回を追う毎に注目度のアップするイベント「ゲームマーケット2019秋」をレポート。正統派ボードゲーム、駆け引きが楽しいゲーム、わいわい盛り上がれるゲームなど、7作品を紹介する。

日本最大規模のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2019秋」が、11月23日、11月24日に東京ビッグサイトで開催された。最近はテレビ番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」でもアナログゲームを使った対決企画が放映されるなど、アナログゲームの注目がさらにアップ。一般から企業まで、幅広いクリエイターが作った多種多様なゲームが出展されるこのイベントの注目度もアップしているようで、多くの参加者で賑わっていた。もちろん今回も、「これはおもしろそうだ!」というゲームがたっぷり。そこで、今回の出会うことができた7作のゲームを、本記事で紹介したい。

ガツンとハジけた異能バトルゲーム!「戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム」&「ダンジョン&ダンゲロス」

今回トップに紹介したい作品は、ブース名「架神恭介ワークス」の「戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム」と「ダンジョン&ダンゲロス」。架神恭介氏によるライトノベル作品「戦闘破壊学園ダンゲロス」をアナログゲーム化したものだ。

原作の「戦闘破壊学園ダンゲロス」は、生徒会と番長グループが対立する学園を舞台に、特殊能力を持った「魔人」たちが殺し合うという、いわゆる学園異能バトルもの。学園異能バトル…というと非常に王道な響きだが、キャラクターや設定、用語にに込められた熱量は「王道」という範囲に収まるものではない。たとえば、特殊能力のひとつ「災玉」は「金玉を爆発させ男性を皆殺しにする」というもの。タイトルの「ダンゲロス」という言葉からも分かる通り、相当ハジけた作品なのだ。

「戦闘破壊学園ダンゲロス・ボードゲーム」は、「戦闘破壊学園ダンゲロス」のボードゲーム版。学園内を探索、現れた魔人を殴り倒して味方に加えに加え、自陣の戦力を強化。最終的に他プレイヤーを倒すという内容になっている。バトルは、カードのレベル分のサイコロを振って出目の大きい方が勝ちというシンプルなルール。そこに関わってくるのが、カードの特殊能力。原作通り、ハジけたキャラクターとバトルの楽しさを堪能できる。

また、「ダンジョン&ダンゲロス」はその名の通り「戦闘破壊学園ダンゲロス」をダンジョン探索ゲーム化したもの。こちらは対戦型ではなく協力型のゲームとなっており、他プレイヤーと協力してダンジョンを探索。モンスターとの戦いやアイテム獲得を繰り返しつつ、シナリオ目的の達成を目指すという内容だ。今回のイベントでは、どちらの作品も本体に加えて追加シナリオが頒布されていた。

呼吸するようにウソをつけ!「HURTFUL HORSE」

続いては、「ウソ」がメインテーマのゲーム「HURTFUL HORSE」を紹介。ブース名は「徳じろー商店」だ。アナログゲームは複数プレイヤーが面と向かってプレイする前提のものが多い。このため、「人狼」のように「ウソ」をテーマにしたものは根強い人気を誇っている。「HURTFUL HORSE」の目的はプレイヤー中最も多くのチップを獲得すること。そのためには、白馬、白家、黒鼠、黒家といったカードを5枚、「白馬置き場」に配置して役を作る必要がある。

一方、役に必要のないカードは「黒鼠置き場」に配置していく。つまり、基本はポーカーのような役作りゲームといえる。ここに絡んでくるのが「ウソ」だ。「白馬置き場」には白馬/白家カード、「黒鼠置き場」には黒鼠/黒家カードというのが「正しい」配置。なので、当然ながら役を作るためには「白馬置き場」に黒鼠/黒家カードを配置したり、不要な白馬/白家カードは「黒鼠置き場」に処分したり…といった「ウソ」をつかねばならない。

他プレイヤーは、この「ウソ」を「ダウト」宣言によって指摘することが可能。「ダウト」宣言されたカードが実際に「ウソ」だったなら、指摘されたプレイヤーはチップを支払うことになる。もちろん、「ダウト」宣言されたカードが「正しい」ものだったなら、ダウトした側からチップを奪うことが可能。役作りの駆け引きと相手を欺く駆け引き、ダブルの駆け引きで熱い心理戦が楽しめる作品だ。

ギャンブルマンガの主人公のようなボードゲーム体験!「シノミリア」

続いても、心理戦にフィーチャーした作品を紹介したい。ギャンブルマンガの主人公のようなボードゲーム体験と謳った作品、ブース名「シノミリアプロジェクト」の「シノミリア」だ。

「シノミリア」は、場に出されるチップの枚数を予言するというゲーム。まず、ラウンドの最初に0~9の数字が書かれたカードから1枚を選択してゲームスタート。その後、プレイヤーは交互に場へチップを出していく。パスすることも可能だ。両プレイヤーが連続でパスをしたり、場にチップが9枚貯まったりするとラウンド終了。カードをめくって、場のチップがカードの数値に近いプレイヤーが勝利する。

このゲームが面白いのは、ラウンドを重ねることで選択肢に偏りが生まれていくこと。ラウンドを勝利したプレイヤーは、場のチップに加えて、相手プレイヤーから2枚のチップを奪うことができる。さらに、9以外のカードは各ラウンド毎の使い捨て。このため、ラウンドが展開すればするほど、相手の心理を予測しやすくなるわけだ。ギャンブルマンガのようなヒリヒリした心理戦がアツい!

史上最長の駅名を作り見事読み上げられるか?

