カプコンが2020年10月26日に配信予定のiOS/Android向けアプリ「ロックマンX DiVE」。「ロックマンX」シリーズ最新作となる本作のインプレッションをお届けする。
本作の舞台は、さまざまなゲームデータが保存された電脳世界“ディープログ”。この世界に保存されている「ロックマンX」のゲームデータが原因不明のバグによってメチャクチャになってしまう。プレイヤーはナビゲーターのリコに導かれて「ロックマンX DiVE」の世界へと飛び込むことに。
本作がこれまでの「ロックマンX」シリーズと異なるのは、プレイヤーがエックスではなく「ロックマンX」をプレイしている人間であるということ。まさに自分自身のことであり、シリーズをプレイしている人間であればあるほど感情移入できるものになっている。
ナビゲーターのリコも同じで「ロックマンX」シリーズをゲームと捉えており、プレイヤーにメタ的な発言をしてくる。これはかなり思い切った設定で、最初は面を食らってしまったものの、SF作品であればポピュラーな設定であるし、すぐに受け入れることができた。
軽々しく第4の壁を乗り越えてくるリコという存在は、これまでのシリーズになかったもので、新しい風を吹かせてくれるキャラクターになるのではないかと感じさせてくれた。愛嬌のある明るい性格も魅力的だ。
ゲーム部分に関しては2Dのアクションゲーム。ダッシュジャンプや壁蹴りなど、「ロックマンX」でおなじみのアクションは本作にしっかり搭載されている。
トロッコに乗って進むステージや、シリーズおなじみのライドマシンに騎乗できたりとステージごとのギミックも多い。
また、「ロックマン」シリーズといえば倒したボスの技を使えるのが魅力だが、本作でも手に入れた“BOSSチップ”を装備することで多彩な技が使えるようになる。
操作できるキャラクターはエックス以外にも多彩なキャラクターが登場。それぞれが固有のスキルを持っており、攻撃は得意ではないがバフ&デバフが得意なシナモンやスピードがウリのマリノなど、キャラクターによって使い勝手は異なる。
マリノは「ロックマンX コマンドミッション」のキャラクターだが、「コマンドミッション」以外にも初代の「ロックマン」や「ロックマンゼロ」、「ロックマンゼクス」などのキャラクターが参戦しており、さまざまな世代の「ロックマン」ファンに刺さる作品になっている。各キャラクターの3Dモデルはしっかり個性が反映されているし、声優陣もオリジナルに忠実なので原作へのリスペクトを感じることができた。
アクションに関しては、筆者はスマートフォン版の「ロックマン」シリーズや「ロックマンX」もプレイしているのだが、これらは当時を懐かしく感じることができるものの、操作性からやり込むことは難しかった。
しかし、本作は最初からスマートフォン向けに開発されており、バーチャルパッドとボタンの組み合わせで操作しやすく設計されている。レベル21に到達するまでは、その場でコンティニューがアイテムを使わずに無限にできるのでアクションが苦手な人も安心だ。また、本作はBluetooth対応コントローラーで遊ぶこともできたので、より快適な環境を求める人はこちらも検討して欲しい。
武器はボタンを押し続けることで連射することができ、敵を自動でロックオンしてくれるため、爽快感がある。弾切れになるとリロードがあるが、武器は複数のものを切り替えることができるので、うまく切り替えることでリロードの隙を減らすことも可能。
なお、ランクの優劣自体はあるものの、強力な武器であっても弾数が少なかったりと武器間のバランスは取れており、ゴリ押しだけでは進めないようになっている。
また、本作はほかのソーシャルゲームと同じように多彩な育成要素が存在。アクションが苦手であっても武器やアーマーを強化することでカバーすることが可能だ。とはいえ、武器やアーマーの強化はプレイヤーランクと同じレベルまでしか上げることはできないので、バランスは大きく崩れないようになっている。
なお、プレイヤーレベルはステージをクリアしたりデイリーミッションをクリアしたりすることで上げることができる。コツコツとレベルを上げていくのはRPGのようでもあり、これまでの「ロックマンX」とは異なる楽しさがあった。
各ステージには「300秒以内にクリア」などといった星獲得条件があり、すべての星を獲得すれば“スキップダイヴ”というアイテムでステージのスキップが可能になる。最近のスマートフォンゲームではポピュラーな仕様だが、本作でも活用することで報酬をスピーディーに獲得することができる。
ステージに関しては、これまでのシリーズに登場したものが採用されており、ファンならニヤリとできるはずだ。本作で初めて挑戦するステージが「ロックマンX」の最初のステージという部分にも、心を掴まれた。
そんな中、バグの影響によってオリジナルとは異なるボスが登場することもあり、そういったサプライズも本作の魅力だ。なぜ「ロックマンX」の世界が壊れてしまったのか、というストーリーの謎とともに、シリーズファンを楽しませてくれる要素になっている。
今回は先行ビルドということでしっかりやり込むことはできなかったが、本作には対戦モードも用意されている。「ロックマンX」のキャラクターで対戦が楽しめるというファンにとっては夢のようなコンテンツ。正式リリース後は、こちらも楽しめそうだ。