アトラスより2019年2月14日に発売されたPS4/PS Vita用ソフト「キャサリン・フルボディ」のプレイレビューをお届けします。

2011年に発売された人気作「キャサリン」のリメイクである「キャサリン・フルボディ」。「キャサリン」は、大人の恋愛を描く内容や歯ごたえのあるパズルが人気を博したアクションパズル・アドベンチャーでした。

そのストーリーは32歳のSEであるヴィンセント・ブルックスが、恋人関係が5年間続いているキャサリンから結婚を迫られるところからスタート。

ハイスクール時代からの付き合いであるキャサリンに子供ができたと伝えられるヴィンセント。

気楽な生活を楽しみたいヴィンセントが答えを出さないままでいるなか、恋人と同じキャサリンの名前を持つ女の子との出会いがあり、彼は誘われるままに浮気をしてしまいます。

誘惑に勝てずに浮気をしてしまうヴィンセント……。

それ以来、ヴィンセントは悪夢にうなされるようになってしまい……というもの。

このように浮気をテーマにしたゲーム自体が珍しかったですし、どちらのヒロインを選ぶのもプレイヤーの自由だったというのも挑戦的でしたね。

恋人と結ばれるのが正解というわけではなく、浮気相手とくっついても問題なし。
ゲームの中ではふたりは平等に描かれます。

浮気相手であるキャサリン(Catherine)はセクシーで小悪魔的な魅力がありますし、恋人のキャサリン・マクブライド(Katherine Mcbride)も世話焼きのお姉さんといった感じでどちらも素敵な女性。

どちらを本命にしようか本気で迷ってしまうこと間違いなし。ちなみに自分はゲームのなかでも浮気ができない性格らしく恋人のキャサリンのルートになりました(笑)。

どちらを選ぶかはプレイヤー次第。

でも、それは仕方がありません。自分のような30代のオタクは青春時代を過ごした三石琴乃さんの声で責められたら従うしか選択肢が無いんです!(苦笑) もちろん、沢城みゆきさんの演じる浮気相手のキャサリンも妖艶で素敵な女性。彼女は彼女でめちゃくちゃドキドキしますけどね。

ちなみに「フルボディ」では浮気相手の声を初回生産限定版の特典か有料DLC「理想の声」で変更が可能。「ペルソナ」シリーズなどでおなじみの声優陣にボイスを変えられるのですが、ガラリと雰囲気が変わるのでぜひ試してもらいたいですね。

沢城みゆきさんと能登麻美子さんは本編に収録。ほかは特典かDLCで入手できます。

また、「キャサリン」の主人公やヒロインの特徴として決して完璧な人間ではないところもあげることができます。主人公はモラトリアムを引きずった子供ですし、浮気相手のキャサリンは自分勝手、恋人のキャサリンは耳年増なところなどがあります。しかし、こういった人間臭い部分がリアリティに繋がっていて、彼らに親近感が湧くんですよね。

本当に存在するかのようなリアリティのあるキャラクターが魅力です。

バーを舞台にしているのも大人の雰囲気が出ていてイイところ。仲間と一緒にお酒を飲むのは楽しいですし、ほかの客たちもさまざまな人生の悩みを抱えていたりするので、彼らとの話も興味深いです。

バーではお酒を飲んだりヒロインとメールのやり取りをしたりできます。
メールにはドキドキの画像が添付されていることも。
バーの常連たちとは悪夢のなかでも出会いますが、お互いが羊の姿に見えているため、最初は誰だか認識できません。
しかしストーリーを進めると……?

また、悪夢のなかで挑戦するパズル部分に関してはオリジナルが発売された当時「ストーリーが気になるけど、パズルが難しくて先に進めない」というユーザーの声があり、より易しい難易度がアップデートで追加された経緯がありました。

このように、「キャサリン」は刺激的なテーマや一筋縄ではいかない難易度を持つアトラスらしい尖った作品として熱狂的なファンを持つタイトルとなりました。

よりユーザーフレンドリーに進化!

そんな「キャサリン」のリメイク版である「キャサリン・フルボディ」には、さまざまな変更点が存在しますが、もっとも大きなポイントは3人目のキャサリンであるリンの追加だと思います。

何者かに襲われているところをヴィンセントが助けたことで交流がはじまるキャラクターで、自分は本作をプレイするまで「究極の選択であることが『キャサリン』のおもしろさなのに、新たなルートを追加したら世界観を壊してしまうのではないか?」と不安な気持ちもありました。

新キャラクターのリン。

ネタバレになってしまうのでストーリーの内容については語れないのですが、リンと結ばれる話はトゥルールートのような形ではなく、あくまでヴィンセントが選ぶ選択肢のひとつとして描かれるのでこれまでのストーリーを否定するようなことはありませんでした。

その内容も、現代では恋愛の形が多様化しており、以前のように二者択一で考えることではないということを伝えるものになっています。「キャサリン」らしくぶっ飛んだ展開にもなるためユーザーさんによっては面を食らってしまうかもしれませんが、あくまで根底には真面目なものがあると感じました。

ほかのふたりと違い、癒し系の魅力を持っています。
過去が描かれるムービーなども新規に収録されており、従来のヒロインにも新たな魅力が。

また、ストーリーだけでなくパズル部分もさまざまな部分が新しくなっています。なかでも注目なのは新たな難易度の「セーフティ(safety)」。この難易度は、時間制限やゲームオーバーがなく罠も発動しないため、誰でも確実にエンディングまで到達できるようになっています。周回プレイもしやすくなったため、本作のマルチエンディングを手軽に楽しめるようになりました。

「歯ごたえがあってこその『キャサリン』だ!」と思うファンもいるかと思いますが、選択の幅が広がるのはいいことではないかと。

オートでゴールまで進めることができるほか、パズルをスキップすることも可能となっています。

もちろんパズル好きのためにやり込める要素も追加されています。まず従来のパズルが楽しめる「スタンダード」モードのほかに複数の石がひとまとまりになった石が登場する「アレンジ」モードが追加されました。プレイするとわかるのですが、アレンジモードはスタンダードとはまったく違う感覚のパズルになっているので、オリジナル版を遊んだ人も新鮮な気持ちでプレイできるようになっています。

大きな石を動かすアレンジモードはスタンダードに比べて難易度が高め。
初見ならスタンダードでプレイしたほうがいいかも?

また、うれしいのはオンラインマルチプレイが実装され、気軽に対戦プレイができるようになったところ! ランクマッチで同じぐらいの強さの人とアツい対戦をしたり、カジュアルマッチやフレンドマッチで空き時間などに軽く遊ぶこともできます。

前作にもパズルのやり込み要素は存在したもののストイックな作りだったので、より手軽なパーティゲームとしても遊べるようになったのはうれしいですね。お互いの姿を消したりする対戦専用のアイテムを使うと盛り上がりますし、知り合いをうまく即死の罠に落として倒せたときなどは思わず笑ってしまいます。

パズルにはさまざまなテクニックが存在するため、パズルのモードを極めていくのも楽しいです。

大人の恋愛ドラマとしても十分おもしろい「キャサリン・フルボディ」。さらにストーリーモードをクリアしてもパズルゲームとして長く遊べる作品になっているので、ぜひ多くの人にプレイしてもらいたいですね。

※画面は開発中のものです。

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