角川ゲームスは、「メタルマックスゼノ リボーン」の完成を記念したイベント「METAL MAX 2021 Road to 30th Anniversary 賞金稼ぎの集い 2020 SUMMER kick off –生放送 Ver-」を、2020年8月10日に東京・LOFT9 Shibuyaにて開催した。

目次
  1. 「ワイルドアイズ」の悲願成就と、初代「メタルマックス」への憧憬
  2. モンスターの生態系と充実のハンターライフ
  3. 世紀末ならではのリアルさを追求した「MM」リアリティ
  4. 続編「ゼノ リボーン2」では、「復興」と「笑い」がキーワードに!?

「メタルマックスゼノ リボーン(以下、ゼノ リボーン)」は、2020年9月10日発売予定のPS4/Nintendo Switch用ソフト。人気RPG「メタルマックス」(以下、MM)シリーズの最新作であり、2018年4月に発売された「メタルマックス ゼノ(以下、ゼノ)」(PS4/PS Vita)のあらゆる要素を見直し、フルリメイクした作品だ。

そのマスターアップを記念した今回のイベントは、昼の部と夜の部の2部に分けて実施。昼の部では、プロデューサーの河野順太郎氏、ディレクターの友野祐介氏が登壇し、約4時間にも渡って、実機を使ってゲーム序盤の実況プレイ映像を配信するバーチャル体験会が催された。

そして夜の部では、昼の部に続いての出演となる河野氏と友野氏に加えて、「MM」シリーズの生みの親であり、本作ではエグゼクティブディレクターを務める宮岡寛氏、シリーズファン代表としてお馴染みの男色ディーノ氏、ゲームの電撃の千木良章(おしょう)氏が登壇。「ゼノ リボーン」の開発秘話、そして気になる完全新作である「メタルマックスゼノ リボーン2(以下、ゼノ リボーン2)」の新情報も飛び出したトークライブが実施されていた。ここでは、夜の部の模様をレポートする。

「ワイルドアイズ」の悲願成就と、初代「メタルマックス」への憧憬

まず本作の開発の経緯について、前作「ゼノ」の発売後、夏から秋にかけて次のプロジェクトをどうするか悩んでいた河野氏と宮岡氏が最初に考えたのは、まず「ゼノ」の移植。しかし、移植の話を友野氏に持ちかけた時は、意外にも友野氏の反応は芳しいものではなかったという。

だがその後、しばらくして移植ではなく「ゼノ」続編についての構想を伝えるとそこから一転、ちょうどその頃にコマンドRPGの可能性を模索していた時期だったという友野氏も今度は乗り気に。しかし「ゼノ」の続編で目指すところと、元の「ゼノ」ではあまりにも溝が大きすぎたため、それを埋めるためのタイトルとして「ゼノ リボーン」が作られることになったのだという。

「ゼノ リボーン」の開発が決まったあとも、
現在の規模ほどの大掛かりのリメイクになるとは想定していなかったという河野氏。
そのままではダメだと考えるようにとなったのは、友野氏の存在が大きかったという。

また本作の開発に大きく影響しているのが、かつてドリームキャスト用に一度は発表され、後に開発中止となった、シリーズ初の3D作品となるはずだった「メタルマックス ワイルドアイズ」。宮岡氏は、「『ワイルドアイズ』を作っていた20年前とは、比べ物にならないくらい技術も進歩したけど、やろうとしたことは(「ワイルドアイズ」と)そんなには違わなかったなと」とも振り返る。

実は河野氏は、その「ワイルドアイズ」の開発途中に少しプレイをしたことがあるようで、その時に感じたのが「クルマ(MMシリーズにおける戦車など車両の総称)でフィールドを走る気持ちよさ」。これは、従来の2Dの「MM」シリーズ作品をプレイした時には感じたことがなかった感情で、それ以降「(「MM」シリーズを)3Dで作ってみる価値はある」という考えをもつようになったという。

「MM」シリーズらしさとは何かという話題では、おしょう氏が「いきなりラスボスにも挑めてしまう自由度の高さ」を挙げると、実際に「ゼノ リボーン」においては、「強い敵にあったらすぐに逃げて、そのまま先に進んで強い武器を拾ってからボスを倒す」という自由なプレイが、非常に強力なゲームデザインになっていることを友野氏が明かす。

