Project LUMINAが2021年9月30日に発売予定のPS4/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」の先行プレイレポートをお届けする。
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「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」は、TYPE-MOONが2021年8月26日に発売した長編伝奇ビジュアルノベル「月姫 -A piece of blue glass moon-」の世界観をベースとした2D対戦格闘ゲーム。従来の「MELTY BLOOD」シリーズの特徴を受け継ぎながら、ストーリーやデザイン、ゲームシステムなどを一新。現在の環境にあわせて一から制作される待望の「MELTY BLOOD」最新作だ。
ここでは、発売に先駆けて本作の先行プレイレポートをお届けしていこう。
全てを一新した新時代の「MELTY BLOOD」が登場!
「MELTY BLOOD」は、当時同人サークルとして活動していたTYPE-MOONと渡辺製作所(権利は現行のフランスパンが承継)が共同制作し、2002年に頒布された2D対戦格闘ゲーム。その後、「MELTY BLOOD Re・ACT」「MELTY BLOOD Act Cadenza」「MELTY BLOOD Actress Again」とシリーズ作品が生まれ、現在に至るまで多くのファンに愛され続けているタイトルだ(さらに同じタイトル内でも、「MELTY BLOOD Act Cadenza Ver.B」や「MELTY BLOOD Actress Again Current Code」のようにマイナーチェンジ版が存在し、システムのアップデートや新キャラクターの追加が行われた)。
本シリーズはその特性上、過去作品をアップデートする形で進化を遂げてきたが、最新作となる「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」は、現在の環境に合わせてビジュアルからゲームシステムまで一から制作されている。「MELTY BLOOD」シリーズ経験者にとっても、正に未知の「メルブラ(「MELTY BLOOD」の略称)」となるわけだ。
画像は「MELTY BLOOD Actress Again Current Code」のもの。 (C) TYPE-MOON / ECOLE Developed by FRENCH-BREAD Published by ARC SYSTEM WORKS |
グラフィックも大きく進化! |
対戦格闘ゲームとしての面白さはもちろんのこと、「MELTY BLOOD」シリーズはキャラゲーとしての顔を併せ持つ。本作でもTYPE-MOONの奈須きのこ氏がイベントストーリーの執筆を手掛けており、「月姫 -A piece of blue glass moon-」の外伝的なイベントストーリーも楽しむことができる。
また、特定のキャラクター同士の戦いでは専用の掛け合いが発生するようになっていたりと、世界観の見せ方にも新たな発見があり、より「月姫」の世界に浸ることができるはずだ。
なお、「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」は従来の作品と同様に、格闘ゲームとしての最初のハードルは低い作品なので、これから本格的に格闘ゲームを遊んでみようという人にもうってつけだ。
空中戦は本作でも健在!これまでのシリーズと変わらぬ操作感
「MELTY BLOOD」は多くのバージョンが存在しているので、プレイしていた時期(作品)によって、「なにが『メルブラ』たらしめるのか」という意見は人によって異なるだろうが、多くの世代の共通認識として「空中戦」は外せないポイントになるはずだ。
過去シリーズでは、キャラクターに対して占めるバトルエリアの比率が高く自由に移動できる範囲が広かったが、本作からはHD環境に対応し一般的な格闘ゲームと同じようにキャラクターが大きく描写されている。この影響による操作感は気になる点だったのだが、実際に触れてみると予想以上に勝手知ったる「MELTY BLOOD」という感じで、今まで通りの感覚で遊ぶことができた。
ハイジャンプや二段ジャンプ、空中ダッシュの自由度も変わらず、ジャンプ攻撃も強力なので、伝統的な「空中戦」は本作でも健在だ。
手触りの部分はこれまで同じ感覚で遊ぶことができたが、システム周りでは新しく追加された「ムーンスキル」や「ムーンドライブ」を筆頭に、様々な仕様変更が行われており、これまでとは異なる立ち回りや読み合いが生まれ、バトルの深みが増した。
