バンダイナムコグループは、同社の横断プロジェクト「ガンダムプロジェクト」の取り組みを発表する「第3回ガンダムカンファレンス」を、本日3月29日に実施した。
本カンファレンスでは、バンダイナムコグループのガンダム事業統括者であるチーフガンダムオフィサー(CGO)である藤原孝史氏が登壇。ガンダムのIP(キャラクターなどの知的財産)価値を向上させ、SP(Social Property/社会的アイコン)として成長させるための構想として、新たにワールドワイド戦略軸、作品軸、GUDA(※ガンダムを通じて社会問題を考えるサステナブルプロジェクト「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」の略称)軸のプロジェクトをスタートさせるという。
ガンダムメタバースプロジェクト
まずはワールドワイド戦略軸として展開する「ガンダムメタバースプロジェクト」に関して、今後の展望を発表。「ガンダムメタバース」で目指すのは、世界中のガンダムファンが集い、語り合い、さまざまなカテゴリーのコンテンツに出会い、ふれあう場の創出だという。すぐにメタバースの完成形を目指すのではなく、段階を踏んで基盤を構築してまずは、カテゴリーごとにヴァーチャルコミュニティーを創出し、それらをバンダイナムコグループの共通アカウントであるバンダイナムコIDにより連結していく。
創出したヴァーチャルコミュニティーは、ガンダムの世界観になぞらえ、仮想空間という広大な宇宙にあるスペースコロニーとし、それらをつなぐことで一つの「ガンダムメタバース」宙域となる「SIDE-G」を創り上げていく。今後、「SIDE-G」を構成するアニメ、ガンプラ、ゲーム、音楽など、さまざまなカテゴリーが主体となるスペースコロニーが、続々と仮想空間内に打ち上げられていく予定となっている。
最初に打ち上げられるのが、ガンプラに関わるさまざまな体験を提供する仮想空間、「ガンプラコロニー」。2021年にテスト運用が行われたヴァーチャルガンプラエンターテインメント総合空間「ガンダムベースヴァーチャルワールド」を、「ガンダムベースガンプラコロニー店」として正式サービスインを目指し、今秋に期間限定テストオープンする予定だ。
また、バンダイナムコIDによるマイルーム機能を実装し、ガンプラの作品を通したコミュニティーを形成。さらに、ガンプラをスキャンして戦うことができる「ガンプラバトル」や「ガンプラコンテスト」の開催、ガンプラオンライン講座などを充実させていく。
メタバースから連想されるのはデジタルサービスが中心となるだろうが、バンダイナムコグループではガンプラなどのフィジカルな商品も多く展開していることから、こうした取り組みを通して、デジタルとフィジカルを融合させた空間づくりを目指していくようだ。
そして、2023年の完成に向けて建設中の「esports コロニー」が次に打ち上げられる予定。2022年に正式稼働となる「GUNDAM EVOLUTION」は、esportsに特化したガンダム初の FPSゲームで、6vs6のオンラインマルチプレイ「機動戦士ガンダム バトルオペレーション2」と合わせ、日本国内だけでなく海外にも広く展開し、世界中のユーザーが参加できるゲームコミュニティーを目指すという。
「GUNDAM EVOLUTION」の正式稼働に先駆け、2022年4月8日(金)からはPC版のネットワークテストが日米同時に実施予定となっている。
さらに、近い将来にはバンダイナムコグループ以外の企業によるガンダムビジネスへの参入を促進するほか、一般ユーザーによるガンダムを活用したビジネス可能な場の提供を目指す。ガンダムにおけるUGC(User Generated Content)が許諾されるかたちになり、ユーザーが新たに生み出した商品によるC to Cビジネスを推進していくことになる。キャラクターの権利が保全されたメタバースを構築し、上記のような取り組みを実施することで、新たなガンダムのビジネスが生まれ、ファンと共創したガンダムIPのさらなる拡大につながることへの期待を述べた。
これらの取り組みを通じて、「SIDE-G」という仮想空間上に、世界中のガンダムファンが集う大規模な生活圏、そして新たな経済圏の創出を目指す。現時点では2025年までの展望について触れているが、「ガンダムメタバースプロジェクト」によって2026年以降もさらなる規模への成長を見越しているようだ。
