ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2019年10月10日に発売されたPS4用ソフト「アッシュと魔法の筆」のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. 絵が大好きな少年が繰り広げる少し不思議な冒険
  2. ペインティングの楽しさに加えてアクション要素も
  3. よりダイナミックなペイントを楽しめるVRモードも

「アッシュと魔法の筆」は、フライトアクション「Entwined(エントワインド)」で知られるPixelopus(ピクセルオーパス)が新たに手掛けた、“描く楽しさ”と“勇気”をテーマにしたファンタジックなアクションアドベンチャーだ。プレイヤーは少年アッシュとなり、魔法の筆で描かれることによって命を与えられた絵=“かいぶつ”と一緒にさまざまなギミックを解き明かしていく。

その独創的な世界観はもちろんのこと、プレイヤー自身の筆使いによってペインティングが楽しめる点、そしてPlayStation VR(PS VR)に対応したコンテンツなど、ゲームとして楽しめる要素も盛り込まれている。ここではその魅力をいくつかのポイントに分けて紹介していこう。

絵が大好きな少年が繰り広げる少し不思議な冒険

空も町もどんより寂れた港町「デンスカ」。この町出身の絵が大好きな心優しい少年アッシュ、彼の唯一の心の支えは絵を描くことでした。

そしてアッシュはある日、魔法の筆を手に入れます。魔法の筆で、アッシュの描いた絵には生命が吹き込まれ、描かれた景色や不思議な生き物――“かいぶつ”たちは動き出します。そして町は徐々に活気を取り戻していくのでした。

本作のあらすじで触れられている通り、アッシュは近所に住む子どもたちにいじめられていたものの、魔法の筆を手に入れたことをきっかけに、自分が描いた絵のキャラクターたち“かいぶつ”に命を与えることができるように。かいぶつとともに、廃れた町に活気を取り戻していく流れがゲーム進行とともに描写される。

後述するゲームシステムに紐付いた遊びもこの世界観を表現する上で一役買っているが、シームレスに展開するストーリー演出も魅力的。アッシュをはじめとしたキャラクターたちはクレイアニメ調のデザインで表現され、魔法の筆を通じて“かいぶつ”と交流していく様子や、いじめっ子たちとの関係性などがドラマチックに描かれる。実際に魔法の筆によって描かれた町はプレイヤー自身が作り出した風景であり、一層の愛着を持って冒険を楽しめることだろう。

アッシュに対しては、最初こそいじめられていることに対する鬱屈とした印象を持ったが、魔法の筆を手にしてからは楽しげな様子が端々に感じられ、プレイしている身としてもとても楽しくプレイすることができた。いじめっ子たちの存在は(ゲームシステム的に)どうしても意識してしまうのだが…。

なお、過去の回想シーンと思われる場面にはアニメーションが挿入されるのだが、ストーリーにおける意味合いだけでなく、ゲームを楽しむ上でのエッセンスの一つにになっている。このあたりもぜひ実際にプレイして楽しんでみてもらえればと思う。

ペインティングの楽しさに加えてアクション要素も

ゲームにおけるアッシュの目的は、デンスカの町中を順番に回りながら、各地の電球に明かりをともしていくこと。明かりをつける方法はシンプルで、電球がある壁に絵を描くだけ。絵を描くといっても、本作はウインドウに表示されたパーツを選んでいくスタンプのような形式をとっており、絵を描くのが苦手な人でも気軽に楽しむことができる。筆者も絵心のなさを自負しているが、配置したいパーツを選ぶだけで簡単に絵が生まれていく様に思わず嬉しくなった。

なお、実際に壁に絵を描く動作にはDUALSHOCK 4のモーションセンサーが活用されている。慣れないうちには動かし方に戸惑う部分もあったが、ゆっくりと動かしていけば思った通りのレイアウトを生み出せるので試してみてほしい。

実際の操作はパーツを選んだ上でR2ボタンを押しながらコントローラーを動かすだけだ。

明かりをともす際には風景からパーツを選ぶことになるが、町中にはアッシュの描いた落書きも散りばめられており、そこでは新たな“かいぶつ”を描いて命を宿すことが可能だ。“かいぶつ”のバリエーションもパーツによって細分化されているほか、どのように描くかもプレイヤー自身。まさに自分だけの“かいぶつ”を生み出すことができるのだ。

“かいぶつ”はゲーム進行におけるギミックを解く上で重要な役割を果たしてくれるだけでなく、そのお願いに応え続けると画面右下のゲージが溜まって発動できる「スーパーペイント」を活用する上でも大きな活躍を見せてくれる。スーパーペイントは、絵が描けない壁の「くらやみ」を消し去ることができ、ゲーム進行においては欠かせない要素となっている。

ゲームシステムの主軸となるのはもちろんペインティングの要素だが、アッシュを操作して街中を駆け回るアクションアドベンチャーとしての魅力も。屋根やパイプ伝いに移動するアクロバティックなアクションから、いじめっ子たちに見つからないように移動しつつ、時には呼びかけることで別の場所に誘導したりといった、状況に応じた判断も必要になる。

なお、ゲーム序盤は限られたパーツの中から絵を描いていくことになるが、町に散らばったスケッチブックのページを集めることで描けるパーツは増えていく。また、ゲーム進行に応じて開放されるフリーペイントモードでは、いじめっ子の存在を気にすることなく、思い通りのペインティングが楽しめる。写真を撮ったり、自分の絵が出来上がっていく様子を録画できる「フォトモード」も搭載されているので、併せてプレイしてみてはいかがだろうか。

よりダイナミックなペイントを楽しめるVRモードも

実際にゲームをプレイしてみると、退廃した町を絵によって美しく彩っていくコンセプチュアルな要素は主軸にありつつも、少年アッシュが起こる出来事の中で得ていく気づきや“かいぶつ”の存在の謎などストーリーとしての魅力、町の中という限定された空間でありながらもダイナミックな冒険が楽しめる点など、全体としてとてもまとまったタイトルに仕上がっている印象を受けた。

ちなみにネタバレになってしまうためここでは触れる程度にとどめておくが、ゲームの後半では魔法の筆による攻撃などや軽快な移動などを楽しめるようになる。少なくともゲーム序盤ではそうした雰囲気は感じさせないのだが、どのような流れでそうしたアクションが行えるようになるのか、ぜひプレイして確かめてみてほしい。

最後に、PS VR対応コンテンツである「ポタリと不思議なキャンバス」と「VRフリーペイントモード」についても触れておく。こちらはPlayStation Move モーションコントローラー(2本必須)を絵筆に見立てて、実際にその場に立っているかのような感覚でキャンバス上を彩ることができる。本編のロケーションに加えて、3D空間でよりダイナミックなペインティングを楽しめるようになっていて、実際に描いたものたちが躍動する様はVRならではの体験と言えるだろう。

アッシュと魔法の筆

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

PS4ダウンロード

  • 発売日:2019年10月10日
  • 12歳以上対象
  • PS VR対応タイトル

アッシュと魔法の筆 デジタルデラックス版

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

PS4ダウンロード

  • 発売日:2019年10月10日
  • 12歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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