EXNOAが、2020年8月20日に配信を予定しているPC用ソフト「Cuisine Royale」(PS4用は2020年夏発売予定)。本作のプレイインプレッションをお届けする。
「Cuisine Royale」は、キッチン用具で戦うバトロワゲームとして数年前に話題を呼んだ作品だ。今回日本での正式のリリースを受けて改めてプレイしてみたのだが、そこで見たのはおバカ系ゲームというよりも、むしろ独自の世界観を持つ正統派へと進化を遂げた姿であった。
直訳すると「料理ロワイヤル」という名前が付けられたゲームだが、元々は第二次世界大戦が舞台のMMOFPS「Enlisted」のエイプリルフールイベントとして導入されたものだった。その後、2018年に単体ゲームとしてリリースされ、アップデートを繰り返していく度にそのゲーム性も進化していったという経緯を持っている。
リリース当初はその名の通り、調理器具を装備して戦うゲームだったようだが、現在は「PUBG」に近いゲーム性になっており、武器や防具などを拾い集めて戦っていくという定番スタイルが採用されている。
本作では、「練習」「ソロ」「デュオ」「分隊」の4つのモードが用意されている。練習では様々な武器の練習や、操作方法の確認ができる。ほとんどの武器がテーブルに並べられているが、実践で1度でも使用したものでないとアンロックされずに練習することができないので注意しよう。
こちらも特徴のひとつといえるが、ゲームにはロビーのようなものはなく、いきなりマップ上のどこかに出現して開始される。当然のことながらパラシュートで降下していくといったこともないのだが、たいていの場合どこかの家の近くに出現するためすぐにアイテムを拾い集めていくことができる。
また、出現する場所は敵対するほかのプレイヤーと被ることはほとんどないため、拾ったアイテムの優劣で勝敗が決まる序盤の“武器ガチャ”のようなことはほとんどおこらない。アイテム自体もある程度潤沢に拾うことができるので、装備で困るといったことは少ないだろう。
他のバトロワと異なる点としては、体力ゲージがあるため無限に走り続けることはできない。ある程度ペース配分を考慮しながら移動する必要がある。ただ、マップはなかなか良くできており、塹壕なども設置されている。それらを利用しながら身を隠しつつ移動することもできるのだ。
ソロは概ね30~40人ほどで開始されるが、こちらにはボットも混ざっているようだ。そのためというわけではないが、ある程度キルも取りやすくなっている。分隊は最大4人でチームを組んで戦っていくが、マッチングの状況によっては味方がひとりやふたりの場合もある。
他のプレイヤーと一緒にチームを組んでいる場合は、お互いにアイテムが落ちている場所を共有することも可能だ。仲間を呼び集めたいときは、口笛で合図することもできるためボイスチャットはほとんど使われておらず一部チャットが使われている程度である。そのため、英語でのコミュニケーションが苦手という人でも安心して海外のプレイヤーたちと遊ぶことができるのもいいところだ。
ちなみに、ゲーム開始時は人数が少なくとも、どんどん増えていくようになっているため、スタート後も少しの間はマッチングで参加者が追加されていくという仕組みになっているようだ。厳密には平等感はないかもしれないが、すぐに戦闘は起こりにくく勝敗自体にもあまり影響はないので、これはこれでありといった感じがする。
マップ自体はそれほど広くないということもあり、1ゲームあたりのプレイ時間は20分ほどだ。上記のように、マッチングも適宜追加される仕組みになっているので、サクサクと遊んでいくことができる。
ゲーム自体の動作もかなり軽めに作られており、低スペックのPCでも遊べるのは嬉しいところだ。といっても、決してグラフィックがしょぼいというわけでない。こちらは、オリジナルエンジンを採用していることにより実現しているものだ。具体的には、照り返しなどの複雑な照明効果を計算して、空間全体に自然光を発生させるレンダリング方法の「グローバルイルミネーション」が採用されている。
こちらの効果を活用しているおかげか、後ほど触れるがマップ全体を突如暗闇に変えるということも可能になっている。
限りなく「PUBG」などのリアル系バトロワゲームに近いゲーム性ではあるのだが、元々はおバカ系ゲームということで、その名残もいくつか残っている。たとえば、参加しているプレイヤーの多くは裸でパンツ一丁スタイルが多い。課金することで装備を購入することもできるのだが、無課金ユーザーが多いということなのだろう。
マップ上で入手できるアイテムの中には、頭にお椀を載せただけのような見た目のヘッドアーマーや天使の輪っか、体力を徐々に回復してくれる「再生の点滴バッグ」などユニークなものもいくつか用意されている。中には、月面でジャンプするかのように大幅にジャンプ力を強化してくれるものなどもあり、プレイする度に新しい経験ができるところも楽しい。
敵を倒すと「魂」を集めることができる。これを消費して、特殊な能力を発動することも可能だ。獣のように4足歩行になって近接ダメージをアップする「ビーストモード」や、時間の流れを遅くして弾を当てやすくする「バレットタイム」といったキャラクター固有のものに加えて、ゾンビがパルス外から湧いてくるものなどアイテムで発動できるものもある。
ゲームプレイで集めた材料を元に、メニューの「キッチン」で装備品やこうした特殊能力をアンロックしていくことも可能だ。半径10メートル内の金貨の場所がわかるといった感じで、装備品自体にも特殊な能力が設定されている。
アンロックするにはかなりの時間が掛かりそうだが、なかでもユニークなものが昼夜を逆転させる「日食の儀式」だ。この儀式が行われている間は周りが暗くなり、かなり見えにくくなる。しかし、ナイトマスクなどを装備していれば、近くにいる敵を視認でき、いともたやすく倒すことができるのだ。
こうした特殊なアイテムや技などを駆使することで、形勢が不利な状況でも逆転することができるのである。
実は本作を最初にプレイしたときに、練習モードで操作系を確認したあとで参加したのが分隊だった。といっても、仲間はひとりで実質的にはデュオだったのだが、なんとこれがいきなり勝利してしまう。
自分自身は特に何もしておらず、ひたすら仲間の後を付いていっただけなので、ビギナーズラックだったのかもしれない。これは例としてはいまいちではあるが、たとえ射撃が下手で敵を倒すことができなくても勝てるのがバトロワ系ゲームの面白いところだ。
先ほどのアイテムが拾える場所の共有もそうだが、味方が敵の銃弾でダウンしているときに近づいて起こしてあげることもできる。また、味方が死んでしまった場合でも魂を拾い上げて、焚火のある場所に持って行き復活させることも可能だ。チーム戦ならば、味方のサポートに徹するだけでもある程度役に立つことはできるのである。
ちなみに、初戦で勝利するといきなりレベルが1から7まで上がっていった。その報酬でマスクやパンツなどもゲットできたということもあり、味をしめてゲームにハマってしまった。
本作では、チャレンジに挑戦して報酬をゲットしたり、実績を解除していくことで経験値がもらえたりする。最初のうちは、こうした目標をクリアしていくことを目指すのもいいかもしれない。
バトロワというジャンルが定着してからしばらく立つが、こうしたサクサク遊べてそこそこ本格的な、ちょうどいいバランスのゲームにはなかなか出会うことができない。初心に返ってもう1度バトロワゲームを遊んでみようと思っている人にとっても、ちょうどいい感じのタイトルに仕上がっている。日本でも正式にサービス開始されるこのタイミングで、ぜひ遊んでもらいたい作品だ。