「Caligula -カリギュラ-」シリーズなどで知られるゲームクリエイターの山中拓也氏による、ゲームインタビュー企画「山中拓也のGamer交遊録」。第4回は声優の八代拓さんにお話を聞きました。後編ではゲームに関係のない話題も挟みつつ、幅広くキャラクターのことに触れています。

八代拓さんプロフィール

VIMS所属
誕生日:1月6日
出身:岩手県
主な出演作品:「アイドルマスター SideM」柏木翼役、 「炎炎ノ消防隊」ヴァルカン役、「遊☆戯☆王SEVENS」ルーク役、「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」十王院カケル役など

インタビュー:山中拓也
文・構成:近藤智

思い出のキャラクターは「パワプロクンポケット」温水ちよ

山中:「これは刺さった!」っていうゲームのキャラクターっている?

八代:(長考)……「パワプロクンポケット」の選手を育てる「サクセスモード」は、いわゆる「ギャルゲー」などの恋愛ゲームと肩を並べるクオリティだと思ってるんです。その中に「パワプロクンポケット9」に登場した温水ちよちゃんというヒロインがいて。ある商店街が舞台で、彼女は女優の卵として頑張っているんです。このルートの主人公は野球をしつつ、彼女の劇団のサポートをするんですよ。

「パワプロクンポケット9」
https://www.nintendo.co.jp/ds/software/apij/index.html

ちよちゃんと交流を深めていく中で彼女の家に行くんですけど、お金がないからシンクにお湯をためてお風呂代わりにするという描写があるんです。今思えば、僕も役者ですから彼女は素晴らしい女優魂の持ち主だという感覚になると思うんですけど……当時、僕は思春期の中学生ですよ。その時はもう「じゃあ今、裸なの?!」って、すごいドキドキしたんです。

山中:ここ、絶対残しましょう。すごく分かります。

八代:「パワプロクンポケット」のすごいところって、キャラクターはすごく可愛らしい頭身じゃないですか。ギャルゲーのような美しいイラストとはまったく方向性が違いますけど、ストーリーで感情をものすごく揺さぶってくるんですね。キャラクターもとても人間らしい個性があって。

山中:緻密だし、実在感がすごいんですよね。あの頭身だからこそ、実在感とのギャップで心を打たれるというか……より重く感じてしまうよね。

八代:そうなんですよ。当時は「ちよちゃんを守らなきゃ!」っていう感覚になりました。もう野球じゃなくて、ちよちゃん。「ちよちゃんを一流の女優にして、ちゃんとしたお風呂に入れるよう自分が守るんだ!」っていう。

山中:一流の女優になれば、ついでに野球の特殊能力ももらえますからね! もうそっちがついでになりますよね!

八代:色々なヒロインがいますけど、ちよちゃんが一番僕の感性に刺さったんでしょうね。中学校の卒業アルバムの将来の夢に「商店街の2階に住む」って書きましたから。

山中:影響の受け方がすさまじいね! 僕もシナリオに影響を受けている……というのはおこがましいんですが、プレイした後にキャラクターが残る感じというか、綺麗に終わったとしても何かが残ってゲーム機を離したあとも考えてしまう……みたいなものになれたらいいなっていう僕の今のテキストの理想に影響を与えた作品だと思っています。

八代:僕は「ロックマン」とか「ポケットモンスター」とかも好きなんですが、ヘビーユーザーだと自信をもって言えるのは「パワプロクンポケット」「実況パワフルプロ野球」「ウイニングイレブン」の3作なんです。きっと、自分の中でワクワクドキドキしたいんだろうなと思います。

サッカーの話をずっとしていましたけど、僕は実際に野球をやっていたのもあって、野球とサッカーは同じくらいの熱量で好きですね。「実況パワフルプロ野球」では、一番好きなモードが「栄冠ナイン」で、これは自分が高校野球の監督になるんです。最初に1年生・2年生・3年生がいて、3年生が卒業して1年生が入ってきて……というのを繰り返すので、終わりがないんです。これをゲーム内で15年くらいやりました。1年間も結構時間かかるんですけど、ちょうどよくて面白いんですよ。よく出来ている。

1年生でも能力が高い選手が入ってきたりもしますけど、基本的に1年生は何もできないですよ。ボール持てるのか、バット振れるのかというような子たちが3年生になると立派に甲子園で戦っているんです。それだけでもう監督は嬉しい!

