2021年8月21日から24日の期間に開催された「ディアブロ II リザレクテッド」のオープンベータに参加して分かった、本作の魅力についてお届けする。
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「ディアブロ II リザレクテッド」は、2000年発売のアクションRPG「Diablo II」のリマスター作品。グラフィックを一新(オリジナル版のグラフィックに切り替えることも可能)し、2001年に発売された拡張パック「Lord of Destruction」の要素も含まれている。
発売日は2021年9月24日を予定しており、対応機種はWindows PC/PS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox One。プラットフォーム間のクロスプログレッション(ゲーム機の垣根を超えたキャラクターや進行状況などのデータの共有)にも対応している。
今回のオープンベータはNintendo Switch版を除く5機種を対象に実施された。筆者がプレイしたのはWindows PC版。「Diablo II」自体に初めて触れる筆者だったが、問題なくその楽しさを満喫することができた。シリーズ初心者にとってどのようなゲームだと感じられたか? といった視点で読んでいただければ嬉しい。
手探りで世界を歩き回る、最新ゲームとはひと味違う魅力がある
ゲームをはじめると、ムービーが流れたあとに、操作キャラクターを作成できるように。本作のキャラクター作成は名前を決定し、覚えるスキルや使える武器の異なる7種類の「クラス」の中からひとつを選ぶ簡素なもの。複数のキャラクターを作成してもOKだ。
クラスは「アマゾネス」、「アサシン」、「ネクロマンサー」、「バーバリアン」、「パラディン」、「ソーサレス」、「ドルイド」があるが、今回のオープンベータでプレイできたのは、この中の「ネクロマンサー」、「アサシン」を除く5クラス。筆者は、幅広い戦い方のできる屈強な女戦士という点に惹かれ、「アマゾネス」を選択した。
短いロードを挟み、最初の拠点である「ローグの野営地」からゲームプレイはスタート。各種施設の機能の把握もそこそこに野営地を出てみると、「血の荒野」という広大なフィールドがそこにはあった。とりあえず歩き回ってみると、「ゾンビ」や巨大なハリネズミのような「クィル・ラット」といったモンスターが襲いかかってきたので、近づいて右手に装備していた「ジャベリン」で倒していく。時折配置されている石碑のようなものに触れると、ライフが回復したり、一定時間スタミナが減らないようになり、ずっと走っていられるといった恩恵が得られた。
アクション面のプレイフィールとしては、操作キャラクターの快適なレスポンスと、ザクザクとダメージを与えているそばからモンスターたちが倒れていく感触がとにかく気持ちいい。もう少しゲームが進むと、大量の敵が一度に殺到してくるようになるのだが、これを次々に倒していき、気づけば死体の山が出来上がっていく感覚も、良い意味で癖になる。
倒した敵がドロップしたり、時折道端に置かれている宝箱から入手するアイテムをすべて拾っていたら、すぐに所持品がいっぱいになってしまった。何度か野営地に戻り、アイテムを整理するなどして探索範囲を広げていくと、不気味な「墓地」にたどり着いた。野営地にいるカーシャという人物と話して発生したクエストによれば、この墓地にいる「ブラッド・レイヴン」なるモンスターを倒さなければならないらしい。
墓地に出現するモンスターは、「血の荒野」のものと比べて格段に強い。一度うっかり死んでしまったのだが、このとき筆者は死んで野営地に戻された時点でゲームを終了してしまい、所持金がゼロになってしまった。ゲームを続けて、死んだ場所までたどり着けばお金やアイテムをすべて取り戻せるが、ゲームを終了するとお金のほうは戻ってこないと知ったのは、その後のことだった。ちなみに、フィールドがランダム生成となっている本作は、一度ゲームを終了すると、マップの構造も変わってしまう。
オリジナル版のプレイフィールを再現している本作には、昨今のゲームのように懇切丁寧にプレイヤーを誘導するようなシステムはない。自らの好奇心に身を任せて手探りで世界を歩き回り、探索・戦闘のコツを掴んでいくことになるのだ。痛い目に遭ったりしながらキャラクターと共にプレイヤー自身も経験値を得ていくような感覚は、これはこれで刺激的。放り出されたような感覚に面食らう人もいるかもしれないが、すぐにその魅力を理解できるのではないかと思う。
強敵、ブラッド・レイヴンとの死闘
再び墓地の攻略を進めていくと、ひと際たくさんのモンスターたちが蠢く一帯に、ブラッド・レイヴンはいた。囲まれて袋叩きに合わないように立ち回りながら戦うが、ブラッド・レイヴンはモンスターを生み出す能力を持っており、大元を叩かなければ埒が明かない。どんどん操作キャラクターのライフ(画面左下にある赤い球体)が減っていく。
