カプコンが2021年7月29日に発売する、PS4/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」のプレイレポートをお届けする。
本作は「大逆転裁判」シリーズ2作品を1本に収録し、高解像度化でより美しくなったビジュアルや追加された新機能を楽しめるタイトル。キャラクターデザイナーの塗和也氏が描き下ろしたクリア特典イラストや秘蔵映像など、充実の特別付録も堪能できる。
日本と倫敦を舞台に、大逆転劇が幕をあける!
本作の舞台は19世紀末、激動の中にある明治時代の日本と、産業革命で史上最大の繁栄を謳歌する大英帝国の首都・倫敦(ロンドン)。「逆転裁判」シリーズでお馴染み、成歩堂龍一の先祖となる「成歩堂 龍ノ介(CV:下野紘)」を中心に、さまざまなキャラクターが織りなす怒涛の逆転劇が繰り広げられる。
龍ノ介は大日本帝国、帝都勇盟大学の学生だ。ある事件をきっかけに、司法制度を学ぶ留学生として大英帝国へ旅立つことになる。そんな龍ノ介とって頼りになる存在が、大学生ながら弁護士の資格を持つ親友の「亜双義 一真(CV:中村悠一)」と、法務助士の「御琴羽 寿沙都(CV:花澤香菜)」だ。
さらに、世紀の大探偵「シャーロック・ホームズ(CV:川田紳司)」や、医学博士号を持ちながら小説「シャーロック・ホームズの冒険」も連載している天才文学少女「アイリス・ワトソン(CV:久野美咲)」も登場。そして大英帝国では、死神の異名をもつ検事「バロック・バンジークス(CV:津田健次郎)」が龍ノ介の前に立ちふさがる。このほかにも夏目漱石をはじめ、一度見たら忘れられないキャラクターが多数存在する。
詳しい内容は実際にゲームをプレイして確かめてほしいが、ポイントとなるのは何をおいても“逆転”だ。龍ノ介は弁護士として被告人の無実を証明するべく戦うが、途中で知らなかった事実が判明したり、有利になったと思いきや被告人が犯人だと示す決定的な証拠が出てきたり、守るべき被告人が事実を隠していたりと、一歩間違えれば即有罪判決を受けかけない綱渡り状態が続く。おまけに、無罪を勝ち取るのが必ずしも正しいとは思えない場面も……。
さまざまな事情で弁護側が窮地に立たされるのは一度や二度ではないが、だからこそ被告人が犯人ではない糸口を見つけ、大逆転した瞬間の気持ちよさは何ものにも代えがたい。
本作は「大逆転裁判」で5話、「大逆転裁判2」で5話、全10話のドラマが用意されている。この逆転に次ぐ逆転のドラマは1話ごとに完結するが、真実を明らかにして終わったはずの事件の裏に、さらなる真実が隠されていることもしばしば。それぞれの接点が判明するタイミングも意外で、個々の事件はもちろん、全体像が気なってプレイのやめ時を見失ってしまうほど。とくに「大逆転裁判」の2話と5話にはすさまじい衝撃を受け、多くの疑問も残るだろうが、そこから「大逆転裁判2」で少しずつ謎が明かされていく過程は筆舌に尽くしがたい。
初回は順番どおりのプレイを強く推奨するが、本作は最初から好きな話や章を細かく選ぶことができる。すでに遊んだプレイヤーにとっては、好きな話数から自由にプレイできるのは嬉しいところ。セーブデータは20件、オートセーブ機能も1件あるので、お気に入りのシーンをセレクトするのもいいだろう。ちなみにタイトル画面はプレイの進行によって背景が変化するので、こちらもお楽しみに。
ホームズと調査する「共同推理」&陪審員のムジュンを突き崩す「陪審バトル」
続いて、本作のシステムについて触れていこう。「逆転裁判」シリーズといえば、弁護士として事件現場を調査する「探偵パート」と、集めた証拠を使って事件の“ムジュン”を暴き、真相を明らかにする「法廷パート」でストーリーを進めていくのが定石だ。この「大逆転裁判」シリーズではそれらを踏襲しつつ、新たに「共同推理」や「陪審バトル」といった要素が加わっている。
まずは事件が発生後、現場を調べて証拠品を集めたり、関係者から証言を聞いたりする探偵パートがスタート。怪しい場所を調べたり、事件の関係者に話を聞いたり、時には場所を移動したり、手に入れた証拠品をつきつけてみたりしながら法廷で戦うための材料を探していく。とくに証拠品は手に入れるだけでなく、詳しく調べてこそ真価を発揮するものもある。法廷パートの前にひととおり確認しておこう。
