カプコンが2021年3月26日に発売予定のNintendo Switch用ソフト「モンスターハンターライズ」および2021年夏に発売予定の「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」。期待の2タイトルについて、「モンスターハンター」シリーズプロデューサーの辻本良三氏、「モンスターハンターライズ」のディレクターを務める一瀬泰範氏にインタビューを実施した。

目次
  1. 「モンスターハンターライズ」はSwitchに特化して開発
  2. 「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」大人から子供まで楽しめるRPG作品に

「モンスターハンターライズ」は、「いつでも、どこでも、誰とでも、気軽に楽しめるモンスターハンター」をコンセプトとしたNintendo Switch用ソフト。狩猟に新風を巻き起こす、縦横無尽に躍動するアクション。思いのままに翔けあがれる、新たなハンティングフィールド。そして、未知の興奮や驚きをもたらす、全く新しいモンスターたち。災禍「百竜夜行」に挑む「カムラの里」を舞台に、かつてない狩猟体験がハンターたちを待ち受ける。

「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」は、「モンスターハンター」シリーズから、おなじみのモンスターが多数登場する「モンスターハンターストーリーズ」の次なるタイトル。すべてのリオレウスがどこかに消えてしまった世界で、偉大なライダー「レド」の血を引く主人公と、タマゴを託された竜人族の少女が出会い、「破滅の翼」をめぐる壮大な物語が幕を開ける。

今回、まだ発表されたばかりの2作品について、インタビューを実施。「モンスターハンター」シリーズプロデューサーの辻本良三氏、「モンスターハンターライズ」のディレクターを務める一瀬泰範氏に話を伺った。なお、今回のインタビューは、新型コロナウイルス感染症に配慮し、オンラインで実施されている。

左から一瀬泰範氏、辻本良三氏

「モンスターハンターライズ」はSwitchに特化して開発

一瀬泰範氏
一瀬泰範氏

――「モンスターハンターライズ」は、久しぶりに皆で集まって遊べる「モンスターハンター」ということですが、開発コンセプトを教えてください。

辻本氏:携帯機でも「モンスターハンター」を遊びたいというお声を沢山いただいていたということもあり、“携帯機で遊べる”という部分はかなり意識しています。キャッチコピーにもなっている「いつでも、どこでも、誰とでも」というのは本作の1つのテーマで、コンセプトとしてもそこがスタート地点になっています。そのうえで本作は「モンスターハンター」チームとしては初めて「RE ENGINE」で開発を行っているので、色々な検証と並行しながら開発を進めてきました。

一瀬氏:僕としては「モンスターハンタークロス」の開発が終わったあたりで、辻本から「携帯機向けのタイトルを何かつくろうか」と言われました。当時はSwitch用の開発機材も無かったので、3DS上で検証などを行っていましたね。「モンスターハンターダブルクロス」のサポートに回りつつ、その裏で企画や検証を進めていた感じです。

「モンスターハンターダブルクロス」や「モンスターハンター:ワールド」の開発が進行している最中ではありましたが、Switchとしての遊び心地の良さは、かなりこだわって作っています。

――「モンスターハンターライズ」は、これまでのタイトルとかなり毛色が違う印象で、特にモンスターや世界観には「和」のテイストが盛り込まれていますよね。

一瀬氏:好きだったからというのはあります(笑)。「モンスターハンターポータブル 3rd」の時に一度、アジアンテイストな世界を作ってはいましたが、その後は異なる世界観が続いていました。あれから大分時間も経ちましたので、表現できる幅も増えた今、また「和」の世界観を作ることで異なる見せ方もできるかなと考えました。

――「和」という部分に関連して、本作に登場するモンスターたちはPVの演出のせいかもしれませんが、ある種の怪異のような印象を受けました。本作では、モンスターたちの生態はこれまでと異なっていたりするのでしょうか?

