MyDearestとイザナギゲームズが2022年9月23日に発売を予定している、VR捜査ゲーム「DYSCHRONIA: Chronos Alternate(以下、ディスクロニア: CA)」第1章の先行体験レポートをお届けする。
本作の舞台は、外界から隔絶された海上都市「アストラム・クローズ」。この都市ではメンタリングシステムで全市民の夢が統合され、無意識下で行うメンタルケアによって犯罪発生率0.001%を実現している。
そんな“楽園”と呼ばれる場で、都市の創設者アルバート博士が殺害されるという“起こるはずのない”事件が発生。プレイヤーは特別監察官に着任した「ハル」として、何故博士は殺されたのか、この都市で何が起きているのかを捜査していく。
本作は、手掛かりを探して謎を解き明かす「捜査パート」と、集めた証拠を用いて統合人工知能と対峙する「審問パート」に分かれている。今回は一足早くMeta Quest 2で体験できた捜査パートの一部を紹介していこう。
封じられたカードキー入手のため、アイテムを使ってギミックを解除
プレイヤーは事件が起きる「現実世界」と、市民たちの夢の世界「拡張夢」をボタンの長押しで自由に切り替えられる。建物などは現実世界も拡張夢も同じ様子だが、拡張夢では光り輝く魚の群れや巨大なクジラが悠々と空中を泳いでいる幻想的な雰囲気だ。
操作方法としては、移動は左スティックを倒す、または右スティックでポイントを指定したテレポートで行える。スティックを押し込むとしゃがんで目線が低くなり、そのままゆっくり移動することもできる。アイテムを掴みたい場合はグリップボタンを握り、キャラクターに話しかけたい場合は吹き出しマークに手をかざせばいい。今回は警備ドローンに話しかけると謎を解くヒントが得られが、ゆくゆくはナビゲーターロボットの「リリィ」がこの役目を担ってくれるのかもしれない。
不思議な少女の呼びかけにより、ハルは拡張夢の中にあるアルバート博士の家へと送られる。ここでは警備ドローンが奥に進むためのカードキーを探しているので、彼らに代わって見つけてあげよう。カードキー自体はすぐに見つかるが、何らかの機構で封じられている。これを解除するためのクリスタルが3つのフロアに隠されているので、仕掛けを解き明かして手に入れる……というところまでが体験できた内容だ。
また、謎解きには左手で触れたものに宿る記憶へアクセスする特殊能力「メモリーダイブ」も不可欠だ。今回は「カードキーがどのような状態で開けられていたか」という過去のビジョンを見ることで、解除にはクリスタルが必要だと知ることができた。メモリーダイブを利用できるオブジェクトは見た目で判断できるので、よく周囲を見渡せば迷うことはないだろう。
基本的にはフロア内にあるさまざまなアイテムを集め、特定の場所に置くとギミックが動作して必要なクリスタルを手に入れることができた。アイテムも分かりやすい位置に置かれているし、ヒントもかなり直球なのであまり悩むこともないだろう。言葉にするとあっさりとしてしまうが、実際に複数のフロアを行き来してギミックの解き方を考えつつ、必要なアイテムを拾い集めたり、アイテムを握ったまま動かしたりできるので「自分自身の手で謎を解き明かしている!」という感覚を非常に強く体感できる。
そして集めたアイテムは所持品の一覧に保管されるが、そこから自分で選び、取り出して使うという動作も臨場感を高める要素のひとつ。謎解きには直接使用しなかったもののストーリーとの関連を思わせるアイテムもいくつか設置してあり、持つとハルのセリフも流れるので、あえて関係のない場所もチェックして反応を確認したいタイプのプレイヤーも満足できそうだ。
アイテムに残された記憶を読み取り、過去を探る
また、ハルの持つ「メモリーダイブ」で見れるのは謎解きのヒントだけではない。ここではアルバート博士、ハルと幼少期を過ごしたらしいマイアとノエル、ハルをサポートしてくれるナビゲーターロボットのリリィが一緒にいた過去の様子も読み取れた。
ハルのほか、このビジョンに登場したマイア、ノエルを含めた3人は「時」に関連する特殊能力を持つ人間、通称「変異体」という共通項がある。それゆえ周囲から迫害の対象となっているが、アルバート博士によって「アストラム・クローズ」にて保護されていた。しかし博士は保護した変異体を何らかの実験に利用していたようで、3年前の実験でハルは記憶を失い、マイアは眠り続けることになってしまったらしい。変異体と呼ばれる彼らに一体何があったのか……メモリーダイブで紐解かれる過去も、きっと今回の事件の核心に無関係ではないだろう。
そして今回は過去を追体験したのみだったが、メモリーダイブには運命が分岐する瞬間の行動に干渉し、現在を変化させる力もあるという。プレイヤーの選択がアストラム・クローズに迫る“最後の7日間”にどのような結末をもたらすのか、まずは1章の発売を心待ちにしたい。