「二ノ国」はレベルファイブが手がけるRPGシリーズ。2010年に第1作目が発売となり、昨年2018年にはシリーズ最新作となる「二ノ国II レヴァナントキングダム」がPS4/PC向けに発売された。今回発表となった映画版は、シリーズの名称がついているものの、ゲームタイトルのどれかを原作としたものではなく、オリジナルのストーリーが展開するものになっている。

映画「二ノ国」はレベルファイブ代表取締役社長CEOの日野晃博氏が製作総指揮を執り、自身で原案・脚本も担当する。監督はスタジオジブリやスタジオポノックで数々の名作に携わった百瀬義行氏、音楽はさまざまな映画作品などで多くの名曲を生み出してきた久石譲氏という布陣。プロデューサーにはワーナー・ブラザース ジャパンでエグゼクティブ・プロデューサーの小岩井宏悦氏が就く。主人公のユウは俳優の山崎賢人さんが務め、初の声優に挑戦する形となる。

発表会見には日野氏、百瀬氏、小岩井氏が出席し、映画「二ノ国」に関するトークを行った。まず日野氏は「二ノ国」の映画化について、「ゲーム作品を映画化することの意義や効果を考えてきましたが、『二ノ国』なら商業的な意味を抜きにして作品として素晴らしいものが作れそうだと感じるプロジェクトを作ってもらいました」と語る。ゲームの1作目を発表してから、「二ノ国」は映画にできる作品だと感じてずっと映画化を意識してきたが、発表から10年を経てようやくそれが実現できたのだとか。

小岩井氏は当時から日野氏と関りがあり、メモを見返すと2009年の1月、まだ東京にレベルファイブのオフィスがなかった頃、福岡まで日野氏に会いに行った記録があったという。その際は「二ノ国」はもちろんのこと、ジブリの制作協力を得て久石氏の音楽でゲームを作るという実績に対して「どんな凄腕プロデューサーなんだと思い、日野さんへの興味が強かったです」と振り返っていた。

日野晃博氏 小岩井宏悦氏

肝心の映画の内容については、ネタバレになりたくないのでザックリと、という前置きのもと、日野氏から説明が行われた。その話によると、自分には大好きな人がいるが、その人は別の人の恋人で、自分の愛は叶わないという状況。そんなとき、異世界に飛ばされて、好きな人と見た目も性格もそっくりな人と出会う。そうしたら自分はどうするか。きっかけはそんなメルヘンな恋愛モノだが、中身はエンターテイメントとしてスペクタクルなものになるとのこと。

「二ノ国」は世界中にファンがいるコンテンツのため、日本の文化を伝えるために今回は現代の日本を舞台にしているという。「これが世界でヒットすれば日本のイメージが変わるんじゃないかなと思います」との意気込みも見せていた。

ゲームの「二ノ国」では、1作目でアニメーションパートの演出、2作目でキャラクターデザインを担当したのが、今回の映画で監督を務める百瀬氏となる。監督から見た「二ノ国」の魅力は、ハイファンタジーやロウファンタジーといった枠にとらわれない面白さがあるところだという。「1作目から映画にしたいという話があり、それが今回実現できましたが、私にとってもなじみある作品なので面白く作れたかなと思います」と、百瀬氏は監督として自信のあるコメントも残していた。

百瀬義行氏

なお、映画では日野氏が原案・脚本も手掛けており、ワーナーのOKが出た状態の脚本をもって音楽担当の久石氏に見せに行ったときのエピソードも明かされた。最初の脚本はファンタジー世界を中心に物語を構成していたようだが、久石氏との打ち合わせで「一ノ国(現代)と二ノ国を行ったり来たりする楽しさがないと『二ノ国』とは言えないんじゃないの?」とポツリと指摘を受け、脚本を全て書き直したという。それがあったことで、すごく面白いものができたとのこと。

このあとは主人公・ユウ役を務める俳優の山﨑賢人さんも招いてのトークとなった。まず小岩井氏からは山﨑さんを起用した理由について「ご一緒した『オオカミ少女と黒王子 』ではドSの高校生を演じられていて、ほかの作品ではナイーブな役だったり荒々しい役をしていて、今の若手で間違いなく演技力がナンバーワンだと思い、どうしても彼にお願いしたかったんです」とコメント。

ユウというキャラクターが、現世ではインテリで車いすに乗って生活するナイーブな面を持ち、二ノ国では環境が変わって大きなプレッシャーにさらされいろんな苦悩を乗り越えなければいけないことに直面するため、演技力の幅を求めていたところにマッチすると考えたようだ。

主要キャラクターにはユウの親友であるハルと、2人の幼馴染でありハルの恋人コトナがいる。
山﨑賢人さん
山﨑賢人さん

その山﨑さんは、脚本を読んで鳥肌が立つほど面白いと感じたと話しており、「素晴らしい方々と二ノ国という作品を作り上げていくことにワクワクしています。収録はこれからで、どういった場所でどんな風に作っていくのかも分かりませんが、それも楽しみながらやっていきたいと思います」と意気込みを述べた。

なお、ほかの主要キャストはほぼ決まっており、アニメーションはクオリティが命なのでオーディションを行いつつ、慎重かつ大胆にキャスティングしているとのこと。最後にそのキャスティングに関する情報として、LINE LIVEとのコラボレーションにより、映画「二ノ国」に出演する声優のオーディションを行うことも発表となった。エントリー開始は2月22日からで、男女それぞれセリフ付きの役が用意されているという。

今回は製作発表の場ということで、ユウ役以外のキャスティングやストーリーなど、まだ明かされていない部分も多いが、夏の公開に向けて続報にも期待しておこう。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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