MAGES.が2021年9月16日に発売を予定しているPS4/Nintendo Switch用ソフト「シンスメモリーズ 星天の下で」のゲーム序盤をプレイしてみてのインプレッション記事をお届けします。

目次
  1. “何でも屋”での活動を中心に繰り広げられる物語
  2. 子供でもなく大人でもない、大学生ならではの目線
  3. キーパーソンとなる英が抱える秘密とは……?
  4. サブキャラクターも魅力的!メモオフファンが嬉しい要素も

1999年に第1作目が発売され、2018年の第8作目「メモリーズオフ -Innocent Fille-」でシリーズとしての幕を閉じた「メモリーズオフ」シリーズ(※2019年には第8作目のファンディスク「メモリーズオフ -Innocent Fille- for Dearest」が発売)。その特徴としてシリーズ間で共通の時間軸でストーリーが展開してきたこともあり、その歴史とともに現実とのギャップが生まれてきた面は確かにあるかと思います。

そんな中、完全新作としてリリースされる「シンスメモリーズ 星天の下で」は、湘南、鎌倉をモチーフとした地域を舞台に恋愛を多面的に描いてきた「メモリーズオフ」シリーズの特徴を継承しつつ、2020年の現代を舞台に物語が展開します。

キャラクターデザインは近年さまざまな作品で活躍を見せるU35氏が担当し、画面に彩りを与えてくれています。また、志倉千代丸氏の作詞・作曲によるオープニング主題歌「光と影のラプラス」は亜咲花さん、エンディング主題歌「星空オルゴール」は「メモリーズオフ」シリーズではおなじみの彩音さんが歌唱しています。

メインキャストも近藤玲奈さん、田所あずささんという活躍の幅を広げる若手声優に加えて、新人声優の永木さくらさん、岡本美歌さん、渡辺千絢さんが参加していて、シリーズらしさを残しつつも完全新作にふさわしいフレッシュな顔ぶれとなっています。

前置きが長くなりましたが、本稿では「メモリーズオフ」シリーズをずっと追い続けてきているファンの目線で、本作序盤のインプレッションをお届けします。完全新作ということで多くの人にとって触れるきっかけになり得るとは思いますので、できる限りフラットに紹介していきます。

通常版パッケージイラスト 限定版パッケージイラスト

“何でも屋”での活動を中心に繰り広げられる物語

主人公の水元隼也(みずもと じゅんや/CV:菊地燎)は20歳の青年。幼なじみの北條ちはや(ほうじょう ちはや/CV:近藤玲奈)や伊勢陽詩(いせ ひなた/CV:永木さくら)と同じ大学に通いながら、家業の何でも屋「水元堂」を手伝う日々を過ごしています。

一見すると穏やかな日々を過ごしているように感じられますが、隼也は昨年に交通事故で失った兄・鷹也のことが心のしこりとなっています。当時、鷹也とともに車に乗っていたはずの隼也ですが、事故の瞬間の記憶はなく、結果的に兄を死なせてしまったという想いを抱いています。

そんな折、鷹也を知る謎の少女・里見英(さとみ あずさ/CV:田所あずさ)が隼也の前に姿を見せると、「お前のせいで鷹也は死んだんだ!」と憤りの感情をぶつけます。

英の言葉に少なからずショックを受ける隼也でしたが、そんな中でも日本の民俗学に興味を抱く中国人留学生の黄春玉(ほぁん ちゅんゆー/CV:渡辺千絢)、澄空出身のアイドルで現在は休業中の大山優梨子(おおやま ゆりこ/CV:岡本美歌)との出会いも経ながら、物語は進んでいきます。

本作では、こうしたエピソードをオーソドックスなテキストアドベンチャーとして描いていきます。序盤は主にヒロインたちがどういう子なのかを知っていくことになりますが、その中にも思わずクスッとしてしまう軽妙なエピソードから、ヒロインたちの内面に踏み込むやり取りもあり、目が離せない展開になっています。

ヒロインの一人・陽詩は重度のオタクという一面も。普段の言動とのギャップが印象的です。

子供でもなく大人でもない、大学生ならではの目線

主人公がヒロインたちと交流を重ねていくこと自体はよくある流れですが、本作では大学生活というよりは隼也の何でも屋としての活動が話の中心になっていきます。「メモリーズオフ」シリーズでは大学生が主人公になるケースもありましたが、そのいずれともまた一味違う感覚を覚えました。

