Tencent GamesからリリースされたiOS/Android用アプリ「白夜極光」をレビュー。ラインストラテジーRPGと銘打たれたゲームシステムが特徴の本作。その魅力について紹介する。
「白夜極光」は、Tencent Gamesがリリースしたスマートフォン向けラインストラテジーRPG。パッと見で、ビジュアルクオリティの高さが目を引く作品だが、本作の魅力はジャンル名に謳われた「ラインストラテジー」の部分。言葉の響きからラインディフェンスゲームをイメージした人もいるかもしれないが、ゲームシステム的にはむしろパネルを繋げていくマッチングパズルに近い。ただ、ゲームシステムから味わえる楽しさは、パズル的な楽しさだけではない。キャラクターをどう動かし、いかに大きなダメージを与えるかというバトルの戦略性も味わえる。
戦略性とパズル性!2つの楽しさを持ったラインストラテジー
本作におけるゲームのおおまかな流れは、既存のスマートフォン向けRPGと大きな違いはない。マップからステージを選んでバトルスタート。ステージによってはバトルの前後に会話シーンが挿入され、ストーリーが語られていくという形だ。バトルの結果強化用の素材アイテムを獲得、キャラクターを育成していく。
本作のバトルパートは、四角形のマス目で区切られたフィールド上で行われる。マス目ごとに色が塗られており、マッチングパズルゲームのように同じ色のマス目を指でなぞることが可能。なぞるとマス目が繋がってラインとなる。ラインができると、その通りにキャラクターが動いて敵を攻撃。つまり、ジャンル名にある「ライン」とは、このマップ上に引かれるラインのことを意味しているわけだ。
ここまでの説明だけだと、パズル要素がメインのバトルに思えるかもしれない。確かに「いかに多くのパネルを繋ぐか?」というパズル的な思考は要求される。しかし、それだけではない。同時に、ウォーシミュレーションゲームのように、いかに戦場を立ち回るか?という戦略性も考えなければならないのだ。戦略性…そう、ジャンル名の「ストラテジー」の部分。
本作の攻撃は大きく3種類存在している。ひとつめの攻撃は、マス目を繋いだラインと接触する敵への攻撃。キャラクターがラインを移動する際、ラインと接触するマスにいる敵を自動的に攻撃してくれる。他のRPGでいうなら、通常攻撃にあたる攻撃といえるだろう。
次に、「連鎖技」。これは、繋いだマス目の色と個数によって発動される攻撃だ。マス目の色はキャラクターの属性の色と対応しており、一定以上のマス目を繋ぐと、ラインの色と対応した属性のキャラクターの「連鎖技」が発動する。「連鎖技」によって攻撃範囲は異なるものの、基本的に遠距離攻撃となっているため、離れた場所から一方的に攻撃することが可能だ。
そcして3つめが「能動技」。これは一般的なスマートフォン向けRPGにおけるスキルと同じも の。クールタイムが経過するとキャラクター固有の「能動技」を発動可能。「能動技」のb多くは、マスの色や個数と関わる効果を持っている。中には単純に敵を直接攻撃するというだけの「能動技」もあるが、指定属性のマスの数によって効果が変動するというものが多い。また、マスの色を変更することでより長いラインを繋げられるようにし、間接的に与えるダメージを増加するという「能動技」も存在している。
マッチングパズルのようにより多くのマスを繋ぐことは、もちろん本作でも重要だ。「連鎖技」を繰り出すためには一定数以上のマスを繋ぐことが必要だし、さらには「極光タイム」という要素も存在している。「極光タイム」とは、一定以上のマスを繋ぐことで発動する効果で、発動すると敵のターンを飛ばして連続行動可能だ。
ただ一方で、通常攻撃でのダメージを与えるためにはなるべく敵に接触するようなラインを引かねばらならず、ただマスを多く繋げばよいということにはならない。そのためには賢く「能動技」を使うことが必要だろう。ラインをどう繋ぐかというパズル性と、いかに敵を効率よく倒すかという戦略性。この2つを同時に考える必要があるわけだ。
魅力的なキャラクターをどう組み合わせる?戦略的な編成
バトル以外の部分、キャラクターやストーリーといった点も本作は非常に魅力的だ。画像で分かる通り、本作のビジュアルクオリティはとても高い。キャラクターデザインは美少女系のゲームのようにも見えるかもしれないが、美少女だけに特化しているわけではなく、男性キャラクターもしっかり存在している。しかもカッコいい。男性キャラクター、女性キャラクター、いずれも魅力的だ。なので、お気に入りのキャラクターだけでパーティーを編成したくなるところ。しかし、バトルのことを考えるとそうもいかなくなってくる。
というのも、バトルを考えると、「能動技」をどう組み合わせるかという観点が重要になってくるから。たとえば、「火属性のマスを4つ森属性に変える」という「能動技」を持つキャラクターと、「森属性のマスの数によって攻撃力にボーナスが付く」という能動技を持ったキャラクター、そして森属性で高レベルのキャラクターをパーティーに編成しておけば、1ターン内で森属性マスの数を増やして攻撃力ボーナスを獲得、その上で森属性のラインを繋ぎ、「連鎖技」で大ダメージ…なんてことができてしまう。
このため、本作のパーティー編成は非常に悩ましい。より効率よくバトルを勝ち抜けるパーティーを追求したい気持ちもあるし、いかに高火力を出すか追求する気持ちもある。とはいえ、自分のお気に入りキャラクターのみのパーティーを育成したい気持ちもある。あれがやりたい、これがやりたい…となんとも悩ましく、編成を考えているだけでも非常に楽しい。
中毒性の高いバトルパートが魅力!1度はプレイする価値のある作品
最後に本作のストーリーに触れておこう。本作の主人公は、「空の末裔」と呼ばれる種族の生き残り。「空の末裔」は古代の高度な科学技術が使われていた創造物「巨像」と精神リンクすることができる特別な種族だ。彼らは「天空ノ谷」と呼ばれる地で平和に暮らしていたが、17年前、「暗鬼」と呼ばれる種族の侵入を受け「天空ノ谷」が崩壊。それだけでなく、暗鬼によって文明の地は混乱に陥った。この状況を解決すべく暗鬼と戦うのが主人公=プレイヤーの役目だ。
物語は主人公が「巨像」内に一人取り残され、外界への接触が不可能という状況から始まる。状況的には文明の地を救うどころか主人公自身の命すら危ういのだが、とある事件から主人公は協力者を獲得。暗鬼との戦いに乗り出すことになる。こうした流れは本作のルール説明と共に、非常に丁寧に語られている。なのでストーリーにハマる人も少なくないのだろうが、筆者としては少し冗長に感じてしまった。なぜなら、本作のバトルに思いっきりハマってしまったから。
中毒性の高いゲームにハマると、ゲームをしていない時でもずっと頭にゲームの場面が焼き付いてしまう…。そんな経験、ないだろうか?たとえば、対戦型FPSにハマったら、リアルに外を歩いている時でも、建物の陰に敵プレイヤーが潜んでいるような気がしてしまう…といった経験。筆者にとって本作はそんな経験ができる一作だった。なので本作プレイ中であっても、「能動技」をどう組み合わせ、ラインをどう繋ぐのが最も効率的なのか…という考えが頭から離れず、早くバトルパートがプレイしたくて仕方ない状態になってしまったのだ。
なので、本作のキャラクターやストーリーに興味がないという人も、是非本作に一度触ってみてほしい。中毒性の高いバトルパートは1度プレイする価値があるだろう。