2019年7月17日、「Fate/stay night」初のボードゲーム「Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-」のメディア向け先行体験会がディライトワークスのオフィスにて開催された。
ここでは宣伝担当の髙嶋啓明氏や本ボードゲームのゲームデザインを手がけたアナログゲーム制作団体「BakaFire Party」代表のBakaFire氏の語る魅力や、実際に筆者が本ボードゲームをプレイした感想をお届けする。
「Fate/stay night」の優れた舞台装置をボードゲームで再現
髙嶋氏は、本ボードゲームについて真名隠匿やバトルロイヤルといった「Fate/stay night」ならではの要素が盛り込まれ、盤上で「Fate/stay night」の世界観が楽しめること、そして全7人のマスターと全9騎のサーヴァントがそれぞれ原作に合わせた設定やスキルを持っていることを説明。遠坂凛であれば宝石を用いた宝石魔術という能力を持っていてターン中に追加行動ができ、間桐桜であれば終盤に条件を満たすことで強力な技を使うのに必要な魔力が無限になるなど、ボードゲーム上で各キャラクターの能力が再現されていると語った。
また、本作独自の魅力として原作とは違う“IF”があることをアピール。組み合わせによって変わる戦略性はもちろん、ファンがストーリーや設定の妄想を広げることができることもポイントであるという。真名を明かすことで強力な技が使えるようになるが、他のプレイヤーに能力がバレてしまうため、入念な戦略が必要。真名を明かして戦うのか明かさずに戦うのかはプレイヤー次第で、多彩な戦い方ができるという。
続いて、BakaFire氏より語られた、本作における4つのこだわりポイントについてお伝えする。
ひとつめは「聖杯戦争」の再現。BakaFire氏は聖杯戦争について、必ずしも決闘のような形で戦う必要がない、バトルロイヤルでの戦いが魅力であると語り、原作をプレイしたときにその優れた舞台装置に惹かれたそうだ。そのため、「Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-」も戦い以外の部分でプレイヤーが思考する部分が生まれるようにデザインされている。
具体的には手札が揃っていないときや状況が不利だというときは魔術工房に籠もって次の戦いの準備をすることが可能だったり、偵察に回ってほかのマスターやサーヴァントの情報を得て少量の戦果を得たりと、自分が有利になるまで戦わないことも最終的な勝利のためには必要であるという。
続いてのポイントは「if」。前でも髙嶋氏が述べたが「Fate/stay night」の“if”が楽しめるのが本ボードゲームの特徴で、マスターとサーヴァントの組み合わせによって毎回異なるドラマが生まれるのが見どころ。BakaFire氏は原作に収録された3つのストーリーも最高だが、すべてを読み終えたときにほかの展開を妄想できるような余白を残しているところも素晴らしいと絶賛。そこで「Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-」でも原作とは別のペアによる戦いを楽しめるようにしたという。
たとえば士郎とアーチャーで組んだ場合、士郎は未熟なマスターなのでアーチャーの宝具である「無限の剣製」を撃つまでの準備が大変だが、後半になると士郎自身も投影魔術で戦えるようになるので、ふたりで敵無しの状態に。そのため物語のなかで成長する主人公のような戦い方ができるという。
また、桜とセイバーのコンビの場合も説明。桜は最初に兄の慎二で登場し、慎二が倒されると桜が登場するような仕組みになっている。慎二は魔力を溜めやすいキャラクターなので序盤は彼で魔力を溜め、桜に交代したらセイバーの宝具であるエクスカリバーを連発するような戦い方ができると説明した。
3つめのポイントは「真名隠匿」だ。もともとボードゲームには正体を隠匿するタイプの作品があり、これらは最後まで正体を隠すものが多いというが、この作品は正体を格好良く明かすのが見どころだという。
BakaFire氏が原作の「Fate/stay night」をプレイしたときに各サーヴァントの真名が明らかになった瞬間にとてもワクワクしたため、ボードゲームでも再現したかったとのことだ。また、真名を隠しながら暗躍すること、真名を明かして全力で戦うこと、本ボードゲームではどちらにも魅力があることを伝えた。
最後の4つめは「BakaFireらしさ」。BakaFire氏はボードゲームの壮大さにこだわっており、プレイヤーがワンプレイを終えたときに「壮大な世界の入り口に立ってしまった」と思わせるようなゲーム作りを目指しているという。氏の代表作である「桜降る世に決闘を」ではメガミの組み合わせによって多彩な戦略があったり、「惨劇 RoopeR」は世界をループすることによって新たな情報を得たりするといったゲーム性が存在したが、「Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-」でも一度プレイしただけでは物語のひとつのルートを体験したに過ぎず、何度もプレイすることで奥深さが伝わるような内容になっていることを解説した。
ドラマチックな展開を自分自身の手で作り出せるのが楽しい!
