スパイク・チュンソフトが2022年9月1日に発売したPS4/Nintendo Switch用ソフト「メイドインアビス 闇を目指した連星」(Steam版も9月3日に発売予定)のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. リコたちの冒険を追体験しながらゲームの仕組みを理解する「HELLO ABYSS」
  2. オリジナルストーリーでアビスにより深く接する「DEEP IN ABYSS」
  3. 探窟にクラフトは欠かせない!自己管理もしっかりと
  4. 制約の中でのアクションがアビス探窟の面白さにつながる

※CERO:Z(18歳以上のみ対象)のタイトルのため、一部過激な表現を含みますのでご注意ください。

「メイドインアビス 闇を目指した連星」は、つくしあきひと氏による人気コミック「メイドインアビス」を原作とした、3DアクションRPGだ。作品の特徴ともいえる巨大な縦穴「アビス」の世界をゲームならではのアプローチで再現している。

作中で“度し難い”というワードが度々登場してくるように、アビスの深淵はとにもかくにも容赦がない。だがしかし、多くの者たちがアビスの魔力に魅せられて、“奈落の底”を目指す。原作ではリコ(CV:富田美憂)たちの冒険が繰り広げられるが、そこには数多くの困難や恐怖が待ち受けている。そこを正面から描いているところに、作品の魅力が詰まっている。

ゲームでもアニメで描かれたリコたちの冒険を追体験できるのだが、さらにプレイヤーの分身がアビスの世界を体験することができるモードも収録。しかも原作者・つくしあきひと氏の監修により、原生生物との戦いや遺物の収集、アビスの呪いなど、原作やアニメでは表現しきれない細部も楽しめる。

今回、ゲームの発売に先立ち製品版をプレイすることができたので、ゲームサイクルの紹介とともに、その魅力をお届けしていく。

リコたちの冒険を追体験しながらゲームの仕組みを理解する「HELLO ABYSS」

最初にプレイすることになる「HELLO ABYSS(ハローアビス)」では、アニメのストーリーを追体験しながら、ゲームの遊び方を学ぶことができるモードだ。レグとの出会い、アビスへの旅立ち、そしてそこで待ち受ける困難……。リコの目線で進めていくことで、より能動的なアビス探窟を楽しむことができる。

先に断っておきたいのだが、本モードは後述する「DEEP IN ABYSS(ディープインアビス)」への導線になるモードで、一部のシステムについては制限がかかっている。逆に言うと、ステータスの管理やアイテムの活用、武器での攻撃や崖の昇り降りなどの各種操作が段階的に開示されていくので、まずはここで探窟家としてやるべきことを理解していくのだ。

また、HELLO ABYSSならではの要素として、リコのパートナーであるロボット、レグ(CV:伊瀬茉莉也)の存在は欠かせない。リコ(プレイヤー)の移動に伴って同行してくれるほか、原生生物が近くにいると攻撃してくれたり、腕をロープ代わりにして崖を降下してくれるなど、さまざまな局面でサポートしてくれる。

筆者はアニメをきっかけに「メイドインアビス」を知ったのだが、第1期の放送当時から感じていたのはアビスに潜む恐ろしさだ。本作でもアニメ同様に随所にその恐ろしさが垣間見える時があるのだが、特に“アビスの呪い”はストーリーのみならず、探窟においてもその猛威を振るってくる。画面上でも負荷のかかる様子が表現されており、常に緊迫感のある中でプレイを進めていくことになるだろう。

そして、深界一層から二層に下るとその様相は大きく変わり、冒険もより過酷さを増していく。一寸先は闇とでも言わんばかりに、何度も失敗を重ねながら進んでいくうちに、ゲームへの理解が進むとともにリコたちの冒険の軌跡も味わえるのではないだろうか。

オリジナルストーリーでアビスにより深く接する「DEEP IN ABYSS」

HELLO ABYSSのクリア後に開放されるモードが、先ほども言及したDEEP IN ABYSSだ。こちらはオリジナルキャラクターを操作し、アビスの深層に挑むものとなっている。主人公(CV:鬼頭明里)は髪型や顔立ちなどを変更可能なので、より愛着を持った姿での探窟を楽しめることだろう(※プレイ開始後も変更可能)。

