LINEは4月22日、同社オフィスにて「LINE GAME」および「LINE QUICK GAME」の2019年上半期新タイトル発表会を開催した。
発表会ではまず、LINE執行役員 ゲーム事業本部長の奥井麻矢氏から2018年の振り返りが行われた。奥井氏は昨年、大きく2つの領域を攻めたという。1つがネイティブ事業に関することで、新規タイトルの配信や既存タイトルのTVCMなど、運営やマーケティングで既存タイトルを盛り上げる施策を行ってきたとのこと。そしてもうひとつが、ゲームソリューションや「LINE QUICK GAME」の正式オープンを含む、新しい事業展開展開だ。
「LINE GAME」の現状については、31タイトルが運営されていると話す。このうち「LINE GAME」は18タイトル、「LINE QUICK GAME」は13タイトルという内訳になる。「LINE GAME」のアプリ自体は全世界で8億ダウンロードを突破しており、日本では現在も含めて「LINE ディズニーツムツム」がアプリを大きく牽引しているタイトルのようだ。利用者の分布も公開となり、男女比は半々に近いがやや女性寄り、10代と20代で半数以上を占めるといったことも明かされた。
なお、LINEでは「LINE GAME」を展開するにあたり、「シンプルなゲーム体験」「友だちと遊べる仕組み」「パートナー企業との協業」の3つを大事にしているという。これらは引き続き継続して既存領域を強化しつつも、2019年は新しい領域に対しても注力していくと述べる。
続いては「LINE QUICK GAME」のプロデューサーを務める中田陽平氏から、「LINE QUICK GAME」に関する展開が語られた。まずは基本方針として、「LINE QUICK GAME」はメッセンジャー×SNS×HTML5ゲームをコンセプトにしていることが説明された。
「LINE」というプラットフォームがあり、すでにユーザー同士でコミュニティが形成されているところにゲームを展開していくため、友だち同士で遊んだり、紹介されたりといったところでパワーを発揮できているのでは、と手応えを述べていた。実際、友だちからの招待でゲームを始めるユーザーは約80%になるという。
サービス中のタイトル数は少なめだが、「LINE」プラットフォームというクローズドな環境のため、タイトルが多すぎると「どれを遊んでいいか分からない」となってしまうと考えているようだ。そうした状況だと、開発会社にとってもタイトルを提供する価値が感じにくくなることを懸念している。そのため、タイトルの選定は高い継続率が見込めること、友だちと遊ぶことに適しているものを中心に、多彩なジャンルを取りそろえていくようにしているとのこと。
また、クローズドな環境以外に、コンセプトでもあるシンプルなゲームというのは、開発側の視点から見てもメリットがあると話す。昨今のモバイルゲーム市場は開発費が増えてきている一方で、ゲームデザインやマネタイズは、ある種“保証されたもの”が多い。「LINE QUICK GAME」であれば比較的開発費が少なく済むことと、広告収入モデルが採用されていることから、これまでにないゲームにチャレンジする際に向いている環境では、とアピールしていた。
続いては新作タイトルの話題へと移った。すでにニュースとしてもお伝えしているように、配信済みのものを含めて6タイトルが発表されている。会場ではさらに1タイトル追加で、「映画 賭ケグルイ」とのタイアップタイトルが近日公開中であると発表された。これは「LINE」のトーク上で「デュアルクラッシュポーカー」というカードゲームが遊べるもの。
「デュアルクラッシュポーカー」は、4人1組(2人対2人)で対戦となる。全員に1~7とジョーカーの計8枚が配られ、1ターンずつ好きなカードを1枚場に出していく。そして1番数字の大きいカードを出したプレイヤーが勝利となり、チームでより多くの勝利を目指すのが目的となる。
