1月19日、「センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント ~再会~」が一ツ橋ホールにて開催された。ここでは、第一部「20周年スペシャルトークショー」の模様をお伝えする。
出演者(50音順、敬称略)
有島モユ(「センチメンタルグラフティ2」安達妙子役)
岡田純子(「センチメンタルグラフティ」安達妙子役)
今野宏美(山本るりか役)
鈴木麗子(遠藤晶役)
鈴木麻里子(沢渡ほのか役)
豊嶋真千子(杉原真奈美役)
西口有香(七瀬優役)
前田愛(永倉えみる役)
満仲由紀子(森井夏穂役)
米本千珠(松岡千恵役)
「センチメンタルグラフティ」は美少女ゲーム、いわゆる“ギャルゲー”全盛時代であった1990年台に誕生したメディアミックスプロジェクト。1998年1月22日のゲーム発売前からグッズ、小説、CDドラマ、ラジオ、さらには出演声優で構成された「SGガールズ」によるコンサートなど、さまざまな展開が行われた。今でこそ珍しくないことだが、当時のゲーム業界としては斬新であり大きな反響を呼んだ。
ただ、ゲームが当初の予定よりも大幅に発売延期したこともあり、本作のプロデューサーである多部田俊雄氏(当時はNECインターチャネルに所属。現・プロトタイプ代表取締役)の謝罪がイベントの定番となっていた節さえあった。とはいえ、その繊細で愛らしいキャラクターたちはとても魅力的で、今でも当時を懐かしむファンから愛され続けている。
そんな「センチメンタルグラフティ」が2018年に20周年を迎えたことで、キャストたち自身が発起人となり、20周年イベントを開催すべくクラウドファンディングを立ち上げた。開始10分と経たずに目標金額に到達したのは記憶に新しいところだろう。
こうした経緯で開催された本イベントなだけに、開演前からファンたちも同窓会のような雰囲気。会場のロビーに置かれていた、プレゼントボックスならぬ「せつなさボックス」には溢れんばかりのプレゼントが入っており、本当に長年待ち望んでいたことをうかがわせてくれた。
時間となり、懐かしさと愛情がいっぱいの会場に「センチメンタルグラフティ」オープニングテーマ「雲の向こう」(Sentimental Graffiti Tears)が流れると、歓声と手拍子が鳴り響く。
そして、キャラクターたちが会場に向かっているオープニングムービーが流れてイベントスタート。ムービーのセリフは大倉らいた先生の書き下ろし、イラストも過去の物に加えて甲斐智久先生による新規描き下ろしがあるという豪華仕様だ。
「ついに到着だよ。あなたに、あなたに会える。この一ツ橋ホールで、20年ぶりにあなたに会える。あなたに、会いたい……会いたかった!」
作品のキャッチフレーズである「あなたに、会いたい」の言葉から、出演者10人がステージに登場。冒頭の挨拶からすでに感無量の様子で、今野さんや西口さんはいきなり涙ぐんで言葉を詰まらせてしまう。「また会えるって信じてたよ」の言葉は胸にささるものだった。
今回イベントに参加できなかった牧島有希さん(保坂美由紀役)からはメッセージを紹介。さらに、岡本麻見さん(星野明日香役)と小田美智子さん(綾崎若菜役)のメッセージもパンフレットに掲載されており(小田さんのメッセージは前田さんが代筆)、心はSGガールズ13人が総出演でイベント本編へと進んでいった。
最初のコーナーでは、出演者が選んだ思い出の名場面を生アテレコで再現。「覚えていますか?あの日のこと」の言葉から、懐かしいゲーム画面やイベントスチルに合わせてアテレコしていく。
鈴木麻里子さんは「ほのかに誘われてラベンター畑にいくシーン」、岡田さんは「雪山で体を寄せ合い、コンプレックスを吐露するシーン」、有島さんは「主人公に今の自分の気持ちを素直に伝えるシーン」を披露していき、それぞれの名シーンを思い出させてくれる。