物語としてはリコとレグがアビスへと旅立ってから少し経ったところから始まる。同期生のラウル、ティアレ、ドロテアとともに探窟家のタマゴ「鈴付き」としての授業や研修を経て、いよいよ「赤笛」として探窟に挑むことになるが……。オリジナルストーリーではあるものの、アビスの過酷さが分かるエピソードが楽しめるほか、ナット(CV:田村睦心)やシギー(CV:沼倉愛美)らのその後の様子なども描かれており、「メイドインアビス」の世界を広げるものにもなっている。

ゲームサイクルとしては、“リーダー”ことジルオ(CV:村田太志)からの任務などを通してアビスを繰り返し探窟しながら、探窟家としてさまざまな経験を積んでいく。赤笛のうちは深界一層のみとなっているが、クエストを達成したり、アビスから遺物を持ち帰ることで蒼笛→月笛……と徐々に笛の等級が上がっていき、アビスのさらに奥深くまで潜れるようになっていく。

筆者は今回、蒼笛になるまでをプレイしていったが、一層であってもアビスの原生生物たちは脅威で、ちょっとした油断から探窟失敗になってしまうことも少なからずあった。アプローチこそ異なるものの、いわゆる“死に覚え”をしながらアビスに挑むという、ゲームならではの楽しみ方ができるのもポイントだ。

蒼笛になるまででも感覚的には十分ボリューム感があり、さらに過酷になっていく二層以降はより歯ごたえを感じられそう。後述するさまざまなシステムを駆使しながら、アビスの深層を目指していこう。

クエストによってはほかのキャラクターが同行してくれることも。

探窟にクラフトは欠かせない!自己管理もしっかりと

各モードを説明したところで、2つに共通するゲームシステムについても触れていこう。最終的にはゲームプレイの流れで理解してもらえる部分もあるとは思うのだが、いくつか予め理解しておくと進めやすいと思った点をフォローしておく。

体力と満腹度の減少には要注意!思わぬピンチを迎えることも…

リコおよび主人公には体力、満腹度、スタミナの3つのステータスが存在する。体力は原生生物から攻撃を受けたり、一定距離からの落下などで減少するため、料理や包帯のアイテムによって回復する必要がある。なぜならば、体力が少ない状態で凶暴な原生生物と遭遇したときほど、常に死と隣合わせなことはないからだ。

また、満腹度やスタミナは行動によって減少していくのだが、自然回復するスタミナとは違い、満腹度は食事でしか回復しない。満腹度がゼロになるとスタミナも回復しなくなるため、こまめに食事をすることで満腹度を保つことが重要になる。

体力、満腹度の両方を一度に回復できるという点で食事は大きな役割を果たすのだが、当然ながら料理によってその回復量は異なるため、例えばどちらか一方だけを回復したいシチュエーションだと、躊躇してしまうような場面もある。

もちろん、どう進んでいいのかがわからなくなるような袋小路に陥った場合には料理のストックなどは大事になってくるのだが、アビスにおいて大事なのはとにかく生き抜くこと。生きていればなんとかなるの精神で、体力や満腹度については細心の注意を払っておくべきだ。

探窟中はクラフトでのアイテム補充とリュックの重量管理は基本

拠点であるオースの街ではさまざまな施設でアイテムや食材・調味料を購入できるのだが、アビス内での探窟が始まると、基本的には帰還するまで手持ちのアイテムで挑むことになる。例えば事前に料理をストックしてあっても、それらが尽きてしまえば体力や満腹度の回復手段がないというケースももちろんあるし、ピッケルや釣り竿といった道具にも耐久度があるため、気にせず使い続けられるわけではない。

しかしながら、アビスでは倒した原生生物を解体したり、植物を採取したりとさまざまな手段によって素材を入手可能。それらを元にクラフトすることで、多種多様なアイテムを補充できる。クラフト可能なアイテムは後述するスキルによって徐々に増えていくため、深層に向かうにあたっても、確実に役立ってくれることだろう。

