スクウェア・エニックスが2022年10月27日に発売するPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam用ソフト「スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE」(Steam版は10月28日発売予定)のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. レイモンドとレティシア、視点を変えるだけで様変わりするストーリー
  2. バトルにおけるキャラクターの役割分担がより明確に
  3. 「スターオーシャン」シリーズファンでなくても楽しめる

「スターオーシャン」シリーズのコンシューマー向け最新作としてはおよそ6年半ぶりにリリースされる「スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE」。これまでもさまざまな記事でその特徴をお届けしてきたが、発売に合わせて体験版では選択できなかったレティシアを主人公にして、序盤にあたる部分をプレイする機会を得た(プレイ環境はPS5版)。

過去の記事ですでにシステムについての紹介は重ねているのでここでは割愛して、筆者のプレイフィールとして紹介するので、ぜひ参考にしてもらえればと思う。

レイモンドとレティシア、視点を変えるだけで様変わりするストーリー

本作ではゲーム開始時にレイモンドとレティシアの2人から主人公を選択する。すでに体験版をプレイしている人はご存知の通りだが、レイモンド編では、レイモンドが艦長を務める輸送艦イーダスが撃沈され、未開惑星アスター星系第4惑星に不時着するところから物語が始まる。

一方、レティシア編ではその顛末が描かれることはなく、レイモンドの乗る脱出ポッドが着陸した先で、原生生物に襲われているところを助ける場面から描かれていく。当然ながら、この時点ではレイモンドがどこからやってきたのかということはレティシアの目線からは分からないし、レイモンドが探しているというクルーのクロエの姿を確認することもできない。

こういったセリフひとつの印象も変わってくる。

このように、主人公の視点が違うだけで同じ場面でもその意味合いが変わってくるのがダブルヒーローシステムの一番の特徴と言えるだろう。基本的には行動を共にしているのだが、ストーリーの進行に応じては別行動になる場面もあり、もう一方がどのような行動をしているのかを想像しながら進めていくことになる。もう一方の主人公でプレイした際に、想像で補完していた部分を改めて確認できるという楽しみ方もあるだろう。

レティシアはアスター星系第4惑星の大国であるオーシディアス王国の王女であり、隣国であるヴァイル帝国の脅威から国を救うべく、空からやってきたレイモンドに助けを求め、クロエの捜索に協力することを条件に行動を共にする。幼馴染でもある騎士のアベラルド、人を癒やす力「施療理術」を操る理術士のニーナ、王国内で名を馳せる理術士であり技術者のミダス、レイモンドの副官であるエレナと、徐々に仲間を増やしていくことになる。

本作では目的に応じて各地に赴き、そこでのイベントを経てまた次の目的地へ……というかたちで、比較的オーソドックスな進行になっている。序盤はオーシディアス王国の各地で起こる出来事に対処していく流れだが、徐々に不穏な空気も流れ始めていく。挿入されるイベントシーンはもちろんのこと、移動中の会話からもさまざまな背景を理解することができ、Vanguard Assault(VA)を活用した移動のスピード感も合わせると、サクサクとストーリーが進んでいく。

レティシアは容姿の可憐さに似合わず、王女らしい芯のしっかりしたところが印象的だ。
イベントシーンは高精細なビジュアルを堪能できる。手振りなどからもキャラクターの特徴が見えてくる。

もちろん、シリーズおなじみのプライベートアクション(PA)も立ち寄った場所で発生するほか、合間合間のミッションやミニゲーム「ソーア」など、細かなところもフォローすると、やりこめる要素はどんどん増えていく。ゲームが進むとファストトラベル機能も開放されるので、細かな取りこぼしもせずに遊んでいけそうだ。

ミニゲーム「ソーア」は対戦相手のレベルによってマス目が変わるなど、こちらも本格的に遊べる作りに。
ファストトラベル機能は便利だが、道中の会話イベントがスキップされてしまうので、
プレイスタイルによって使いどころが分かれそう。
アイテムクリエイションは今作でも健在。ウェルチの依頼をこなすことで解放されていく。

