「ドゥームズデイ:ラストサバイバー」をレビュー。タワーディフェンス形式のバトルでゾンビと戦いつつ、シェルターを建築して終末世界を生き延びるMMO戦略ゲーム要素を持ったRPG。その魅力を紹介する。
「ドゥームズデイ:ラストサバイバー」は、IGGからリリースされたスマートフォン向けの戦略タワーディフェンスRPG。舞台はゾンビの蔓延する終末世界。基本部分はソロプレイのRPGとなっており、タワーディフェンス形式のバトルでゾンビと戦い、サバイバーの集うシェルターを建設していく。ただ、これに加えてMMO戦略ゲーム要素も存在。最終的には他プレイヤーと同盟を組み、他プレイヤーとの戦うMMO戦略ゲーム的なスタイルになる。
ベタでも王道な展開がおもしろい! ゾンビものの醍醐味が楽しめるRPGパート
本作の冒頭は完全にソロプレイのRPGとなっている。ゲームが進むにつれて徐々に機能が解放されていくことで、他プレイヤーと戦うMMO戦略ゲーム的な機能も開放されるというつくりだ。
最近のスマートフォン向けMMO戦略ゲームでは、チュートリアル部分を本作のようなソロプレイゲームとして作ることが少なくない。ただそうした他のMMO戦略ゲームと本作が異なっているのは、RPGとしての作りこみだろう。決して「チュートリアルレベル」ではない。RPGとしてしっかり楽しめるに仕上がっている。
RPGパートは、探索フェイズとバトルフェイズによって構成されている。探索フェイズではタップ操作によってマップを移動。マップに落ちているアイテムなどを手に入れることができる。
マップを特定のポイントまで進むと画面切り替えなしでバトルフェイズへ。バトルフェイズはタワーディフェンス形式となっている。プレイヤーキャラクターも敵のゾンビもリアルタイムで戦闘。スキルの使用が手動というかたちだ。
スキルを使用するためには各スキルに応じた量のリソースが必要で、リソースは戦闘中の時間経過とともに貯まっていく。スキルは切り札的にここぞの場面で使うのではなく、戦況に応じてガンガン使っていくことが前提。
とりわけ主人公的存在であるリアム・マクファデンのスキル「軍事防衛」は立ち回りの要といえる。このスキルは任意の場所にゾンビをブロック可能なバリケードを建築するというもの。バリケードはゾンビの攻撃によって耐久力がゼロになると破壊されてしまうが、一方で接触したゾンビへのダメージ効果も持っている。バトルがはじまったら、まずはこのスキルを使ってゾンビの進行を防ぐというのが基本だ。
このタワーディフェンスバトルの出来自体とてもいいが、その上探索フェイズとの相性も高いと感じた。人のいない静かな終末世界を探索する不安感と、圧倒的な数で押し寄せるゾンビと戦うタワーディフェンスバトルによって、終末世界×ゾンビものの醍醐味が堪能できる。
また、ストーリー描写もなかなか魅力的だ。といっても、終末世界を舞台にしたゾンビものというのは映画にゲームにアニメに小説に…と大量にリリースされている。本作もそうした終末世界×ゾンビものの一作として、ことさら画期的な試みをしているわけではない。なので正直、既視感を感じてしまう場面も少なくなかった。
ただその反面本作は、「王道を求める心理」を満たしてくれる演出が多い。本作のように「終末世界×ゾンビもの」という定番ジャンルだと、プレイヤー側も「ベタと分かっているけど、それでもこのジャンルならこういう表現が見たい」という「王道を求める心理」があるように思う。たとえば、「愛する人間がゾンビウィルスに感染してしまう」というシーン。様々なゾンビもので手を変え品を変え描かれてきたシーンなので、ベタ中のベタといってもいいだろう。でも筆者は終末世界を舞台にしたゾンビものなら、やはりこういうシーンが見たいと思ってしまう。感染しない側が見捨てるのか?かばうのか?なんとか打開しようとするのか?ゾンビものは、この点に人間ドラマのすべてが込められているように思うからだ。そしてこの点に本作はきめ細かく応えているのが、とても嬉しい。