山中:どうやればいいのかよく分からないまま遊んでも、徐々に積まれていく何かがあるよね。いや、話してて思うけれど将来、セカンドキャリアで何かしらの監督やりたいな~!

ハマったキャラクターの話だけど、これも八代くんにシンパシーを感じるところなんですよ。僕もゲームのキャラクターの初恋が「ジャスティス学園」という格闘ゲームでした。「熱血青春日記」というオリジナルの主人公を作って育てていく、「実況パワフルプロ野球」のサクセスモードのようなシステムがあるんですよ。

登場キャラクターとは恋愛のような関係にもなれるんですが、ここに風間あきらという子がいて。黒いヘルメットをかぶっていて不良高校の番長のような存在なんですが、実は行方不明の兄を救うためにやってきた大人しい女の子なんだよね。ヘルメットを外した時のギャップにキュンとしたというのは、ゲーム人生で初めてのことだったんです。「ストリートファイターV」に参戦した時はびっくりして、柄にもなく深夜にTwitterで騒いじゃいました。

八代:ゲームでキュンとくると残りますよね。

風間あきらは、「ストリートファイターV チャンピオンエディション」の
ファイナルシーズンとなる「シーズンV」で2021年夏に登場予定。
メッシ選手とロナウド選手、どちらも最高!

山中:いつもは「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」でビアンカ派かフローラ派か聞いてるんですけど、今回は特別にリオネル・メッシ選手とクリスティアーノ・ロナウド選手どっちが好きかにしましょう。まあ、推しのチームからして言わずもがなというか。

八代:そうですね。僕が「マンチェスター・ユナイテッド」を好きになったきかっけがロナウド選手ですから。「レアル・マドリード」に行った時も、「ユヴェントス」へ行った時も、彼が出ている試合は見てますし。ただ、どちらが優れているかとか、世界最高かという論争は必要ないと思います。ただ好きでいいじゃないかと。どちらもすごい選手ですから。

山中:その試合、その瞬間で違うからね。

八代:やっぱり、ここぞという時に頼ってしまう、期待してしまうし、それで決めてしまう選手ですよね。2018年に行われたワールドカップの対スペイン戦で、ポルトガル代表として1人で3点を決めてドローにするハットトリックなんて、全世界が鳥肌たったんじゃないですか。スペインが強すぎましたから、たぶん誰もがポルトガルの善戦は期待していなかったでしょう。こういうロマンの塊で、生活もストイックとか「好き!!」以外に見当たらない。ちょっと失礼なんですけど、キャラクターというか、人間味みたいなものを感じるから好きなんだと思います。

もう好きとかでなく、僕らは「ありがたい」と思うべきですよね。後になんと呼ばれるかは分かりませんが、メッシ・ロナウド時代と間違いなくくくられるでしょう。過去のマラドーナ・ペレと並び、称される時代ですよ。そこに生を受けて、彼らのプレーを見れていることに感謝……!

山中:そう、感謝! すべてのサッカー選手はもちろん、表舞台に立っている方々すべてに感謝ですよね。何かを貶めるとか、嫌いになるような暇はないわけです。その時間がもったいない。

ちなみに、僕もロナウド選手が好きです。フィジカル、特にジャンプ力が凄くて前線に放ったボールをなんとかしてくれるところが魅力的。アジリティあるドリブラー系とかもいいんですが、どっしりと前で待っていてボールが収まる選手も好きなんですよね。

八代:元イタリア代表のクリスティアン・ヴィエリ選手とか、そういうタイプですね。最近、そういうどっしり構えるポストプレイヤーのフォワード(※主に攻撃を担うポジション)って減っている気がします。今は何でも屋みたいな選手が多いというか。

山中:僕は「ザ・フォワード!」って感じの選手が好きなんで、前線にいて、あそこに収めれば大丈夫だろみたいなフィジカルのあるフォワードが好きなんです。

八代:ロナウド選手も、マンチェスター・ユナイテッドにいた頃は爆速ドリブラーでしたもんね。

山中:やっぱりドリブラーとして出てくる若手が多いから、若手のプレイメーカー(※司令塔)には注目しちゃいますね。サンドロ・トナーリ選手とか。

八代:いい選手ですよね。あとは、ジョアン・フェリックス選手とかも現代的なゲームメイカーですよ。

スポーツ選手には、ゲームキャラクターのような濃い人物が多数!