ここではじめて、慌てていくつもの「ライフ・ポーション」を消費するという事態に陥った。ライフ・ポーションは使用してから徐々にライフが回復していく仕様なので、回復速度を考慮して使わないと、新たなダメージのほうが多くて死んでしまう場合がある。なお、紫色をした「回復のポーション」ならば使った瞬間にライフを大きく回復することができる。
もう回復できない! というところで、なんとかブラッド・レイヴンの撃破に成功。いったん野営地に戻って、報酬を受け取ることができた。苦戦したこともあって、なかなか大きな達成感だ。
なお、このブラッド・レイヴンを倒すクエストは、敵の手強さで言えばふたつ目に攻略すべきものだったらしい。どうりでグンと難易度が上昇したわけだ。クエストは基本的に、メニューの「クエストログ」に表示されるものを、左上から順番にこなして行くのがセオリーのようだ。
まだ先にクリアすべきクエストの内容が開示されていない場合、発生する条件を見逃している可能性が高い。まだ会話をしたことのない人物に話しかけてみるとか、まだ向かったことのない場所に向かってみるといいだろう。もちろん腕に自信があれば、セオリーを無視して自由な順番で攻略していってもOKだ。
ステータス、スキルの習得は、悩ましくもそれが楽しい
今回のプレイで分かった育成システムの基本は以下の通り。画面下のインターフェイスに表示された黄色いゲージが経験値を表しており、ゲージが右端に到達するとレベルが1上がる。レベルが上がったらできることはふたつ。まずメニューで「キャラクター」を選び、ステータス・ポイントを5ポイント、筋力、俊敏性、生命力、エナジーのいずれかに振り分けられる。ふたつ目は同じくメニューにある「スキルツリー」で、戦闘に有効なスキルを覚えられること。
ステータス・ポイントの振り分けについては、特定のステータスが一定以上ないと身に付けられない装備品もあるので、強力な装備を手に入れたら、これを装備するためのステータスの割り振りを優先してもいいだろう。
スキルは系統別(アマゾネスならば「ジャベリン/スピア」、「常時発動/魔法」、「弓/クロスボウ」、「一般スキル」に分かれている)に、ある程度覚える順番が決められているが、既に覚えたスキルの能力をさらに強化するか、別の新しいスキルを習得するかといった部分は自由となっている。別々のスキル同士が相乗効果を及ぼすこともあったりと、何を優先するべきか悩ましい。
ゲームを進めてソケット付きの武器を入手すれば、装備品に宝石を取り付け、属性ダメージを付与したりと、ビルドの幅は広がっていく。大量の敵に囲まれても、一網打尽にできるように成長していくことを想像すると、早くキャラクターを成長させたくなり、これがゲームのプレイをやめられない止まらない感覚に繋がっているというわけだ。
まだ片鱗程度かもしれないが、本作が20年以上愛され続けている理由が少し分かった。
拠点の機能はシンプルかつ快適
「ローグの野営地」では、アイテムを倉庫に預ける、商人と売買するなどの方法で、必要なもの、不要なものを整理することができた。
また、遠くまで探索に行ったとき、各フィールドで「ウェイポイント」と呼ばれる魔術的な石版のようなものを見つけ、これを有効にすれば、野営地から有効化したウェイポイントまで一瞬で移動できるようになる。また「タウン・ポータルの巻物」を使うことで、野営地に戻ってから、再度巻物を使用した地点まで一瞬で戻ることも可能だ。
クエストをひとつクリアしてからは、傭兵を雇うこともできるようになった。傭兵は独自に行動し、プレイヤーの戦闘をサポートしてくれるが、そこまで上手い立ち回りをするわけではない。強敵との戦いでは放っておくとすぐに死んでしまうので、ライフ・ポーションを分け与えるなどして一緒に戦おう。なお、死んでも安価で蘇生することはできるため、この点では薄情ながら、そこまで大切にする必要はないとも言える。
ほかに見つけたのはギャンブルを扱うNPCくらい。野営地はそこまで多機能というわけではない印象を受けたが、自分で試行錯誤していくにはこれくらいが丁度いいし、ゲームプレイが快適になる機能は揃っている。こうして複雑になりすぎることなくまとまっている各種要素も、本作の美点と言えるだろう。
20年間愛されるのも納得の、夢中になれるゲームプレイ
その後もいくつかのクエスト目標をクリアしていったところで、オープンベータのプレイ期間は終了。マルチプレイは遊びそびれてしまったが、それだけシングルプレイでも、夢中になれる楽しさがあったということだ。
数時間のプレイでも、敵のバリエーションは豊富さを大いに感じられ、装備品も次々に新しいものが手に入った。ここからさらに敵の数も、操作キャラクターの能力もどんどんインフレーションしていくのだろうから、ゲームプレイがますます楽しいものになっていくことは、想像に難くない。
アクションRPG、とくに新たな装備品やスキルの習得による終わりなきビルドの構築、そしてこれらを活かしたマルチプレイといった要素に魅力を感じるなら、その歴史的名作のリマスター作品「ディアブロ II リザレクテッド」を、プレイしてみてはいかがだろう?