箱庭的に自分のシェルターを作っていく! 完成度の高い建設パート
RPGパートを進めていくと、やがてシェルターを獲得。建設パートのプレイが可能になる。探索パートは施設を建設して資源を作り出し、パーティーを増強していくパート。MMO戦略ゲームではおなじみといえるパートだが、本作はこのパートの完成度も高い。
どの点に完成度の高さを感じたのかというと、箱庭部分。本作では一回建てた施設を自由にレイアウト可能。つまり、シェルターを箱庭的に作ることができる。
こうした箱庭的な施設建設は、一見、MMO戦略ゲームでは当たり前のように思える。しかし実際には、施設の位置が固定で自由にレイアウトできない作品も少なくない。一方で本作の場合、自由にレイアウトできるのみならず、シェルターのスキンの変更まで行える。「自分の基地的な空間を、思う存分作りこみたい」というカスタマイズ欲にしっかり応えてくれるのだ。
マルチ解放後もソロプレイ可!ゾンビものとして満足感の高い一作
建設パート開放後、さらにゲームを進めていくとワールドマップが解放され、ワールドマップ上でのNPCゾンビとのバトルや他プレイヤーとのバトルが解放される。一般的なMMO戦略ゲームにおける戦略パートだ。ソロプレイよりマルチプレイを楽しみたい…という人はここからが本番と言えるだろう。
ちなみに筆者は、本作のようにゾンビものの場合、マルチプレイよりはソロで進めたいと思ってしまうタイプだ。ただ、ソロモードをチュートリアル的な機能として位置付けているMMO戦略ゲームでは、マルチプレイ解放後はマルチプレイの方がメインとなっていく。ジャンルがMMO戦略ゲームである以上それも当然ではあるだが、ソロモード好きとしてはやはり残念。この点で本作は、マルチ解放後もソロ用のモード「作戦」がしっかり用意されており、RPGとしてプレイ継続できる。
筆者は先ほど、本作は「終末世界×ゾンビものの一作として、ことさら画期的な試みをしているわけではない」と書いたが、訂正しなければならない。というのも、この「作戦」モードは新鮮な楽しさを与えてくれるからだ。
「作戦」モードの中は「冒険」と「調査」に分かれている。「冒険」はタワーディフェンスバトルをクリアしステージを進めていくというもので、一般的なスマホRPGのクエストと同様といっていい。一方、「調査」は「冒険」クリアによってストーリーが徐々に語られていくというもので、こちらは一般的なスマホRPGのストーリーにあたる。ここまでは一般的なスマホRPGとほとんど変わらないのだが、新鮮なのはその見せ方。
まず、意味深な情報が提示される。たとえば「Zウィルスの調査」であれば、少年が書いたというゾンビではない、もっと別の恐怖を感じさせる不気味な化け物の絵。そして、刑事ものの捜査シーンのホワイトボードかのようにこの情報の周囲に未入手の情報が配置される。この情報は特定のステージをクリアすることで獲得でき、それによって絵の内容が少しずつ分かっていく…。魅力的な謎が少しずつ語られていく、このミステリアスな感覚が素晴らしい!「ゾンビもの」というより、よくできたホラー作品を味わっている感覚で、ゾクゾクする。
本作は最終的にはMMO戦略ゲームとなるのかもしれないが、タワーディフェンスバトルの出来と「作戦」モードの出来がいいので、ソロプレイでも十分満足感が高い。このため、MMO戦略ゲームは苦手という人でも、ゾンビものが好きな人ならプレイする価値があると感じた。手を出す際にはぜひ、「作戦」モードが解放されるまでプレイしてみてほしい。
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