さらに、「ガンダムメタバース」のメインコロニーとなる企画も進められているという。アニメ「ガンダムビルドダイバーズ」で描かれた、誰もが自分だけのガンプラ・モビルスーツに乗り込めるような世界をファンに少しでも早く届けられるよう、技術開発を行っているとのこと。
機動戦士ガンダム 水星の魔女
ガンダムシリーズのTVアニメーション最新作となる「機動戦士ガンダム 水星の魔女」が、2022年10月より毎週日曜17時からMBS/TBS系全国28局ネットにて放送開始となる。今回は最新情報として、本作の主人公と、主人公機が描かれたティザービジュアルやティザーPV、モビルスーツの設定画が解禁となった。
さらに、アニメ本編の前日譚にあたる「PROLOGUE」の制作が決定し、この夏より公開が予定されている。
また、横浜の動くガンダム、台場の実物大ユニコーンガンダム立像、上海の実物大フリーダムガンダム立像、そして4月にオープンする福岡の実物大ν(ニュー)ガンダム立像といった、世界の全ガンダム像が初めてリンクする演出を行う史上初のイベント、「GUNDAM NEXT FUTURE -LINK THE UNIVERSE-」を、GUNDAM FACTORY YOKOHAMAやガンダムベースヴァーチャルワールド等で開催し、同イベントにて「PROLOGUE」を初公開するとのこと。
その後、世界各地のイベントでも「PROLOGUE」を公開予定。日本国内では、「GUNDAM NEXT FUTURE」と冠した、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」をフィーチャーする大小さまざまな形態のガンダム総合イベントを実施し、「PROLOGUE」の上映会なども全国展開を予定しているという。
今回は、「PROLOGUE」に登場する、2機のモビルスーツ「ガンダム・ルブリス」と「べギルべウ」の設定画が公開されている。
なお、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の主人公機「ガンダム・エアリアル」、そして前日譚「PROLOGUE」に登場する「ガンダム・ルブリス」と「べギルべウ」のガンプラ化が早くも決定。さらに、ガンプラ以外にもバンダイナムコグループが総力を挙げて本作の商品化を進行中とのこと。
ガンダムオープンイノベーション
2021年6月より始動した、ガンダムと未来技術を掛け合わせることで未来の夢と希望を現実化するプログラム「ガンダムオープンイノベーション」。多数の公募の中から、採択パートナーが発表された。
宇宙世紀を起点に人類の革新や人類が望む未来社会を構想し、本気で実現に向けて挑むことのできるさまざまな分野のエキスパートやイノベーター、研究機関や先端企業などの採択パートナーを幅広く募集。選考理由については、「ガンダムへの深い理解」「募集テーマにおける技術・経験・実績」「今後の実現性(3~4カ年の計画)」がポイントになったという。
6つのユニットおよびそれらをサポートするチームとして採択されたパートナーは以下の通り。各採択パートナーとのアクションプランは現在検討中であり、今回発表した採択パートナーのほかにも、現在選考中の企画もあるとのこと。宇宙世紀に向けて協力することの大事さを表現したいと、その理念を述べていた。
【ロボット】※以下2社はチームでの参加となります。
株式会社乃村工藝社(チームBALL)
アスラテック株式会社(チームBALL)
【ロケットエンジン】
神奈川大学宇宙ロケット部
株式会社 SPACE WALKER
【都市・コミュニティー】
avatarin株式会社
大分県
大和大学社会学部
【宇宙・月面探査】
高砂熱学工業株式会社
東京理科大学 スペースシステム創造研究センター
【医療・倫理】
慶應義塾大学
国際医療福祉大学 成田病院
【素材開発】※以下2社はチームでの参加となります。
自然科学研究機構 核融合科学研究所(チーム宇宙世紀の矛と盾)
東北大学(チーム宇宙世紀の矛と盾)
【サポートチーム】
株式会社NTTデータSBC
日本マイクロソフト株式会社
そして、バンダイナムコグループとして出展が決定した「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の「ガンダムパビリオン(仮称)」にて、「ガンダムオープンイノベーション」の一部の企画の成果を発表し、宇宙世紀宣言を掲げることを目指していくという。来るべき“現実の宇宙世紀”に向けた企画の歩みにも注目だ。