シドニアがリリースした「アッシュアームズ‐灰燼戦線‐」をレビュー。実在の戦車や戦闘機を擬人化した美少女ゲームという見た目に対し、その内容は戦術が試される骨太で硬派なものだった。

目次
  1. 考えて勝つ!ウォーシミュレーションの面白さを堪能できる骨太ゲーム
  2. 愛すべき戦友たち!育成に力が入る
  3. ストラテジーゲームが好きならオススメ!見た目で判断するのはもったいない

「アッシュアームズ‐灰燼戦線‐」は、シドニアがリリースしたスマートフォン向けミリタリーシミュレーションRPG。実在の戦車や戦闘機等を擬人化した人造生命体・DOLLSを率いて敵とバトルし、DOLLSを育成していく。…こう書くと、お手軽にプレイできる美少女育成ゲームだと思うかもしれない。しかし、本作をプレイすると、お手軽どころではない、骨太なシミュレーションゲームであることに気づかされる。このレビューではその「骨太」な内容に迫りたい。

考えて勝つ!ウォーシミュレーションの面白さを堪能できる骨太ゲーム

美少女育成ゲームの楽しさは、「美少女を愛でること」にある。なので、美少女とのコミュニケーション部分や育成部分には力を入れる反面、それ以外はお手軽にプレイできるようにシンプルなものにした作品が多い。ただ、美少女育成ゲームでありながら、硬派で骨太なシステムを持った…美少女モノじゃなくてもゲームとして成り立っている作品というのも一部に存在している。たとえば兵器擬人化ものの金字塔といえる「艦隊これくしょん -艦これ-」。あるいは、レトロPCゲームの「パワードール」シリーズなどだ。そして本作もそのひとつ。

本作のコアとなっているゲームシステムは、ターン制ストラテジーだ。マスで区切られたフィールドを舞台にユニットを動かして敵を倒す。ただ、恐らくスマートフォンに最適化したためだろう、フィールドは1画面に収まるサイズ。なので、求められる戦術は、「大戦略」シリーズのように「どういう進撃ルートで攻めるか」という規模ではなく、「どの敵をどのユニットで倒すか」という規模になっている。

一画面&視点はサイドビューという構成なので、見る人によっては、「にゃんこ大戦争」のようなラインディフェンスゲームに思えるかもしれない。実は勝敗条件もラインディフェンスゲーム的で、本作の敗北条件は、敵がプレイヤー陣営最奥部である左端に到達すること。勝利条件は敵の全滅となっている。また、左右の端からユニットを出撃させ、フィールド中央部でぶつかりあうという形式もラインディフェンスゲーム的。しかし、もちろん本作はラインディフェンスゲームではない。

本作のバトルは、プレイヤーターン、敵のターンという順番で進行するターン制。ユニットの行動はアクションポイント制になっており、アクションポイントの範囲内あれば、移動と攻撃を同時に行うことも可能。もちろん、移動だけに絞って行動すればより広範囲を移動できるし、攻撃だけに絞れば、より大きなダメージを期待できる。

移動によって、前線を示すラインが移動する。プレイヤー側のユニットは一番左端からスタートするため、敵の前線が一番左端まで到達してしまうと敗北だ。その前に敵を全滅させる必要がある。

敵が接近してこないよう前線へユニットを繰り出して敵の進軍をけん制しつつ、後衛から長射程・高火力の兵器でダメージを与えるというのが、本作における最も基本的な戦術。この時ポイントとなるのが戦闘形態の変化だ。たとえば、後衛ユニットである駆逐戦車は、移動形態から固守形態へと変化できる。射程範囲が短い移動形態に対し、固守携帯は射程範囲が長い。ただしその反面、移動できなくなってしまうというデメリットがある。どのタイミングでどのユニットをどの戦闘形態にするかがポイントだ。

