「Tomb Raider Reloaded」をレビュー。「トゥームレイダー」シリーズの世界観を使ったスマートフォン向けのローグライト・アクションRPG。高い中毒性を持つその内容を紹介する。
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「Tomb Raider Reloaded(トゥームレイダー リローデッド)」は、CDE Entertainmentからリリースされたスマートフォン向けローグライト・アクションRPG。本作の世界観のベースはタイトルの通り「トゥームレイダー」シリーズだ。主人公もおなじみララ・クロフトで、二丁拳銃を武器に遺跡の探索を行う。
ローグライト・アクションRPGとして作られた「トゥームレイダー」スピンアウト作
「トゥームレイダー」シリーズといえば遺跡を探索する三人称視点の3Dアクションゲームだが、本作は見下ろし型視点のローグライト・アクションRPGとなっている。遺跡という舞台やキャラクターといった世界観は踏襲しているものの、ゲーム的には全く別物。このため、シリーズの一作というよりはスピンアウト作ととらえた方がいいだろう。
ゲームの流れは、一般的なスマートフォン向け見下ろし型ローグライト・アクションRPGを踏襲している。敵がウェーブ単位で出現、出現した敵をすべて倒すとウェーブクリア。敵を倒して経験値を貯めレベルアップすると、スキル選択となり、ランダムに出現するスキルの中から1つを獲得できる。これを繰り返してすべてのウェーブをクリアすればステージクリアだ。
本作の場合、ウェーブのことを「ステージ」と呼んでおり、実際に遺跡内の1つの部屋というかたちで表現している。また複数のステージが集まって「チャプター」という単位になっているが、基本的な構成は一般的なローグライト・アクションRPGと同じといっていいだろう。
敵との戦闘は、二丁拳銃を駆使して戦うリアルタイム・アクションシューティングバトル。ララは仮想パッドで360°自由に移動可能。ショットはオートになっており、移動をやめると自動的に敵をターゲットして攻撃してくれる。
部屋に登場するすべての敵を倒し、部屋の出口へ向かうとステージクリア。敵を倒したときに出現する経験値アイテムによって一定上の経験値が貯まるとレベルアップし、スキル選択が発生する。ランダムに選ばれた3つのスキルが出現。その中から1つだけ選んで獲得できるというかたちだ。
スマートフォン向け見下ろし型ローグライト・アクションRPGの醍醐味といえるのがこのスキル獲得だろう。スキルを選ぶ毎にガンガン強くなっていくのが、たまらなく面白い。もちろん、ただ強くなっていくというだけなら、たいていのゲームでも体験できる。最近のゲームは基本的に育成要素を備えているからだ。でも、ローグライトゲームのスキル獲得がそれらのゲームの育成要素と一線を画している。それは、異なる複数のスキルを重ねて獲得し、ハイテンポにキャラクターカスタマイズが楽しめるからだ。
たとえば「狙撃手」というスキルを獲得すると、ララの放った弾丸が敵を貫通するようになる。このスキルを獲得した途端、直線状の複数の敵にダメージを与えられるようになるため、このスキルだけでもなかなかに強力だ。でも本作はスキルの効果を重ねることができる。たとえばここに、弾が壁で跳ね返るようになる「リバウンド」を重ねたらどうだろう?敵を貫通した弾丸が壁で跳ね返り、より多くの敵を攻撃可能になる。メチャクチャ強い!
