」ことのメリットが大きい。今回プレイできた範囲では、敵味方含めてほとんどのユニットの最大射程が3となっていたのだが、νガンダムは通常攻撃である「ビーム・ライフル」、SSR必殺技である「クロスレンジ・アタック」が、共に1~4という高射程武器となっており、最大射程の位置からであればほとんどの敵から反撃を受けずにダメージを与えることができた。
ただし、敵の手順がくると近づかれて攻撃を受けてしまうため、νガンダムよりも前に回避力に特化させたり防御に優れたユニットを囮として配置し、その間に射程外から削ってもらうという戦術がかなり有効。
このマップのボスであるサザビーも通常攻撃の射程は3となっていたため、筆者は他のプレイヤーからもνガンダムをレンタルし、νガンダム×2という家庭用の「スパロボ」ではなかなか実現しないであろう編成で、ひたすら射程外から攻撃を加えていく。
ただサザビーの必殺技であるファンネルは、射程4の位置にいるνガンダムも攻撃できるため、あやうく撃破されそうになるも、こちらのHPを削りきられる前に、なんとかシャアを撃破することに成功した。
囮ユニットは防御か回避に専念させ、HPが減ったら「信頼」で回復。チェインは途切れてしまうものの、多くのステージのボス戦で活用できたおすすめの戦術だ。 |
今回のステージに登場するサザビーは「ビーム」と「斬撃」が弱点なので、νガンダムのビームサーベルでブレイクゲージを効率よく減らすことができる。やはり、シャアを倒せるのはアムロということか。 |
※弱点は同じ機体であってもイベントやステージによって変わる。ステージ開始画面で敵ユニットの弱点に関するヒントがあるので、こちらを参考にするといいだろう。
なお、このステージでは「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の主題歌である「BEYOND THE TIME」が流れるようになっていたのも嬉しいポイント。本作ではなまじ戦闘アニメが従来の「スパロボ」と遜色ない出来なだけに、戦闘に入っても音楽がマップBGMのままなのがどうしても違和感が拭えなかったのだが、版権BGMが流れると盛り上がりも俄然違ってくる。今後も版権BGMは、できるだけ多くのステージで流して欲しいところだ。
全体のプレイを通して感じたのは、ある程度シンプルになってはいるものの、しっかりと「スパロボ」らしい作りとなっていたということ。個人的に大きな違いと感じたのは、戦闘結果はオートでセーブされるため、いわゆる「クイックロード」ができなくなっている点。HPの回復手段が限られているのも合わせて、命中率90%を外して10%に被弾した時の嘆きがより大きくなったとも感じた。
そのため、育成なしで進めると従来の「スパロボ」よりも歯ごたえのある難易度になっていたが、改造・ユニットパーツ・パイロットレベルの3つの成長幅がかなり大きく設定されているため、強化クエストなどでしっかりと育成すれば、好きなユニットを存分に活躍させられる。
システムも従来のシリーズ作品より簡略化され、快適なオート機能も搭載されているので、育成の周回さえ苦にならなければ、SRPGがあまり得意ではないという人にもとっつきやすくなっているはずだ。
筆者はほぼシリーズ全作をプレイしている筋金入りの「スパロボ」ファンなのだが、そうした視点から見ても、シリーズが持つ魅力をうまく簡略化して落とし込んだ出来となっていると感じられた。新たな「スパロボ」シリーズの一作として、サービス開始が今から待ち遠しい。
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※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。
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