セガが2022年3月23日に配信予定のiOS/Android向けアプリ「シン・クロニクル」。3月6日の生放送にて配信日が発表となった本作の、開発中の最新版ロムを体験できたので、クローズドβテストからの改善点も含めてプレイフィールをお届けする。

目次
  1. ハクスラ&育成の積み重ねがゲーム進行のカギ
  2. RPGとしての魅力を生み出す、選択の重み
  3. CBTからの改善によりドラマパートが強化

「チェインクロニクル」の開発チームが同作の正当後継作として手がける本作は、プレイヤー自身が冒険をしている感覚を味わえるという、ロールプレイングゲームならではの魅力をさまざまなアプローチで表現している。

すでにクローズドβテスト(以下、CBT)時点でのプレイレポートは掲載しているが、配信日が決定したことに併せて、改めてゲーム冒頭からの内容をプレイ。その魅力を再確認するとともに、CBTからの改善点も実感できた。

ハクスラ&育成の積み重ねがゲーム進行のカギ

「チェインクロニクル」は、現在に連なるスマートフォン向けRPGの礎となったタイトルであり、「シン・クロニクル」でも基本的なゲーム要素(クエスト方式のストーリー進行やキャラクターの育成方法)はある程度踏襲されている。これはいわゆる運営サイクルでプレイするモデルであり、仕組みとしてもある程度完成されたものだと感じる。

その上で、本作ではフィールドダンジョンにおけるクエスト進行を主に探索パート、バトルパート、会話パートの3つで構成している。我々がRPGとしてイメージすることの多い、フィールド探索とターン制バトルの切り替わりから、要所でストーリーが発生するという作りを、スマートフォンならではのシステムや操作を交えながら表現している。

ここまでの部分は以前のプレイレポートでも書いたが、加えて本作は育成が重要なゲームとなっており、レベルアップによって入手できるポイントを用いてスキルなどを習得・強化するアビリティパネルの存在は無視できない。レベルを上げていっても、この要素をおろそかにすると、すぐに苦戦を強いられてしまうだろう。

また、武器には様々なステータスや特殊効果が付いているので、強い武器のドロップを求めて、くり返しダンジョンに潜るいわゆるハクスラ(ハック&スラッシュ)の要素も取り込まれている。武器に関しては同じ武器同士を掛け合わせる限界突破や、ほかの武器を分解して入手できる蒼石や道中で入手できる翠石などを用いた武器強化で、さまざまな特性を付与した上で強くしていける。似た要素として精霊によるステータスの補正やアビリティも活用していきたいところ。

本作ではひとつのフィールド内で(エンカウントすれば)複数回のバトルが発生するため、比較的レベルは上げやすいし、武器も多く入手できる。また、筆者自身もそうだが細かな編成が苦手であればAUTO編成を利用することで、悩むこと無く編成できるだろう。

適当に進めるだけでは躓く場面もあるが、意識して育てていけばボス戦でも確実に立ち回れる。また、オート操作や倍速モード、スキップチケットによる周回プレイも一通り揃っており、現在のスマートフォンRPGとしては十分な機能が揃っていると言える。

RPGとしての魅力を生み出す、選択の重み

以前のプレイレポートでは序層部分をプレイしたのだが、今回記事を作成するにあたっては、CBT時点での最終地点である第1界層(いわゆる第1章)の最後までを一通りプレイした。そこまでのプレイを通して改めて感じたのが、「シン・クロニクル」が持つRPGとしての魅力だ。

会話の途中でプレイヤーが複数の選択肢(1択の場合もある)から言葉を選ぶシーンがあるが、それがキャラクターとの絆を深めることにつながるほか、物語そのものの進行にも影響していく。一般的なスマートフォンRPGではその選択が影響を及ぼすことはほぼ皆無と言って差し支えないとは思うが、本作ではキャンプでどのキャラクターと話し、どの選択肢を選ぶかによって物語の体験が変わっていくのだ。

その中でプレイヤーが一番気にしておかなければならないのが、キャラクターが随所で口にする「鍵の言葉」だ。彼らに待ち受ける死の運命を回避するためには鍵の言葉を隊の絆によって進化させる必要があり、プレイヤーはダンジョンクリアで発生するキャンプでの各キャラクターとの会話で、そのきっかけを得ることになる。どの鍵の言葉が進化するかも選択肢によって影響してくるので、多様な体験が楽しめるだろう。

