2023年4月27日に発売される、Nintendo Switch用ソフト「イース・メモワール -フェルガナの誓い-」のプレイレポートをお届けします。
目次
「イース フェルガナの誓い」は、2005年に日本ファルコムからPC向けに発売されたソフト。これまでPSPに移植されていたものの、今回はHDリマスター化された「イース・メモワール -フェルガナの誓い-」(以下、「フェルガナ」)として、装いも新たに登場します。
本稿では、本作のさまざまな特徴をお届けしていきます。
本作は、初心者により遊びやすいタイトルに!
「フェルガナ」は、シリーズの第3作「WANDERERS FROM Ys」のリメイクで、ゲームシステムは「イースVI」を軸として新たにブラッシュアップされた作品となります。
時系列で並べ直すと、「I&II」(17歳)、「IV(セルセタの樹海)」(18歳)、「III(フェルガナ)」(19歳)、「V」(20歳)、「VIII」(21歳)、「VI」(23歳)、「SEVEN」(23歳)、「IX」(24歳)となっており、本年発売予定の最新作「イースX」は「II」の後の物語であるとされています。
アドルの相棒・ドギの故郷であるフェルガナを舞台にしたストーリー。この地に伝わる魔王ガルバランを巡り、ドギの幼馴染のチェスターと、その妹エレナを中心にしたストーリーです。
「フェルガナ」は、最新作「イースX」の時系列にも近いアドルの冒険となっております。また、「フェルガナ」はゲームとしての評価も非常に高い、アクションRPGの金字塔とも言えるタイトルとなっています。
一方で、ボスの難易度や一部のダンジョンの難易度が非常に高く、歴代「イース」シリーズの中でも最もアクションに偏ったタイトルだとも言えます。
「イース」シリーズといえば、ゲーム開始時に選択するモードによって、アクションRPG初心者からアクション上級者までが楽しめるのがウリのひとつですが、本作はどちらかというとアクション上級者向けのタイトルとなっていました。
ですが、今回のSwitch版では、初心者向けのサポートがさらに手厚くなっています。
以前からあった便利機能「NotFall」は、オンにしておけば、高所から落下してもノーダメージで即復帰可能です。便利機能は「-」ボタン欄で「歩く」「NotFall」「翼の護符」の3つから選択可能で、デフォルトの設定は「歩く」になっているので、アクションが苦手な人は「Option」で設定を「NotFall」に変えておきましょう。
ただし、本作は落下することでしか行けないマップなどもあるので、必ずしもオンにするのが良い、というわけでもありません。その時の攻略の進み具合次第で、使用するか否か切り替えるのが良いでしょう。
また、難易度を「VERY EASY」にした場合のみ、アクションが特に難しいマップ「時計塔」をスキップすることが可能になりました。いつでもスキップできるならばと心折れる難易度に立ち向かうも良し、最初からスキップするも良し、どちらを選ぶのも自由です。また、スキップをしてもいつでも再攻略が可能です。時計塔にいくのはゲームの終盤なので、「ゲームに慣れてから」とはならないかもしれませんが、取り急ぎストーリーをクリアしてからゆっくりと挑み直すことも可能です。
ちなみにもうひとつの難易度が高いダンジョン「バレスタイン城」はスキップができません。こちらは「NotFall」機能などを上手く使いつつ、クリアを目指しましょう。
ボスも初見では少々クリアしにくいものが多いですが、何回か連続して倒れると「難易度を下げてコンティニュー」が選べるようになります。死ぬ度に「難易度を下げてコンティニュー」を選べば、どんどんボスの攻撃が弱くなっていくので、あとは攻略法さえ見つければ、アクションが苦手でもどうにかなるようになっているのが嬉しいです。
このように、「難易度が高い」と言われてきた「フェルガナ」も、今回のSwitch版では全体的にプレイしやすくなったので、これまで難易度を理由にプレイを避けていた人にも非常にオススメできるようになりました。
ストーリーはミニマムな作り。ストーリーよりもアクション重視
本作は前述の通り、アドルの相棒ドギの故郷であるフェルガナ地方を描く物語ですが、ストーリーはシンプルイズベストとも言える、とてもコンパクトに収まった内容です。ドギの幼馴染であるチェスター・エレナ兄妹を中心に描かれる物語で、山あり谷ありというよりは、大きな山をひとつ乗り越える物語と言っていいでしょう。
平和だったはずのフェルガナに突如現れた魔物たち、その原因を探るべくアドルの冒険は進んでいきます。
ダンジョンは迷いやすく、筆者のようにマップが覚えられないタイプのプレイヤーは少々手こずることになりますが、1周はおよそ10時間程度でプレイできる、ミニマムな作りとなっています。
一応レベル上げ的なものは従来の「イース」通り多少必要となっていますが、道中に出てくる敵を全て倒せばほぼ問題ないくらいにレベルが上がるようになっており、この点でも遊びやすいです。
難易度「VERY EASY」ですら手こずる場面も多いので、すんなりクリアできるかというとそういうタイプのゲームではありませんが、周回もしやすいです。またボスも一度攻略法を覚えてしまえば2周目以降でもそのままその攻略法が使えるので、少しずつ難易度を上げながら自分のアクションが上達していくのを楽しむという遊び方もできるでしょう。
