アニプレックスより3月10日発売のXbox Series X|S/Xbox One/Windows(Microsoft Store)用ソフト「RPGタイム!~ライトの伝説~」。本作の序盤を先行プレイする機会をいただいたので、新たに判明した魅力についてお届けする。
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筆者が「RPGタイム!~ライトの伝説~」(以下「RPGタイム!」)をプレイするのはこれが2度目。最初にプレイしたのは「東京ゲームショウ2021」の会場で、このときはプレイレポートを書くと共に、開発者の藤井トム氏と南場ナム氏へのインタビューも行っている。とくにインタビューは、おふたりが9年間にわたって本作に注ぎ込んだ、たくさんのこだわりや、ゲーム内容に対する自信の程がよく分かる内容となっている。ぜひ本稿と合わせて読んでみてほしい。
「東京ゲームショウ2021」でのプレイ範囲は、ゲーム開始から15分ほどまでのものだったが、今回はさらに先のほうまでプレイすることができた。加えて、ゲーム本編の前に遊べるチュートリアル用のモードが新たに追加されており、これらを合わせると、だいたい1時間40分ほどのボリュームを体験できたことになる。
筆者にとって本作は、2022年にリリースされるあらゆるゲームの中でも屈指の期待作なのだが、今回のプレイでこの期待は、より確かなものとなった。本作がリリースされ、最後までプレイできる日を待ち望む気持ちが、少しでも伝われば幸いだ。
「説明書ダンジョン」で凄まじい熱量と向き合う覚悟を
「小学校の授業が終わった放課後、友達のゲーム大好き少年・ケンタくんが作った手作りRPGをプレイさせてもらう」というシチュエーションからスタートする本作。
以前プレイしたバージョンでは「ケンタくんのノート」を開き、すぐに勇者の冒険が始まったが、今回はゲーム本編の前に「説明書ダンジョン」と呼ばれるチュートリアルモードを体験することができた。もちろん、このチュートリアルを飛ばして、すぐに本編を始めることも可能だ。
「RPGタイム!」は場面ごとにゲームシステムがどんどん変わっていくので、ゲーム全編に共通する「覚えるべき操作」というものはあまりない。ではこの「説明書ダンジョン」では何をするかというと、主に「RPGタイム!」の世界(ここで指すのはケンタくんが作ったファンタジーRPGの世界のこと)をより深く知るためのモードとなっている。
とはいえこのゲーム、説明書と名がつくからといってただテキストを読ませるような普通のものにはなっていない。この「説明書ダンジョン」は4つの区画に分かれており、それぞれで異なるミニゲーム(あるいはインタラクション)に触れながら、この世界について学ぶことになるのだ。
登場人物紹介や、ワールドマップ、ムービーコーナーに開発スタッフ紹介まで、それぞれにまったく異なる趣向が凝らされた内容は、どれもこれも、とにかく楽しい。ダンジョンの主である「ゲーム魔神」を演じるケンタくんもノリノリで、自分が考えた設定を友達に伝えられることが嬉しくて仕方がないといった様子には、頬が緩んでしまう。と同時に、説明書にまでここまでのこだわりを詰め込むケンタくんが作ったゲーム本編は、どれほどの大作になっているのだろうと、改めて身震いすらしてくる。
本作の驚異的な作り込みの一端を味わえる、この「説明書ダンジョン」。すぐに本編を始めたくなるプレイヤーもいるかもしれないが、本作に込められた凄まじい熱量と向き合う覚悟を固める意味でも、ぜひ最初に触れてみてほしいモードと言えるだろう。
「フードメニュー」や「解説モード」など、ゲーム全編に共通する要素もお目見え
「説明書ダンジョン」を終え、ゲーム本編がスタート。最初のうちは以前プレイしたものと同じ内容(気づけなかった部分での細かいブラッシュアップはあったかもしれない)ながら、やはりギミックのバリエーションの豊富さには驚かされる。
勇者はもちろん、ほかのキャラクターたちの豊かなアニメーションも、ゲームを賑やかかつコミカルに彩ってくれる。倒した敵はケンタくんが消しゴムによって消してしまうなど、ときどき「手作りRPG」ならではの演出が入るのも、楽しいところだ。
一般的に、解法がある程度決まっている、いわゆる一本道のゲームは、くり返しプレイするのには向かないとされている。しかし、本作ほど密度が濃く、手数の多い演出が凝らされていたら、初回プレイでは気づけない部分だってあるだろう。細部の演出に改めて注目したり、異なる選択肢に対するリアクションを確かめたりするために、周回プレイをする価値は大いにあると思う。事実、冒頭部分のプレイは2度目だった筆者だが、この部分は今回も楽しくて仕方がなかった。
