カプコンから、2021年2月25日に発売されるNintendo Switch向け横スクロールアクションゲーム「帰ってきた 魔界村」。同社を代表する人気ゲームシリーズだが、なんと新作としては15年ぶりとなる。まさにあの悪夢が「帰ってきた」というわけだ。……というわけで、リリースに先駆けて少しの時間だが本作を遊ぶ機会がもらえた。本稿ではそのプレイレポートをお届けする。
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初代の「魔界村」は、1985年にアーケード用に誕生したゲームだが、どちらかというとその翌年に発売されたファミコンの移植版のイメージが強い人が多いのではないだろうか。筆者もリアルタイムでファミコン版を購入し、かなり四苦八苦しながらクリア(1週だけ)した記憶がある。その後、同シリーズは様々な機種で続編が発売され、そのたびに購入していたのだがいずれも手強い作品ばかりであった。いい意味で、硬派だった頃のカプコンを象徴するシリーズといえるだろう。
今回の「帰ってきた 魔界村」は新作ではあるものの、初期の「魔界村」と「大魔界村」がモチーフになっている。そうしたこともあってか、たしかに見たことがあるような敵やステージ構成になっており、まったく新しいゲームであるにもかかわらずどこか懐かしい感じもこみ上げてきた。
懐かしい雰囲気もあるけどプレイ体験は新鮮?
本作は、全部で5つのゾーンから構成されている。ゾーン1と2は、それぞれ「魔界村」と「大魔界村」をモチーフにしたステージが選べるようになっている。大元のグラフィックは3Dで作られているのだろうが、絵本のように繊細に書き込まれたようなデザインになっていることもあり、非常に視認性もよくゲームの雰囲気にもマッチしている。
バックに流れる音楽もおなじみのメロディなのだが、こちらもやはり今風にゴージャスなアレンジが施されている。まるで、昔のおとぎ話を最新鋭の技術で楽しんでいるかのような気分にさせてくれ、これはこれでゲームに合っている感じだ。
だが、同じ敵であってもオリジナルの攻略方法が微妙に通じない相手もいる。その中の1匹が、「魔界村」で多くのプレイヤーを絶望の淵に追いやってきた序盤の強敵であるレッドアリーマーだ。
後ろ向きにジャンプしながら攻撃をしてもあっさりかわされ、なかなか倒すことができない。逆転の発想であえて近づいて攻撃をすることでなんとか倒すことができたのだが、このようにたとえ同じモンスターであってもこれまでの経験があまり役に立たない場面もいくつかあった。
ゾーン3と4に関しては、2系統にわかれているのではなく「魔界村」と「大魔界村」をモチーフにしたステージがミックスされたようなものになっている。ゾーン3では飛行龍の背を渡り歩いていくというシーンが登場するのだが、最終的にどこに向かっていくのかまったくわからないため、これが初見だとなかなか難しい。
ゾーン4は、魔物の体内に入ったかのようなところから始まる。ステージその物はシンプルだが、タイミングがややシビアなため、クリアまでなんどもやり直すことになってしまった。
ゾーン3のステージ「魔窟」。タイミング良く飛行龍を渡り歩いていく。 |
「魔界村」あるあるだが、ボス戦直前で不要な武器を拾ってしまうと、かなり苦戦してしまうことも。 |
ゾーン4のステージ「魔城口」。生き物の内部のような、まがまがしい雰囲気だ。 |
ゾーン4のボスはベルゼバブ。ハエの大群になって移動したり、 卵を産み付けてきたりとかなりやっかいな相手である。 |
皆さんご存じのように、「魔界村」シリーズは1週目では本当の意味のクリアにはならず、2周しなければいけない。またあの同じステージに挑んでいくことになるのかと思うとがっかりするかもしれないが、本作ではなんと2週目は「深魔ステージ」となり、1週目とは異なる敵やギミックになっている。いったいどんな世界が待ち受けているか気になるところだが……こちらは、ぜひ自分の目で確かめて欲しい。
オービィを集めて魔法やスキルを解放していこう!