友野氏は、攻略ルートがほぼ固まっていたが故の遊びやすさが「ゼノ」の良かった部分でもあると前置きした上で、「ゼノ リボーン」は、あえてそことは違う方向性を目指したという。最初はまったく敵わない強敵に遭遇しても、地形を利用したり迂回ルートを見つけ出したり、「考える」ことで生まれる打開策が、何通りか用意されているようになっているという。さらに発売後には開発陣も想定していない、思いもよらない攻略法をプレイヤーが見つけだしてくれることにも期待しているようだ。

またトークのあとには、友野氏による実機プレイも行われた。昼の部と同じゲーム序盤にあたる部分をプレイしていたのだが、装備が貧弱だった前回と異なり、夜の部ではかなり強力な装備が予め用意されており、昼の部で何度も全滅&撤退を繰り返すなど苦戦を強いられていたカンタロスを、あっという間に撃破する光景も。

シリーズお馴染みの野バスや多脚戦車も搭乗。
とくに多脚戦車は、他のどのクルマとも異なる独特の挙動で走行することもあり、
実装はかなりの苦労があった様子だった。

バトルシステムについても解説が行われ、まず「ゼノ」の時にシャシーの性能差に大きく影響していた固定武器のシステムが撤廃。どのクルマもWエンジン化ができるなど、自分の好きなシャシーでクリアできるようなバランスになっている。

さらに本作ではフィールドからシームレスにバトルに発展するようになったのに加え、ターン制ではなくリアルタイムでバトルが進行するようになった。その一方で、使用する武器を選ぶ際など、コマンドメニューを開くと完全に時間が止まり、じっくりと考えて戦えるようになっている。

完全に時間を止めることについてはスタッフからもさまざまな意見が出たそうだが、「アクションが苦手な人にクリアできないゲームにはしたくない」という、コマンドバトルとしての要素を大事にする友野氏のこだわりによって、現在の形に落ち着いたという。

モンスターの生態系と充実のハンターライフ

モンスターを倒してドロップする装備を集めるのも「MM」シリーズおなじみの要素として定着しているが、宮岡氏によると、最初にドロップに工夫を凝らすようになったのは「2」の時。この時は確率ではなく、最低限のダメージで倒すことでアイテムがドロップするという仕様になっていたが、これは余分なダメージを与えないことでアイテムが壊れないという考えによるものだった。

しかしそこから「3」で通常の確率でのドロップに変更したところ賛否両論に。宮岡氏は「誰にとっても気持ちがいいドロップシステムにできればいいが、なかなかそうはならない。今回もドロップをどういう風に我々の理想に近づけるかは頭を悩ませたところ」と語る。

そこで本作に採用されたのが、とくに強力なアイテムをドロップする存在であるWANTEDモンスター(賞金首)が、時間経過によって再出現するようになるという仕様。これまではWANTEDモンスターから狙ったアイテムを入手するには、撃破→ロードを何度も繰り返す、いわゆるリセマラが必要になっていたが、「ゼノ リボーン」では極力リセマラを行わなくてもいいようなシステムになっているという(ただし賞金は、最初の一回しかもらえない)。

WANTEDモンスターの2体目はすぐに再出現するが、
それ以降は出現まである程度の日数経過が必要になるとのこと。

さらにさまざまなWANTEDモンスターが落とすコアを素材に、武器を製造することもできるようになる。これにより、直接武器がドロップしなかった場合も、繰り返しモンスターを倒していくことでいつかはその武器を入手できるようになっているようだ。

さらにWANTEDモンスターがドロップする強力な武器は、他の武器と同様に改造も可能になるため、序盤からゲームバランスが崩壊しかねない、凄まじい強さの武器を作れる可能性も用意されているという。

製造時のアイテムのレアリティは、ドロップと同様にランダムで決定。
WANTEDモンスターから作れるものなら、星1のレアリティでも十分な強さとして設定されているという。

絶滅ゲージの仕様も変更されており、ゲーム内に存在するモンスターの総量に応じて増減し、ゲージの量が少なくなるほど、モンスターが弱体化するというかなり変わった仕組みになっている。元の「ゼノ」における絶滅ゲージはストーリーの進行に連動して変動するものだったが、元々の絶滅ゲージの発想は「ゼノ リボーン」における仕様に近いものが想定されており、むしろ本来の発想に近くなったのだとか。

