マーベラスが日本語字幕対応版をPS4用ソフトとして2020年12月12日に発売予定の「CONTROL」。その開発元である、Remedy EntertainmentのThomas Puha氏へのインタビューをお届けする。
2019年12月12日に、マーベラスよりPS4版が発売となるアクションアドベンチャー「CONTROL(コントロール)」。「Alan Wake」や「Quantum Break」で知られる、デベロッパ・Remedy Entertainmentが送り出す最新作で、今回発売されるPS4版は、2019年8月27日に海外でPS4/Xbox One/PC向けに505 Gamesよりリリースされたものを日本語ローカライズしたタイトルとなる。
Remedy Entertainmentの代表作である「Alan Wake」や「Quantum Break」は、シナリオ性の高いアクションアドベンチャーとなっていたが、最新作となる「CONTROL」では、アクション性を大幅に強化。さらに「Minecraft」などに代表されるサンドボックス的なシステムも盛り込んだ、これまでのRemedy Entertainmentから一風変わった作りのゲームとなっている。
プレイヤーは機密機関の指揮官となった主人公「ジェシー・フェイデン」を操作し、さまざまな超能力を使いこなして異世界からの脅威に立ち向かうことになる。 |
物を空中に浮かせたり、自由に空中を飛び回ったりと、さまざまな超能力アクションを駆使して戦う。 敵も超能力を活用してくるので、やりごたえも十分。 |
今回はそんな「CONTROL」の開発を行う、Remedy EntertainmentのThomas Puha氏が来日。Remedy Entertainmentでは広報責任者を務めるThomas氏に、本作の魅力や開発の経緯について直撃した。
※今回プレイしたROMはプレイレビュー用データであり、製品版の内容とは異なります。
※ゲーム内の日本語テキストはローカライズ対応中の仮のものです。
※製品版では日本語字幕のほか、看板にも日本語訳が表示されます。
リニア型ではないゲームへの挑戦
――本日はお会いできて光栄です。これまでにも日本に来られたことはあるのでしょうか?
Thomas Puha氏(以下、Thomas):日本に来たのは、今から6年ほど前になります。ただ、東京ゲームショウ(TGS)に参加したのは、1999年の時ぶりになります。これから、日本のゲームがどのように進化しているのかをこの目で見られるのが楽しみです(※インタビューが行われたのは、東京ゲームショウの開催前日)。
――本作は、どういった経緯で開発されたタイトルなのでしょうか?
Thomas:2016年に「Quantum Break」の開発が終了した後、次のタイトルとして本作の開発がスタートしました。当初から、いわゆる一本道のリニア的なゲームではなく、ゲームプレイに特化したタイトルとして開発が進んでいました。
それにあたり新しい課題として、PC・Xbox Oneだけではなく、PS4を含めたマルチプラットフォームでの開発に挑戦しました。本作の開発を行っていたのと同時期に、Remedy Entertainment自体にも変化があり、2016年の時点では130人しかいなかったスタッフが、現在では250人ほどの規模になっています。
――本作以外にも、別に開発ラインが動いていると。
Thomas:そうですね。現在は「CONTROL」以外にも3つのタイトルの開発が進んでいて、弊社の独自技術であるノースライトエンジンのバージョンアップも進んでいます。
――これまでRemedy Entertainmentでは主にPC・Xbox One向けのタイトルを開発されていたと思いますが、今回PS4版をリリースにするにあたって苦労はありましたか?
Thomas:Xbox OneもPS4も、アーキテクチャ自体は非常に似通っているので、開発自体はスムーズに進みました。ただ、3つの機種だけではなく。Xbox One XやPS4 Proといった、よりパフフルなハードへの対応もしなければならないのが大変でしたね。
ただ、もっとも苦労した部分でいえば、最終的に出荷する際の承認プロセスでしょうか。MicrosoftさんとSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)さんではそのプロセスが異なるので、それぞれへの対応が必要になったんです。
――Remedy Entertainmentさんといえば、ストーリーが主導となるタイトルを得意とするイメージが強いのですが、どうして本作ではゲーム性を強めるという選択をされたのでしょうか?
Thomas:まず前提として、「CONTROL」においてもストーリーとキャラクター性が重要な位置づけにあることは変わっていません。興味深いキャラクターや奥深いストーリーは本作でも展開されます。ただ、過去のタイトルと同じようなものを作るという選択を、我々はしたくなかったのです。
これまで我々が作ってきたようなリニア型のゲームは、どれだけ開発に膨大な時間をかけても、8~10時間ほどプレイしたらそこで終わってしまっていました。今回は、プレイヤーの人たちに長く楽しんでもらえるようなゲームを作りたかったんです。
――ストーリー性とゲーム性を融合するにあたって、どんな部分に気を使ったのでしょうか。
Thomas:ストーリー重視のゲームではカットシーンが大量に発生するので、プレイヤーは受け身で、自分でゲームをコントロールしている感覚というのが薄れてしまう問題があります。それが必ずしも悪いわけではないのですが、「CONTROL」ではそれとは違うアプローチをしたいと考えたんです。
本作では、いろいろな要素が組み合わさってストーリーが展開する仕組みになっているのですが、それらが正しい方向でつながっているかを確認しなくてはいけませんでした。
例えば、フィールドでプレイヤーが発見するドキュメントの中には、本来はもっとストーリーが進んだ時に初めて意味を持つというものもあります。それらを各所に散りばめていく際、きちんとストーリー的な整合性が取れているように気を使いました。他社さんのゲームでもそうした手法が取られていますが、我々が手掛けるタイトルとしては初めての試みだったので、大変でしたね。
――「CONTROL」については、どれくらいの時間を遊べるのでしょうか?
