FgGが贈る「誰ガ為のアルケミスト」のアニメーション映画「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」が6月14日に公開される。その公開に先駆けて、アニメーション制作を担当するサテライトのスタジオを取材する機会を得た。

全世界で900万DLを突破した本格タクティクスRPG「誰ガ為のアルケミスト」。「マクロス」シリーズや「アクエリオン」シリーズで知られる河森正治氏がオープニングアニメーション監督として参加したことは、リリース当時の大きなトピックスの一つだった。

ゲームのリリースから3年以上の月日を経て、河森氏が総監督を務める自身の40周年記念作品として、アニメーション映画化が発表。河森氏といえばこれまで数多くのオリジナル作品が印象的だが、ゲーム原作の映画化はなんと自身初になるという。

舞台となるのは、光と闇が均衡を失い、“闇の魔人”が力を増幅させるようになったバベル大陸。キャラクター描写の緻密さと重厚なストーリーが多くのファンに支持されるエピソード「バベル戦記」から数年後の世界で、劇場版オリジナルヒロインのカスミ(CV:水瀬いのり)がゲームに登場する人気キャラクターとともに繰り広げる、壮大な冒険譚が描かれる。

今作のストーリー構成は河森氏自らが担当している。つまり、ゲームを原作としながらもゲームとは異なるアプローチで描かれる、オリジナル要素の色濃い作品に仕上がっている。それはすでに公開中の予告編からも窺い知ることができるだろう。

今作のアニメーション制作を担当するのは、河森氏とともに数々の作品を手がけてきたサテライト。その制作の様子をメディアが見学できる機会が設けられたので、まずは写真とともに紹介していく。

エントランスやスタジオ内などで、サテライトがこれまで携わってきた作品のアイテムなどが並ぶ。
3DCGの制作を行うスタジオでは、河森氏らが入念に制作中の3DCGを確認していた。
河森氏の作業スペースの扉前。
同氏が関わっている作品にちなんだ貼りものが印象的だ。
編集室の様子。実際は河森氏達とともに作業を行っていくそう。
作画を行う制作スタジオは本社とは別の場所に設けられている。
キャラクターデザイン・総作画監督の嘉手苅睦氏のデスク。
サブキャラクターデザインの戸谷賢都氏のデスク。
監督の高橋正典氏のデスク。
色彩設定も同スタジオ内で行われていた。

さらに今回は総監督の河森氏、そして監督の高橋正典氏に囲み取材の形式で、わずかな時間ではあるもののインタビューする機会を得ることができた。そちらもぜひチェックしてもらえればと思う。

(左から)河森正治氏、高橋正典氏

――まずは「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」について簡単にご紹介いただいてもよろしいでしょうか?

河森氏:「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」は、「誰ガ為のアルケミスト」(以下、タガタメ)というゲームを元にしている作品なのですが、いくつもの世界があり、章ごとに主人公も変わるというかなり作り込まれたゲームなので、どこを切って映画にしようかというのはすごく考えました。

どこを切ったとしてもほかの章のキャラクターが出にくかったりするという側面もあるので、ゲームのエピソードが完結した後の話という想定で作っています。ゲームユーザーの中にはすごくやりこんでいる方もいると思います。これに対して映画自体は広くゲームを知らない方にも見てほしいという点から、エピソードとしては現実の世界にいる高校生の女の子が、「タガタメ」の世界に召喚されて、戦士たちとともに危機を救うという全く新しいストーリーになっています。

元々、舞台となるバベル大陸は、錬金術や魔法が使える世界です。強大な敵によってその力を奪われてしまい、何とかするためには最強の錬金術師を喚ばなければいけないと召喚術を使ったところ、異世界から錬金術の能力がない普通の女の子が来てしまい、戸惑うところが大きな筋になっています。

――これまでオリジナル作品しかやってこなかった河森さんが、ゲーム原作の作品をやられた理由はあるのでしょうか?