この「モンスターの総量をカウントして管理する」という独特のシステムによって、周囲のモンスターを狩り尽くすと、レベル上げがしにくくなるという問題が発生することになるが、これは「詰み」につながる可能性があると友野氏も気にしていた部分だという。絶滅ゲージが関わるのはフィールド内のモンスターで、リメインズ内のモンスターは別に管理され無限湧きするため、レベル上げのために何度でも利用できるようになっている。

加えて、個々のモンスターごとに再出現までの時間に差があり、例えばアイアンベースの付近の蟻は繁殖力が高く、すぐに沸くようになるという特徴があるため、レベル上げに利用しやすくなっているようだ。

クルマと人間間の計算式も変更され、格差がやや緩和されたため、あえてクルマに乗らずに戦うというプレイもある程度やりやすくなったとのこと。

しかし、人間とクルマ戦のバランスをとる上でネックになったのが、基本的にクルマに乗らず戦うポチの存在。開発初期ではポチはクルマ同士での戦闘になると一瞬で倒されてしまっていたため、河野氏や宮岡氏から「もっとポチを強くして」と要望が出されることに。しかしそれに応じると、今度は逆にポチがいると人間時のバトルの難易度が劇的に下がってしまう……といった事態になるなど、かなりバランス調整に苦労した様子。

最終的には、他のスタッフからも河野氏や宮岡氏と同様の意見が出たこともあり、ある程度強めの調整で落ち着いたようだが、「MM」シリーズへの思い入れが強い友野氏としては、「ポチはすぐに倒されるもの」という認識があり、調整にもいろいろな葛藤があったことも明かされていた。

世紀末ならではのリアルさを追求した「MM」リアリティ

友野氏は、「普通に考えれば戦車で撃たれれば人は簡単に死ぬし、いろんなものが爆発する」という宮岡氏の中にある写実主義をゲームで表現することが、「MM」らしさでもあるとも語る。「ゼノ リボーン」おいては、それをできるだけ再現したいという想いがあり、砂丘を戦車で走れば砂塵が舞い、砲撃で装甲が壊れれば装甲タイルが飛び散って車体がむき出しになっていく様子が描かれる。ドットの時代は、こうした要素は抽象化されており、プレイヤー側が想像で補っていた部分が多かったが、これを3Dで表現するのにはかなり大変で、コストもかかったのだという。

また世界観を描くという点においては、フィールドの景色をできるだけ遠くまで見せたいという考えが早い段階からあったと明かす。だが遠景処理は見た目以上にハードの処理能力を使うこともあり、開発当初からさまざまな制約が設けられていた。

しかし友野氏は、あえてその制約を完全に無視してオブジェクトを大量に設置。当然ながらスタッフから大目玉を食らったものの、「置いてしまったものは仕方ない」と、その後に鬼のような最適化が行われ、かなり広いエリアの描写ができるようになった。

その一つが、タリス(プレイヤー)達にとっての拠点となるアイアンベースで、どこまで遠くにいっても、常にアイアンベースが見えるようになっている。これはどのくらい遠くまで旅をしてきたかをアイアンベースの大きさで実感したり、外から見た時にアイアンベースがどう見えるかというプレイヤーの体験を残したかったという狙いによるものだという。実現にはかなりの苦労があったものの、最終的には友野氏が「よくわからないけど動いてる」と表現するほどの、理論値を超える描写ができるようになったのだとか。

これを「ゼノ リボーン2」に活かすという構想もすでに練られ始めているようで、「ランドマークとか、高いところがあったら多くの人間(プレイヤー)は近づこうとしますよね。そうしたら、『こんなひどい目にあうの!?』となるのも『MM』らしさなのかなと」と語る友野氏。すでに本作で得たノウハウを使った新しいギミックにも考えを巡らせている様子だった。

