イチオシのギャルゲーを大ボリュームで紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。第45回はプロトタイプより2019年6月20日に発売された「Summer Pockets」の魅力をお届け!
目次
三度の飯よりギャルゲーが大好きな私が己の煩悩の赴くまま旬のイチオシゲームを紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。今回はプロトタイプさんより発売中の「Summer Pockets」(サマーポケッツ)を紹介しますよ!
「Summer Pockets」は、「CLANNAD」「リトルバスターズ!」「Rewrite」など数々の名作を世に送り出してきた、ビジュアルアーツのゲームブランド「Key」による恋愛アドベンチャーゲーム。都会の喧騒から離れたのどかな島を舞台に、ヒロインや仲間達との夏休みのひと時が描かれます。
個人的なKey作品との出会いは「AIR」でしたが、当時はその夏らしさを感じさせる表現の数々が印象的で、十数年が過ぎた今でも心に残る作品になっています。「Summer Pockets」も同じく夏を舞台にしているということで、PC版が発売された当時からとても楽しみにしていました。
実際にプレイしてみたところ、ノスタルジーに浸れる描写の数々がとても素晴らしく、「AIR」とは違う意味で、夏にプレイすることをオススメしたい一作になっていました。まずは本作のあらすじや舞台、キャラクターを紹介しつつ、筆者によるプレイインプレッションをお届けしたいと思います。
物語
主人公の鷹原羽依里は、亡くなった祖母の遺品整理のために夏休みを利用して一人で鳥白島にやってきた。
一日数本しかない連絡船を下りたとき、一人の少女と出会う。彼女は潮風に髪を遊ばせながら、遠くを……海とも空とも言えない境界線をただ眺めていた。
気がつけば少女はどこかへ行ってしまい、羽依里は狐に摘まれた気分になりながら、祖母宅へ向かう。そこではすでに親戚の叔母がいて、遺品整理を行っていた。
祖母の思い出の品の片付けを手伝いながら、初めて触れる「島の生活」に戸惑いつつも、順応していく。都会暮らしでは知ることの無かった自然とのふれ合い。忘れていた懐かしい何かを、思い出させてくれるような、そんな生活だった。
海を見つめる少女と出会った。
不思議な蝶を探す少女と出会った。
思い出と海賊船を探す少女と出会った。
静かな灯台で暮らす少女と出会った。
島で新しい仲間が出来た──
この夏休みが終わらなければいいのにと、そう思った。
舞台
鳥白島(とりしろじま)
人口二千人程の離島。信号機はなく、コンビニも22時で閉まるものが1軒あるのみ。電気は普通に通っている。上下水道も近年整備されたが、井戸は現役で使われている。ネットに関しては固定電話回線を介して、ISDNレベルが通っているレベル。高速光通信なにそれ?な区域。都会では姿を消しつつある、公衆電話が残っている。村の中の電柱の上にはメガホンスピーカーが設置されていて、防災放送などが流れる。
島には中学までしかなく、高校に通う場合は連絡船に乗って、1時間くらいかけて町にでる。観光の1つとして、海の灯籠祭がある。
登場人物
鷹原 羽依里 Takahara Hairi
「さしずめ俺は……傷ついた渡り鳥といったところか」
主人公。夏休み、亡くなった祖母の遺品整理の為に、鳥白島にやってきた。かつて水泳に取り組んでいたけれど、ある事情から泳ぐことから距離を置いてしまう。そのせいで、素行が乱れてしまい、学校でも腫れ物扱いとなる。そんな都会から逃げるように、夏休みを、自分の事を知らない場所で過ごすことに。
性格はマイペースで、つかみ所がない。あまり自分の内側を見せないきらいがある。通っていた学校が男子校の為、女の子に対してあまり免疫がない。その反面、どうすればモテるかなどの研究を、同級生たちと熱く語っていたりした。
鳴瀬 しろは Naruse Shiroha CV:小原 好美
夏休みを忘れた少女
スリーサイズ:B 81/W 56/H 83
好物:スイカバー
「私にあまりかまわないほうがいいよ」
クールで、人見知りをする島の少女。親しいのは肉親である祖父ぐらいで、島では孤立している。一人でいる期間が長かったせいで人との付き合い方がわからず、時に人の心を考えないことを言ってしまうこともある。島の外れなどで海を眺めていることが多い。