一瀬氏:基本的な「モンスターハンター」のモンスターとして、あの世界に住んでいる生き物というスタンスに変わりはないです。ただ、せっかくの和風な世界観なので、モンスターたちのキャラをもっと立たせたいと思い、妖怪をモチーフにモンスターを作るのも面白いかなと、試した部分はあります。なので、本当に妖怪だったり幽霊だったりするわけではなく、あくまでそういった生き物という立ち位置ですね。

――なるほど、じゃあ剥ぎ取りなども今まで通りできそうですね。

一瀬氏:そうですね、実体があるのでちゃんとできます。

昔の人たちが想像した妖怪や幽霊も、自然現象や生き物の見間違えだったりするわけじゃないですか。「モンスターハンターライズ」の世界では、妖怪や幽霊の正体は実はモンスターだった、という形に落とし込めると面白いんじゃないかなと思ってモチーフにしています。本作には、既存のモンスターも登場しますが、彼らにも色々なモチーフの妖怪を当て込んでいたりします。

――これまでのシリーズでは、ハンターは掛け声のような形でしか喋ることはなかったと思いますが、本作ではきちんとセリフを喋っているように感じました。

一瀬氏:新しい試みとして、ゲーム中にもそういった要素を取り入れてみようと、サウンドチームからの提案もありチャレンジした部分です。プレイヤーのプレイスタイルも変わってきているため、自分のキャラクターに個性を付けたいという方のための施策です。ただ、従来の方が良いという方もいると思いますので、ボイスはオプションで調整できるようにしています。

――本作の目玉要素として、「モンスターハンター」ではこれまで登場しなかった犬をモチーフにした新オトモ「ガルク」が登場します。こちらを今回登場させるに至った経緯を教えてください。

一瀬氏:オトモ「ガルク」も、何かしら遊びの変化を付けたいなと思って追加した要素です。ハードが変わるタイミングでもありましたし、昔からアイルーだけでなく、犬のオトモも欲しいという声はとっても多くいただいていたので。そこで犬っぽい生き物のガルクとアイルー、それぞれで異なる遊びが成立しないかと考えたのがきっかけでした。

――PVを見ていると、ガルクは凄く便利そうですよね。本作ではマルチに連れていけるオトモは一匹だけということでしたので、アイルーの立ち位置が危ういな、なんて思ったりします。

一瀬氏:それぞれの詳細を発表できていないのですが、アイルーは回復や罠などのサポートに特化しているんですよね。ゲームの攻略や用途次第で、連れていくオトモを変えてもらうのがいいかなと思います。例えば4人パーティーなら、どのプレイヤーがどのオトモを連れていくかで戦略も変わりますし、もちろん犬派・猫派で選んでもらってもかまいません。

これまでは、エリア間は特定の道を通らなければ移動できませんでしたが、本作にはモンスターが通らないサブエリアというものも存在して、ガルクや「翔蟲(かけりむし)」を使ってショートカットすることも可能なんですよ。なので、ガルクを使って逃げるモンスターを追いかけるのもいいですし、アイルーのサポートで回復などのフォローをしてもらってもいい。プレイヤーによって様々な選択肢ができるんじゃないかなと思います。実際、開発内でもガルク派とアイルー派で結構割れていて、攻略方法やルートなどが全然違うのはかなり面白いですね。

――アクション面では「翔蟲(かけりむし)」を使ったアクションが衝撃でした。「モンスターハンター:ワールド」ではクラッチクローというシステムがありましたが、翔蟲はそこから着想を得て作られたのでしょうか?

一瀬氏:実は「モンスターハンター:ワールド」の方のシステムを知らなかったんですよ。ほぼ同時期に進行していたので。「モンスターハンタークロス」「モンスターハンターダブルクロス」で従来のアクションとしての遊びはある程度完成したと思っていて、そこで何かしらアクションを変えていきたいね、という話から、より自由度の高い翔蟲が生まれました。

――クラッチクローが翔蟲に、モンスターライドがガルクに進化したのかな、と予想していたので、かなり意外です。ということはプレイフィールも全然違ったものになりそうですね。