山中:「ウイニングイレブン」とか「FIFA」の話をたくさんしたけど、僕はセガさんの「サカつく(プロサッカークラブをつくろう!)」シリーズも好きなんですよ。PSPで出たタイトルなんかゲーム内時間で200年くらい遊んでた。

八代:やってた、やってた。僕もPSPのタイトルを遊んでました。

山中:とりあえず、J2のセレッソ大阪から香川真司選手と乾 貴士選手を獲得するところからスタートですね。

八代:より現実的ですよね。クラブを管理しないといけないので、資金とかも考えないといけませんし。

山中:僕らが「ウイニングイレブン」のマスターリーグというシンプルなシステムで楽しんでいる妄想みたいなものが「サカつく」では実際にイベントとして発生しますからね。だからコンシューマの「サカつく」を待ってますよ。

八代:僕も「サカつく」と、あと「パワプロクンポケット」の次を待ってるんですけど……これはもう難しいと思うんですが……。今気づきましたけど、コナミさんのゲームばかり遊んでますね。

山中:スポーツゲームといえば、というメーカーさんだしね。それにしても、スポーツゲームの記事ってちょっと珍しいかもね。現実のスポーツとも切り離せない話題だから、扱いが難しいところでもあり。

八代:でもゲームで、とくにキャラクターが立っているゲームが好きな人はスポーツゲームってすごくハマると思うんですよ。スポーツ選手のキャラクターの面白さと、そこから広がる想像の面白さはすごい。

山中:二次元のキャラクターとはまた違った、凄まじい密度がありますからね。設定がものすごくしっかりしていて、テンプレにまず収まりませんから。

八代:「こんなキャラクター、二次元にもいなだろ?!」っていう人が実際にいますからね。めちゃくちゃ期待されていたのに、自宅で花火をして厳重注意を受けるとか……マリオ・バロテッリ選手のことなんですけど。

山中:先輩の家の家庭菜園に入って、勝手にプチトマト食べたアントニオ・カッサーノ選手とかね。調べれば調べるほど萌えに繋がりますし、愛着をもってサッカーとかスポーツに触れるとまた感じ方も変わると思いますよ。

八代:ドラマが起きているのはフィールドだけでもないですしね。審判にもあるし、突き詰めていくと奥深いですよ。

山中:とはいえ、彼らは二次元のキャラクターではなく実際の人間ですからプレイヤーとして残された時間はすごく限られているんですよね。サッカー選手なんて選手生命でいえば10年くらいで、その10年でどんな軌跡を描くか注目するのは好きなキャラクターを追いかける感覚によく似ていると思います。キャリアハイが怪我で終わるとか当然のようにありますからね。現実というコンテンツも、ゲームと同じくらいおすすめですよ。

八代:スポーツゲームに感じる魅力も、さらに深みが増すと思います!

山中:もし「サカつく」に新作が出たら、お互いにチームを見せ合って「ムフフ……」と楽しみましょう。今はどうしても最適解が共有されやすいので、キーとなるキャラクターがいないとスタートですらないみたいなところありますからね。

八代:オンラインになると、どうしても使えるか、使えないかみたいな風潮になりやすいですよね。そこで「あなたが使うか、使わないかでしょ!!」って思っちゃって。もちろん勝つためには必要なことなんでしょうけど、うまい人が使っていたからとか、強いからだけじゃなくて、好きな選手、使いたい選手を使って楽しむのも面白いですし。