システムの仕様変更は人によって様々な意見があるだろうが、「MELTY BLOOD」シリーズはバージョンアップ毎に新しい要素が追加されてきたという経緯もあり、初めてプレイする人にとっては複雑になり過ぎていたというのも一つの事実。「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」では、複雑化したシステムが整理されており、個人的には好印象だった。
メルブラコンボももちろん健在!ラピッドビートでさらに簡単に
「MELTY BLOOD」が多くのファンに愛されている1つの要因として、(当時としては)簡単にスタイリッシュなコンボが楽しめた、というのも大きかったのではないだろうか。相手を足払いで転ばしたところを地上攻撃で浮かせてエリアルコンボを決めるという一連の流れは、ほぼ全キャラクターで共通だったため※、ひとまずこのコンボさえ習得してしまえば、格闘ゲーム初心者でも色々なキャラクターを使って対戦が楽しめた。
本作でも伝統のメルブラコンボは健在なので、シリーズ経験者は何の違和感もなくゲームを遊ぶことが出来るはずだ。
※いわゆる【2A×2>2B>2C>5C>jc>JB>JC>jc>JB>JC>空投げ】というやつである。
さらに本作から新システム「ラピッドビート」が追加された。これは攻撃ボタンを連続で押しているだけで自動でコンボを繋いでくれるシステムなのだが、地上コンボからエリアルコンボ、さらには空中投げまでしてくれるという優れモノ。基本コンボ練習というステップすら飛ばして、いきなり「メルブラ」っぽい対戦が楽しめてしまうのだ。
ただし便利ではあるが万能というわけでは無く、ガードされていた場合に隙を消すリバースビートができないなどのデメリットも存在する。もちろん最初の内は気にせずどんどん出し切ってしまって問題ないが、少し不便だなと感じるようになった時は次のステップに挑戦してみよう。
ちなみにシリーズ経験者は、ラピッドビートによってしゃがみAを刻んでヒット確認が行えなくなっているのではと感じているかもしれないが、立ちAとしゃがみAは2回まで連打キャンセルが可能なので安心してほしい。
新しくなったシールドシステムで駆け引きは新たなステージへ!
ここからは本作で特に大きく変わったと感じたポイントを紹介していこう。まずはシールドの仕様変更について。
シールドは「MELTY BLOOD」特有のシステムで、Dボタンを押すとキャラクターが青白く光るシールドを展開し、相手の攻撃を防ぐ。通常のガードと違い削りダメージがなく、シールドモーションをキャンセルして反撃に転じることができるというメリットを持つ。
これまではシールドを使用するのにマジックサーキットというゲージを消費する必要があったが、これが無くなり(シールド失敗時に後述するムーンアイコンを消費)、さらに相手の攻撃にピタリのタイミングで出す「EXシールド」という概念も無くなっている。シールドの種類は立ちシールドとしゃがみシールド、空中シールドの3つで、対応している攻撃は基本的にこれまで通りだ。
シールド成功後の反撃方法は「MELTY BLOOD Actress Again」のシールドカウンターに近いが、A(orC)派生で相手を上空に打ち上げる攻撃、B派生で相手の裏に回り込む中段攻撃、B+C派生で出始めに無敵のある突進技(発動には後述するムーンアイコンを消費)と、3つのカウンター攻撃を繰り出すことが可能になった。
A派生は相手を打ち上げるので、そのまま空中コンボに移行できる。 |
B派生は相手をサーチして裏に回るので、飛び道具をシールドした際のメリットが上がっている。 |
B+C派生は無敵が付いているので一方的に勝ちやすいがムーンアイコンを消費する。 |
これだけであれば、反撃方法が増えているというだけの話なのだが、本作ではシールドを取られた側も出している攻撃をキャンセルしてシールドを張ることができるようになった。これまではシールドを取られるとほぼ一方的にターンが入れ替わっていたが、この仕様によってシールド成立後も互いにシールドでシールドカウンターを取り合う「シールド合戦」が展開する。
加えて前述した通りシールドカウンターには3つの派生行動が存在するのだ。一番スタンダードでリターンも大きいA派生が主に使われることになると思われるが、B派生は裏に回ることでA派生に合わせてシールドを張ってくる相手にカウンターを取ることができる。相手がB派生を多用してくるようであれば遅らせシールドでB派生を潰して……などなど、超高速のシールド合戦が「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」の新しい駆け引きの一つとなりそうだ。
この辺は言葉で説明するより映像で確認したほうが分かりやすいので、ぜひ以下の動画をチェックしてほしい。
新システム「ムーンスキル」と「ムーンドライブ」で自由度が大幅にアップ!