ヒリヒリした心理戦も楽しいが、みんなでワイワイ盛り上がれるのもアナログゲームの魅力。そこで次に紹介したいのがブース名「アイハラワークス」の「光り輝く高輪アンリミテッドエターナルゴールデングレイテストスーパーストロングゲートウェイ(仮称)」だ。

「タイトル長っ!」と思ったかもしれないが、まさにそれこそ本作のポイント。新駅命名プロジェクトの選考委員として、できる限り長い駅名を考えることがこのゲームの目的なのだ。ただし、「一息で読めること」がルール。参加プレイヤーは手札から一枚カードを選び、場に置かれたカードに追加していく。

カードには駅名の一部となるワードが書かれている。たとえば「ストロング」だとか「ゲートウェイ」だとかいったものだ。カードを追加したプレイヤーは、駅名を2回読み上げる必要がある。この時言葉に詰まったり、間違えてしまったりしたら、手札から一枚失った上で、再度読み上げに挑戦。2回目の挑戦に失敗するとゲーム終了、直前にカードを追加したプレイヤーの勝利となる。

「言い間違い」というのは、普段、ちょっとした会話の中であっても結構笑えるもの。そんな「言い間違い」がゲームルール的に多発する本作は、大いに盛り上がりそう。冬の鍋パーティーのお供に良さそうなゲームだ。

遠足のメインといえばおやつタイムだった…「バナナはおやつに入りますか?」

続いても、ワイワイ盛り上がれる系のゲームを紹介。ブース名「ココdeナッタ」の「バナナはおやつに入りますか?」だ。本作は、遠足のおやつタイムを超・忠実に再現したゲーム。サイコロで遠足までの日数を決め、遠足までの日数分のおこづかいをゲット。おこづかいでおやつやイベントカードを購入する。

ゲームの目的は、遠足当日に1番点数の高いおやつを持っていること。だったら、点数の高いおやつを買えばいいだけの話…と思ってしまうが、そう単純ではない。イベントカードがあるからだ。イベントカードによって他のプレイヤーとおやつを交換したり、お菓子に「当たり」が出たりといった効果が発動。さらには、しょっぱい系、甘い系といったお菓子の属性も点数に影響する。

これ、まさしく遠足のおやつタイムそのもの。遠足の時、クラスの皆それぞれにおやつ戦略が違ったもんね。交換を当てにせず、甘い系やしょっぱい系でバランスよく揃える子。どうせ友達と交換するから…と、少額のお菓子を大量に買い込む子。さらには、オマケ付きの高額系食玩おやつを一個だけ購入し、友達が分けてくれることを期待する子。色んな子がいた…。考えるだけで懐かしさが刺激される! 旧友と会う同窓会のようなシチュエーションでプレイすると、大いに盛り上がるだろう。

うどんを作って人口増加!エイリアンから地球を救え!「うどんエイリアン」

確かにみんなで盛り上がるのは楽しい。…しかし、社会人になると誰もが「友達と会う機会が減った…」と感じるハズだ。そこで、ソロプレイ用のユニークなゲームを紹介したい。ブース名「7キューブ」の「うどんエイリアン」だ。

プレイヤーの目的は地球に襲来するエイリアンから人類を救うため、香川県の人口を増やすこと。そのための手段が…うどんを作ることだ。ゲームシステム的には、ソリティアをベースにした一種の経営シミュレーションといえる。ゲーム開始時、人口100万人、お金0円、水2という状況。ここから人口1000億人に到達すればゲームクリアだ。

そのために山札からカードを引いて手札に加え、手札からカードを使用していく。カードによって「お金-1 うどん+1」などの効果が書かれており、この効果を使って人口が増えるようパラメータを調節していくわけだ。カードの効果におもしろい設定のものが多い上、パッケージに設定が細かく書かれているなど、「プレイヤーをとことん楽しませよう!」という精神が強い点にも交換が持てる作品。

裏切られたヘンゼルが悪魔を集める!「ヘンゼルとグレーテル」

最後は、改めて正統派のボードゲームを紹介したい。ブース名「かがりびゲームス」の「魔女庭」だ。童話「ヘンゼルとグレーテル」をベースとしながらも、妹のグレーテルによって裏切られてしまった…というダークなif設定を持った作品。裏切られたヘンゼルは、お菓子の家の魔女に捕まり、魔女から「庭いっぱいに悪魔を集めろ」と命令される。

ゲームの目的は、庭に悪魔や天使を並べて高得点を得ること。悪魔は3点、天使は1点。プレイヤー中最高得点を獲得するためにアクションカードを駆使して、悪魔を集めていくという仕組み。童話的な世界観が表現されたイラストレーションが魅力的で、じっくりとプレイしたい作品だ。

参加するだけで楽しい!盛り上がりも頷けるイベント

「マーケット」と名のつくイベントは、つまり「即売会」なので、通常は「売買」がメイン。しかし「ゲームマーケット」は、試遊ブースが用意されているのが特徴で、「遊ぶ」こともできてしまう。たっぷり遊んで、気に入ったゲームを買う…非常に贅沢なイベントだ。「試遊」という特性から、ブースも大いに盛り上がる。楽しいゲームは、たとえ初対面の人同士がプレイしても、ワイワイ盛り上がるからだ。なので、一般的なイベント以上に、盛り上がりや楽しさを感じられるイベントと言える。1ゲーム試遊すると、数十分経過するため、コストパフォーマンスも高い。アナログゲーム好きはもちろん、「何か楽しいことないかな」と探している人は、是非、是非次回のゲームマーケットに参加してみてほしい!

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