山中:極端な話ですが、僕らは勝ち負けどうでもいいですからね。負けすらも僕らにとってはドラマの一部ですから。負けてもグッドゲームはありますし。

八代:RPGとかアクションでは要所で勝たないと先に進めませんけど、スポーツゲームは負けても先がありますからね。

山中:負けて悔しいという気持ちは当然ありますけど、負けだからこその気持ちよさもある。この強い相手に、自分のひらめきや戦術でここまで善戦できたぞという快感がありますよね。とはいえ、オンラインだとやはり勝ち負けへのこだわりも大きいから手を出すのはちょっと怖いんだけど。

八代:ただ、オンラインはスポーツらしい楽しさを得られますよ。最近はAIも進化していますけど、でもやっぱりCPUってクセがありますから限度がありますよね。最近オンラインを始めて、相手が人だからこその面白さが少し分かりました。プレーにちゃんと感情があるんですよ。

例えば、CPUなら1点取られたからって焦るなんて絶対ないじゃないですか。でも人が相手だと、1点取られるとプレーが変わる。その面白さはオンラインじゃないと味わえないなと。eスポーツ的な側面も強いので、ある程度はこの選手がいないと、このフォーメーションじゃないとって束縛がないわけじゃないんですが、趣味で遊ぶ分には面白かったです。

山中:いわゆるテンプレートではない、こだわりのあるチームを組んでいる人に出会えた時の喜びは大きいだろうね。例えば特定のクラブ出身の人だけを集めるとか、コンセプトを持ってチームを組んでいるような人と出会うとすごく嬉しくなる。

八代:そうなると、選手だけじゃなくてその向こうにいる名前も知らないプレイヤーのキャラクターが想像できますよね。「この人、面白いな」って感じる。

山中:スポーツで熱狂している人たちも、ゲームで熱狂している人も、お互いに「何が楽しいんだろう?」って同じことを感じていると思うんですよ。そこからちゃんと知っていくと、色々なものが広がるんじゃないかなと思います。

八代:僕は役者ですから、いわば「作りもの」と向き合っていて。より良いものを追求してるつもりですけど、どうしても「これは勝てないな」って思わざるを得ないような出来事が起こるのがスポーツなんですよね。とくにリアルタイムで見ていると、より強烈に焼き付くんですよ。

プロ野球でいえば、僕は巨人の亀井善行選手が好きなんです。2017年にあった巨人対ロッテの試合で、亀井選手は少し調子が悪くて何度も凡退するんです。それも前のバッターが敬遠されて、自分に回ってきて凡退というバッターとして一番悔しい状況で。それが2回も続いて、試合も延長戦。ファンは「亀井選手が打ってくれれば、もう試合が決まっていたのに」と思ってしまう。

その延長戦で、やっぱり亀井選手の前の打者が敬遠される。2018年に「申告敬遠」というルールができて、今は敬遠の申告をすると投球せずに打者が一塁に向かうんですね。フォアボールにする必要がなくなったんですけど、この頃はまだ違いますからピッチャーがボールを投げるんですよ。その様子を、次の打者が待機するネクストバッターサークルで亀井選手がじっと睨んで見ている。見ていた側の勝手な想像ですけど、こんな屈辱もないだろうと。

山中:「亀井選手なら絶対に抑えられる」と思われてるわけだからね。

八代:しかも3回目ですからね。見ている側も心臓バクバクなんですよ。カメラも亀井選手を映していて。それから打者が一塁へ行って、亀井選手がバッターボックスに入るんですけど、空振りや見逃しもあって、実況も神がかった中で最後はパーーンとサヨナラホームランで終わる試合があったんですよ。

その後、東京ドームはめちゃくちゃ盛り上がってたんですけど、亀井選手はすごくクールにマウンドを一周するんです。やっぱりベテランだし、責任も感じてただろうから喜んでいられない気持ちが強いのかなと思ったんですよ。でもホームベースに戻ってきた亀井選手はめちゃくちゃ男泣きしていて、僕も画面を見ながら泣いてて。こんなの漫画でも無理だろうと。

山中:漫画だったら「ベタすぎ!」って言われるよね。でも、そういうことが現実で起きるのがスポーツなんだよね。

八代:もう未だに忘れられないですね。そういうのがスポーツだと結構起こるので、羨ましくもあり……。

山中:僕もストーリーを書く側の人間ですけど、現実とすごく近いところで起きているあの破壊力はなかなか真似できないですね。もちろん、そうした感動を目指しているところではありますが。

