3gooより2020年11月5日に発売される、Nintendo Switch用建築シミュレーションゲーム「コンストラクションシミュレーター 2&3 ダブルパック」のメディア向け体験会が行われた。
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本作は、PC版でのみリリースされた「コンストラクションシミュレーター 2015」に続き、2018年に家庭用ゲーム機に発売された「コンストラクションシミュレーター 2」と、最新作である「コンストラクションシミュレーター 3」の2本をまとめてパッケージ化した作品だ。
「2」は広大なアメリカ、「3」ではヨーロッパがそれぞれの舞台となっており、内容自体に大きな変化はない。だが、ゲーム内に登場する車両メーカーは、「2」の34台から「3」では55台と増えおり、ゲーム内で体験出来る作業も多用化している。また、ロケーションも増えており、さらに長く楽しむことができるようになったといった感じだ。
ゲーム内容は、建築会社運営シミュレーションになっており、単純に車両をシミュレートしたゲームとは少しニュアンスが異なる。仕事をこなしていくことで報酬を稼ぎ、新たな機材を手に入れたりレンタルするなどしたりして、新しい仕事に挑戦していくといったサイクルを繰り返していくことになる。
基本的に、仕事の契約から機材の調達、現場への車両の運搬、資材仕入れ、資材の搬入などひと通りの作業をすべてひとりでこなしていくのだが、資金に余裕があれば現場に届ける部分を省略することも可能だ。
受託する案件には、造園や自宅の建設、道路工事、壮大な橋の工事など建築に関する仕事の一部に関わることができる。当たり前のことだが、実際のビルの建築現場などでもひとつの会社でビルを建てるということはなく、概ね会社ごとに分担作業となっている。その点に関しては、本作でも同様だ。そのため、よりリアリティを感じることができるというわけである。
ゲームの発売に先駆けて、メディア向け体験会が実施され、ひと足お先に本作をプレイすることができた。また、この体験会では、アジア最大の建築機械総合研修センター「D-Tech Center」で講師をしている中理絵氏をゲストに招き、ゲームをプレイしながらのデモが行われた。
ちなみに今回中氏に依頼した理由は、業界の専門家なら上手くプレイ出来るだろうと考えたからだそうだ。もちろん中氏はゲーマーではないのだが、それでもこの作品では実機での経験が活かせるという。というわけで、今回はその模様も交えながら、ゲームに登場する車両の特徴や実機との違いなどもレポートしていく。
採掘現場などで大活躍の車両「CAT 950M ホイールローダー」
「CAT 950M ホイールローダー」は、前面にバケットがあり、それを使ってすくった土や土砂をトラックに積み込むときに使われる車両である。また、土をすくったままの状態で運ぶこともできる。国内の現場でも、採石場などで一般的使われている機材のひとつだ。
国内で販売されている車両の多くはハンドルが付けられているが、キャタピラー社の車両では、レバーステアリングが採用されている。レバーステアリングのメリットは、切る角度が少なくとも簡単にステアリングが切れるところである。ハンドルがない分視界もいい。ちなみに、ハンドルが付いている車両では、ひたすら片手でハンドルを回しながら操作するため、作業負担も大きいそうだ。
ゲームでは割と速度が出やすいのだが、実際は20キロ以上出すことはほとんどない。この車両に限ったわけではないが、バックするときはランプも付く。ゲーム内では、割と時間の進みが早く、すぐに日が暮れて辺り暗くなってしまう。そんなときは、ライトを点灯して作業を続ければOKだ。
カメラのアングルはいくつか選べるが、デフォルトで選ばれているのが「追跡カメラ」だ。こちらは、バックのときに180度カメラの向きが反転してしまうなど、若干癖がある。右スティックを押し込むことでカメラ操作ができるので、そちらと組み合わせて操作するようにするといいだろう。
実際にゲームをプレイしてみるとわかるが、こうしたバケットが付いた車両は、すくうときの角度が重要だ。なるべく水平になるようにしてからでないと、上手くいかないことが多いのである。バケットが下に行き過ぎてしまうと、地面を削ってしまうというわけだ。ちなみに、本物の車両には目印になるポジショナーが付けられているが、残念ながらこのゲームにはないのでカメラアングルを変えながら確認する必要がある。
ゲームのコックピットビューではタイヤは見えないが、実際のオペレーターはタイヤの位置と積み込む側のトラックのタイヤの位置を確認しながら、ぎりぎりまで車両を付けてから積みこうという作業をおこなっているそうだ。その点、ゲームではいつでもカメラ視点を切り替えることができるので、ありがたい仕様ともいえる。
現場で最もポピュラーな車両「CAT 349F 油圧ショベル」
