2020年2月8日・9日に行われた「Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY VII-」より、2月8日昼の部の模様をレポートする。

※本レポートは公演のネタバレを含みますので、ご注意ください。

スクウェア・エニックスの人気ゲームの楽曲を本格的なジャズ・サウンドに生まれ変わらせるアレンジシリーズ「SQUARE ENIX JAZZ」シリーズの最新作として、2020年1月22日にアルバム「SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY VII」がリリース。同アルバムでアレンジを手掛けている中川英二郎さんと川村竜さんが参加してのオフィシャルライブ「Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY VII-」が、2020年2月8日、9日の二日間、東京・六本木で行われた。ここでは2月8日昼の部の模様をお届けする。

本格的なクラブレストランで気軽にジャズを楽しもう

「SQUARE ENIX JAZZ」シリーズは、2017年からスクウェア・エニックスが新たに取り組み始めた新しい形のアレンジアルバム及び、そのオフィシャルライブ。ライブはこれまでにBillboard Live TOKYOとコラボする形で、数回行われている。

ステージの近くにテーブルがあり、ゆったりと座って、音楽と一緒に、お酒や本格的な食事が楽しめるのが、サービスエリア。注文はスタッフが各テーブルに取りに来てくれる。そしてステージ全体を見下ろすようなカウンター席はカジュアルエリアと呼ばれ、ドリンクなどは自分でカウンターバーに買いにいく。

恐らく初めての人は中に入るとかなり面食らうと思うが、
Billboard Live TOKYOは、大人のためのクラブ&レストラン。

筆者はスクウェア・エニックスとBillboard Live TOKYOのコラボライブは3回目となるが、今回は初めてのサービスエリア。これまではカジュアルエリアでまさにラフな感じで楽しませてもらっていたので、初めてのサービスエリアには背筋が伸びるのを感じた。

開演時間ギリギリに入った筆者は残念ながらドリンクしか頼めなかったものの、周りのサービスエリアのファンたちは、ワインなどのお酒やおいしそうな料理を思い思いに楽しみながら、ライブが始まるまでの時間を過ごしていたようだ。Billboard Liveでのライブは、開場時間から開演時間までの1時間すらも音楽を楽しむ前座として、空気感を楽しむ場所でもあるのだ。

ライブは「ファイナルファンタジーVII(以下、FFVII)」の中から選りすぐりの名曲が演奏

今回の「Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY VII-」は、先程も記した通り、「SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY VII-」の中から演奏されている。だが、セットリストは昼の部と夜の部とで違っているとのことだ。

まず、1曲目は「オープニング~爆破ミッション」。ピアノから始まる「オープニング」。そこに重なるベースの音。神秘的な調べに、ゲームのオープニング映像のエアリスの姿が思い浮かんだところから、「爆破ミッション」へと繋がってゆく。

「爆破ミッション」では、唸るようなベースの音からどんどんと激しさを増し、サックスとトロンボーンが効いたアレンジに。激しく低音を響かせるベースの音が腹にズンズンと食い込んでくるので、低音好きにはたまらない。耳慣れた「爆破ミッション」をサックスが長いソロで吹き上げると、会場のファンからはわぁっと大きな拍手が贈られた。

お馴染みの曲でありながらオーケストラとはまた違った装いとなった「爆破ミッション」に、新たな感動を覚えたファンも多かったのではないだろうか。

2曲目は「神羅カンパニー」。不気味な雰囲気が漂う神羅カンパニーのビル内で流れる音楽は、大人のジャズへと変わることで、大分ムーディな雰囲気となった。ベースが神羅カンパニーという企業の重厚さを感じさせつつ、トロンボーンの強い音と繊細なフルートの音が重なり合ってゆくと、そこは神羅ビルというよりはすっかりジャズバーだ。

トロンボーンのソロでは、立体感がある丸みを帯びた音のせいか、何故かパルマ―が思い浮かんでしまった。丸みという部分しか合っていないのだが……音と映像のシンクロとは凄いものだ。もちろんパルマ―だけではなく、タークスの面々や、スカーレット、宝条、リーブ、プレジデント神羅にルーファウスと、神羅カンパニーの様々なキャラが次々と脳裏を横切り、「もしも神羅ビル内にバーがあったら……」という妄想が浮かぶアレンジになっていた。

