「EOS -エコーオブソウル-」をレビュー。PC向けMMORPG「ECHO OF SOUL」をベースに開発された本作は、最も危険なMMORPGと銘打たれている。その内容を詳しく紹介したい。
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「EOS -エコーオブソウル-」は、Blue Potion Gamesからリリースされたスマートフォン向けMMORPG。PC向けのMMORPG「ECHO OF SOUL」をベースに開発された作品で、「最も危険なMMORPG」をうたい文句にしている。この言葉の通り、ほとんどのフィールドでプレイヤー同士の戦闘…PKが可能となっているのが最大の特徴だ。
基本システムはオーソドックスなスマートフォン向けMMORPG
本作の舞台となるのは、覇権をかけ熾烈な戦いが繰り広げられるフリガルド大陸。プレイヤーは6つの職業から1体選んでキャラクタークリエイトし、この大陸で戦乱の時代に身を投じることになる。
用意された6つの職業の内容は、近距離戦を得意とし高い攻撃を持つウォーリア、弓をメイン武器としクリティカル率の高いアーチャー、魔法を主体とするソーサレス、素早さを活かした近接攻撃を行うローグ、高い防御力を誇るパラディン、魔法剣を使うウォーロック。それぞれ得意とする戦い方は異なるものの、いずれも単体でバトルを戦い抜ける性能を持っている。
本作の基本的なシステムは、一般的なスマートフォン向けMMORPGのシステムを踏襲。プレイヤーはNPCから敵の討伐やアイテムの収集といったクエストの依頼を受け、その達成を目指していく。
スマートフォン向けMMORPGの多くは移動や戦闘のオート実行機能を用意しているが、本作も例外ではない。例外ではないどころか、本作においてオート実行機能はデフォルトだ。基本的にはクエストを受注すると、主人公が自動的にクエストの目的地へ向かってくれる。戦闘もオート。放置系RPGのように気軽にプレイすることができる。
もちろん、プレイヤーの意志で主人公を動かすことも可能だ。仮想パッドを使って移動し、攻撃ボタンを使って攻撃。また画面下のクイックスロットをタップすることで、スキルやアイテムの使用が可能だ。
どんなスキルとアイテムで戦う?クイックスロット編成と使用タイミングが重要なバトル
基本的にオートで進行していく中、バトルに本作ならではの特徴を生み出しているのがクイックスロットだろう。クイックスロットにはスキルやアイテムを8個まで配置でき、1タップで即座に使用可能。また、クイックスロットそのものを複数個用意しておき、入れ替えることができる。
クイックスロットの仕組み自体は、PC向けのMMORPGでよく見られるものだ。ただ、スマートフォン向けのMMORPGだとそのまま実装されることは少ないように思う。たいていの場合、編成可能なアイテム・スキル数を少なく制限するなど、スマートフォンでもプレイしやすいようよりお手軽なものにアレンジされるからだ。その中で本作がなぜ、現在のようなクイックスロットを導入したのか。筆者が考えるに、PvPを重視しているからだろう。
本作のように敵味方がお互いにダメージを与えあうバトルシステムの場合、基本的にはキャラクターの能力差によって決着がつく。プレイヤーの技術が介入する余地が少ないからだ。極端な話、お互いのキャラクターの能力値を見れば、戦わずともどちらが勝つかある程度わかってしまう。こうしたバトルシステムは、プレイヤーが戦闘を行ってもオートで戦闘を実行しても結果が変わらないため、非リアルタイムな対戦ゲームには向いている。一方、リアルタイムでプレイヤーが戦う前提だと、やや物足りなさを覚えてしまう。
本作のクイックスロットはこうした課題に対応するため、バトルにプレイヤーの技術を持ち込む機能といえるだろう。スキルやアイテムを使うことでキャラクターにバフやデバフがかり、パラメーターが変化する。これによって、バトル中にキャラクターのパラメーターが変化し、リアルタイムに戦況が変化していく。もちろんキャラクターのレベルや装備は重要なのは間違いない。しかし、同じくらいの強さの相手と戦うのであれば、クイックスロットにどんなスキルとアイテムを編成しているかが勝敗に大きく影響する。
また、スキルやアイテムを使うのかというタイミングの探り合いも重要だ。本作では敵に攻撃がヒットしても、ダメージが表示されない。RPGとしてこの仕様は、自分の強さを実感できないというデメリットを持っている。しかし対戦ゲームとしてみた場合には、駆け引きの面白さを生んでいると感じた。対戦ゲームでおもしろくないのは、バトルの途中で勝敗が確定してしまうことだ。勝敗が確定してしまえば、勝っている側も負けている側も残りの時間は単なる作業になってしまう。この点でダメージ表記を行わない本作は、バトルの最後まで気が抜けない。相手がどのくらいの強さでどれくらい余力を残しているか、わからないからだ。
PvPを楽しめるようになるまでが長いのは残念!しかしゲームに慣れられるというメリットも
筆者は今回ウォーリアでプレイしてみたが、いつでもどこでもPKできるという本作のコンセプトはいい方向に作用していると感じた。クエストをオートで実行していても、もしかしたら今他のプレイヤーに襲われるんじゃないか…と気になってしまう。このためオート実行中といっても放置するのではなく、こまめに装備のつけかえたり、強化したり…と、育成を試行錯誤することになった。いつ来るかわからないPKに備えつつ、育成を試行錯誤するという体験はなかなかにおもしろい。
ただ残念なことに、「PKされるかも」という心配に反して他プレイヤーから攻撃を受けることはなかった。これは、リリースから期間が開いてしまったこともあるだろう。おそらく先行プレイヤーたちは、もっと先のマップでPKを楽しんでいるに違いない…。
一応本作には、マップ上で行えるPK以外にも「領地戦」「攻城戦」「占領戦」「大君主戦」といった、PvP要素やGvG要素が用意されている。ただこれらの要素をアンロックするためにはゲームを大幅に進める必要があるため、やはりゲーム開始直後だと、プレイヤー間の対戦は楽しむことができない状況だ。これはちょっと残念だった。
ただ逆にいえば、ゲームに慣れてからプレイヤー対戦に挑めるということでもある。本作に限らず、プレイヤーが操作するキャラクターはAIが操作するキャラクターとは比べ物にならないほど強い。なのでプレイヤーもキャラクターも本作の経験を積み、そこそこ装備が集まってから対戦…という流れは悪いものではない。また、確かに今回筆者はPKに遭遇しなかったが、それはプレイの時間帯や曜日などの条件が重なってのこと。遭遇しないことが保証されているわけではない。このため、一般のMMORPGよりもスリルは強いように思う。この点で、スマートフォン向けMMORPGが好きな人は、触ってみる価値のある一作だろう。