タイトーが今年の3月下旬より順次可動を予定している新たなプライズマシン「GETTER SPIN」。本機の試遊会が実施されたのでその模様をお届けしよう。

このマシンそのものの遊び方は、非常にシンプルだ。基本的にはクレーンゲーム同様に、ゲームに挑戦して景品をゲットしていくのだが、「GETTER SPIN」ではアームの代わりにプッシュロッドと呼ばれる棒を押し込むタイミングを見計らってボタンを押していく。回転するターンテーブルの端にはターゲットが取り付けられており、うまく狙いが定まるとテーブルが傾いて景品が落ちてくるという仕組みである。

今回は、本機のプロデューサーを務めた梅山洋介氏のお話も聞くことができたので、マシンのプレイインプレッションも含めて、「GETTER SPIN」が誕生した経緯や狙いなどについてもご紹介していく。

「GETTER SPIN」プロデューサーの梅山洋介氏。
幅広い年齢層が楽しめるゲーム設計

この「GETTER SPIN」の企画がスタートしたのは、今から2年程前だ。ちょうどのその頃は、各社からタイミング押しゲーが流行っていた時期でもあった。だが、自分が狙ったところよりもポイントがずれることがあるなど、ユーザーからの疑問の声が散見される状況になっていたという。そうしたこともあってか、ネット界隈では「演出や起動が確率機っぽいぞ」という噂が広まり、YouTubeなどでも検証動画が多数配信されていた。

そこで同社は逆を行く形で、デジタル制御ではなく自分の目ですべてのメカの動きを見て、タイミングを見計らい、ひとつひとつ納得して遊べる機械を作ろうということで生まれたのが、この「GETTER SPIN」である。

実際に遊んでみるとわかるが、ボタンを押してからラグが発生するなど、特別な機構は一切ない。本機では難易度は全部で4段階に設定ができるようになっているのだが、テーブルの回転速度と棒の高さが変わる程度であるため、ゲームを遊ぶユーザーが自分の目ですべて確認することができる。

つまり、たくさんゲームを遊んで自分の腕が上達していくと、景品もどんどん取れるようになっていくのだ。

ちなみに、今回の試遊会で設定されていた難易度は下から2番目であった。こちらはロケテストで行ったときに、下は3歳の子供から上は70代までのユーザーが景品をゲットしていたレベルで幅広い層が楽しめる設定だという。

左側のテーブルは時計回り、右側は反時計回りにテーブルが回転。黄色いポイント目がけてボタンを押すことで、棒が下に下がる仕組みだ。

といいつも、実際に初見でプレイしてみると、これが意外と難しい。微妙に自分のボタンを押すタイミングが、早すぎたり遅すぎたりしてしまうのだ。だが、ゲームを遊んでいるうちに、「次はこうしよう」という感じで自分の中にノウハウが溜まっていき、それが次のプレイに活かされていることが体感できた。

ロケテストに参加したユーザーからも好評で、「えっ? 今の早かったの?」という感じで、狙いを外したときも当てたときも、終始、笑いがおこっていたそうだ。通常、こうしたプライズマシンは1~2回遊んだら止めてしまう場合が多い。しかし、「GETTER SPIN」の場合は自分の目で納得して攻略できるというところが、実際にロケテストで遊んだユーザーにドンピシャとささり、10プレイ前後はリピートしていたという。

ユーザーが行う操作は、コインの投入とボタンを押すタイミングだけ!