ルールのポイントとなるのは、同じ数字が場に出た場合は“バッティング”で無効扱いとなり、残りの数字で優劣を決めるところ。例えば「7」が2枚、残りが「2」と「1」なら「2」を出した人が勝利だ。バッティングは3枚でも同様の判定となるため、「7」が3枚、「1」が1枚なら「1」を出した人の勝利となる。同じ数字が4枚揃ったり、同じ数字2つが2組できてすべてがバッティングの場合は引き分けとなる。
また、ジョーカーは場に出たカードを見てから1~7の数字を自由に決められる。そのため、単純に「7」という強い数字を選ぶだけでなく、場に「7」が2枚、「5」が1枚出ていたら「6」を宣言することで勝利できる。場に「7」が2枚、「6」が1枚の場合は自身が勝利することはできないが、「6」を出しているのが味方なら「7」を宣言して味方を勝たせることができるし、逆に敵が「6」なら同じ「6」を宣言して引き分けに持ち込むなど、状況に合わせた使い方が重要になってくる。
なお、ゲームは先述の通り「LINE」のトーク上で行われる。5人以上が参加している場合、ゲームをプレイしないメンバーも状況を観戦でき、従来のトークと同じようにメッセージを送って応援したりすることも可能となっている。
次いでLINEのゲーム事業1部 副事業部長の佐々木章子氏よりゲームソリューション展開の発表も行われた。このゲームソリューション事業は、主に他社タイトルにLINE連携の機能を導入してもらうというもの。
近年はゲーム内におけるコミュニティが重要になっているため、そこにアプローチする取り組みというわけだ。開発会社側としては、「LINE GAME」のSDK(ソフトウェア開発キット)を導入し、ランキング機能やゲームへの招待など、希望の機能を取り入れていく仕組みとなる。
今は新規ユーザーの流入を促すだけでなく、ゲームを始めた人がどれだけ続けてくれるかという継続率も重要だ。ユーザー同士のコミュニケーションが活発だと継続率が高い傾向にあるため、もともと友だちとつながっている「LINE」はソーシャルゲームと親和性が高いと考えられている。このゲームソリューションの展開も身を結び、「荒野行動」をはじめ、直近でも「ディズニー ツムツムランド」と「ブロスタ」での導入も始まっていることを明かした。
最後に「LINE GAME」の2019年上半期の新作タイトルが発表となった。すでに配信済みの「LINE ブラウンストーリーズ」と「LINE ディズニートイカンパニー」に加え、4つのタイトルが控えている。まず1つ目は2019年5月末に全世界に向けて配信予定の「LINE シェフ」だ。本作はブラウンを立派なシェフへと成長させていく料理ゲームで、不二家のペコちゃんとのコラボレーションも決定している。ゲーム内にペコちゃんがお客さんとして登場するほか、ペコちゃんグッズが当たるキャンペーン、コラボ限定LINEスタンプの配信といった施策が予定されている。
2タイトル目には、「LINE FRIENDS」とBTSのコラボによって誕生したBT21のゲーム「LINE ハローBT21」がある。このタイトルはかわいいキャラクターと親密度を深めてコミュニケーションが楽しめる箱庭+パズルゲームとなっており、209年6月下旬にグローバルで配信予定だ。
3タイトル目は、「LINE GAME」では初となる本格マルチ対戦ゲームの「LINE ゴッダマゼイヤー」。本作は16人対16人のリアルタイムバトルが楽しめるアクションゲームで、配信は2019年夏の予定。ジャンルが対戦ということで、友だちと一緒に遊ぶという面でハードルの高さがあるように思えるが、友だちを招待した場合は4人1組で参戦できるため、連携を取りやすいよう友だち同士で参戦してもらう遊び方を想定しているとのこと。このタイトルによって、新たなユーザー層にアプローチしていきたいとしていた。
そして最後に発表となったのは、「ドラえもん」のゲームだ。ゲーム内容についてはまだ公開できないとのことだったが、ドラえもんだけでなくのび太やしずかちゃんが登場すること、本作のために描かれたデザインが使用されていることが明かされた。開発・運営についてはドラえもん、LINE GAME、kakaogamesの三社で行っていくという。配信についても2019年上半期ではなく、2019年度中の予定となっているので、気長に続報を待とう。