空門 蒼 Sorakado Ao CV:高森 奈津美
島の伝承を追う少女
スリーサイズ:B 85/W 59/H 86
好物:かき氷
「とにかく、あたしが寝てても放っておいて」
男女分け隔て無く友達感覚で接してくる島の少女。島の駄菓子屋でアルバイトをしていて、老若男女問わず慕われている。野生のキツネ(?)を連れている。よく島のいろいろな場所で眠っている姿を見るが、島民には日常茶飯事らしい。
久島 鴎 Kushima Kamome CV:嶺内 ともみ
海賊船を探すお嬢様
スリーサイズ:B 86/W 56/H 85
好物:三角形の秘密を持ったお菓子
「行くよ。もう一度、海賊船のある場所まで」
島で出会った不思議な少女。いつでも大きなスーツケースを引いている。中に何が入っているのかは絶対教えてくれない。この島には主人公と同じくこの夏だけ滞在する。何か探しものがある様で、手には古ぼけた地図を持って島をさまよっている。その地図については「宝の地図なんだよ」と彼女は言う。
紬 ヴェンダース Tsumugi Wenders CV:岩井 映美里
自分探しの少女
スリーサイズ:B 78/W 56/H 80
好物:わたあめ
「探し物です。やりたいことを探しています」
島の灯台の近くに現れる少女。真面目で素直なドイツ系ハーフで、夏休みを利用して「やりたいこと探し」をしている。海に流れ着いたゴミなどを掃除しては、まだ使える物を見つけ大事にする。困ったことや、言葉に詰まると「むぎゅ」と呻く。異国の古い歌をよく口ずさんでいる。
三谷 良一 Mitani Ryoichi CV:熊谷 健太郎
島に住んでいる少年。いつでも、どこでも服を脱ぎたがる傾向がある。山の中にある資材置きだった倉庫を改造して、秘密基地にしている。同世代の仲間の溜まり場となっている。
加納 天善 Kano Tenzen CV:浜田 洋平
島に住んでいる少年、その2。真面目でクールな外見だけれど、卓球に全てを捧げすぎていて、いろいろと言動行動がおかしい。良一と一緒に作った山の中の秘密基地に卓球台を持ち込み、日々トレーニングに励んでいる。
野村 美希 Nomura Miki CV:一宮 朔
スリーサイズ:B 80/W 55/H 80
島に住んでいる少女。鳥白島少年団の治安維持執行部に所属していて、島の風紀を日々守る。島内にある放送塔の放送も担当していて、塔の上からも治安を監視している。自分用に改造した水鉄砲「ハイドログラディエーター改」で風紀を乱した者を容赦なく撃つ。
水織 静久 Mizuori Shizuku CV:小山 さほみ
スリーサイズ:B 98/W 64/H 88
本土にある、島に住むヒロインたちが通う学校の生徒会長。夏休みは、紬に会いに島にやってきている。おっぱいに対して並々ならない愛情と敬意を持っている。女の子が好きなわけではなく、純粋におっぱいが好きなだけ。
加藤 うみ Kato Umi CV:田中 あいみ
親戚の子で、又従兄弟にあたる少女。ずっと都会に住んでいて田舎暮らしにあこがれていたので、この夏、単身で島にやってきた。夏の間、主人公の食事の世話などをしてくれる子でもある。得意料理はチャーハンで、チャーハンに並々ならぬ情熱を持っている。
岬 鏡子 Misaki Kyoko CV:高本 めぐみ
スリーサイズ:B 82/W 60/H 86
主人公、鷹原羽依里の実母の妹で、叔母にあたる女性。鳥白島に一人住んでいた加藤のばあさんとは、古物蒐集でつながっていた。加藤家の蔵に眠っている大量の古物を、時に鼻息を荒くしながら整理している。考古学をたしなんでいたこともあり、古い文学などを訳すことが出来る。
鳴瀬 小鳩 Naruse Kobato CV:白石 稔
鳴瀬しろはの祖父。鳴瀬翁と呼ばれることも。体中に歴戦の傷が刻まれている。一番痛かったのは、婆さんの攻撃。鳥白島に伝わる「水中格闘技」の熟練者でもある。
イナリ Inari CV:鈴木 このみ
鳥白島にいる野生の狐(?)。空門蒼とよく一緒にいるところが見られる。動物(?)だけれど、人の言葉を理解しているふしもある。空気を読める、出来る子。「ポン」と鳴く。
プレイインプレッションをお届け!