なお、「SQUARE ENIX JAZZ」シリーズとしては3作目となるアルバムで、ライブも数回行ってきたが、この日会場に訪れていたのはほぼ全員、今回が初めてのライブ参加。やはり今回は「FFVII」だから、という理由で訪れたファンが多かったようで、改めて「FFVII」人気を感じる。

中川さんも川村さんもこの結果には「意外ですね」と目を丸くしつつ、ジャズは自由に楽しむもので、拍手をしたり手拍子をしたりも自由なので、初めての人たちもリラックスして楽しんでほしい、と語った。

「SQUARE ENIX JAZZ」シリーズは、1作目のアルバムからずっと同じメンバーで作成しており、ライブもまったく同じメンバーで行っているという特徴があり、それもあって段々バンドとしての一体感も出てきたという。そしてアレンジをする中川さんも川村さんも、各奏者の得意とする演奏も把握できているため、アレンジも浮かびやすくなっているそうだ。ぜひ今後も続けていきたい、と意気込みを見せる中川さん、川村さんらに、会場からは温かい拍手が贈られた。

次の曲は、「F.F.VII メインテーマ」。軽やかなピアノから、静かにベースが滑り込み、さらに他の楽器が重なってくると、雄大な「FFVII」のメインテーマらしさが、どんどん顔を覗かせてくる。

原曲よりも明るさを前面に出したアレンジとなっており、どこまでも続く青い草原――まるでチョコボファームの辺りをずっと走っているような風景が思い浮かんだ。ピアノの軽やかで心地良く跳ねる音は、ミッドガルから広い世界へ出た時の気持ちを思い出させてくれた。

そのまま続けて、「旅の途中で」から「更に闘う者達」が演奏。「旅の途中で」はカームの町などで使われている曲で、旅の疲れを癒すようなしっとりとした曲だが、ジャズアレンジになることで、まるで古い洋画に出てくるカフェやバーを彷彿させる大人の休息というイメージに。

「更に闘う者達」は、叩きつけるような激しいピアノの速弾きからスタート。そこにドラムとベースが重なって徐々にバトル曲らしい盛り上がりを見せ、トロンボーンとサックスがメインメロディを奏でると、今度は入れ替わるようにギターがメインメロディを引き継いでゆく。バトル曲の激しさを表すようなトロンボーンとサックスの掛け合いも凄まじく、まるで喧嘩でもしているかのような音の応酬だった。

ベースの川村さんは「FFVII」が大好きなものの、自身でもプレイをしているからこそ「FFVII」ファンの熱量の大きさも身をもって知っており、アレンジもプレッシャーだった、と今回のアルバムとライブについて語った。

また、サックスの庵原さんが実は「FFVII」をプレイしたことがないことを打ち明けると、そこですかさず、4月10日に「FFVII リメイク」が発売される旨を宣伝する中川氏(※中川氏はスクウェア・エニックスの社員ではない)。今回のアレンジに参加して「FFVII」の魅力を感じたという庵原さんは、お財布と相談してPS4本体と「FFVIIリメイク」の購入を前向きに検討するそうだ。

お次は、ヒロインコーナー。ティファ派とエアリス派で拍手の多いほうの曲を演奏する、ということだったが、拍手の数はほぼ同数。会場からの「どっちもやって!」という声に、2曲とも演奏されることになった。

「ティファのテーマ」は、ティファが抱える不安感を表すかのような低いコントラバスの音から始まった。どこか硬い音に、ピアノとサックスが柔らかさを足してゆく。そこに更にトロンボーンが合わさると、いつの間にか会場はセブンスへヴンにいるような雰囲気へと変わっていた。

トロンボーンのソロは、まるでティファがお酒を作って差し出してくれているようなイメージを抱かせつつ、遊び心溢れるサックスのアレンジはティファと遊んでいるマリンの姿が横切る。重かったコントラバスは終盤軽やかな音を奏で、ティファの不安が晴れて、最後までクラウドに寄りそう姿を彷彿させた。

そして続くは「エアリスのテーマ」。「エアリスのテーマ」と言えば、ピアノから始まるようなイメージを持っているファンも多いと思うが、今回のアレンジはギターのソロから始まり、それをピアノソロが引き継ぐという面白い構成で、やがてはサックスやドラム、ベースたちも加わってゆく。

古代種として自身の運命を悟っているような大人のエアリスを感じられるアレンジで、「エアリスのテーマ」といえばついつい物悲しさが最初にきてしまう曲だが、ジャズアレンジでこの楽曲の違う一面を知れるような気持ちにさせられた。