ここからはゲームをプレイした感想をお届けしよう。詳しいルールは公式サイトを参考にしてもらいたいが、簡潔に説明するとゲームは最終的に「戦果」をより集めたプレイヤーが勝利。ゲームは4つのフェイズからなり、「準備フェイズ」ではそのラウンドの戦況が決まり、「前哨フェイズ」でその戦況からどのエリアへ向かうか各プレイヤーが決める。「行動フェイズ」では冬木の町を移動して戦闘の準備をおこない、「戦闘フェイズ」で勝者が決定。各プレイヤーが得られる戦果の数が決まるという流れだ。
準備フェイズでは、そのラウンド中にどの属性が強化されるのかといった内容が記載されたシチュエーションカードと、戦闘で勝利することで得られる戦果などが書かれたイベントカードがめくられる。このとき自分が有利だと思えば戦場に赴けばいいし、勝てそうに無ければ魔術工房に行って強力な宝具を使うための魔術を溜めにいってもいい。
毎ラウンドの勝利ではなく、最終的な勝利を目指して戦略を練るのが本作の醍醐味だ。スタッフの説明によるとプレイヤー同士で結託するのも問題ないそうなので、バトルロイヤルを勝ち抜くために、ほかのプレイヤーといっしょにお互いに戦果を得る方法を探るのもいいかもしれない。
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| 各マップに早く着いたプレイヤーほど、その土地でのボーナス「地の利」を多く得ることができるが、 手番が早いプレイヤーのほうが先に戦闘でのパワーを決める必要があるので、 後者のほうがじっくり戦略を練ることができるようになっている。 |
また、ゲームは全10ラウンドで決着が付くが、8ラウンド目から最下位のメンバーたちが脱落。最終的に上位ふたりの決闘となる。そのため、毎回戦闘を避け続けるわけにもいかず、後半ではお互いに絶対に引くことができない戦いに発展することも多い。その点もプレイしていて熱く、物語性を感じるポイントとなっている。
また、物語性という意味ではマスターやサーヴァントの能力もおもしろい。今回、筆者マスターには衛宮士郎を選び、サーヴァントはアサシンを引いてプレイしたが、衛宮士郎は原作の主人公という設定により第8ラウンドの順位が低くてもゲームから脱落することがない。
そのため、今回、プレイしたときは自分が足切りを免れ、代わりに後半で驚異的な力を発揮する間桐桜を使用していたプレイヤーを蹴落とすことができた。その展開を予想していなかった桜のプレイヤーが思わず「先輩~ッ!」と恨めしそうに叫んだときは、プレイしている卓から笑いが起きた。
アサシンに関しては「一の太刀」「二の太刀」「三の太刀」という宝具があり、この三枚を同時に使うことで「燕返し」が発動して威力を上げることが出来る。宝具には大量の魔力を必要とするため連続使用はできないが、そんなときに役立つのが令呪。1回のゲームで3度だけ使用できる令呪には魔力を上昇させるものもあり、これを組み合わせれば宝具も使用しやすくなる。
そのため、強力な相手をマスターとサーヴァントのふたりの力で倒すという原作の追体験が可能。ドラマチックな展開を自分自身の手で作り上げることができる。ちなみに自分がクライマックスのここぞというタイミングで放った渾身の「燕返し」は、凛の「ガンド」によるすさまじい量の魔力供給と真名を明かしたセイバーの放つ強力な「約束された勝利の剣」の組み合わせの前に散っていった。マスターとサーヴァントの組み合わせごとに多彩な切り札が用意されていることを文字通り身をもって体感することができた。
今回は5人で最後までプレイしたところ2時間強での決着となった。普段ボードゲームをプレイしない人には長く感じるかもしれないが、終始楽しく遊ぶことが出来た。また、ゲームを終えたあと、ぜひ別の組み合わせでも対戦したくなった。ボードゲームが好きな人はもちろん、「Fate/stay night」のファンであれば絶対にハマれる作品となっている。今後は店舗での体験会や出展イベントも多数準備しているとのことなので、参加してみてはどうだろうか。
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