その後には、「ゼノ リボーン」について視聴者から寄せられた質問コメントに、友野氏が答えるコーナーも実施。

質問の中には、シリーズお馴染みの要素である「ドラム缶」についてのものもあり、発売延期が決まった時、ドラム缶を本作にも実装するか本気で検討されていたという。

ただ、ドラム缶を押すだけの要素であればそれほど苦労せず実装できるものの、「MM」シリーズにおけるドラム缶は、「それを押すまでのシチュエーション」こそが重要だというのが友野氏の考えであり、今回はストーリー的にそれにふさわしいシチュエーションを用意するのが難しい結論に至り、実装は見送られたとのこと。

一方でプレイ時間についての質問には、「やりこむ分にはいくらでも遊べますが、クリアまでの長さは前作とそれほど変わらない。むしろ前よりもいろいろな手順が省けるようになっているので、RTAに挑戦してみて欲しい」と回答。自身も「MM2」の時に、6時間でクリアするというRTAプレイを行っていたという思い出が語られていた。

続編「ゼノ リボーン2」では、「復興」と「笑い」がキーワードに!?

トーク最後のコーナーでは、気になる続編「メタルマックスゼノ リボーン2」についての情報も。

放送では「MM」シリーズの音楽を担当してきた門倉聡氏による「ゼノ リボーン2」のための2つの新曲も公開され、その際に河野氏や宮岡氏の口から語られていたのが「復興」というキーワード。

「ゼノ」や「ゼノ リボーン」で描かれなかった、「滅亡」のさらに先のテーマが描かれることが予想されるが、その「復興」についても強制ではなく、復興を目指さないスタイルでもクリアできるような、「自由」を残したいのだと宮岡氏は語る。

とくに「ゼノ リボーン」では、「ゼノ」という土台がありつつも、想定していた以上の自由度を構築することができていたため、一から作ることになる次回作では、さらに高い自由度が用意される可能性が仄めかされていた。

加えて宮岡氏は、「個人的には、ちょっと笑えるシーンも『MM』シリーズの個性だと思っているので、『ゼノ』の時より笑いを復活させたいなと。ストーリー全体の流れはシリアスなままでも、場面場面でクスリと笑えるようなシーンを増やしたい」と、新たな目標も明かす。

友野氏も、シリアスなシーンにもいきなり笑いを持ち込める、緩急を自在に変化させられる独特なセンスが宮岡氏のテキストの魅力だと考えており、そこを表現したいという想いは強い様子。ただ2Dの時は笑えたはずのシーンが、3Dになると面白くなくなってしまうといったケースもあるそうで、3Dだからこそできる笑いの表現について、より追求していく必要があるとも考えているという。

また宮岡氏の独特なセンスを象徴する思い出として、「メタルマックス2:リローデッド」のマスターアップの一ヶ月前、宮岡氏が担当するラスボス戦のテキストの完成を待っている状況で、先に宿屋のテキスト修正が届き、友野氏らスタッフ陣が困惑していたという、驚きのエピソードも紹介されていた。

さらにケレン味を増したモンスター達。
「ゼノ リボーン2」でも、プレイヤーの行く手を阻む厄介な存在になりそうだ。
夜の部は有料配信だったこともあり、モンスター達の鳴き声の詰め合わせや、
ポチのウォールペーパーといった、視聴者限定のプレゼント企画も実施されていた。

いよいよ発売一ヶ月前にまで迫った「メタルマックスゼノ リボーン」。今回のイベントの最後には、ディーノ氏から「面白い『MM』がプレイできると信じていいですか?」と問いかけられる一幕もあったのだが、それにスタッフ全員が自信をもって頷いていたのが印象的で、本作の完成度に誰もが強い自信をもっているのを窺い知ることができた。

2020年8月22日には、ソフマップ AKIBA 4号店 アミューズメント館にて「世界最速体験会 メタルマックス“夏の大試乗会”in AKIHABARA」の開催も予定されており、発売に先駆けて、劇的に生まれ変わった新しい「メタルマックス」を体験できる貴重な機会となっている。ぜひ参加してみてはいかがだろうか。

メタルマックスゼノ リボーン

角川ゲームス

PS4ダウンロード

  • 発売日:2020年9月10日
  • 17歳以上対象

メタルマックスゼノ リボーン Digital Limited Edition

角川ゲームス

PS4ダウンロード

  • 発売日:2020年9月10日
  • 17歳以上対象

メタルマックスゼノ リボーン

角川ゲームス

Switchダウンロード

  • 発売日:2020年9月10日
  • 17歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー