カプコンは、2021年3月26日に発売予定のNintendo Switch用ソフト「モンスターハンターライズ」(以下、MHR)のデジタルライブイベントを、2021年3月9日に開催した。ここでは、その模様をレポートしていく。
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「モンスターハンターライズ」新CMに出演する、本田翼さんが登場!
冒頭では、まず「MHR」の和風の世界観を象徴する「筆文字ロゴ」を担当する書道家・青柳美扇さんが登場。「狩猟魂」の文字が力強く筆で描かれる、生パフォーマンスが行われる形で、イベントの幕開けを飾る。
その後ステージには、本作の開発を務めるカプコンの辻本良三プロデューサー、一瀬泰範ディレクターに加えて、スペシャルゲストとして人気ファッションモデルの本田翼さんが登壇。さらに本田さんが、3月9日より放送が開始される本作のCMイメージキャラクターを務めることが発表された。
本田さんが出演するCMは、本田さんが「モンハン先生」に扮して、様々な授業を通して「MHR」の魅力を伝えていくという内容。辻本氏によるとこのCMの「モンハン先生」という設定は、大のゲーム好きとして知られる本田さんにあわせて生まれたものなのだそう。
その本田さんは大の「MH」シリーズファンでもあり、「モンスターハンターのCMに出られるのはすごく名誉なこと」と興奮気味の様子。また「ワールド」に登場しなかったフルフルの復活を喜びつつ、「MHR」では扱いやすくなった笛の強さに感激しているなど、一度語り始めると止まらなくなるほどの熱い「MH」シリーズトークを展開する。
思い入れのあるシリーズ作品やモンスターを問われると、「モンスターハンターポータブル 2nd G」と、「モンスターハンターダブルクロス」の名前をあげ、とくに「2ndG」で初登場したナルガクルガが、ステージやBGMも含めたあらゆる要素が強烈に印象に残ったとも語る。辻本氏によると、実はナルガクルガは歴代のメインモンスターの中でもかなり短時間の3、4ヶ月で完成したモンスターなのだそうで、反面製作期間が長いものでは、3~4年もの時間が掛かる場合もあると明かされ、本田さんを驚かせていた。
その後には、本田さんが新モンスターである「雪鬼獣ゴシャハギ」の討伐に挑戦することに。クエストでは、最初に遭遇したベリオロスとの戦いに夢中になるあまり、途中で辻本氏から「新モンスターの方に行きましょう」と提案されたり、一瀬氏の解説が耳に入っていないではと思えるほど、本田さんはすっかり夢中になった様子でクエストをプレイしていた。
一方、ゴシャハギは東北地方に伝わるなまはげのモチーフとしたモンスターで、包丁をモチーフとした攻撃なども繰り出してくる厄介な存在。イベント時間の都合により、途中でクエストは終了となったため、最終的な討伐こそ叶わなかったものの、氷属性やられ攻撃を繰り出してくることを聞き、すぐさま属性やられ無効を演奏で付与してサポートし、「MHR」からの新要素である翔蟲も巧みに駆使しながら戦うなど、事前に体験版をプレイしていると明かした通り、すでにかなり「MHR」のシステムにも慣れていた様子で、見事なプレイイングを披露していた。
また3月20日には、You Tubeのカプコンチャンネルにて、3月12日から配信予定の無料体験版第2弾を用いての、本田さんが出演する生番組の配信も決定。抽選形式にはなるものの、本田さんと一緒にクエストを行える視聴者参加型の企画も行われるとのことで、こちらも要注目だ。
開発スタッフによる「百竜夜行」&新モンスター「マガイマガド」戦の実機プレイが公開
イベントの後半は、歌手・加藤いづみさんが、「MHR」のゲーム内楽曲である「カムラ祓え歌」の生歌唱と共にスタート。本作の拠点となる「カムラの里」の雰囲気を象徴するかのような、優しくも壮大さを感じさせるメロディーと共に、その美声を響かせた。
「カムラ祓え歌」の歌詞は、「モンハン」世界における言語でできており、加藤さんはモンハン世界の言語をすぐに覚えられたのだとか。また、実は日本語歌詞のバージョンが存在していることも明かされ、いつか披露できる日が来ることを楽しみにしている様子だった。 |
その後には、先日発表されたばかりの新要素である「入れ替え技」、「百龍夜行」の開発陣による実機プレイが披露された。