バトルにおけるキャラクターの役割分担がより明確に

VAの登場やリンクコンボの設定によって、シンプルながらもスピード感のあるアクションが魅力の本作。システム側でのアプローチもさることながら、キャラクターごとの特徴という点でもバラエティ豊かなアクションが楽しめる。

体験版のプレイ範囲で操作可能なキャラクターはレイモンド、レティシア、アベラルドの3人。バランスの取れた大剣のレイモンド、素早い攻撃で翻弄する双剣のレティシアは比較的オーソドックスではあるものの、アベラルドはチャクラムと理術を駆使して離れた距離からの攻撃を繰り出すことができる。

さらに今回のプレイではニーナ、ミダス、エレナがパーティメンバーとして参加。この3人が加わることでバトルの幅が広がり、パーティ編成におけるバリエーションも格段に広がっていった。

ニーナは施療理術を用いるキャラクターということで、回復や味方の強化といった補助役として活躍。ミダスは逆に攻撃系の理術を操る火力の高いキャラクターで、紋章術の詠唱中でもVAを繰り出せるという特徴がある。そしてエレナは変形武器を駆使して、バトルスキルに応じてさまざまな武器を扱うことができる。

「スターオーシャン」シリーズは、過去作でもバトルにおけるキャラクターごとの特徴が楽しめるようになっていたが、本作においては通常攻撃の概念が無く、リンクコンボの設定がそのまま攻撃のバリエーションになっていくため、自ずとキャラクターの役割分担が明確に切り分けられているように感じる。

正直なところ、ニーナは攻撃手段が少なく、ほとんどが補助スキルなことに驚かされたのだが、逆に言うとやることが明確なため、キャラクターを切り替えた際にはしっかりと回復やバフに徹して、そこからアタッカーにまた切り替えるといった戦略性を、スピード感をもって楽しめるのではないだろうか。

ちなみに、これだけのスピード感でのバトルはリアルタイムで進行すると判断に焦ってしまう部分があると思うが、本作ではストップモードに切り替えることで、バトルの途中でも画面を止めてキャラクターを切り替えたり、アイテムを使用したりと落ち着いて行動することができる。HPの管理は特に大事になってくるので、活用する場面が数多く出てくることだろう。

「スターオーシャン」シリーズファンでなくても楽しめる

筆者はシリーズタイトルについて全くプレイしていないわけではないのだが、逆に言うとシリーズ全タイトルを熱心にプレイしているわけではない(遊びこんだのは「スターオーシャン3 -Till the End of Time-」ぐらい)。だからこそ、細かな知識には乏しいのだが、本作は過去作をプレイしていなくてもすんなりと入っていけるようになっている。

まずストーリーの土台がアスター星系第4惑星における争い、そしてレイモンドたちが出会うDUMAの謎という分かりやすい状況に沿うかたちで進行するため、シリーズとのつながりを気にせずともすんなり作品世界に入り込めるという魅力がある。もちろん、シリーズに共通する基礎用語などを知っておいて損はないが、あくまでも補助的な感覚で考えてもらって問題ないだろう。

また、これは1つ目のトピックの繰り返しにもなってしまうが、レイモンドは宇宙からやってきた存在、レティシアはアスター星系第4惑星に暮らす存在という明確な違いがある。シリーズ初心者であればレティシアを主人公にすると、レティシアとリンクするかたちでレイモンドたちがもたらすさまざまな事柄を新鮮な気持ちで楽しめるのではないだろうか。

「スターオーシャン」シリーズにおけるダブルヒーローシステムの採用は「スターオーシャン2」以来となるが、まさに2つの視点から物語を描くことが、シリーズファンとシリーズ初心者、両方の視点を補完する上で大きな役割を果たすのではないだろうか。ナンバリング最新作ということを気にせず、ぜひ幅広いRPGファンにプレイしてもらいたい。

※画面は開発中のものです。

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