2022年9月15日から9月18日まで幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2022。10月28日に配信予定の「バイオハザード ヴィレッジ」のDLC「シャドウズ オブ ローズ」の体験レポートと、開発陣へのインタビューをお届けする。

「シャドウズ オブ ローズ」はイーサンの娘が主人公に

本作は、「バイオヴィレッジ」の16年後が舞台。健やかに成長したローズマリーことローズは、生まれ持った特殊な力に悩まされ、ローズはその力を封じるために菌根の記憶の世界――”意識の世界”へと飛び込むことを決意するところから始まる。

ローズの目の前に広がるのは、我々が「バイオヴィレッジ」で過ごしてきたあの謎の村と同じ景色だ。しかし意識の世界ということもあり、同じ景色なのにどこかがおかしいと感じるような違和感があった。その違和感は、「バイオヴィレッジ」で感じた恐怖とはまた別種の異常さとでも言えばいいだろうか。

「バイオヴィレッジ」は恐れや危険を色濃くしているのに対して、「シャドウズ オブ ローズ」の世界はもっと精神的な異常さに訴えかけるようなビジュアルだと感じる。

全体的な絵作り自体ももちろんなのだが、意識の世界のクリーチャー”フェイスイーター”などはまさに「意識の世界だからこその異常さ」を表している。フェイスイーターはその言葉の通り、「顔を食べる」クリーチャー。とは言っても、顔にかじりつくのではない。ローズの顔面ごと吸収してしまおうとするような、なんとも気持ち悪さを覚えるクリーチャーだ。

フェイスイーターに襲われるローズ。
最初に襲われた時は、このまま即死するのかもしれないという恐怖を覚えた。

しかもローズは途中まで武器を持たず、フェイスイーターに遭遇しても逃げるしかない。もちろん途中で銃を手に入れるのだが、弾薬もかなり少な目になっており、ローズは限られたリソースの中で地道に戦っていくしかない。

……と言うと難易度が高そうに感じられるが、ローズには彼女だけの特別な力がある。力に目覚めれば、また別の戦い方もできるようになるようだ。

序盤の序盤は「戦わない」という選択肢もあり?

また、ローズの行く手を阻むのは”菌核”と呼ばれる不気味な花のようなもの。菌核はコールタールのような不気味な液体をまき散らしており、この液体に飲まれるとローズは一発で死んでしまうようだ。

しかしやがてローズは菌核を浄化する力を手に入れる。「力を消すために来たのに、力に頼るなんて」と零したくもなるものだが、どうやらローズの力は自身の力をさらに高めていかなければ消せないもののようだ。菌核を消すと、その菌核の周囲の液体も消える。そうすることで、ローズは新たに進める道を作っていくことになる。

菌核を浄化するローズ

さらに、ローズを導く謎のメッセージが彼女の行く手に現れる。メッセージの主はまったくの謎だが、敵ではなさそうだ。その声が言う(書く)には、ローズの力を消すためには、あるものを手に入れる必要があるらしい。当面はそのあるものを手に入れるために奔走することになりそうだ。

プレイをした部分からは、今回も謎解き要素は色々ありそうだということしかわからなかったが、謎解きに菌核の浄化、襲い来るフェイスイーターたち……と、ローズの力を消すための戦いは一筋縄どころではいかなさそうなことだけはわかった。

手に入れたチェーンカッターでチェーンを切るくらいは初歩の初歩

正直に言うと、ローズの旅がドミトレスク城から始まった時、筆者は少々ほっとしてしまったのだ。言うまでもなく、「知っているところ」という安心感に他ならない。

だが、それは間違っていた。同じ舞台でありながら、同じではない。全体的に画面は暗く、陰鬱。”どこかに実在しそうな不気味さ”ではなく、それは”どこにも実在しない不気味さ”である。だからこそそこには、イーサンの時とは違う種類の恐怖が待ち受けている。

ローズの”意識の中の戦い”がどのようなものになるのか、ぜひ楽しみにしていてほしい。

総合プロデューサー・川田将央氏&ディレクター・木下研人氏にインタビュー!気になるPSVR2の話なども

――よろしくお願いします。まずDLC全体の見所について教えていただけますか?

川田氏:今回、3個のコンテンツを用意させてもらってます。 1つ目がサードパーソンビューモードの搭載です。こちらは「バイオ7」や「バイオヴィレッジ」のどちらでも、お客様からの要望が高かったものです。非常に良い状態で仕上がってきており、「バイオヴィレッジ」をクリアされた方でも新しい体験ができるような素晴らしい内容に仕上がっていると思います。

2つ目が、「バイオヴィレッジ」をクリアした方がすごく楽しんでもらえるような「シャドウズ オブ ローズ」という新しいシナリオを用意させていただきます。

さらにもう1つはアクションゲームになるんですけれども、「バイオヴィレッジ」にも搭載しておりましたマーセナリーズモードをさらにボリュームアップしたアディショナルオーダーというバージョンを今回リリースさせていただくことになりました。この3つを今回1つのDLCパックとして販売させていただきます。