最後に「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」で新しく追加された「ムーンスキル」と「ムーンドライブ」を紹介していこう。
まずはこの2つを使うためのリソースである「ムーンアイコン」について。画面上部のキャラクターイラストの下に表示されている、月を型どったゲージがムーンアイコンで、ゲージが増えると月が満ちていき、ゲージを消費すると月が欠けていく、「月姫」らしいちょっとオシャレな新しいリソースだ。
主にダメージを与えたりダメージを受けることでゲージが増加。攻撃は1Hitで1ゲージ増えるわけではなく、ある程度のまとまりで見られているようで、一通りのコンボを完走しても増えるゲージは1だし、差し合いで一発当てても1ゲージ増える。例外としてフェイタルカウンター時は攻撃を受けた側のゲージ増加が無い。
※フェイタルカウンターは、空中の相手に攻撃がカウンターした時と、シールド中に無効化できない攻撃を当てた際に発生。これら2つは強い行動ではあるもののリスクも大きく設定されている。
このムーンアイコンを消費して出せるのが「ムーンスキル」。通常の必殺技の強化版のような性能になっており、対応した方向キー+B+Cボタンで発動することができる。コマンド入力の必要が無いので初心者でも簡単に必殺技を出すことが可能だ。
加えて性能もかなり高めに設定されており、技の出始めに相殺判定が付いていたり、いわゆる昇龍系の必殺技なのにジャンプキャンセルでフォローが出来たり、コンボに組み込んで火力アップを狙えたり……と、非常に強力。出し得な性能の技が多いので、最初の内はまずムーンスキルを使っていくのが分かりやすくおすすめだ。
一方の「ムーンドライブ」の性能はというと、ムーンアイコンが50%以上のときにB+Cボタンを押すと強化状態に入り、ムーンスキルが強化されマジックサーキットが徐々に増加、さらにジャンプの回数と空中ダッシュの回数が1回増加する。ただし、強化状態終了後はムーンアイコンが0になってしまうので、「このタイミングで勝ち切りたい!」という時に使っていくものになるだろうか。
その他にも、発動後の時間停止をカンニング目的で使ったり、発動時に隙が無いのでコンボを伸ばしたりすることも可能だ。ムーンドライブは様々なメリットが複合的に得られ、可能性を感じるロマン溢れるシステムになっていた。
本作の立ち回りは、ムーンアイコンというリソースをどこに分配していくかでプレイヤーによって大きく変わる。実はシールドの性能もムーンアイコンの残量が多いほど高くなるので、ストックを抱えながら戦うことにもメリットがあるのだ。
「MELTY BLOOD Actress Again」では月の形を選んで立ち回りを変えていたが、「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」は月の形を自分でコントロールしながら戦っていくゲームなのである。
「MELTY BLOOD」最新作が、いよいよ登場!
以上が「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」の先行プレイレポートだ。「MELTY BLOOD」の基本的な手触りの部分はこれまで通りでありながら、システムの追加と刷新によりまったく新しい体験が味わえる新時代の「メルブラ」として生まれ変わっていた。
一方で格闘ゲームとしての敷居の低さも健在なので、「月姫 -A piece of blue glass moon-」を遊んだ人にもぜひプレイしてもらいたい作品だ。過去には「月姫」のファンが「MELTY BLOOD」で格闘ゲームを始めるようになったり、逆に格ゲープレイヤーが「MELTY BLOOD」で「月姫」を知りファンになるといった流入も多くあった。今回の「月姫 -A piece of blue glass moon-」と「MELTY BLOOD: TYPE LUMINA」でも、そのような交流があることに期待したい。