河森氏:オリジナル作品しかやらないというわけではなく、メディアが変わるので、「結構変わっちゃいますよ?」と言うんです。ところが、「どんなに変えてもいいからやってください」と言われても、シナリオかコンテの段階で「こんなに変えるとは思わなかった」と言われたこともあります(笑)。

今回の場合はゲームの開発が始まってから間もない頃、ゲーム版のオープニングの絵コンテやディレクションを担当する際に、今泉プロデューサー(ゲーム版のプロデューサーを務める今泉潤氏)をはじめとしたgumiのスタッフの方々とミーティングをしていて、そこでコンテ用に考えたプランもゲームに反映していただいた経緯があったので、全くのゼロからではなかったことが一つあります。

また、こちらが提案したプランに対していろいろと検討された結果、それならば「タガタメ」の世界をちゃんと表しながら、一つの独立した映画として作れるんじゃないかと承認いただけたことで、今回の映画化が実現しました。最初はどうなるかと思ったのですが(笑)。ゲーム自体がすごく懐深く、たくさんの世界があるということも含めてチャレンジできたなと思っています。

元々このゲームの世界観の中でも扱われている「錬金術」については興味がありました。ただ錬金術をテーマにした作品がほかに無いわけではないので、自分自身がオリジナルにこだわりが強いこともあって、自分から先には立ち上げられなかったんですよ(笑)。でもせっかくバベル大陸という魅力的な世界があるし、自分が関わっていたこともあるので、この世界をお借りするとタガタメとしての面白さと自分のやりたいことを合体できるのではないかと思ったのも理由としてあります。

高橋氏:オリジナルという話になりますと、原作の今泉プロデューサーらgumiのスタッフのみなさんも、なるべく河森さんの世界観を大切にしてくれて、ゲームの世界と河森さんの作り上げる世界を上手く融合していけるように意見やアイデアを取り入れてくださっているので、ゲームとは違うかたちになっていても、ゲームと離れすぎることのない作品作りにはなっていると思います。調和していくところの調整部分でも、作っていく上で世界観として面白い形になっているかなと。

河森氏:そういう意味では、元々あったバベル大陸の世界に、近くにはいるけれどちょっと離れたポジションの自分が入っていくという構造そのものが、2つの世界が1つになっていくプロセスを描くのにちょうど上手くハマったと思います。

高橋氏:現実世界から異世界に召喚されるカスミという主人公そのものが、河森さんをはじめとしたアニメ側のスタッフに投影できるのかなと思っています。

河森氏:外から視点が入ることで、知っている人が見れば「あ、この人が出てきたんだ」といったように楽しんでもらえると思いますし、知らない人が見てもあくまでもその世界の強い戦士が現れたと思えるような作りができたんじゃないかなとは感じています。

――本作における河森さんと高橋さんの役割分担についてお聞かせください。

高橋氏:企画段階では河森さんが進められていて、本読みの途中から自分が参加させていただきました。本読みとコンテの一部に関わっていますが、基本的に河森さんに監修をいただいています。そこから演出・美術・撮影の打ち合わせには河森さんにも出席いただいて、そこから紙での実作業となると自分をメインに進めて、ところどころで河森さんにも確認いただいています。メカなどの3DCG部分については河森さんと一緒にガッツリと関わっています。

河森氏:自分のほうは主にプランニングから始まり、「マクロスΔ」などでも一緒にやっている脚本の根本さん(根元歳三氏)とともにストーリーを構成。そこからどういう風に活躍するのかといった絵コンテのプランニングが大きなところで、そこから大枠を美術監督、撮影監督、作画監督と打ち合わせした後の現場は高橋監督にお任せして、現場全体を仕切っていただいています。その後のアフレコやダビングに関しては一緒に出て、お互いカバーしながらやっていくというかたちです。

――ゲームでは“人々の意志は、神々の石に翻弄される”というテーマがあるかと思いますが、河森さんと高橋さんご自身が「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」に込められた想いやテーマはありますでしょうか?

高橋氏:ゲームとしての「誰ガ為のアルケミスト」の中で一つのキーになる“幻影兵”(ファントム:召喚される過去の偉人たち)については、メインテーマではないものの、カスミが召喚されることによってゲーム側としても深く掘り下げることになるのかなと思います。実際、ゲームでは“幻影兵”がどういうものなのか深く掘り下げられてはいなかったので、そこを取り扱うちょうど良い機会になりました。

河森氏:錬金術についても、スキルとしての錬金術というよりは、錬金術が持つもう一つの側面である心や魂の錬金術、人間が成長するときに必ず通るであろう段階みたいなものは深層のテーマとして考えています。また、ゲームでも各章ごとのキャラクターの個性をすごく考えて作られているので、一人ひとりの個性ってなんだろう、自分の個性の活かし方ってなんだろう、みたいなところや、ヒロインであるカスミを含めた感情の変化はすごく描いてみたかったところですね。

――3DCGの監修をされていた際に河森さんが「ファンタジーだからこういう表現もいいよね」と仰っていましたが、お二人がこの世界観だからこそチャレンジできたメカの挙動や演出のアプローチについてお聞かせください。

