ストーリーモードでは漫画の世界に入ったような没入感が体験できる!「頭文字D THE ARCADE」メディア向け試遊会レポート

アーケードゲーム
0コメント 高島おしゃむ

2021年2月25日より、順次全国のゲームセンターで稼働が開始するセガのアーケードゲーム「頭文字D THE ARCADE」。それに先駆けて、メディア向け試遊会が実施された。本稿ではそこからわかった情報を交えて、レポートをお届けする。

しげの秀一氏の人気漫画「頭文字D」を題材にしたアーケードゲームとして、2002年に登場した「頭文字D ARCADE STAGE」シリーズ。10作目となる「頭文字D THE ARCADE」では、原点に返りつつも新たな試みも盛り込まれている。

筐体は前作の「頭文字D ARCADE STAGE Zero」と基本的には同じだが、内部のグラフィックが強化されているため性能も大幅に上がっている。上部に設置された「ビルボード」部分はロゴが変更されているほか、今作の特徴である4人対戦をアピールしたイラストがあしらわれている。

操作系は、小ぶりのステアリングはそのまま継続。足下はブレーキとアクセルだけで、クラッチはない。左手側にHパターンのシフトが付いているというところは、変わらない。

筐体上部に設置されたビルボード。初心者でも入りやすいように意識して作られている。

正式稼働開始に向けて4人対戦も調整

今回の試遊では体験できなかったが、先ほども触れたように今作の最大の特徴は4人対戦モードを搭載したところだ。昨年7月にも、特別体験会が行われたが、このときは4人対戦に対するユーザーの反応を見てみたかったというのが大きかったのだという。

同シリーズでは、これまでタイマンバトルがゲームの主軸であった。そのため、ツイッターで「4人バトルに対応する」と発表したところ、否定的な意見が多く挙がってきたため、1度体験してもらうために特別体験会が実施されたという経緯がある。実際に体験会で4人対戦をプレイしてもらったプレイヤーからは、「調整の必要はあるが、基本的にいい感じだ」という意見がもらえたという。

このときに実施されたアンケートや、新井健二プロデューサー自身も体験者から直接意見を聞き、そこから得られた情報をチームに共有して、調整が行われている。そのため、正式稼働バージョンでは4人対戦についてもかなり進化している。

通常のレースゲームは、広い道幅で多人数対戦が行われる。しかし、「頭文字D」は峠が舞台ということもあり、道幅が狭い。そのため、抜くときにもゲーム性がないと面白くならないのだ。ぶつかったときにどのような挙動になるのかといったアタリ判定についても、特別体験会や体験会の反応を見て調整が行われている。

この特別体験会の時点では、とりあえず4台の車が走れるというような状況だった。従来までのタイマンバトルのときのアタリ判定では4台走ることができず、新しいアタリ判定を開発して4台の車が走っている状況でも問題ないようにしたといった感じだ。

また、他車を抜くときの挙動や、距離が離れたときのブーストについても、2人用対戦と3人用、4人用でそれぞれ変わるようになっている。ちなみに、コアゲーマー向けに対戦前の画面でどれぐらいのブーストの強さなのかも判断することが可能だ。

ブーストは、プレイヤーのレベルでも変わるように調整されている。実力にレベル差がある場合は、低い方に合わせてブーストの強さが決まる。対戦ゲームの基本である「弱者救済」の概念からそうなっているといった感じだ。このあたりのさじ加減には、「秘伝のタレ」ともいえるこれまでの経験が活かされているのである。

また、たくさんプレイしているうちに、どうしてもハメ技的なものが出てきてしまうことがある。そうしたところ潰していきながら、稼働開始に向けて調整が行われていったのだ。

4人対戦では、上位のふたりが勝ち抜けになる。そうしたこともあってか、負けた場合でもあまり悔しいという感覚が少ないようになっている。また、負けて暇を持て余した物同士で一緒に遊ぶなどコミュニケーションも生まれやすい。

4人対戦は店内だけで行える仕様だ。オンラインのボイスチャット越しでもみんなと一緒に遊ぶのもいいが、隣にいる友達とわいわい言いながら楽しく遊べるところは、まさにアーケードゲームの原点ともいえるだろう。

漫画の世界に入ったような体験ができる「ストーリーモード」

今回のメディア向け試遊会では、前回の特別体験会時にはなかった「ストーリーモード」をプレイすることができた。この「ストーリーモード」は、ひとり用のモードで登場人物の中の誰かを選ぶというわけではなく、自分が漫画の世界に入ったような体験ができる。

その最大の特徴は、漫画の質感を再現した「漫画シェーダー」を採用したグラフィック表現だ。原作のコマを切り取ったかのような演出でストーリーが語られていき、CGも漫画的なスタイルになる。レース中は通常の画面でプレイするといった感じだ。

前作の「頭文字D ARCADE STAGE Zero」ではアニメがベースだったが、今作では原点に立ち返り原作漫画をベースにしていることから、こうした演出が採用されている。そのため今回は、一部のナレーション以外はあえてキャラクターに声優は起用していない。

ユニークな点はほかにもあり、なんと「ストーリーモード」で最初に登場するキャラクターは、秋山渉だ。原作では序盤に登場しない人物だが、主人公の藤原拓海と同じ86乗りという、なかなか渋いところを選んできたなといった印象だ。実は原作者のしげの秀一氏のお気に入りのキャラクターでもあるらしく、こうしてスポットが当てられたことを喜んでいたという。