「変なものが好きだと話すシーン」を演じた前田さんがアテレコしている時には、ちょっとした映像トラブルも発生。しかし、お馴染みの「~りゅん」の口調でアドリブをきかせ(トラブル自体はすぐに回復)、懐かしさと楽しさにあふれる瞬間となった。
他のメンバーも、今野さんは「アンモナイトの化石のシーン」、満仲さんは「浴衣姿でだんじり祭を見に行くシーン」、豊嶋さんは「小鳥を森に帰すシーン」、西口さんは「流星群を見るシーン」、米本さんは「主人公がライブに来てくれたシーン」、鈴木麗子さんは「バイオリンの練習を見られたシーン」をそれぞれアテレコ。
アテレコ後は、「選ぶの難しかったよね」「でも楽しかった」と口々に感想を述べていた。
続く「たったひとつの思い出」のコーナーでは、10人がそれぞれ思い出の写真をエピソードとともに紹介。イベントを実現するにあたり10人が初めて集まった写真や、成功した時の写真といった最近のものから、当時のものまでいろいろな写真が披露された。
懐かしい写真の時は、当時の裏話まで飛び出す。中でも衝撃的だったのは、米本さんのエピソード。「時効なので」と笑って話したのは、中野サンプラザのコンサート前の出来事。とても緊張しいだった彼女たちは、なんと緊張を鎮めるために紙コップにビールをちょっぴり注いでいたのだとか。約20年たって明かされた真実に、会場からは驚きの声があがっていた。
さらに、ツイキャスの告知動画として撮影したものの、お蔵入りになってしまった時の写真も紹介。周りの笑い声が入ってしまいNGになったらしく、幻の告知をステージ上で再現してくれた。
今野さんは、すべてはここから始まったという1997年の1月19日に「うさぎ組」の声優が発表された時の写真をチョイス。奇しくも今回のイベントと同じ1月19日ということに特別なものを感じていたようだった。うさぎ組関連では、有島さんは岡田さんとうさ耳をつけてデートした写真を紹介。
※「うさぎ組」とは、「SGガールズ」のうち一般公募から採用された6人(岡田純子さん、岡本麻見さん、鈴木麗子さん、今野宏美さん、牧島有希さん、西口有香さん)のことを指す。
偶然といえば、満仲さんが披露した「カラオケボックスに集まって本格的なプロジェクトの打ち合わせした時の写真」もすごい内容。部屋を指定したわけでもないのに、通されたのは「S20」という部屋番号だったそうで、その偶然にみんな驚いたという。
そして、最後に豊嶋さんが選んだのは、クラウドファンディングページにも用いられている久しぶりに集まった時の集合写真。「やりたいですか?」「やるとしたらどのぐらいの熱量で参加したい?」と確認したところ、みんな「やるならなんでもやる!」と答えてくれたのが嬉しかったと振り返っていた。
ゲームコーナーでは、「イラスト伝言ゲーム」を実施。鈴木麻里子さんと西口さんがリーダーとなり、10人を北チーム(鈴木麻里子さん、岡田さん、有島さん、前田さん、今野さん)と南チーム(西口さん、満仲さん、豊島さん、米本さん、鈴木麗子さん)に分かれ、1人10秒でお題のイラストを描いて伝言していくゲームだ。
まずは、北チームが挑戦。引いたお題は「お好み焼きを焼くピッコちゃんと、それを見守る夏穂」という、高難易度のもの。1番手の岡田さんはなんとか「誰か2人が何かをしているような絵」を描いたものの、徐々に「2つの顔らしきものがある絵」になっていき、正解することは出来ず。
いや、これを正解できたら奇跡だと思うが……。
一方、南チームのお題は「黄道十二星座」。これはこれで10秒制限ではかなり難易度が高く、案の定1人目の鈴木麗子さんがどう表現すればいいか悩んでしまい、謎のイラストが完成。そのまま、謎の生き物のようなイラストが続いていき、こちらも失敗となった。