翔蟲を使った通常攻撃や鉄蟲糸技を、新たな別の技に変更できる「入れ替え技」の例として、今回公開されたのが太刀。気刃斬りの三段目以降の攻撃を、回転斬りから強力な縦斬りに変更する「気刃無双斬り」と、新たな鉄蟲糸技である「桜花鉄蟲気刃斬」の2つが紹介され、「気刃無双斬り」は、回転斬りよりも攻撃範囲が狭くなる代わりに一撃の攻撃力が高まる、「桜花鉄蟲気刃斬」は攻撃ヒット時に練気ゲージを上昇させる効果があるといった特徴があり、武器の性能を従来のものから変化させることができる。
これらの入れ替え技は、ゲームを進行させるとウツシ教官から伝授される形で修得でき、その後はアイテムボックスで装備のように技を切り替えることができるようになるようだ。
一方の「百竜夜行」は、大量に出現するモンスターの群れから門を防衛し続ける、従来の「モンハン」には存在しなかった、タワーディフェンスゲームに近いタイプのクエスト。フィールドである翡葉の砦には、様々な場所に「設置台」と呼ばれるポイントが設定されており、バリスタや大砲といった狩猟設備を配置し、設備をフル活用しながらモンスターを倒していき、砦レベルを上げていく。その結果開放される、より高度な狩猟設備を活用し、門が破壊されるよりも前に、最終WAVEに出現するヌシの撃破を目指すというのが主な流れだ。
狩猟設備には、ハンターが手動で狙いをつけるバリスタや大砲、撃龍槍などのオーソドックスなものだけではなく、近づく敵を自動で攻撃してくれる砲台、モンスターの接触と共に爆発する地雷のようなもの、本作の受付嬢である「ヒノエ&ミコト」の呼び出しなど、カムラの里のネームドNPC達が参戦して戦ってくれるもの(NPCは一定時間経過で撤退する)など、様々な種類が存在する。
今回の実機プレイでは、開発陣はこの狩猟設備を主な攻撃手段として活用し、ハンター達の攻撃力が上がる「反撃の狼煙」が発生するタイミングで、自らの武器を使っての攻撃に切り替えるという戦術で、押し寄せる中型モンスター達を次々と撃破していた。襲撃を行ってくるモンスターには、プレイヤーではなく門や施設を優先して狙ってくるものなど、様々なタイプが存在し、どのモンスターから倒すかも重要になってくるという。
本来は途中のWAVEで実機プレイは終了する予定だったそうなのだが、開発陣が想定よりもスムーズにモンスター達を撃退することができていたため、最終WAVEに出現するヌシ・アオアシラの姿もお披露目されることに。ヌシ・アオアシラとの戦いはほんの一瞬だったものの、防衛目標である最初の門があっという間に破壊され、1撃でハンターの体力の大半を奪うなど、それまで登場してきたモンスターとは明確に強さの次元が違うことが明らかにされていた。
なお「百竜夜行」は、大量のモンスターを一度に相手どらなければならないためソロでの難易度は大きく上がってしまうが、「狩猟設備を20個設置」「モンスター2体を状態異常にする」などのサブ任務を1つでも達成すればクリア扱いとなり、防衛に失敗してもある程度の報酬は獲得できるため、1人でもクリアのハードル自体はさほど高くないとのこと。
小・大規模の区分けもあり、小規模なものなら最後にヌシは登場せず、比較的短時間で終わるようなクエストになっているという。(「入れ替え技」と「百竜夜行」については、こちら(https://www.gamer.ne.jp/news/202103090004/)の記事でも詳細が発表されている)
その後には、「MHR」のメインモンスターである「怨虎竜マガイマガド」の狩猟クエストが実機で公開。鎧武者を思わせるようなデザインと、「鬼火」と呼ばれる特殊なガスを使った攻撃が特徴のモンスター。3月12日より配信予定の体験版第2弾でも戦うことができるが、一瀬氏によると手慣れの開発スタッフが勢揃いしてもクリアがギリギリになるほど、上級者向けの高難易度のクエストとして設定されているという。
実機プレイで披露されたマガイマガドも、その一瀬氏の話に違わぬ強さで、鬼火を様々な部位にまとわせたり射出したり、多彩な攻撃を繰り出し、近接装備のハンターでも1撃を受けただけで体力の7割近くをもっていかれる一幕も見られた。腕に自身のあるハンターにとっても、かなり手強い相手となりそうだ。
ユニクロ、TikTokとのコラボレーションも決定!