僕はもともと何かを見ても、まずメカニズムを考えてしまって。「こうきたから、この感動があるんだな」とか考えてしまって、あまり泣かないんですよ。それでも号泣したのが、超強豪のガンバ大阪がJ2に落ちるという屈辱的な出来事が起きた数年前の試合です。スポーツにはもともとのクラブに所属したまま、一時的にほかのクラブへ移籍する「レンタル移籍」というシステムがあって、この時はガンバ大阪からその試合の対戦相手だったジュビロ磐田へ菅沼駿哉選手がレンタル移籍していたんです。

この菅沼選手はずっとガンバ大阪一筋で頑張っていたんですけど、自分が選手としての責務を果たして試合に勝つことが、自分にとっての故郷であるガンバ大阪をJ2に落とすという結果になってしまった。試合が終わって、当然ガンバ大阪のサポーターは泣き崩れるわけです。そこで菅沼選手も、ガンバ大阪のサポーターへ泣きながら謝りに向かう。それに対し、サポーターは菅沼選手へ拍手をおくる。もうドラマですよ。僕らはテレビ越しでしか知らないわけですが、そこに至るまで「きっとこうだったんだろう」と想像しますから。

八代:それは素晴らしい、スポーツならではの素敵な光景ですね。

デビュー間もなく演じた「白猫プロジェクト」ダグラスへの想い

山中:自分が出演したゲームで、思い入れのある作品とかにも触れていきたいんですが……そもそも自分が出演したゲームって遊びますか?

八代:結構遊びますよ。もちろんどれも思い出深いんですけど、ひとつ挙げるなら「白猫プロジェクト」ですね。「白猫プロジェクト」と言えば、多くの方が「ああ、あのゲームだね」となるくらい大きなタイトルだと思うんですが、リリースされた当時は同じコロプラさんの「魔法使いと黒猫のウィズ」とかは知っていても「白猫プロジェクト」はよく知らないという状況だったんです。

僕が演じさせてもらったダグラスというキャラクターは緑色の長髪で、兄貴肌のカッコイイ剣士なんですけど、まだデビューして1年目ぐらいの頃にいただいたお仕事でした。アプリのゲームでしたから攻撃とかダメージとか、いわゆるシステムボイスだけかと思っていたんですけど、悪者に捕まった姉を助けるというようなストーリーもちゃんとあって、すごく嬉しかったんですよね。

それから「白猫プロジェクト」をダウンロードして遊んでいたんですけど、当時は最高レアリティの星4のキャラクターはすごく手に入りにくいですし、レベルアップさせるのも大変だったんです。収録時は知らなかったんですけど、ダグラスはそんな中で星4の配布キャラクターとして登場しました。専用クエストを周回して得られるポイントのようなものを集めれば誰でもレベルを強化できたし、すごく強い。そんなこともあって、プレイヤーは配布に大歓喜でした。

山中:一番たくさんの人に触ってもらえるキャラクターになったんだね。

八代:ほとんどの人が触れていると思います。その頃「ダグラスのおかげでクリアできました」というお手紙もいただいて、そうした経験がなかったからすごく嬉しかったんですよね。自分の演じたキャラクターを動かして、クエストをするのもむずがゆいけど嬉しいです。

そんなこともあってプレイヤーの皆さんにはダグラスを認知してもらっていた中、2015年の夏に1周年を記念したイベント「白猫フェス2015」へ登壇させていただいたんです。その登壇した理由が「Brave The Lion2(ダグラス2)」というゲーム内イベントの告知のためだったんですよ。

確かにダグラスのストーリーってすでに結構あったんですけど過去が分かるわけでもなく、あくまで日常の1ページという感じだったんです。でも制作側は、ダグラスにものすごく重厚なストーリーを用意されていて。ダグラスのイベントはさらに「Brave The Lion3」「Brave The Lion Final」まで続いて、今は違うタイプのダグラスも登場しています。厚さでいえば500ページくらいあるような台本で収録するような、とても大きなイベントでした。