でもこれで終わりじゃない。この上、継続ダメージ効果を持つ「毒攻撃」のスキルを重ねたり、敵を凍らせる「氷攻撃」スキルを重ねたりといったことも可能。こうやって複数のスキルを重ねて獲得した結果の強さが、尋常ではない。圧倒的な火力による爽快感を堪能できる。しかもこうした圧倒的な強化が、1プレイの中で味わえてしまう。これこそがローグライトゲームの魅力だろう。
本作ならではの魅力はアクション性の高さと多彩なステージ
スマートフォン向け見下ろし型ローグライト・アクションRPGとして丁寧に作られた本作だが、では本作ならではの魅力はどこにあるのか? 筆者が思うに、それはアクション性の高さと多彩なステージだ。
既に触れた通り、ランダムに登場するスキルの中から自分好みのものを選び、キャラクターを強くしていく…この育成要素こそローグライトの魅力。このため、ローグライト・アクションRPGの多くが、プレイヤーの操作技術より育成の方を重視する。そんな中で本作は、アクションの比重が高い。確かに本作がプレイヤーに要求する操作は、移動だけというシンプルさ。しかし、シンプルだからといって歯ごたえがないわけではない。というのも本作、敵の攻撃が苛烈。スキル獲得に伴い加速度的に上昇していくプレイヤー側の攻撃に負けないくらいの苛烈さなのだ。
多数の敵弾に当たらないよう巧みに移動し、敵の攻撃の合間に移動を停止、ショットを決める…。本作で求められるのはこうした立ち回り。操作はシンプルであっても、立ち回りにはシューティングゲームの醍醐味である「回避と攻撃」がしっかり詰め込まれている。
ただ、苛烈ではあっても理不尽ではない。弾幕シューティングゲームがそうであるように、本作の敵攻撃もパターンも基づいており、パターンを見切れば的確に攻略できる。直線的に向かってくるショットに、幾何学模様を描いて襲い来るショット。さらには誘導弾…などなど、一見「どうやって避けるんだよ?」と思ってしまう状況でも必ず打開の道はある。打開策を見いだせるかどうかはプレイヤーの腕前次第。つまり、プレイヤーの技術がモノをいうつくりになっているのだ。
一般的なローグライト・アクションRPGで見られない要素という点では、パズルステージも挙げられる。文字通り、ステージギミックを動かして謎をとくパズル的なステージだ。
ステージが始まると敵が出現し、敵を全滅させると扉が開いてクリア…というのが本作の基本構造だが、ステージによってはパズル要素が追加されていたり、トラップの回避がメインだったり、NPCとの取引イベントが発生したり…と様々な内容が用意されている。強力なボスが出現するステージも、もちろん存在。
ただそうしたさまざまなステージの中でも、パズルステージはとりわけ本作ならではの魅力になっていると感じた。「トゥームレイダー」の世界観を継承しているように思えるからだ。
財宝を持ち帰って財宝ゲットで育成!中毒性の高いローグライト・アクションRPG
「トゥームレイダー」の世界観を継承しているという点では、見逃せないのが財宝。そもそも遺跡を探索し、そこに眠る財宝を探すというのが「トゥームレイダー」シリーズだからだ。
本作では、複数のステージがまとまって「チャプター」を構成している。そして「チャプター」をクリアするか、途中でゲームオーバーになるとそれまでに獲得した財宝を持ち替えることが可能。財宝は、装備や育成用の素材アイテムとして育成に使用できる。チャプター内での育成と違い、財宝を使った育成は効果が永続的。このため、プレイを重ねれば重ねるほど攻略しやすくなっていく。
ステージ内でのランダムな育成と操作テクニックによって財宝をゲット、手に入れた財宝で強化を行い再び移籍へ…というプレイサイクルはめちゃくちゃ楽しい。どれだけ強化されたのか確認したくて、ついつい遺跡へ挑んでしまう。ローグライトゲームの持つ中毒性が最大限発揮されていると感じた。
最後にまとめると、本作は「トゥームレイダー」の世界観を見下ろし型ローグライト・アクションRPGとして再構成した作品といえる。再構成の仕方は絶妙で、ローグライト・アクションRPGとしてみると完成度はとても高い。
一方で、ストレートに「トゥームレイダー」シリーズを継承した作品ではないため、3Dアクションとしての「トゥームレイダー」シリーズにこだわりたい人だと、楽しめない部分が出てくるだろう。ただローグライト・アクションRPGとしての出来はいいので、スピンアウト作としてプレイすると、その魅力を十二分に堪能できるはずだ。また、「トゥームレイダー」は知らないけどローグライト系のゲームは好きという人でも本作はバッチリ楽しめる。是非プレイしてほしい。
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