ちなみに、今回はコントローラーでのプレイだったのだが、本作は勇者自身を動かすときは十字キーで、カーソルの移動などは左スティックで行う操作が基本となっている。少々アクションがシビアになってくる後半では、焦って十字キーを使うべきところで左スティックを動かしてしまったり、もしくはその逆のことをしてしまう瞬間が何度かあった。
ただ、これは慣れの問題という気もするし、本作にゲームオーバーのペナルティはほぼない(それどころか、ゲームオーバーになるたびに冒険のヒントが見れるくらいだ)。反復してプレイしていれば、アクションゲームが苦手な人でも必ず先へ進めるバランスになっているので、その点は安心してほしい。
お城での魔王との対峙を経て訪れる「はじまりのどうくつ」。前回のプレイでは、このどうくつの序盤で体験範囲が終わったが、いよいよまだ知らない場所へと足を踏み入れることになった。このあたりで、いくつかの新たな要素が解禁された。
ひとつは「フードメニュー」。勇者が冒険中に入手したフードを、食べることができるシステムだ。フードを食べると、勇者のHPが回復すると同時に、一部のステータスが上がるなどの恩恵が得られる。攻撃力などが上がることはその後のゲームでも有利に働くので、戦闘でHPが減ったときなどは、惜しまずガンガン食べるといいだろう。
もうひとつは「解説モード」。このモードに入ると、いま冒険中のページにあるイラストのところどころにビックリマークが表示され、そのイラストについてケンタくんが解説してくれる。さらに、このモードでは「ミニニン探し」というおまけゲームが楽しめる。ページの中に“ミニニン”という小さな忍者が潜んでおり、これを見つけるというゲームだ。
「解説モード」や「ミニニン探し」はそれぞれに対応したアイコンが表示されるページでのみ楽しめるものだが、筆者の体感では、今回のプレイ範囲だと7割程度のページで、これらを楽しむことができた。ゲームボリュームは「ケンタくんのノート」のページ数換算で200ページ強とのことなので、この先も同程度の割合でこれらが登場するなら、解説の物量もまた、かなりのボリュームとなっていそうだ。
その後のストーリー展開も、ますます奇想天外なものに。野球をすることになったり、さらにはなんと戦車にも搭乗するシチュエーションも! 導入が王道ファンタジーらしい世界観だったので面食らったが、小学生が柔軟な発想で、自分の好きなものをすべて詰め込んだのだと思えば、納得ができる。
レトロゲーム風ミニゲームに、脱出ゲーム風の謎解き、ボス戦……さらには「ケンタくんのノート」を飛び出して行われるバトルまであり、そのアイデアのバリエーションはとどまるところを知らない。しかもすべてがしっかりと、ゲームとして「触ってみておもしろい」ものになっているから感嘆してしまう。
「はじまりのどうくつ」を抜け、第2章が始まったところで、今回のプレイ範囲は終了となった。
ゲームプレイの全容は、ぜひ実際にプレイして味わってほしい
今回のプレビュー記事は、どのように書くべきか、かなり迷った。次々に新たなギミック、これに合わせた新たなゲームシステムでプレイヤーを楽しませてくれる本作は、「ゲーム全体で共通するシステムはこれです」という書き方がしづらい。かといって、ひとつひとつの展開と、そこで生じるゲーム性をこと細かに説明していったら、実際にプレイしたときの驚きが目減りしてしまうだろう。
結果的に、全体のおおまかな流れや、全編に共通する一部の機能に重きを置いた記事にしてみた。ゲーム画面のスクリーンショットはそれなりの数をお見せしているが、それぞれの場面でどんなゲームプレイが行われているかは、あまり想像がつかないものになっているはずだ。これらの場面でどんな体験が待っているかは、ぜひとも自身でプレイすることで、確かめてほしい。
そしてゲームクリアまでには10時間以上のプレイ時間を要するということなので、今回プレイした部分も、全体のボリュームの8分の1程度であると思われる。ここから先も、ここまでと変わらないペースで新たな遊びを次々に体験できるであろうと考えると、やはりちょっと恐ろしいゲームである(もちろん、良い意味で)。
インタビューのとき、開発者の藤井知晴氏は本作について「最後まで餡がぎっしり詰まっていると言いますか、アイデアが詰まっている作品になっていると思います。むしろ最後のほうがぎっしりかもしれません」と語っていた。
これが本当なら、筆者の中でかなりハードルが上がってしまっている「RPGタイム!~ライトの伝説~」ではあるが、製品版では、きっとそのさらに上を行ってくれるだろう。本当に、発売が待ち遠しい限りだ。
商品概要
タイトル:RPGタイム!~ライトの伝説~(英題:RPG Time: The Legend of Wright)
ジャンル:手作りノートアドベンチャー
対応プラットフォーム:Xbox Series X|S・Xbox One・Windows ※ダウンロード版のみ
発売日:2022年3月10日(木)発売予定
対応言語:日本語/英語/簡体字
販売価格:3,650円(税込)
プレイ人数:1人