最後の二曲としてまず演奏されたのは、「片翼の天使」。全員がいきなり全力で始まるアレンジになっており、ギターが激しく唸り、セフィロスとの死闘が音で描かれる。しかし激しさだけでは終わらず、少しアレンジがゆったりめになると、今度はセフィロスの余裕すら感じさせてくるのが憎らしい。ラストバトルに相応しい重厚なジャズ・ロックで、会場も大いに盛り上がった。

最後は、お馴染みの「メインテーマ(FINAL FANTASY SERIES)」。ピアノから始まった「メインテーマ」は、ドラムが加わるとマーチのような装いに。ひとつの冒険が終わった後に聞きたくなるような爽やかでポップなアレンジで、思わずスキップをしたくなるような軽やかさすらあった。

なお、この「メインテーマ(FINAL FANTASY SERIES)」は、2017年に発売されたアルバム「SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY-」に収録されているが、そのアレンジは3年の間により一層進化したと言っても過言ではない。この日一番大きな拍手が起こり、壇上の奏者全員に惜しみない拍手が贈られた。

鳴りやまない拍手に応えてのアンコールは、「ファンファーレ」。これはアルバムにも入っていない、特別な一曲。戦闘シーンのラストに流れる「ファンファーレ」だが、「FFVII」ではファンファーレのあとの音楽が違うので、そこまでを含めたアレンジが初披露された。オリジナルサウンドトラックに収録されている原曲も僅か55秒ほどというほんの短い曲ながら、その「ファンファーレ」が演奏によってこんなにひとつのメロディで様々な顔を見せるのか、というアレンジの多彩さには舌を巻いた。

前述の通り筆者は今回が初めてのサービスエリアでの観覧となったのだが、サービスエリアは演奏の迫力も間近に感じられ、音圧もダイレクトに肌に伝わってくると感じた。

しかも嬉しいのは、カジュアルエリアはドリンクカウンターに足を運んでドリンクやフードを頼みにいかなければならないのだが、サービスエリアでは全てスタッフが注文を取りにきてくれるという丁寧なサービス。カジュアルエリアからその様子をずっと見ているだけだったが、改めて自分でそのサービスを受けてみると、贅沢な音楽に贅沢な食事とサービス、まさに極上の時間を過ごすことが出来た。

ジャズにはなじみがない、という人も、慣れ親しんだゲーム音楽をきっかけに、ぜひ一度勇気を出して飛び込んでみてほしい。オーケストラにはオーケストラだからこその豪華さがあるが、それとはまた違う世界を知ることが出来るはずだ。

なお、フードは基本的に開演時間と同時にオーダーストップになるので(ドリンクは終演までオーダー可)、サービスエリアの場合は開場時間と同時くらいに会場に入り、開演までの間にメインの食事はある程度済ませておくのがオススメだ。

セットリスト

1.「オープニング~爆破ミッション」
2.「神羅カンパニー」
3.「F.F.VII メインテーマ」
4.「旅の途中で」
5.「更に闘う者達」
6.「ティファのテーマ」
7.「エアリスのテーマ」
8.「片翼の天使」
9.「メインテーマ(FINAL FANTASY SERIES)」
10.「ファンファーレ」

公演概要
公演名

Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -FINAL FANTASY VII-

日時

2020年2月8日(土)1st Stage Open 15:30 Start 16:30 / 2nd Stage Open 18:30 Start 19:30
2020年2月9日(日)1st Stage Open 15:30 Start 16:30 / 2nd Stage Open 18:30 Start 19:30

会場

Billboard Live TOKYO

Tb:中川英二郎
Bass:川村竜
Drs:髭白健
Piano:宮本貴奈
Gt:鈴木直人
Sax:庵原良司

主催:ビルボードライブ東京
協力:スクウェア・エニックス
制作協力:MSエンタテインメント

次回開催
日時

2020年2月15日(土)1st Stage Open 15:30 Start 16:30 / 2nd Stage Open 18:30 Start 19:30

会場

Billboard Live OSAKA

Tb:中川英二郎
Bass:川村竜
Drs:髭白健
Piano:森丘ヒロキ
Gt:鈴木直人
Sax:庵原良司

主催:ビルボードライブ大阪
協力:スクウェア・エニックス
制作協力:MSエンタテインメント

http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=11814&shop=2

Photo by MASANORI FUJIKAWA

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