TVアニメ「SHAMAN KING」をゲーム化した「SHAMAN KING ふんばりクロニクル」をレビュー。アニメのビジュアルを再現したバトル、マンガ的演出で見せるストーリーなど、その魅力を紹介する。
「SHAMAN KING ふんばりクロニクル」は、Studio Zからリリースされたスマートフォン向けRPG。現在放送中のTVアニメ「SHAMAN KING」初となる公式スマートフォン向けゲームだ。特徴は、3DCGによってアニメの世界観を忠実に再現したバトルと、「Mangatic(マンガチック)モード」と呼ばれるマンガ的演出で表現したストーリーモード。アニメ「SHAMAN KING」のファンはもちろん、アニメの原作である武井宏之氏のコミックも人気なだけに、期待していた人も多いのではないだろうか。そこで、詳しく紹介したい。
ビジュアルはまさにアニメ!バフの重ねがけが重要なターン制コマンド選択型バトル
本作のゲームの流れは、スマートフォン向けRPGとしてオーソドックスなものとなっている。クエスト一覧の中から挑戦するステージを選択。ステージの基本はバトルとなっており、敵をすべて倒せばクリアとなる。ステージによってはストーリーモードが用意されており、ステージを進めることでストーリーも進んでいくといった形だ。
バトルに入ると、ウリである3DCGが目を引く。そのクオリティは非常に高く、イメージ通りのキャラクターたちがそこにいる。アニメの世界観を忠実に再現という言葉に偽りはない。
バトルのゲームシステムは、オーソドックスなターン制コマンド型バトル。ターンの最初にパーティーメンバー全員分の行動を選択し、敵味方一斉に行動を処理するという形だ。
バトルにおける「SHAMAN KING」ならではの要素が「巫力」。行動選択の際、各行動には「巫力」のコストが設定されており、行動を選ぶことで「巫力」が減っていく。要するに、一般的なRPGでいうところのMP(マジックポイント)なのだが、原作に準じる要素として、本作では「巫力上乗せ」が行える。これは、「巫力」の使用コストを増加させることで、行動の効果を高めるというもの。
さらに、一定以上のレア度のキャラクターは「奥義」を繰り出すことができる。一定ターン経過することで発動可能な、いわゆる必殺技的な位置づけの行動。もちろん、原作において各キャラクターの代表的な技が割り当てられており、たとえば、「☆☆☆[あの世とこの世を結ぶ者]麻倉葉」であれば、奥義は「真空仏陀切り」となっている。
残りの「巫力」のことを考えつつ、毎ターンコマンドを選んでいく…という本作のバトルは、RPGとして王道。反面、独自の魅力が薄いように感じる人もいるかもしれない。ただ、バフの組み合わせについて考え出すと、奥深い楽しさが顔を覗かせる。
本作のバフは効果の有効ターン数が固定で、そのターン数はおおむね3ターン。このため、意図的に「重ねがけ」をすることが可能で、やり方次第でバトルの効率が大きく変化する。
たとえば、「☆☆☆[あの世とこの世を結ぶ者]麻倉葉」の持つ「反撃の構え」は、3ターンの間、敵から狙われやすくなる効果と、カウンター攻撃の効果が併せて発動する。この技と併せて、「[ほほえみジャッジメント]マルコ」が持つ、「天使の加護」で味方全体の防御力をアップ。さらに次のターン、「☆☆☆[あの世とこの世を結ぶ者]麻倉葉」の「憑依合体」で葉の攻撃力をアップさせると、非常に強力だ。敵が勝手に飛び込んで自滅してくれる。
さらに、「反撃の構え」の効果が終わるころには奥義「真空仏陀切り」が出せるようになっているので、「憑依合体」の攻撃力アップ効果×「巫力上乗せ」で大幅に「真空仏陀切り」を強化…みたいな連携も行える。こんな風にバフ効果を連携させ、お気に入りキャラの技の威力を大きくしていくのが非常に楽しい。
お気に入りキャラを育成!キャラクターゲームの醍醐味はバッチリ味わえる