実はダグラスはクローンで、本物は別にいるということが明かされて「じゃあ姉というのは?」「そもそも自分って一体何なんだ?」という、アイデンティティで葛藤するようなお話なんです。自分と同じようなクローンがほかにもいて、最初は相容れないんですけど……最終的に2人が1つになってオリジナルを超えるという熱い王道の展開でした。「白猫プロジェクト」って明るいイベントが多いんですけど、ダグラスはとことん暗くてシリアスで、ものすごい量のストーリーを演じさせてもらえたのは嬉しかったですね。

自分の演じたキャラクターのイベントがこんなにあって、ずっと演じ続けたというのも期間も含めてそうそうあることじゃないので、すごくありがたかったです。「白猫プロジェクト」のプレイヤーとして、生放送とか色々な地方イベントにも行かせていただきましたしね。

山中:キャリアの最初の頃に出会えるっていう幸福もあるよね。

八代:そうなんですよ。今でも感謝していますし、ダグラスのことはずっと大好きです。「白猫プロジェクト」は大学時代の友達も遊んでいたんですけど、あまりアニメなどが詳しくないような人たちに知ってもらえたのも嬉しかったですね。

山中:僕も「SDガンダムワールド 三国創傑伝」の脚本を担当した時は、ゲームとか関係ない友達からも連絡きたから、さすがガンダムだなって思ったよ。仕事に慣れてくると演じたキャラクターを遊んでもらうのが当然になってきてしまうから、そうした原体験を改めて見つめ直すのもいいよね。

八代:迷ったり、行き詰ったり、ふわっとしてしまった時こそ、原点回帰ってのもいいですね。演じるって楽しい、キャラクターに声をあてるってこんなに面白いことなんだっていう部分に帰る。

山中:特に僕は最初にいた会社が長いシリーズものを作っていたこともあって、ゲームを作っていても、人に遊んでもらうのを何作も続けていると義務的というか、仕事だと思ってしまう人たちを見てきたんですよ。仕事は仕事ですけど、それより前に「すごく楽しい、やりたい仕事だったんだ」っていう気持ちがあるはずだから、それは忘れないようにしないといけないなというのは常々思ってます。じゃあ、そろそろ締めましょうか。最後に、八代くんにとってゲームとは?

八代:難しいんですけど……「ムフフ」ですかね。「ムフフ」って、何に思うかが違うだけだと思うんですよ。例えば「Apex Legends」でも「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」で相手を出し抜いたら「ムフフ」と思う人もいるでしょうし、僕らは数値が上がれば「ムフフ」となるし。

山中:この「ムフフ」って、別に共感性が失われてもいいんですよね。自分はこのポイントで喜ぶんだなと「ムフフ」が分かってくると、より楽しくプレイできると思うんですよ。

八代:自分にとっての「ムフフとなるポイント」がどこかにあるから、そのゲームを遊ぶんですよね。スポーツと同じで、ゲームって多くの人にはなくても問題ないものですよね。でも、生きていく上での彩りになりますし。

山中:八代くんと話していて本当に思うのは、どうしても「これ、すごいよね!」と誰かい言いたくなる気持ちは分かるんですよ。でも、誰にも理解されない、これのすごさは自分にしか分からないという「ムフフ」を探すのもきっと楽しいですよ。それを言って「なにそれ、分からない」と言われるのも楽しい。

八代:「やっぱり自分しか分からないか!」ってなるのも「ムフフ」でいいですよね(笑)。いや、もちろん共有し合っていいんですけど。

山中:「誰にも共感されない」という楽しさもありますからね。一般的に理解されて、受け入れられるものがすべてじゃない。自分だけが満足する楽しさが「ムフフ」ですよ。

八代:「ムフフ」ってすごくいい言葉ですね。究極の自己満足の笑いというか。

山中:いい言葉をいただきました。ありがとうございました!

山中 拓也

ゲームの企画、脚本、プロデュース、ディレクションなどで活動中。代表作はアニメ化も果たした「Caligula -カリギュラ-」シリーズで、直近の仕事はアプリ「アイドリッシュセブン」内イベントストーリー『ダンスマカブル』シナリオ。元カウンセラー志望で心理士資格を取得している。

山中拓也のGamer交遊録

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