梅山プロデューサーは、「通常こうしたタイミングゲーは、自分の思い通りにできず、1回で止めてしまうことが多いのです。それは自分では制御できないとユーザーが感じるからですが、本機の場合は、自分で腕を磨いて攻略していくことができるというところが伝わり、リピートに繋がったのではないかと思います」と語っていた。

「GETTER SPIN」の開発期間は1年半。待機中も動かすようにしたところ売上が2倍に

「GETTER SPIN」は、1年半の期間をかけて開発が行われてきた。だが、最初からこのスタイルだったわけではなく、当初は釣りのようにフックが付いていて、それを釣り上げるようなパターンのものや、棒で動いている景品を落とすパターンなどもあった。開発をしていく中で一番こだわった部分が、「お客さんが想像でぱっと見でこうすれば遊べるのがわかる」ということであった。それを重視していった結果、現在の棒を動かして的を狙うという形が残ったのだという。

通常こうしたプライズマシンには、遊び方の説明が書かれたインストラクションなどが貼られているが、そうしたものを一切貼らずにシークレットでお店にマシンを設置してひと月ほど遊んでもらったことがあった。

ちょうどコロナ渦前のタイミングで日本のユーザーよりも海外のユーザーのほうが多かったのだが、そこでも好評を得ていた。しかし、そのときに分かった問題もあったという。実は初期の開発段階では、待機中にメカ類は一切稼働していない状態で止まったままになっていた。海外のユーザーはその状態でも気にせず遊んでいたのだが、なぜか日本のユーザーは全然遊ばなかったのである。

理由を調査してみたところ、海外ではこうしたタイミング押しゲーはたくさん存在しており、潜在的にどうやって遊べばいいのか理解しているユーザーが多かった。しかし、意外なことに日本ではあまりこうしたタイミングで押すというゲームに馴染みがなく、遊び方が分からなかったのである。

そこで、待機中もメカを動かすようにしたところ、売り上げが2倍以上にもなった。その伸びた部分はすべて日本のユーザーであったため、そのままの仕様が採用されることになったそうだ。

プッシュロッド(棒)部分が動いているかいないかの、ちょっとした違いが売り上げにも大きな影響を与えた。
場を育てて落とす遊びとドンピシャで当てるふたつの軸で運営ができる

設置運営面からの視点では、既存のタイミングゲーは、ドンピシャでタイミングが合わないと景品を取ることができず、取れるか取れないかの2極化になってしまっている。だが、この「GETTER SPIN」では、例え棒が降りたときに的に当たらなくても、カスって景品を徐々に動かすことで場を育てて落とすこともできる。それと同時に、ドンピシャで当てることができると一発で景品がゲットできるという、ふたつの軸を同時に展開して運営ができるのだ。

こうした仕様になっているのは、「ユーザー自身に攻略法を考えてもらい、プライズとしてではなくゲームとして楽しんでもらいたい」という思いからである。そしてこれは、他社では実現されておらず、同社独自の特徴にもなっている。

並べ方にもよるが、こうしたお菓子ならドンピシャでタイミングを当てることで、最大10個ほど落ちることもある。

また、実際にロケテストで張り付いて見ていたときは、遊んだユーザーのプレイ後の顔が明らかに違っていることがわかった。他のマシンでは景品が取れないと舌打ちして立ち去っていることが多かったが、「GETTER SPIN」では笑いながら立ち去るか取れるまで頑張っている人が多かったのだ。

今回筆者もプレイしたときに、微妙にタイミングが合わなくて取れないときも面白く、意外にも新感覚の体験であった。

ひとりで遊んでも楽しいのだが、友人同士で遊んでいるユーザーは、「もうちょっと早く押して!」などのやりとりがあり、かなり盛り上がっていたという。また、遊んでいるうちに感覚が掴めてくるので、お金を入れて遊ぶという流れにも繋がっていたそうだ。

異色の経歴を持つヒットメーカーの新たな挑戦

プロデューサーの梅山氏は、5年程前までは品質保証部門にいて開発に移ってきたという異色の経歴を持つ。当時は、自社で開発した製品が法律に違反していないかの検査を行っていたそうだが、開発に移りたくなり、最初に作ったのがキッズファミリー系ゲームの「でんしゃでゴー!!キッズ」だった。

その後、ハンバーガーショップの店員になりきるゲーム「わくわくハンバーガー」を発表。こちらは、キッズ系ゲームの市場ではヒット作となっている。今回の「GETTER SPIN」は、梅山氏にとって3作目のタイトルとなる。