この探偵パートでは、とある場所で出会うホームズと龍ノ介が共に行う「共同推理」も発生する。鋭い観察力と並外れた推理力を備えたホームズだが、時にそれが真実の向こう側まで飛躍してしまう。プレイヤーは龍ノ介として突飛な推理のポイントを指摘しながら、画面の中から正しい答えを見つけて推理を入れ替えていく。「いくらなんでも、そんなわけないだろ!」というツッコミを入れつつ、真実が導き出される流れは“ムジュン”を暴くのとは一味違う爽快感を味わえる。
事件現場を調査し、証拠を集めたらいよいよ法廷パートでの戦いが始まる。基本的に弁護士として守るべき被告人はどうしようもなく不利な状態から始まるので、事件を目撃した証人へ「尋問」し、証拠と“ムジュン”する証言を見つけていくことになる。また、本作では複数の証人が一度に証言台に立つことも多い。「ゆさぶる」で詳しく話を聞いていると、別の証人が不自然な反応をしたり、何かを思い出したりすることもある。そんな時は、証人を切り替えて「といつめる」を行うと新たな証言を引き出すことができる。
日本も倫敦も法廷でやることは同じだが、倫敦では6人の陪審員の主張を覆す「陪審バトル」も用意されている。無作為に選ばれた陪審員たちは、不利な状況の被告人に対して「有罪」を下してしまうが、彼らが有罪を決めた理由は個々人で異なる。ここで、陪審員の中から“ムジュン”する意見同士をぶつけよう。この「最終弁論」でうまく働きかけることができれば、陪審員たちは裁判を続けるべきだと考えを改めてくれる。
メッセージが自動で送られるオートプレイも可能で、選択肢の決定を含めたすべての操作を自動で行う「ストーリーモード」も搭載。これを利用すれば、映画やドラマのようにストーリーを楽しむことができる。どうしても謎が解けない場合などには活用してみよう。
ただ、ストーリーモードはよくも悪くも最低限の選択や操作で進んでしまう。証拠とは無縁の場所を調べる、とくに必要のない選択肢を選ぶ、事件にあまり関係ない証言にゆさぶりをかけるなど、正解ではない操作で見えてくるセリフや龍ノ介たちのやりとりは、非常に味わい深いものばかり。ここに「逆転裁判」シリーズの魅力が詰まっているといっても過言ではないはずだ。
とくに法廷パートなどで「ここぞ!」という瞬間に、弁護士としての選択を突き付けられることも多い。このまま進むべきか、立ち止まるべきか……プレイヤーとして迷い、悩み、逡巡する時間もドラマを盛り上げるスパイスとなる。まずは一度、自力でプレイして、どうしても行き詰った場合はストーリーモードに切り替えるといった使い方で遊んでほしい。
また、本作には英語のテキストとボイスで楽しめる「英語版」も搭載されている。日本でのシーンは日本語で、倫敦のシーンは英語でプレイするとより臨場感が高まりそうだ。英語版では分かりやすい翻訳はもちろん、フォントやスペル、効果音からボイスまで、さまざまな工夫が施されているという。詳しくは公式サイトでも紹介しているので、こちらもぜひチェックしよう。
設定画やサウンドまで充実の特別付録!
クリア後には、原作の有料ダウンロードコンテンツ「ランドストマガジン」で配信された図録/楽曲/音声などを収録した特別付録を楽しもう。「画廊」では塗和也氏のコメント入り設定画や、過去にイベントなどで限定公開された映像を見ることができる。「音楽室」では北川保昌氏のコメント入りで楽曲やNG楽曲をはじめ、メッセージ送りの「ポポポ」やタイプライターの音、キャラクターの音声といったサウンドトラックでは聞けないような音楽まわりもたっぷりと味わえる。
原作ディレクターの巧舟氏がランドストマガジン向けに書き下ろした短編エピソード「ショート・ショート」計8話を収録した「番外編」や、「大逆転裁判2」で龍ノ介・寿沙都・ホームズのコスチュームを変更できる「更衣室」も登場。さらに予約・早期購入の特典として「【特典】蔵出し設定画&楽曲」がプレゼントされる。ダウンロード版は、2021年8月31日(火)23時59分までに購入すれば特典が付与される。パッケージ版は数量限定で封入された特典コードを2022年7月28日(木)までに利用しよう。