また、メインストーリーに絡んでくるダブルヒロインのセラとクロエは、界層の最後に待ち受ける“究極の選択”においてもそれぞれの立場を取るのだが、冒険の過程で絆を深めたキーキャラクターもその選択に大きな役割を担うようになる。最終的な選択肢は2つでも、その選択の中で起こりうるドラマはプレイヤーごとに異なるのが本作ならではの魅力となっている。

さらに、究極の選択によって物語そのものの結末だけでなく、登場人物の行く末も枝分かれすることになる。第1界層においてゲストキャラクターとして登場するギュンターとアンネは、まさに究極の選択によってその行く末も大きく変わる。プレイヤーの選択によって正式な仲間になる道もある一方で……。筆者も一つの結末しか見ることはできていないが、果たしてどのような運命が待ち受けているかは自身の目で確かめてほしい。

今回、筆者は一通りの体験を得たことで、序層だけでは気づけなかった「シン・クロニクル」の本質的な面白さに触れることができた。それは、ただ黙々とクエストを進めていくだけでは全ての鍵の言葉を進化させることはできないという点だ。

最初は寄り道せずに進めていったのだが、第1界層の最深部に到達した時点では用意された6つの鍵の言葉のうち、4つが進化している状態だった。その後、筆者はフィールド途中にある寄り道できるルートに一旦戻り、キャンプでのストーリーを重ねていくことで最終的に6つ全てを進化させることができ、究極の選択にほぼ万全の状態で臨むことができた(最初の時点ではパーティ戦力が足らなかったというのも理由にはあるのだが)。

繰り返すが、筆者自身が見ることができたのは一つの結末のみ。なぜならば、ほかのダンジョンは繰り返しプレイできるのだが、究極の選択がもたらされるダンジョンは一度きりしか挑めないのだ。どの選択をするのかはもちろんのこと、その選択をするための準備をどの程度するのかも、プレイヤー自身に委ねられているということだ。

例えば、寄り道せずに鍵の言葉が全て進化していなかった場合に選択肢は発生しうるのかを実際に確認できるのは、その状況で進めたプレイヤーのみ。ゲーム側がここまでプレイヤーに選択を与えるスマートフォン向けRPGはお目にかかったことが無く、そこにジャンル名でもある“あなたが 結末を選ぶRPG”に込められたものを感じ取ることができた。

CBTからの改善によりドラマパートが強化

これまで生放送などでも伝えられてきたように、CBTで得られた意見をフィードバックするかたちでさまざまな改善が施されてきた。ゲーム内使用フォントの再設定、バトル後のリザルト画面のスキップ機能など、その項目は多岐にわたるが、その中で筆者が注目したいのがストーリーやバトルにおける演出の強化だ。

基本的には立ち絵でやり取りが進行していく本作だが、随所で盛り込まれたカットシーンが物語を引き立てるほか、一部のドラマシーンで新たにボイスの追加を行ったことで、没入感を増している。具体的にどのシーンが追加されたかは分からないものの、重要なシーンでは確実に演出が豪華になっていたので、そちらは実際のプレイで確かめてみてほしい。

加えて、バトルにおける必殺技であるオーバードライブの演出もブラッシュアップ。筆者もCBTのプレイ時により高いクオリティで見たいと思っていたので、今回の演出強化でかなり見応えのあるものになっていたのは嬉しかった部分だ。

そのほか、バトルにおけるオートプレイの設定を細かく設定できるようになったほか、デフォルトでのオートプレイ時の行動パターンがスキル1、必殺技のみ使用へと変更になったことで、ボス戦で欠かせないシールドブレイク(一定回数攻撃を重ねてシールドを削ると敵がブレイク状態となって弱体化する仕組み)を発生させやすくなった。これらはCBTプレイヤーの意見を大きく反映させた部分と言えるだろう。

ただ、今回の改修の甲斐もあり、これらの要素を意識する局面は無かったので、配信開始のタイミングで本作を初めてプレイするという人は、あまり気にしなくても構わないのでは無いだろうか。選択がもたらすRPGとしての体験にこそ、「シン・クロニクル」の本質的な魅力が込められているのだから。

シン・クロニクル

セガ

iOSアプリiOS

  • 配信日:2022年3月23日
  • 価格:基本無料

    シン・クロニクル

    セガ

    AndroidアプリAndroid

    • 配信日:2022年3月23日
    • 価格:基本無料

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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