本作のようにアニメやコミックといった原作ありのキャラクターゲームの場合、ゲームプレイ開始前の時点で既にお気に入りのキャラクター…いわゆる推しキャラがいることだろう。当然、こうした推しキャラを中心に育成したいし、バトルだって、できれば推しキャラを中心に楽しみたい。
本作はこうした希望をきちんとすくい上げているように感じた。まず、ゲーム初回プレイ時の無料ガチャが何度でも引き直し可能なので、確実に推しキャラで始めることができる。ただ、もちろん、推しキャラが小山田まんたのような非戦闘要員だと難しいかもしれないが…。
次に、どのキャラクターもレア度を☆☆☆☆☆までアップできる。これは大きい。せっかくお気に入りキャラを手に入れても、低レア度で奥義が使えない…という状況ではパーティーメンバーに加えにくい。もちろん、プレイを続けるうちに強キャラとそうでないキャラが明確に分かれてくるだろう。けど、少なくとも奥義持ちにすることはできるわけだ。
また、育成はレア度以外にキャラクターのレベル、覚醒、奥義のレベル、わざ毎の固有レベル…という形で細分化されており、細かく育成できる。なので、お気に入りキャラクターをじっくり育て上げることが可能だ。
マンガ感覚でストーリーを体験!Mangatic(マンガチック)モード
本作のストーリーモードで導入されている「Mangatic(マンガチック)モード」とは、その名の通り、コマ割りされた絵とフキダシとでマンガチックに表現した演出のこと。ただ、単純にマンガを画面に表示しているわけではなく、キャラクターが動いたり、効果音が鳴ったり…というデジタルならではの演出もついている。
大元の「SHAMAN KING」がコミックなので、「Mangatic(マンガチック)モード」もまったく違和感がない。とりわけコミック派のファンはスムーズに楽しめるだろう。一般的なスマホRPGが採用している会話シーンのスタイルより、本作に向いている。うってつけといっていいだろう。
描かれるストーリーそのものは、原作冒頭の葉がまん太の学校へ転校してくるところから、ストーリーをなぞるように進んでいく。もちろん、アニメやコミックとボリュームが異なるので、すべてのシーンをカバーしているわけではない。なので、重要なシーンをかいつまんだダイジェスト的な形にはなっているのだが、視点を工夫することで違和感を抑えている。
本作は、ひょんなことから霊能力を備えることになった本作オリジナルキャラクター「コエル」の視点で展開していく。「視点の工夫」とはこのこと。「コエル」の視点で物語を描いていくので、「コエル」が関わっていない出来事については、伝聞の形で描かれる。このため、物語がダイジェスト的になっていても、違和感が少ないのだ。また、アニメやコミックを通じて原作のストーリーを知っていても、「コエル」自身が抱える物語とともにストーリーを追体験する形になるので、新鮮な気持ちで楽しめる。
期待通りにファンが楽しめる!手堅く作られた一作
お気に入りのキャラクターを育ててバトルに挑み、コミック形式でストーリーを進めていく…。こうした本作の作りは、大きな驚きこそないものの、アニメやコミックのファンが期待する作品世界を確実に体験させてくれる。ファン向けの作品として手堅くまとめられた一作だと思う。一方、アニメもコミックもまったく観ていないという原作未体験者がプレイすると、魅力を実感しにくい可能性がある。なので、本作に興味を持ったなら、まずは動画配信サービスなどでアニメ版の鑑賞がオススメ。本作も、ストーリーそのものは冒頭から描かれているものの、各キャラクターの魅力の掘り下げについては、やはりアニメや原作の方が豊か。いきなり本作からプレイするより、原作を体験してからの方が、何倍も楽しめるはずだ。
(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京 (C)Studio Z, Inc.
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