さらに、本作のバトルの特徴となっているのが、地上と空中とでフィールドが分かれていること。地上ユニットは地上マップに展開、航空ユニットは空中マップに展開。武器が対応していれば2つのマップを越えて攻撃することができ、基本的に航空ユニットは地上ユニットへの攻撃手段を持っている。このため、「地上部隊と航空部隊を合わせて敵地上部隊を圧倒」なんてことも可能だ。もちろん、ステージにはよるものの実際には敵も航空ユニットを配備しているため、話はそんなにカンタンではない。

アクションポイント、形態変化、地上と空中、これらの要素をどう組み合わせるかが、本作の戦略の根幹。だが、他にも考慮しなければならない要素が多い。たとえば、小隊残存数。同じ1ユニットであっても、ユニット内の小隊数は異なっており、これがダメージの与え方に影響を与える。小隊残存数が少ないユニットは小隊残存数が多いユニットに対し、基本的に大きなダメージを与えることが可能だ。しかし、攻撃可能となる小隊数が小隊残存数によって決まるという側面も存在している。たとえば、小隊残存数が1の場合、攻撃可能なのは敵ユニット内の1小隊のみ。この点を理解していないと、敵ユニットの破壊効率が下がってしまう。

また、強力なのが捕足効果スキル。これは敵ユニットをマークできるというスキルで、このスキルが使用されると、後衛ユニットはマークされたユニットに対して射程範囲無視の攻撃が可能になる。

これらの要素に加えて、攻撃力や命中率といったユニット毎の特性が加わってくるため、考えなければならないポイントは非常に多い。ということはつまり、それだけ深い戦略が楽しめるということ。実際、プレイしてみると、序盤のチュートリアル的なステージをクリアして以降は、毎ステージ毎ステージどうやって勝つかをじっくり考えることになる。もちろん、レベルを上げて力押しでどうにかするというゴリ押しは通用しない。ウォーシミュレーションゲームの持つ、「考えて勝つ楽しさ」をどっぷりと味わわせてもらった。

愛すべき戦友たち!育成に力が入る

レベルを上げの力押しは通用しないと書いたが、それでもしっかりレベル上げしておかないと、バトルに勝つことはできない。しかも戦術が重要な本作においては、漫然とレベル上げをするのではなく、「このユニットはどういう局面で活用するのか?」という運用をしっかり見据えて上育成する必要がある。ちなみに、ユニットの入手方法はガチャだが、運用上必須といえるユニットはステージクリア時に入手可能だ。

バトルにおいても育成においても「ユニットの活用」についての考えを促す作りになっているため、筆者はプレイしていて単なる「このキャラが好き!」という以上の思い入れを持った。それはつまり、自分の作戦を具体的に形にしてくれる、優秀な戦友に対する思入れ…信頼と言ってもいい。もちろん、「このキャラが萌える!」という感覚もある。そこに加えての「戦友感」があるのだ。

ストラテジーゲームが好きならオススメ!見た目で判断するのはもったいない

本作は、美少女キャラ、ラインディフェンスゲームのような一画面フィールドといった、一見カジュアルな装いを持ちながらも、戦術が試される骨太なゲームだ。なので、ストラテジーゲームが好きな人は是非手に取って欲しい。本作の見た目に惑わされて手を出さないというのはもったいない。この逆に、「美少女育成ゲームが好き」という理由で手を出した人は、難しいという印象を持つかもしれない。複雑なシステムを乗り越えることにハードルを感じる可能性は大いにある。しかしそのハードルを是非とも乗り越えて欲しい。戦術を考えたり、本作の美少女たちの元となった兵器を調べたりと、主体的に関わることでより「愛でる楽しさ」もアップするハズだ。

アッシュアームズ‐灰燼戦線‐

シドニア

iOSアプリiOS

  • 配信日:2019年10月25日
  • 価格:基本無料

    アッシュアームズ‐灰燼戦線‐

    シドニア

    AndroidアプリAndroid

    • 配信日:2019年10月25日
    • 価格:基本無料

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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