世界中でよく使われており、日本でも資格を持っている人が多い車両が「CAT 349F 油圧ショベル」だ。作業装置は最大まで上げると、10メートルほどになる。足まわりは、キャタピラーとも呼ばれることが多い無限軌道だ。ちなみに「キャタピラー」はキャタピラー社の登録商標である。また、日本ではタイヤが付いたものは販売されていないそうだ。
操作は、左右のレバーキーで調整を行いながら土をすくっていくのだが、コックピットビューでは実機を操作しているような感覚で中氏のデモを見ることができた。
ちなみに普段こうした車両になじみのない一般人にはわかりにくいが、左右のレバーの役割としては、自分の腕をイメージするのがいいという。肩から肘までがブーム、肘から手首までがアーム、手ですくう部分がバケットにあたると考えると理解しやすいというわけだ。
なお、このレバーの制御は実機では国内で4パターンある。今回はその中から共通パターンの「JISパターン」を選んでいる。こちらはゲームの「設定画面」にある「油圧制御」から、「ISO」を選択することで設定が可能だ。
土管などをつり上げるときは、日本ではフックが取り付けられておりそれを使用して引っかける形だが、このゲームは海外仕様ということもあり、そのままバケットのツメ先に引っかけて持ち上げる方式になっている。
キャタピラー社のトレードマーク的車両の「CAT D8T ドーザー」
「CAT D8T ドーザー」は、キャタピラー社のマークにもなっている三角形のキャタピラーが付いていた車両だ。この三角形は同社の特許でもあるため、他社にはない特徴でもある。駆動部分が上部にありメンテナンスがしやすい。壊れたときのオーバーホールも行いやすい作りになっている。また、運転席が高いところにあるため、視認性もいい。とはいえ、コックピットビューでは前があまり見えないため、実車の場合はブレードの操作や調整は、ある程度感で作業していくという。
ブルドーザーは下から突き上げてくる振動が大きいのだが、オペレーターの負担も大きい。しかし、この車両はその下からの突き上げが少ないというのも特徴のひとつである。最近はダム建設など大きな現場がないため、出番は少なくなってきているそうだ。いかにも重機といったスタイルの車両でもあるため、ぜひとも乗りこなしたい。
地面を押し固める「CAT CS56B コンパクター」
「CAT CS56B コンパクター」は、地面を押し固めるときに使用する車両だ。ブルドーザーで土地をならすと足跡が付くので、こうした車両を利用するのだという。重いコンダラ・・・・・・ではなく、整地ローラーのように重さで押し固めていくのではなく、ローラー部分が振動することで固めていくといった仕様になっている。
実際に作業を行うときは、振動しているローラーを引きながら移動するといった感じだ。コックピットビューにするとわかるが、足下にはなにもなく、レバーを倒した量で速度が変化する。他の車両と比べて複雑な操作はないため、オペレーション自体は簡単な部類だ。
中氏によると、ゲームと実機との違いは、やはりコントロールする部分の大きさだ。コントローラーだけ操作するゲームとは異なり、実車ではレバーを使って操作するほか、手元にある装置を使うことが多く、全身を使用して動かしている。また、振動や機械の負荷を感じて操作することも多いため、そこも異なるという。ちなみに、こうした車両のシミュレーターであっても振動しないことがあるため、その部分に関してはゲームと変わらない。
また、中氏は本作を始めて見たときに、国内に無い車両も含まれており、登録されているラインアップを見たときにテンションが上がったそうだ。撮鉄ではないが、世の中には工事現場を撮影にしにくるほどの重機マニアもいるそうなので、ファンなら収録されている車両の種類を眺めているだけでも楽しめそうだ。
最初は難しく感じるが習うよりは慣れろがクリアへの近道!
ここまではデモプレイでの話しだが、実際にゲームを遊んでみると想像以上に最初は難しく感じるかもしれない。基本的には、「○○に行って○○をする」といったミッションが連続している感じなのだが、たとえば土をならしてトラックに積み込むといった作業がスタートすると、細かな指示は一切してもらえない。
本物の現場でも同様なのかもしれないが、自分の中で試行錯誤しながらほどよい感覚を身につけていく必要があるのだ。経営シミュレーションのように、仕事をこなしていくことで会社を成長させていくという楽しみもあるが、ダテに「シミュレーター」と名付けられているわけではなく、それぞれの車両ごとに異なる体験ができるところが本作の最大の魅力といえるだろう。
ソフトはひとつだが、ゲーム自体は別々にインストールされ、それぞれのタイトルを選んでから起動するということができる。Switchなので、自宅だけではなく様々な場所で遊べるところも素晴らしい。最初はひとつひとつのミッションをこなしていくのも苦労するが、実際にクリア出来たときの達成感も心地よいので、重機ファンに限らずぜひ遊んでみてほしい作品である。