Thomas:プレイヤーの遊び方次第になります。例えばメインストーリーだけを追っていくというプレイスタイルなら10~12時間ほどでクリアできると思いますが、いろいろな遊びに挑戦する方なら、20時間以上は楽しんでもらえると思います。
主人公が持つ、銃以外の武器として選ばれた「超能力」
――本作は「超能力」がテーマとなっていますが、どうしてこの題材をチョイスしたのでしょうか。
Thomas:それにはさまざまな理由がありますが、まずいわゆる「ニュー・ウィアード系」と呼ばれるジャンルの作品を制作してみたかったというのがその一つです。
またそれに付け加えるなら、主人公の武器が銃しかないという状態を避けたかったんです。超能力でものを掴んだり投げたりすることで、いろいろな現象を起こせるようにすれば、物理エンジンの楽しさも体験してもらいつつ、ゲーム性にアクセントをもたせられるのではないかなと。
あとは世界の主要なゲームクリエイターたちは、超能力を題材にした作品を一つは作っていますから、我々も一度作ってみたかったというのも理由になっています(笑)。
――超能力も含めて、本作にはいろいろな攻撃手段がありますが、中でもお気に入りのものはありますか?
Thomas:私自身は物を空中に浮かせて移動させられる「Launch」(国内版では「投擲」)の能力がお気に入りなのですが、開発チーム内では物体を爆発させる戦い方も人気が高いです。あとはいろいろなオブジェクトを積み上げて敵の妨害をしたり、工夫次第でいろいろな戦い方ができるようになっています。
――超能力でオブジェクトを移動させると、特殊なギミックが隠されていることもありますが、プレイ中に気づきにくいものの例などを教えていただけないでしょうか。
Thomas:正直なところ、私自身もすべてを把握できているわけではないんです。というのも、開発のメンバーが最後の最後までこだわってギリギリのタイミングでいろいろなギミックを入れていますから。例えば超能力で浮かした時についている車輪が回転していたり。
――そういった要素を、プレイヤー側に見つけてほしいという想いも?
Thomas:その答えはイエスでもありノーでもあります。我々にはプレイヤーがどういう形で本作を楽しんでくれるのか、まだ想像がつかないからです。それがサンドボックスというジャンルですから。
ただ先程お話した、オブジェクトを積み重ねて新しい足場を作るといったように、他の人のプレイを見て、「そういうこともできるんだ」と知ってもらったり、自分で試行錯誤してもらうのも、楽しみ方の一つではあると思います。
――本作には、あのコジマプロダクションの小島秀夫監督が声優として出演されると聞いたのですが、これにはどういった経緯が……。
Thomas:そうなんですか?初耳ですね(笑)。
――いやいや、しっかりとTwitterにも写真がアップされていましたよ!(笑)
Thomas:(笑)。そうですね、その件でもっとも重要なのは、我々Remedy Entertainmentの全スタッフが、小島監督の作るゲームの大ファンだということです。小島監督からも、我々の作るゲームはユニークだというお言葉を頂いていて、作るゲームの方向性こそ違えど、お互いにリスペクトしあっている関係にあります。
そうした縁もあって、昨年のE3で小島監督がRemedy Entertainmentのブースを見学に来て下さった際に、弊社のクリエイティブディレクターであるSam Lakeと意気投合し、大いに盛り上がったんです。
その時にダメもとで、「私たちのゲームに出てくれませんか」とお願いしたら、快く引き受けてくださり。もともと本作のDLCには、日本人のキャラクターが登場するサイドミッションが存在していたので、そのシーンのナレーションを担当していただきました。
あの小島監督が、我々のために貴重な時間を割いてくれたということに感激しましたね。異なる会社に所属するクリエイターとのコラボというのが難しい業界もある中で、これはゲーム業界だからこそ実現できた、素晴らしい試みなのではないかと思っています。
――開発チームの中で、とくに人気の高い小島監督の作品はありますか?
Thomas:それはもう、どれか一つを選ぶことはできないくらい、すべてのタイトルが人気がありますね。私個人としては、初代「メタルギアソリッド」がロンドンで開かれたEGX(イギリス最大規模のゲームショウ)に出展されていた際、そのあまりの面白さに、2回列に並んでプレイしたという思い出があります(笑)。
――最後に、日本のプレイヤーに向けたメッセージや、楽しんでほしいポイントなどがあればお願いします。
Thomas:まず日本のファンの方々にお詫びを申し上げたく、発売が海外より遅れてしまっていることを大変申し訳なく思っています。現在、505gamesさんとマーベラスさんの方でローカライズ作業が進んでおります。必ずいいものを作ってくださると思いますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。
「CONTROL」は他のゲームではなかなかできない体験ができるタイトルにもなっています。とにかく最高の作品ですので、是非とも購入してプレイしてください。
――ありがとうございました。
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