今後のアップデートの告知も行われ、4月下旬に配信予定のVer2.0では、ハンターランクの開放と「霞龍オオナズチ」が実装され、以降も様々なモンスターが追加されていく予定となっている。さらに時期未定のVer3.0アップデートでは、さらなる追加モンスターに加え、ストーリーの追加エンディングが配信されることも明らかにされた。
プロモーション関連の発表では、まずシリーズ恒例となりつつあるユニクロとのコラボでは、アイルーやガルク、ゲーム内のアイコンなどをモチーフにしたコラボTシャツの発売が決定。今回は初めてキッズサイズも用意され、発売は2021年6月頃を予定しているという。
一方、2012年3月19日からは、人気動画プラットフォームTikTokとの「MH」シリーズ初のコラボレーションも決定。TikTok内にオトモアイルーを模したゲームエフェクトが登場し、制限時間内にアイテムと猫のアイコンを組み合わせることでアイルーが出現するというミニゲーム的な仕掛けになっており、エフェクトを活用した動画投稿キャンペーンも3月26日から開催される。優秀動画の投稿者には公式オリジナルグッズがプレゼントされるという。
イベントの最後には、Nintendo Switch用RPG「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」の発売日が2021年7月9日に決定したこと、「MHR」とのセーブデータ連動特典として主人公の重ね着装備「カムラノ装」が入手可能になることも改めて告知された。「ストーリーズ2」については、今後は様々な追加情報が発表されていく予定とのことだ。
なおイベント終了後には、辻本氏、一瀬氏の両名へのショートインタビューも実施された。最後にその模様をお届けしていく。
辻本良三プロデューサー、一瀬泰範ディレクターインタビュー
――「百竜夜行」は、どんな位置づけのクエストになるのでしょうか。
一瀬泰範氏(一瀬氏):最初はストーリー上のイベントのような形で出てきますが、基本的には通常のクエストと同じようなサイクルでプレイでき、ランダムでクエストが出現するような形式になっています。
――従来のものでいうと、ジエン・モーランのクエストのようなイメージでしょうか?
一瀬氏:いえ、そのあたりよりは、もっと通常のクエスト寄りのイメージになります。結構軽い気持ちで遊んでもらえるクエストになっていると思います。
――どのくらいの進行度からプレイできるようになるのでしょうか?
一瀬氏:序盤の方からプレイできる形になります。後半になると出現するモンスターが増え、より上位のものに挑戦できるようになっていきます。
辻本良三氏(以下、辻本):序盤のクエストは難易度は控えめで、練習モードのようなものも用意したりもしています。
――報酬はどのような形式になるのでしょうか。通常クエストのように、モンスターの討伐は行えないようになっていますよね。
一瀬氏:そうですね、あくまでもモンスターを撃退するという形式です。ただ、クエストの最後に出てくる大物については討伐も可能になっています。報酬については、クエストで提示されるサブ任務のようなものをこなしていくことでクリアランクが上がり、より良い報酬が獲得できるようになります。サブ任務を一つでも達成していればクリア扱いになるので、タワーディフェンスゲームが苦手な人にも遊んでもらいたいです。
――具体的に、報酬の内容はどんなものがあるのでしょうか?
一瀬氏:クエスト内に出現するモンスターの素材の他には、特殊な武器の強化に使える、百竜夜行限定のチケットを入手できます。
――今回のプレイでは中型のモンスターが中心でしたが、ゲームを進めていくと古龍のようなモンスターが出現することもあるのでしょうか?