河森氏:自分の場合ですとファンタジーとしては「天空のエスカフローネ」以来になるわけですが、ミリタリー系のロボットだとどうしても空気抵抗の問題やどうやって弾を避けるのか、レーダーがあるのかといった現実に近い戦いがベースになるのですが、ファンタジーですと等身大の人間と巨大な敵みたいな構造が取りやすいので、描いていて楽しいんですよね。描く上で感情を表に出していくようなアクションが自分としては魅力的に感じたところです。

高橋氏:説得力のある画面を出すにはリアリティがあった上で動きを作っていくというのはありますが、それ以外ではそれこそ空中を自由に飛んでみたりと、自由度を高く作れるのがファンタジーの魅力だと思っています。メカに関しては河森さんが動きや形態に対する素晴らしいアイデアを出していただいているので、自分はそこをさらにブラッシュアップするような感じで進めさせていただいています。

河森氏:「マクロス」をずっとやってもらっているチームのメンバーが多く参加しているので、リアリティを踏まえた上でファンタジーだったらよりデフォルメして見せられるみたいな感覚はベースにあります。

――どういう主人公にするかが今作では大事だったと思うんですが、カスミというキャラクターを作り上げる上で意識した点と、実際の画面作りでどういう部分を気にして画にされているかをお聞かせください。

河森氏:自分でファンタジー系の企画を一つ考えていた時期があって、その時にイメージしていたヒロインの像に結構近いです。知らない世界に行って活躍するヒロイン像を描きたかったのですが、その両方をオリジナルで展開するのが難しい時にこの話を伺って、こういうプランがあると今泉プロデューサーをはじめとしたgumiのスタッフに提案しました。今回の映画用にアレンジした部分もありますが、そのアイデアがベースになっています。

自分たちの時代ではやるなと言われても勝手にやる人たちが多かったものの、一時期からこういうことをやったほうが良いと言われることをやる時代になり、最近ではやってもいいよとよほど言ってあげないとやろうとしない人たちも増えてきている。もちろんそうではない人たちもたくさんいるのであくまでも大枠ですけれども。

SNSが流行って空気を読めと言われ続けているこの社会で、思いっきり自分を表現することが難しくなっているのかなと。表現媒体がこんなにたくさんあるにも関わらず、まずどう見られるのかを意識してから表現しなきゃいけないみたいな時代で生きていて、もし自分を出し切れていない子がいるとしたらどうなんだろうというのはカスミを生み出す上ですごく考えたところですね。だからといって根暗なわけでもないし、すごくマイナーに閉じこもっているわけではない、そのあたりを目指したいなと思っていました。

高橋氏:今考えられる若い子はどんな子だろうというのを基本的には考えているのですが、ただそれで引っ込み思案な子供というわけではなくて、一見大人しいけれど、自分の興味のあるものに関してはむしろグイグイ行くというような一面も覗かせているキャラクターになっています。現実世界における家でのお母さんとの会話シーンでは基本的には大人しく、親に言われたことを聞いているのですが、それとは対照的に、バベル大陸ではカスミのキャラクターとしての成長を、その世界の中で描けていけたらなという気持ちです。そのあたりのカスミの表情もメリハリはつけていて、興味のあることについては表情も豊かにやらせていただいています。

――普段からゲームを遊ばれているユーザーの方々にこそ見てほしいポイントはありますか?

高橋氏:分かりやすい点としては、ゲームの中で幻影兵として人気の高いキャラクターが多数出てきます。予告編に出てくるザインやセツナはもちろん、そのほかにも数キャラ出てくるので、ゲームを遊んでいる方には喜んでいただけるのではないかと思います。

河森氏:スマートフォンゲームは長い時間プレイできるものの画面は小さいので、大きな画面で縦横無尽に活躍する様を見ていただけたらいいなと思います。あとはゲームよりは少し後の世界になっているので、エドガーをはじめとした今まで馴染んできた登場人物たちが、ゲームよりも少し性格が変わって見えるかもしれない部分も含めて、楽しんでいただければいいかなと思います。ただ、やはりみんなが活躍するシーンは燃えますね。原作であるgumiのスタッフの方々もラッシュを見て盛り上がってくださっているので、その感覚は伝わるんじゃないかなと思います。

誰ガ為のアルケミスト

gumi

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  • 配信日:2016年1月28日
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    • 配信日:2016年1月28日
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