コロナ渦の影響で緊急事態宣言も出ているということもあり、アミューズメント業界も飲食店同様に厳しい状況が続いている。しかし、プライズゲームは、非常に幅広い客層と客数がいるため、なんとかなっているという感じだ。

だが、実はそれよりも大きな課題があった。それがアジア勢の台頭だ。実は、5年程前から中国などから安くていいアーケードマシンがたくさん日本に入ってくるようになった。その安い海外製品が、市場の相場を作り上げているという状況になっているのだ。

さらに、現在はユーザーが確率機のように感じてしまうゲームに不信感を持っている。これが続くとプライズ機のジャンルにとってもいい状況とはいえない。「GETTER SPIN」には、そうした状況を変えたいという思いも込められているのである。

当然のことながら、これまでに存在しない企画を通すのは骨が折れそうだが、序盤こそ大変だったものの、上記のような説明をしたところ、すんなり社長まで承認が通ったという。

「プライズ機はギャンブルではなくゲームなんだ。遊んで楽しんで欲しいということを伝えたいため、チャレンジ枠として作らせてもらった」と梅山氏は当時を振り返る。

長く施設に置いてもらうためのカスタマイズ性の高さも意識

プライズマシンの多くは寿命が長くないそうだが、そうした中でクレーンゲームは同じマシンが10年以上稼働していることがある。中身自体は入れ替わっているものの、マシン自体は変わっていないのだ。

もちろんそれだけ作りが堅牢ということもあるのだが、実はそれだけが理由ではない。こうしたマシンは、お店側が色々なカスタマイズを施しやすくなっており、ユーザーが離れないように常に試行錯誤が行われているのである。

そこで、この「GETTER SPIN」でも、ある程度カスタマイズができるような作りが採用されている。たとえばターンテーブル部分には穴がいくつか開けられており、これを利用してオリジナルのパーツを取り付けることもできる。

テーブルの上のパーツはオプションで用意されているもの。
こちらも飾り付けの一例だが、液晶ディスプレイ自体は付属しないものの一般的なものが取付けられるパーツは用意されている。

フィギュアなどの景品の場合、実は特定の角度で的を当てることで簡単に取れるようになっている。しかし、この穴を利用してゴム止めなどを取り付けておくことで、さらにゲーム性を高めることもできるのだ。

また、ディスプレイの多様さも業界内部から褒められたポイントだという。通常、クレーンゲーム機ではプレイエリアになるため、自由に飾り付けることができない。しかし、「GETTER SPIN」ではテーブルの下側にも自由にアイテムを並べることができ、ぱっと目のインパクトがかなり高いのだ。もちろんLEDも内部に設置されており、かなり明るくなっており、女性でも安心して遊ぶことができるようになっている。

フィギュアはこのような角度だと落としやすい。しかし、テーブルにいくつか開けられる穴を利用して、お邪魔パーツのようなものを独自に取り付けることもできるようになっている。
にぎやかに飾り付けができるところも、「GETTER SPIN」の特徴だ。
アイテムの置き方でも攻略方法が異なる面白さ

途中でも少し触れたが、今回の試遊では9プレイを遊ばせてもらった。残念ながらドンピシャでは1度も当てることはできなかったものの、棒が降りるタイミングでアイテムに当たり、それが元で景品をゲットすることができた。

やや邪道感もあるのだが、本機ではこうしたアイテムの取れ方も、もちろんありなのである。テーブルに並べられているアイテムの置き方によっても、攻略方法が異なるため、常に新鮮な気分でプレイ出来るのも「GETTER SPIN」の魅力といえるだろう。

「GETTER SPIN」は、3月下旬の稼働開始に向けて現在絶賛量産中だ。タイトーステーションほか、全国のアミューズメント施設に導入されるとのこと。春先には、近くのアミューズメント施設でも見かけることが多くなるので、ぜひこの新たなゲーム機に挑戦してみてほしい。

実際のプレイ料金はお店や景品などで変わるそうなので、稼働が始まったら確認してからプレイしよう。

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