いや、だから、さすがに無理だと思う。
結局、両チームとも失敗だったため、「センチメンタルグラフティ」の音楽を担当した濱田智之氏の判断で、南チームの勝利に。負けた北チームには、「キャラクターもしくはキャストのモノマネを1人ずつ披露する」という罰ゲームが課せられ、特徴をとらえたモノマネで笑わせてくれた。
イベント後半のライブパートに向けた衣装チェンジの間には、多部田氏と濱田氏によるトークを実施。多部田氏がいきなり「20数年前、皆さんに大変なご迷惑をおかけしました」と謝罪をすると、客席からは「時効!」との声があがる。
そして、2人の出会いや当時のこと、今回のクラウドファンディングのことなどをトーク。先ほど紹介された東京タワーを背景にしたキャストの写真は、実は多部田氏が撮影、濱田氏もパンフレットの写真撮影の時はレフ板係であったという裏話も明かしてくれた。
第一部のラストは、衣装をチェンジしてのライブコーナー。W妙子を演じる有島さんと岡田さんがお揃いの衣装なのも感慨深い。まずは、「約束」(「センチメンタルグラフティ~約束〜」エンディングテーマ)で優しく暖かなハーモニーを響かせる「SGガールズ」のメンバーたち。
今回のライブは、岡野瑛美さん(バイオリン)、宮本憲さん(ギター)、MIIKOさん(キーボード)、原田ソウさん(ベース)、大津惇さん(ドラム)、濱田智之さん(マニピュレーター)の生バンド演奏ということで、その格好良さも聴きどころのひとつだ。
2曲目は、クラウドファンディングのストレッチゴール達成によって作成された新曲「未来 ~センチメンタルグラフティ~」。サプライズゲストの奥村フミヤ氏もベースで参加した元気で明るい楽曲は、タイトルにあるように“未来”を感じさせてくれるもの。 疾走感たっぷりの楽曲を、飛び跳ねたりしながら楽しそうに披露していたのが印象的だった。
歌い終わり、1人ずつ感想や感謝を述べるメンバー。こんなにも暖かく迎えてくれて、また演じられることが本当に嬉しかったと、来てくれたファンの方はもちろん当時携わってくれたすべての方にも感謝を述べていた。
そんな思いをこめ、「たった一つの想い出」(「センチメンタルグラフティ2」エンディングテーマ)を歌い上げてライブパートは終了。最後は全員で記念撮影をし、やはりこの言葉「せつなさ~」「炸裂!」の掛け声でイベント第一部の幕を閉じた。
なお、ゲームとしては「センチメンタルグラフティ」がガンホー・オンライン・エンターテイメントからゲームアーカイブスで配信中。1月22日(火)には「センチメンタルグラフティ~約束〜」も配信開始となる。
第一部 ライブパートセットリスト
M1. 約束(「センチメンタルグラフティ~約束〜」エンディングテーマ)
M2. 未来 ~センチメンタルグラフティ~
M3. たった一つの想い出(「センチメンタルグラフティ2」エンディングテーマ)
関連タイトル発表
当イベントにおいて、「センチメンタルグラフティ」のプレストーリーである「センチメンタルグラフティ~約束〜」が、2019年1月22日(火)より、ゲームアーカイブスで配信開始される事が発表されました。なお、この日はセガサターンで「センチメンタルグラフティ」が発売されてから、21周年の記念日にあたります。
ハード:PS3/PS Vita/PSP
ジャンル:AVG
価格:617円(税込)
プレイ人数:1人
CERO年齢区分:A(全年齢対象)
紹介:
覚えていますか?わたしのこと…覚えていますか?あの思い出…。
シリーズの原点センチメンタルグラフティに登場する12人の少女のプレストーリーを収録したデジタルビジュアルノベルが登場! 彼女たちの胸に残る、初恋の少年と過ごした大切な記憶。淡く切ない1ダースの恋物語をあなたに届けます。