一瀬氏:そうですね。やろうとしていることの見せ方が多少似ているかもしれませんが、最初のコンセプトが全然違いますので、遊び心地はタイトル毎に変わっているはずです。ガルクが決まった後くらいに、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」の担当から、「モンスターに乗るやつ作りますよ」っていうのを聞いたので、それぞれのタイトル毎に乗ることの楽しさを落とし込めたらいいんじゃないか、という話はしていました。

「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」大人から子供まで楽しめるRPG作品に

辻本良三氏
辻本良三氏

――では続いて、「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」についてもお聞かせください。本作は、前作「モンスターハンターストーリーズ」から、かなり期間をおいて発表されましたが、開発に至った経緯などを教えてください。

辻本氏:「モンスターハンターストーリーズ」をプレイされた方から続編を遊びたいという声はいただいていたのですが、いざ開発が決まった時に方向性を改めて考えたんですよね。本作は、より幅広い方にプレイしてもらえるタイトルにしていきたいという想いがありまして、そこの検証はかなり長い期間をかけて行ってきました。その甲斐あって、子供から大人まで幅広い方にプレイしていただけるタイトルになっているんじゃないかと思います。

――公開されたPVや「その絆が世界を破滅させる」というキャッチコピーからも、結構シリアスな内容になりそうだな、というのは少し感じました。

辻本氏:まだ詳しくお話はできないのですが、ストーリーはご期待していただきたいポイントです。

――本作はまだ詳しい情報が明らかになっていないタイトルですが、前作「モンスターハンターストーリーズ」の続編となるのでしょうか? 世界観の繋がりなどはありますか?

辻本氏:シナリオに関わる部分なので詳細はお話できませんが、1つだけ言えることは、前作を遊んでいないと本作のシナリオがわからないという作りにはしていません。「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」からプレイしていただいても楽しんでいただけるように制作しています。

一瀬氏:僕は前作を遊んでいた側の人間ですが、ちゃんと楽しめますか?

辻本氏:大丈夫です!

一同:(笑)

辻本氏:当然、前作を遊んでくださった方が楽しんでいただける内容にもなっています。

――PVにはアンジャナフなど最新のモンスターたちも登場していましたが、登場モンスターはどれくらい増えますか? また彼らもオトモンになって一緒に戦うのでしょうか?

辻本氏:アンジャナフもオトモンにできます。今作では前作よりさらに連れていけるモンスターの種類も増えています。

――「モンスターハンターライズ」との連動要素もあるそうですが、マガイマガドなどの新モンスターも……?

辻本氏:そこはまだ秘密にさせてください。ただ「モンスターハンターライズ」と「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」の連動要素は、どちらかのタイトルを遊んでいるとどちらかのタイトルでちょっと良いことがあるので、楽しみにしていてください。

――わかりました。それでは最後に、「モンスターハンターライズ」「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」について、読者の方へメッセージをお願いします。

一瀬氏:「モンスターハンターライズ」は、先日発表したばかりで詳しくお伝えできていない情報やシステムが多々ありますので、続報を楽しみにしていてください。本作はプレイヤーの方からポジティブな反応をたくさんいただいており、開発一同それを励みに、残りの開発期間でより良いものを作っていきますので引き続きよろしくお願いします。

辻本氏:「モンスターハンターライズ」も「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」も、今月発表したばかりで、まだ情報をお出しできていない状況です。TGSでも配信という形で発表させていただきましたが、世の中がこのような状況ですので、今後も配信中心の発表が多くなると思います。リアルイベントなどができなくても、皆さんにしっかりと情報をお届けしていこうと思いますので、そういった意味では今まで以上にSNSなどを定期的にチェックいただけると助かります。

「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」に関しては、RPGということでアクションではない「モンスターハンター」になります。「モンスターハンター」をプレイされている方は、あの世界観をRPGとして楽しんでいただけますし、「モンスターハンター」を遊んだことが無い方でも、RPG好きな方には絶対にプレイしていただきたい作品に仕上がっていますので、今後の情報に注目していただき、ぜひ両タイトルとも遊んでください。

――ありがとうございました。

※画面は開発中のものです。

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