本作ではゾーンをクリアしていくことで新たなゾーンに挑戦出来るのだが、たとえば同じゾーン1のクリアしていないほうに挑戦するといったことも可能だ。
そんなことする意味あるのか? と思われがちだが、そこで重要になってくるのが今回新たに追加された要素の「オービィの木」である。ゲームプレイ中、妖精のように漂う不思議な生き物「オービィ」が出現することがある。これを見つけて集めていくことで、強力な魔法やスキルが使えるようになるのだ。
ステージ中に登場するオービィの数は決まっており、ステージ選択時に表示される。つまり、まだ取得していないオービィの残り数もわかるようになっているのだ。魔法やスキルの解放には、一定数以上のオービィを集める必要があるため、プレイしていないステージに挑戦する意味も出てくるというわけである。
集めたオービィは、「オービィの木」の画面で使用することで魔法やスキルを解放していくことができる。こちらはまさにツリー構成になっているため、目的の魔法やスキルを解放していくためにはある程度順番に行う必要があるので注意しよう。
魔法の使い方自体は非常に簡単だ。発動させたい魔法やスキルをLボタンで選び、ショットボタンを長押しすることで魔法ゲージを溜めていく。そして、ボタンを離すと発動できるといった感じだ。
魔法とは異なり、スキルは自動で発動する。たとえば「復活 Lv1」を解放すれば、倒されたときに一定確率で復活することができるといった感じだ。また、間違った武器を取ってしまっても焦らないように「武器所持数アップ」のスキルを解放しておけば、最大3つまでの武器を切り替えて使用できるようにもなる。
本作では敵の魔法でカエルにさせられてしまうことも多いが、「ガマ」の魔法を駆使すれば、画面内にいる敵をすべてカエルに変身させてしまうこともできる。いずれにせよ、魔法を駆使したからといって必ずしもボス戦などで有利になるというわけではないが、道中はかなり役に立ってくれるだろう。
ちなみに魔法はある程度クールタイムを挟むことで、すぐに使えるようになる。そのため出し惜しみせずにどんどん使っていくのもありだ。
「魔界村」初心者やおじさんゲーマーにも優しい便利機能も満載
過去作を遊んだことがある人ほど、「魔界村」の新作と聞いて、「えーっ、クリア出来る気がしない」と思ってしまうかもしれない。たしかに昔のシリーズは硬派な印象で、ある意味アクションが苦手なゲーマーにとっても高い壁になっていた。だが、本作ではコアなアクションゲーマーはもちろんのこと、初心者でも楽しめるような配慮が随所に行われている。
そのひとつが、難易度の選択だ。本作では、はじめにゲームモードとして4つのレベルを選択する。「伝説の騎士」は、これまで通りの超難易度な体験ができるモードだ。そこそこ腕に自信があるユーザーに最適なレベルが「孤高の騎士」。シリーズ自体が初めての人にオススメなのが「若き騎士」だ。そして、ともかくアクションはあまり得意ではないという人のために用意されているモードが「見習い騎士」である。
「見習い騎士」以外のモードでは、途中で死んだときはチェックポイントの旗をくぐったところから再スタートなる。だが、「見習い騎士」の場合のみ、死んだポイントで魂のような姿で蘇り、復活する場所を選んでから再スタートができるのだ。そのため、どんなに腕前がヘタであっても、いつかは必ずクリアできるようなレベル設定になっている。
このモードでゲームの基本を学んだら、その上のレベルに挑戦していくといったステップアップもできるというわけである。ただし制限があり、「見習い騎士」でゲームをクリアしても2週目の「深魔ステージ」に挑戦することはできない。あくまでもお試しモードということなのだ。
じつはこのゲームを最初に遊んだときに驚いたのが、なんとセーブできるということだった。これはゲームモードに関係なく、チェックポイントの旗をくぐったところから再スタートができる。そのため、毎回頭からゲームを遊ぶことなくすぐに続きをプレイすることができるのだ。
「魔界村」シリーズは、良くも悪くもタイミングゲーのところがある。ジャンプするタイミングや敵を倒すタイミングなど、一瞬の判断が死を招くことが多いからだ。しかし、ゲームに慣れないうちはなかなか難しい。そこで用意されている機能が「魔時計」である。これはゲームの速度を遅くできるもので、練習したいときに最適だ。
また、これは機能というわけではないが、ボス戦で苦戦しているとアドバイスをもらえることがある。微妙にセリフも変わるので、このメッセージを見ると諦めかけていたところから、妙にやる気が湧いてくるから不思議だ。
ふたり協力プレイやチャレンジリストなどのやりこみ要素も!
友達同士でワイワイ遊びたいときに最適なのが、ふたり協力プレイだ。こちらは、ひとりは普通にアーサーを操るのだが、もうひとりはサポートキャラクターのサンテンジーを操っていく。
サンテンジーは、「守り」「運び」「足場」といった3つの能力を持つキャラクターにいつでも変わることができ、アーサーの行く先々の手伝いをすることができる。残念ながらオンラインには対応していないが、隣にいる友達や家族で遊べるのは嬉しい機能といえるだろう。
また、いわゆる実績解除にあたるような要素として「チャレンジ」というものも用意されている。こちらは、「はじめて魔法を使った」など単純なものから、1度もリトライせずにクリアすることで解除できるものまで、全部で31のチャレンジ項目が設定されている。ただゲームを遊ぶだけではなく、こうしたリストをすべてクリアすることを目標に遊ぶのも楽しい。
長々と紹介してきたが、いかに多くの要素が盛り込まれている作品かわかって頂けたかと思う。Nintendo Switchならではの特典というわけではないが、据え置き機として遊ぶだけではなく、いつでもどこでもゲームを楽しむことができるところも大きなポイントだ。
ちょっとした時間の合間にプレイしたり、友達と一緒に協力プレイを楽しんだりと、ライフスタイルに合わせた遊び方ができる。先ほども触れたように、初心者向けに手厚くサポートされているので、アクションゲームに苦手意識がある人ほど、この作品を遊んでもらいたい。