一瀬氏:そうですね。今回はたまたまそのあたりのモンスターが出現するクエストだったというだけで、クエストで出現するモンスターには様々なバリエーションがあります。
――今回の番組の中には、「1体のモンスターが出来上がるまでに数年掛かることもある」という発言もあり驚かされました。モンスターが完成するまでにはどういった工程があるのでしょうか?
一瀬氏:実はそれについては、社内でも驚かれることが多いですね(笑)。でも実際チームに入って開発に関わってもらうと、だいたい納得されます。
まず「火属性の鳥型モンスター」みたいな感じで、モンスターのコンセプトの候補をいくつか挙げていき、その中から面白そうなものをピックアップし、コンセプトに基づいた遊びを広げていく、といった流れになります。デザインはその過程の中で並行して決まっていき、そこから3Dモデルを起こしてアニメーションをつけて……といった工程も必要なので、仮の形のものが完成するまでだけでも、ざっくり1年くらいは掛かることが多いですね。
さらにそこからゲーム内に実際に実装してみて、プレイヤーとの戦いの中で、それまでイメージしていた遊びが本当に楽しいのか、強さのバランスは適切なのか、気持ちよく倒すことができるのかといった調整を行っていくと、2年、3年……とかかってしまうこともあります。
――3月12日から配信される、体験版第2弾についてもお聞かせください。「入れ替え技」については今回の体験版には実装されていないとのことでしたが、前回配信された体験版第1弾に、そのままマガイマガドのクエストが追加されるような仕様でしょうか。
一瀬氏:基本的にはそう考えていただいて大丈夫です。一部の緊急的な措置が必要なバグ修正などの対応は行っていますが、ゲーム内でできる基本的な遊びとしては、第1弾のものと同じ内容になります。
――前回実施された、メディア向けの先行プレイで反映されていた内容は、まだ体験版2弾には反映されていない形でしょうか?
一瀬氏:そうなります。あくまでも体験版第2弾はマガイマガドのクエストを体験してもらうことを目的に作成したもので、先行体験会でのバージョンの方が製品版により近いものになっています。なのでユーザーさんから報告があったバグなどが残っている場合もあるかもしれませんが、製品版ではそこからかなりの数を修正しているのでご安心ください。
辻本氏:ただ、ゲームのシステムやアクションを追加したりということはしていませんので、基本的な部分は製品版と同じものになっています。
――体験版第1弾では、狩猟笛がプレイヤーの間で大きな話題になりましたが、開発陣としてはそういった反応も想定の上でしたか?
一瀬氏:どういう風に受け取ってもらえるか不安もあったのですが、とても大きな反響をいただけたのはありがたいと思っています。今は狩猟笛が注目されていますが、今回紹介させてもらった「入れ替え技」によって、遊び方が大きく変わる武器種もありますので、また評価が変わってくるのかなとも思っています。「入れ替え技」は、アクションのやりこみ要素的な意味合いでも入れたものにもなっているので、是非楽しみにしていただければと。
辻本氏:狩猟笛って、今まで「MH」シリーズを通しても使用率が毎回最下位近くだった武器なので、それが上がってくれたのは嬉しかったです。ただ、あそこまで急激に上がるのはちょっと想定外でした(笑)。さきほど一瀬も言いましたが、製品版では「入れ替え技」も入ってきて、現在から武器の評価も変わってくると思いますので、最終的にどういった武器が人気になるのかは反応が楽しみですね。
一瀬氏:話題になっている狩猟笛も、「入れ替え技」によって結構遊びが変わってくると思います。
――プレイヤーからの反応というか、動画なりSNSなりで、様々なリアクションを返してくれることが、開発の励みになる部分もあると。
一瀬氏:そうですね。Switch側の機能でも、スクリーンショットをSNSにアップロードすることができますが、今回はそれとは別にゲーム内にも写真撮影の機能を実装し、ゲーム内アルバムだけではなく、本体側のメモリーにも残せるようにしていますので、ユーザーさん間の盛り上がりに活用していただければと思っています。
――ありがとうございました。