――「シャドウズ オブ ローズ」を遊ばせていただきましたけれども、ローズを主人公にしようと思った理由などをお伺いできればと思います。

木下氏:構想自体は発売前から完全な新コンテンツとして作りたい、というものがあったのですけれども、本編が発売してからお客さんの「バイオヴィレッジ」のストーリーに対する反応の中に、イーサンとその娘を救う親子愛に感動した、泣けた、みたいな反応も非常に大きかったので、じゃあローズを主人公にこの後のエピソードを描いてあげようという順番で決まりました。

――てっきり発売前からローズのその後をDLCで出すつもりなのだと思っていたのですが、発売後に決まったんですね。

木下氏:もちろん、「出すならここらへんだよね」という構想はいくつかあったんですよ。ローズのストーリー以外ならば、クリスのストーリーだとか……他にももう1つ2つあったんですけれども、お客さんの反応を鑑みて、構想のうちの1つだったローズにしようということになりました。

――なるほど、それもあってDLC発売まで1年半近くかかったというわけですね……。

木下氏:今、川田から紹介があった3本のコンテンツを作るというところで、それぞれのコンテンツに人数を割いて……それでいて「バイオヴィレッジ」自体、ゲームボリュームがとてつもなく長いものだったので、それに対してしっかりモノ作りしていくというところで、どうしてもこの時間がかかってしまったというのがあります。

――単純な疑問なのですが、例えばDLCを1本ずつ小出しにしつつ小刻みに出していこう、という構想にはならなかったのですか?

川田氏:今回、異なるターゲットに対して販売したいと思っていましたので、やっぱり1つのまとまりにして、あらゆるお客様のニーズに対応できる方がいいのかなと思っています。その分価格も安く設定できましたので(笑)。

――DLCセットはおいくらなんでしょう?

川田氏:日本円では2001円です。

――えっ、お安い! カプコンさんは本当にそういうところサービス精神の塊ですよね……。

川田氏:なので、いろんな人に買っていただかないと、ということなんです。

――なるほど。では「シャドウズ オブ ローズ」について伺っていきます。ローズの歩く速度が大分ゆっくりめに感じましたが、そこの意図などをお伺いできればと思います。

木下氏:クリスやレオンと違って恐怖に対して何の耐性もない普通の女の子なので……他の人にはない力を持ってはいますけれど(笑)、そういう女の子が未知の世界に入った時にどういうスピードで歩くことになるのかというのを考えました。

例えば本当にダッシュできるのかとか……、ゲーム性よりもローズというキャラクター性を踏まえてスピード調整をしたのと、あとゲーム的にも軽快に動きながら銃を撃っていくというよりは、能力を使って敵を足止めしてその隙を突くようなバトルになっています。

敵の方がローズよりも強いという状況で、ローズが力を使いながら道を切り開き、くぐり抜けていくという体験にしたかったので、敵とプレイヤーとのスピードというのも考えて、今の速度にしています。

――ローズが力を使って道を切り開く……?

木下氏:今回プレイしていただいた辺りからもうちょっと進むと、ローズの能力で時間を止めれるようになっています。

――そうだったんですね。ちなみにイーサンとローズで明確に違う部分などはありますか?

木下氏:イーサンは本編のコンセプト通り、死に物狂いで戦っていくキャラクターなので、行動でできることは歴代「バイオ」シリーズの中でも多いですし、ガードができたり、いろんな物を利用しながら娘をみつけるために戦うという感じなんですけれども、ローズに関しては力も弱く、銃の扱いも慣れていませんし、非力ながらも特別な力というものを使いながら、自身の悪夢を封じるために戦うという違いを作っています。

――ローズは敵より弱いとのことでしたが、ローズの力で気を使った部分とかはありますか?

木下氏:キャラクターの設定を、ゲームの体験にも活かしてるというところは非常に気をつかって作られています。ローズは少し能力持っているというだけですからね。

独特の能力を使って謎解きのパズル的な部分を再現したりとか、あの敵のあの攻略に使えたりしないだろうか、という風に力を扱いますので、非常にユニークなキャラクターに仕上がっていますね。

――謎解きの部分はまだ「何かあるんだろうな」という部分しか触れなかったのですが、ローズだからこその謎解きはあるのでしょうか?

木下氏:今回遊んでいただいたシーンには入っていないのですけれども、チャプターが進むことでローズが力を駆使してギミックを使って敵の注意を惹きつけて、その間に自分が逃れるなど、そういう能力を応用して自分の身を守っていくっていうような遊び方もあります。

――ただ倒せば良いのではないのですね。ちょっと難しそうなイメージがあります。

木下氏:そこはものすごく直感的な表現にしていますので、わかりやすく遊べると思います。ご安心ください。

――では次に、switchでの「バイオヴィレッジ」のクラウド版についてお伺いしてもよろしいでしょうか。一番気になるのは回線状況による遅延かと思いますが、いかがでしょうか?