この「ストーリーモード」でも4台の車が走っているのだが、4人対戦モードの疑似体験にもなっている。面白いのは、バトル中に池谷先輩のシルビアが登場するなど、物語と直接関係ないおなじみのキャラクターたちと出会うこともあるというところだ。

今回は2話分をプレイすることができたが、基本的には1回100円で1話分のストーリーを楽しむことができるようになっている。ゲームの終わりには次回の予告も表示されるのだが、これがクリフハンガー的な役割を果たしており、ついつい次の話が気になり100円玉を投入してしまうという流れになりそうだ。

ちなみに、以前はかなりの回数ゲームを遊ばないとフルチューンにすることができなかった。しかし、今作では15回ほどのプレイでフルチューンにすることができるようになっている。そのため、4人対戦なども割と早い段階でフルチューン状態の参戦が可能になる。「ストーリーモード」は30話ほどだそうだが、今後も追加されていく予定である。

次回予告。一体どんなストーリーが展開していくのか気になってしまう。

初心者でもすぐに操作に慣れていく遊びやすさ

「ストーリーモード」とは別に、新井プロデューサーとのバトルもプレイさせてもらった。それを含めて全部で3回遊ばせてもらったのだが、最初のうちは壁に張り付いて擦りまくっているような走りだったのが、徐々に慣れて3回目はある程度コントロールができるようになってきた。

筐体にはシフトレバーは付いているが、これ自体は特に使用していなくともオートマ状態で走ることができる。初心者向けに、緑色のラインでどこを走ればいいのかガイドも表示されている。車自体の挙動も、リアル志向よりもゲーム性が強いこともあってかかなり操作がしやすかった印象だ。

基本的にはアクセルベタ踏みで、赤い表示が現れたらブレーキを踏んでハンドルを切る。そうしてすぐにアクセルを踏むことで、カーブなども綺麗に曲がっていくことができるようになっている。上手く運転ができているときは、「ギャァァァ」の擬音が表示されるので、最初のうちはそれを走りの目安にするといいだろう。

視点の変更も可能で、車が見える後方視点と車内視点の2種類が用意されている。個人的には後方視点のほうが好みだが、車内視点では画面が大きいこともあってか、実際に車を運転しているかのような没入感が素晴らしかった。

レースでは、後半にラストスパートでキャラクターに炎のようなものが表示される。これは、これまでの走り方の累計でブーストされるものだ。以前は減点方式だったが、今回はそれまでの走りがプラスされていくという仕組みになっている。よくあるレースゲームでは、最後の週以外は適当に流して走っていても勝敗には影響しなかった。だが、それでは面白くないためこうした要素が盛り込まれているのである。

ちなみに、レース中にライトを消してブラインドアタックをするといった原作さながらのプレイができるところは今作でも健在だ。スタートボタンを押しているとライトが消え、画面に表示されているロードマップからも存在が見えなくなってしまう。もちろん仕掛けた側は画面も真っ暗になることからリスクも高いのだが、レースの駆け引きの道具として活用することができるのだ。

シリーズから1度離れていたことで考え方柔軟に?

30代のころに立ち上げた作品でもあるので、「頭文字D ARCADE STAGE」には思い入れがあるという新井プロデューサー。実は、2015年から前作までシリーズから離れている時期があった。その当時は音ゲーを担当していたのだが、そのときの経験が今作にも活かされているという。

以前は「頭文字D ARCADE STAGE」シリーズにとって自分が原理主義者的な存在で、「○○をしてはいけない」と指示していたという新井プロデューサー。音ゲーを担当するようになり、それまであまり見てなかったニコ動の歌い手など様々なアーティストと触れあうことが多くなってきたことで、考え方が柔軟になってきたのだという。

そのころ、自分ならこうするのにと考えていたものが蓄積され、今回の作品に活かされているのだ。先日発表された「湾岸ミッドナイト」とのコラボも、そうした頭が柔らかくなったことから実現したものである。最初はチーム内からは驚きと、本当にやるのかといった意見も出ていたそうだが、新井プロデューサーの熱意が勝った結果だ。

また、今作からは、パッチノートも公開していく予定である。パッチノートの公開は、良くも悪くも作り手の思いが伝わることから、プレイヤー側も納得しやすい面がある。今のところ、パッチが予定されているのは今年の夏と冬だ。“予定”となっているのは、実際に稼働してからプレイヤーの反応をみていきたいという理由からだ。

ちなみに、「湾岸ミッドナイト」とのコラボ自体はいつでも開始できるそうだが、アーケードゲームはその性質上、稼働日から一斉に全国で遊べるというわけではない。また、最初のうちはユーザー側もやらなければいけないことが多いため、ある程度ならしの期間が必要なのだ。そのため、コラボは桜が散る頃を目処に開始される予定となっている。

前作でも行っていたが、本作でも「Aime」を所有しているユーザーは初回1プレイが無料で遊べる。

最後に新井プロデューサーから、本作の可動を楽しみ待っているファンに向けてメッセージを語ってもらった。

新井プロデューサー メッセージ

「おまたせしました。頭文字Dから離れていた方も、今回は自信作なので遊んでみてください。ゲームセンターに4台ある場合は、ぜひ4人対戦でリアルボイチャをしていただきたいですね。よろしくお願いします!」

今回ご紹介した以外にも、様々な要素が盛り込まれている「頭文字D THE ARCADE」。どのようにゲームが進化したかは、ぜひゲームセンターに足を運んでご自身の目で確かめてみてほしい。

※画面は開発中のものです。

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