もちろんクラフトに頼らずとも、予め多めにアイテムを持参すればいいのではないかという考え方もできるのだが、アイテムを入れておくリュックには重量制限が設定されており、それをオーバーしてしまうと動きが一気に鈍くなってしまうという問題があるのだ。

探窟に必要なアイテムはもちろんのこと、探窟の中で入手できる遺物、素材の数々を考えると、リュックの管理はギリギリになりがち。クラフトを行う際には素材を消費することもあり、総重量も減少するので、基本は現地調達を念頭に考えておきたい。

クラフト関連でももう一つ補足しておきたい点として、武器の中にはソウキュウ、エンテンといった飛び道具もあるのだが、これらを使用するためには矢や弾の準備が必要になってくる。こちらも現地調達が可能なので、重要な局面では積極的に使っていきたいところだ。

でもやっぱり持っておきたいアイテムたち

先ほどから現地調達が基本という話をしているが、それでも持ち込めると約に立つアイテムもいくつかある。その中でも序盤で特に持っておくと楽になるのが、塩とロープだ。

塩は言わずとしれた調味料の一つだが、特にクラフトで作成できる料理のバリエーションの多くない序盤では、塩を使った料理が探窟に一番重宝する。もちろん、よりシンプルに作成できる料理もあるのだが、より手の込んだ料理(序盤だと柔らか焼き肉など)は体力や満腹度の回復量が多少変わってくる。何より、せっかく手に入れた食材を調理できないというのはもったいないので、余裕があれば塩をはじめとした調味料を持ち歩くことをオススメする。

また、探窟中はロープがあれば降下できるポイントがいくつかあり、ショートカットにもつながるのだが、調子に乗って使い続けるとすぐに無くなってしまう。もちろん、クラフトによって自作することも可能だが、それには菱トゲ草が必要になるため、本当に必要な局面で手元にロープがないというシチュエーションが何度か訪れた。こちらも余裕があれば持っておきたいアイテムだ。

そのほか、オースの街で立ち寄ることのできる船団キャラバンには、オースでは入手できないアイテムが売られている。こちらもクラフトに必要になるアイテムを含めて冒険を助けるものが多いので、所持金があればいろいろ買っておくのもいいだろう。

制約の中でのアクションがアビス探窟の面白さにつながる

本作は“度し難いアクションRPG”というジャンル名を冠しているものの、一通り触ってみた印象としては、アクションそのものの自由度はそこまで高くなく(スキルによって拡張はされるが)、どちらかといえば地道に進めていく、慎重さの求められる操作性になっており、アビス探窟を楽しむゲームとして意識されているように感じた。

その印象がより強くなったのはDEEP IN ABYSSをプレイしている最中だったのだが、なぜかと言うとリコを操作するHELLO ABYSSでは二層でちょっとつまづいてしまい、しかも作中同様戻ることのできない状況でもあったので、プレイ自体にフラストレーションを感じてしまったのだ。

だがそういうシチュエーションでも何とかクリアした後にDEEP IN ABYSSをプレイしてみると、プレイヤー側の操作とスキル育成、クラフトなどの要素が上手く噛み合っていて、ほどよく苦しむ感覚を味わえるようになった。そこにはHELLO ABYSSをクリアしたからこそのプレイそのものへの慣れと、それでも容赦のないアビスという場所の度し難さが表れていたように思う。

筆者が遊んでいるところは実際まだまだ序盤といえるところで、“アビスの呪い”と呼ばれる上昇負荷がさらなる猛威を振るう深層への恐怖は尽きないが、その感覚を味わえるところに「メイドインアビス」のゲーム作品としての魅力が詰まっている。

メイドインアビス 闇を目指した連星

スパイク・チュンソフト

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  • 発売日:2022年9月1日
  • 18歳以上のみ対象

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  • 発売日:2022年9月1日
  • 18歳以上のみ対象

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  • 発売日:2022年9月3日
  • 18歳以上のみ対象
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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