川田氏:もちろん回線の状態によるのですが、まずご自身のネット回線状況を見極めていただくために、短いんですけれども、体験版を用意させてもらっています。

そこで遊んでいただいた上で、購入いただけるかどうかをご判断いただきたいんですけれども、体験版さえクリアできていれば、60fpsで遊べるようにはしていますので、クラウドというのはあまり意識されなくても遊べる内容に仕上がっているのではないかなと思います。

――なるほど、そこは親切ですね。あとはPSVR2版「バイオヴィレッジ」を遊ばせていただきましたが、VRならではの気を付けた部分とかはありますか?

川田氏:我々はこれまでにいろんなVR対応をしてきたんですけれども、今回は「バイオ7」と比較しても、VRでの体感というものを、よりグレーアップした感じになっております。

銃のリロードにしてもボタンひとつの操作で、というよりも、ちゃんと銃を出してマガジンを装填するあたりとか、これまでの体験を大きく上回ってるところかなと。
ソニーさんが開発した新しいPSVR2というハードの進化は、VR体験として非常にプラスになっております。

――本の裏を見たり、結晶をまじまじと見たり、ゲーム本編でもやろうと思えばやれたことかもしれませんが、本を持った手をふっとまわして裏側が見れる、みたいな演出も良いですよね。

川田氏:そうですね、やっぱりコントローラで動かすのとは違った感動がありますよね。普通のテレビゲームとは一味違う、もう一段階上にあがったゲーム体験をしてもらえると我々も感じています。

――ぜひまた体験版とかを出してほしいですね。

川田氏:頑張ります(笑)。

――今回、VRでドミトレスク夫人を見てその巨体にとても驚いたんですけれども、VRならではの調整とかってされているんですか?

川田氏:あそこはあえてVR版として作り直したとか、そういうわけではないですね。なので、元々あれくらい大きかったんですけれど、イーサンの視点から見ると本当に大きいですよね(笑)。

操作周りに関してはVR専用で全部作り直すことになったんですけれど、グラフィックに関しては元から高いクオリティで作られていましたが、なかなか通常のゲーム画面でコントローラーを触りながらそういうのを全部見ていくのも難しいですよね。

VRならではの、自分で視点を動かして、どこを見ていただいても破綻のないグラフィックというのを味わっていただけると嬉しいです。

――PSVR2になってナイフで突きができたりとか、とにかく手の周りの動きの再現度がすごいと思いました。

川田氏:操作性に関して言うと、ナイフを持ったあとそのまま何か目標物や敵に向かって投げたりもできますし、片手にハンドガンだけではなく、もう片方の手にナイフもセットで持ったりできます。

2丁拳銃的な使い方であったり、もっと言うと銃で攻撃しながら近づいてきた敵に対してナイフで攻撃をしかけるっていうこともできるようになりました。ゲームの体験性もバラエティ豊かになってるんじゃないかと思いますね。

――遊ばせていただいた限り、難易度はちょっと下がっているように感じました。それは攻撃の多様性で結果的にそう感じたのでしょうか。

川田氏:そうですね。攻撃手段が多様になっているところがあるかと思います。でも体験性の豊かさっていうのが、ユーザーさんにとって良い刺激になるんじゃないかなという風に感じています。あとはやっぱりVRに慣れる時間とかも必要になってくるかと思いますので、カードとかも組み合わせていいバランスになるんじゃないかなと。

――慣れると言えば……マガジンのリロード方法にはかなり驚いたのですが、あの操作にしようと思った理由をお伺いしてもいいですか?

川田氏:我々もその辺はワンボタンでいいんじゃないかなと思ったんですけれど、VRというのは 自分がその世界に入り込むことができることが重要になりますので、できる限りその中で初めての体験性を大事にしようということで、あのギミックを今回は採用しています。

――実際、ああいったマガジンの交換的な動作を繰り返すうちに、イーサンとの一体感みたいなものを感じました。

川田氏:ありがとうございます。まさに本望です。

――では最後にDLCとかPSVR2版を今後楽しみにしていらっしゃる方たちに、一言ずつお願いします。

木下氏:サードパーソンビューモードに関しては、改めて今度はTPSで遊び直せるので、FPSとは違った魅力もあります。マーセナリーズをやってくださってた方に関しては大きなボリュームアップになっておりますし、本編をクリアした人にとってはウィンターズ家の最後の締めくくりとなるラストエピソードを作っております。全て色々な形で楽しめるように3本用意しているので、是非楽しんでいただけると思います。

川田氏:去年の6月に「DLC作ります」と発表して以降、すごく熱心なファンの方からはまだかまだかと言われつつなかなかお知らせできなかったんですけれど、今年の6月になんとか発表できて、その時の皆さんの反応がすごく良かったので、やっぱり作って良かったなと。遊んでもらうからにはご期待いただいてる以上のものを、と思って作っておりますから、ぜひプレイをしていただければと思います。

僕たちとしては、「バイオヴィレッジ」が出て2年目の今だからこそ、Mac版やクラウド版なども含め、まだまだ横軸にも、そして縦軸にもユーザーさんを増やしていきたいという想いがありますので、ぜひゴールドエディションを楽しみにしていただければと思います。

――ありがとうございました。

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※画面は開発中のものです。

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