20歳ということで大学卒業、そしてその後の進路も見えてくる年齢ですが、ある日、澄空の名家のお嬢様でもあるちはやが思い出の残る旧宅をリノベーションをしたいと隼也に相談します。

ずっと幼なじみとしてちはやからのお願い事に応えてきた隼也ですが、大学生にもなるとそう単純な話ではありません。政治家の娘であるちはやとの世間的な隔たり、そして幼なじみだからこそ踏み出せない一歩……。そうした部分が随所に感じられる描写が盛り込まれることで、大学生という年相応の目線を感じることになります。

それは留学生である春玉の言動にも表れています。彼女は初対面の隼也に対しても、最初から裏表なく接してきますが、その中でいわゆる仕事の姿勢(※主に金銭や契約面)についても容赦なく言及してきます。それがいきすぎであるというのは本人も後々反省したりするのですが、逆に言うとそうした面を持ち合わせていてもおかしくないという年齢なんだと感じながら、読み進めていました。

キーパーソンとなる英が抱える秘密とは……?

「メモリーズオフ」シリーズのファンとしては、今作でも恋愛模様だけではないシリアスな展開が用意されているかというのは気になるところです。プレイしたのが序盤のみなので現時点でその点について明確に言及するのは難しい所ですが、物語における一番大きな謎は鷹也の死にまつわる部分であるのは間違いないでしょう。

そして、その鍵を握るのが鷹也のことを知っている様子を見せる英です。出会ってからも隼也に対して厳しい言葉を投げかける彼女ですが、その一方で何度も水元堂に足を運ぶなど、その行動はどこかあやふやなところがあります。

どうやら、鷹也が事故の前に関わっていた案件と関係がありそうですが、隼也がそれを調べようとすると明確に止めようとしてきます。そのあたりが物語を進めることでいろいろ見えてくるのだと思います。

攻撃的な態度を周囲にも見せる彼女ですが、単に不器用なだけの面も多く、そうした一面を覗かせる時にまた新たな魅力を感じられます。特にプロフィールにもある通り、アイドルである優梨子に出会った時のリアクションはこれまでの彼女の印象を変えるものになるのではないでしょうか。

サブキャラクターも魅力的!メモオフファンが嬉しい要素も

大枠となるストーリーラインに触れてきましたが、今作では物語を彩る魅力的なサブキャラクターたちも登場します。筆者の主観にはなってしまいますが、その一部を簡単に紹介していこうと思います。

妹の水元みそら(みずもと みそら/CV:夏吉ゆうこ)は、その見た目通りのいわゆるギャルなのですが、水元家の家事を取り仕切るなどの世話焼きな部分のギャップが魅力的。何よりも口癖である「らぶち」が汎用性高くて恐ろしいです。

また、みそらの友達であるプルシアイネン藍乃(プルシアイネン あやの/CV:渋谷彩乃)は父はフィンランド人、母は日本人のハーフということで、その容姿もすごく印象的なんですが、普通に良い子です。隼也を慕ってくれていることが言動からもすごく感じられて、発売前ながら「この子のルートはないんですか!?」って叫びそうです。

そして、「メモリーズオフ」シリーズファンおなじみの稲穂信(いなほ しん/CV:間島淳司)も、喫茶店「YuKuRu」のマスターとして登場します。すでに二児の父ということで、何だか時の流れを感じさせるものですが、長女の稲穂凛(いなほ りん/CV:木野日菜)とともに隼也たちを迎えてくれます。特に「メモリーズオフ -Innocent Fille-」をプレイしている人は感慨深いのではないでしょうか。

発売前ということもあり、ネタバレに配慮しつつ紹介してきましたが、個人的には「メモリーズオフ」シリーズにおける特徴を縛りにするのではなく、新たな作品として展開することで要素の一つに留められていることが、完全新作であることの意味として大きいのではないかと感じています。

ちなみに、本作では章単位でストーリーが進行し、途中2つのルートに分かれていきます。今回プレイしたのはその分岐まででしたが、ここからさらに5つのキャラルートへと分岐していくということです。ヒロイン一人ひとりが何を抱えているのか、そして悩みや問題を乗り越えて結ばれていく様子がどのように描かれるのか。地に足のついた恋愛物語として描かれることを期待してインプレッションを締めくくろうと思います。

※画面は開発中のものです。

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