本作の物語は、主人公の羽依里が、亡くなった祖母の遺品整理のために連絡船で鳥白島にやってくるところから始まります。そこで4人のヒロインをはじめとした、島に暮らす人々と交流を重ねていきます。とある出来事をきっかけに、逃げるようにやってきた彼ですが、都会の暮らしとは違う島の生活に馴染んでいき、そこで各ヒロインとのドラマが描かれることになるのです。
いわゆるラブストーリーなテイストではなく、そこはさすがのKeyさんということで、会話の端々にはちょっとした笑いどころも盛り込まれていて、読みやすいテキストになっています。また、羽依里とヒロインだけの関係性に終止するのではなく、島での暮らしをしっかりと表現する上で、マップ移動はすごく合っているなと思いました。
そして個人的に触れておきたいのが、ノスタルジーに浸れる本作ならではの時間の過ごし方です。私もお盆の季節などに田舎に帰省して過ごした時間がすごく印象に残っていますが、わずかな期間でありながらも、その一瞬一瞬がすごく鮮明に残っています。また、島ならではの風習もいくつかあり、ストーリーにも関わってきます。そんな空気をまとわせる描写の数々をぜひ味わってもらえればと思います。
ネタバレになってしまう箇所を避けて触れるのが難しいところですので、各ルートについてはここでは触れないでおきますが、それぞれ独特な魅力を持つ、ヒロインごとの印象について簡単に紹介していきます。
しろはは最初こそとっつきづらい印象を受けますが、交流を深めていく中で徐々に打ち解けていき、等身大の女の子らしい部分がたくさん見えてきます。そんな彼女が人と距離を置くようになったのには何やら理由があるようで…。
蒼は島の駄菓子屋でアルバイトをしている、気さくな感じで接してくる女の子ですが、いろんな場所でよく眠っていたり、むっつりスケベな一面があったりと、リアクションも見どころの一つ。また、蒼とよく一緒にいる野生の狐(?)、イナリにも注目です。
羽依里と同じタイミングで島にやってきた鴎は、いつも大きなスーツケースを引いている、少し不思議な少女。島では何やら探しものをしているようで、羽依里に協力をお願いしてきます。彼女自身は子供の頃の約束を果たそうとしているようで、そこがストーリーのキーにもなってきそうです。
島の灯台の近くでよく出会う少女・紬は、夏休みに合わせて自分のやりたいことを探しているようですが、そのための発想の飛躍もすさまじく、周囲とのやり取りも独特です。また、ところどころで出てくる“むぎゅ”という口癖も可愛らしいです。
そのほかにもなぜか服を脱ぎたがる良一、卓球に全てを捧げている天善、島の風紀を日々守っている美希、おっぱいがとにかく好きな静久といった、何をどう説明していいのかよくわからない面々が登場します。また、羽依里の親戚で、チャーハンを毎日作ってくれる少女・うみとの軽妙な掛け合いも楽しいです。
最後にKeyのゲームではおなじみのミニゲームと、Switch版ならではの操作性についても触れておこうと思います。
今作で収録されているミニゲームは、「卓球」と「島モン ファイト」の2つ。どちらもプレイせずともゲーム進行には影響しないのですが、そのプレイ内容に応じてレコードも記録されるので、やり込みたいという人にはオススメです!(筆者も卓球をひたすら遊んでしまっていました)
また、プロトタイプさんのSwitchタイトルをプレイするのは今回が初めてでしたが、元々システム周りに定評のあるメーカーということで、早送り&早戻し機能は当然として、既読の選択肢へのジャンプ、ロード地点からの巻き戻し、バックログで選択したメッセージからの再開と、あらゆるケースを想定した充実度となっています。
さらに、本作に関してはJoy-Conをセットした携帯モードでのプレイが主流になると思いますが、タッチスクリーンでの操作にもフル対応しているため、仮にJoy-Conを外した状態でもプレイ可能になっているのが面白いです。実際、試してみてもタッチ操作とテキストアドベンチャーとの相性の良さを感じました。
そのほか、テーブルモード、TVモード時にはJoy-Con1つで全ての操作を行うこともできるなど、こちらもあらゆるプレイシーンに対応しているのはさすがの一言です。
第45回、いかがだったでしょうか。個人的には作中に漂う、主人公とヒロインたちの瑞々しさを伝えられればと思いつつ、ゲームとしてもルートをクリアするとタイトル画面が変化するなど、最後の最後までプレイをしたいなと思わせる仕掛けにも注目してもらいたいです。
また、鈴木このみさんが歌うオープニングテーマ「アルカテイル」も素敵な楽曲なので、オープニングムービーから興味を持っていただくのも良いかと思います。
ということで、今回はここまで。次回は夏の終わりぐらいを目指してお届けしたいと思います!
(C)2019 Key/VISUAL ARTS/PROTOTYPE
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