どちらかというとストーリーを楽しむよりもアクション寄りなタイトルなので、アクション好きな人にとっては至極の一本となることは間違いありません。
操作もシンプル、爽快感は抜群
本作の操作はとてもシンプルで、攻撃はAボタン、Bボタンでジャンプ、Xボタンでリングアーツ(魔法)、Yボタンでブーストとなっています。主に使うのはこの4つのボタンのみで、他にLとRも一応は使用するものの、そこまで多用はしないようになっています。
シンプルながらも、ダッシュ攻撃やジャンプ斬り、上突き、下突き、そして魔法など、攻撃方法は色々あり、これらを駆使しながら進んでいくこととなります。特に下突きには稀に敵をスタンさせる効果があり、コンボにうまく組み合わせることで被ダメージを抑えることが可能です。
ガードは一応あるものの、リングアーツとして使用する形になるので、敵の攻撃は基本的にダッシュ移動やスキルで避ける必要があります。
リングアーツは、対応する腕輪を手に入れたら焔(火)、風、地の3種類が使用できるようになり、焔は火球を飛ばして攻撃、風は旋風ジャンプなどの滞空時間の延長の他、周囲への回転攻撃、地のリングアーツがタックル+ガードのような使い勝手となります。
どのリングアーツを好んで使うかはプレイヤー次第。どのリングアーツにも特徴があり、特に基本的に剣での近接攻撃しかもたないアドルにとって、焔のリングアーツは貴重な遠距離攻撃手段です。風のリングアーツはジャンプで使用したり、攻撃にも使用したりとゲームのあちこちで使い勝手は良いものの、リングアーツ使用中のダメージ軽減率が低いので即大ダメージを喰らってしまうデメリットがあります。
そんな中で筆者が最も多用するのが、地のリングアーツ。突進(タックル)をしながらガードもできるという、個人的にはかなり優秀だと感じているリングアーツです。地のリングアーツにしておけば、リングゲージの消耗はあれど実質ほぼ無限にボタンひとつでガードできるというのは有り難いです。
特に敵の猛攻をガードしつつ敵に一気に近寄れるというダブルでお得なリングアーツとなっており、筆者はボス戦ではもっぱら地のリングアーツでガードしつつボスに接近して攻撃、リングゲージがなくなったらダッシュ回避をしながらリングゲージを回復、また地のリングアーツで接近……、を繰り返すことが多かったです。
「ここでは必ずこのリングアーツを使わなければならない」という場面もあったりしますが、腕輪の切り替えもRボタンだけで簡単に行えるので、必要な場面で必要な腕輪をさっと使うことができます。
敵を攻撃する爽快感は素晴らしく、ザクザク敵を斬り進めていけるのが心地よく、「これぞまさにイース!」といったテンポ感。雑魚敵を倒すとHP回復などのアイテムをポロリするので、それらを回収していくことで意外と微細なHPダメージは攻撃しながら回復していけます。
時間経過で溜まるブーストゲージを、2段階溜めることで使用できるWブースト状態を発動すればHPもわずかに回復できるので、ドロップアイテムとWブーストを駆使すれば、かなりさくさくとバトルを楽しんでいくことができます。本作にはHP回復アイテムがないものの、ブーストゲージが時間経過で溜まるため、最悪安全なところでひとやすみ、からのWブースト発動、HP回復、といった手段も取れて、初心者も安心です。
しかし休んでばかりもいられません。敵をテンポよく倒していくことでヒット数を稼ぐことが可能で、ヒット数が上がれば上がるほど、もらえる経験値に上方修正がかかるようになっているからです(最大2倍)。
ヒット数については必須な要素ではありませんが、効率よくプレイするためにはぜひ覚えておいてほしい部分です。
前述の通り、敵はさまざまなアイテムをドロップするのですが、例えばSTR値が上がるアイテムを取ったあと、その効果が消える前に再度STRアップのアイテムを取得すれば効果が上がっていく……というように、アドルの能力を強化していく要素もあります。そのため、ヒット数の維持はできるに越したことはありません。
ヒット数を稼ぐにはそれなりに敵が多い場所でないとなりませんが、うまくいけば999Hitを狙えるような場所もあって、ヒット数がどんどん上がっていくのを眺めているだけでも楽しさが増していきます。しかも経験値が倍増し、レベルも上がっていくので、いいことづくめです。
こういった「ただバトルをしているだけなのに、何だか楽しい」というのが、「イース」シリーズの良さですね。
999Hitでカンスト状態に! 最高に気持ちいいです。 アドルのステータスの上に「str add」「def add」などのゲージが出ていますが、これが現在のアドルの強化値。 ゲージがなくなる前に次のアイテムを取れば強化値が増えていきます(MAX値有り)。 |
なお「フェルガナ」では武器や防具の強化を行えますが、必要となるラバール鉱の入手手段が実質宝箱からのみ、また強化を行っても上がる数値がわずかなため、強化を行わなくてもあまりプレイに支障がないという、せっかくある要素にしては少々残念な部分も。強化値がオールLV1でもあまり問題ないのはもったいないです。
反面、新たな武器防具が宝箱などから入手できるタイミングも早いので、ダンジョンの攻略中にいちいちレドモンドの街に戻って強化をしてまた攻略を再開する……というような必要もなく、どんどん攻略を進めていけるので、悪いことばかりではありません。少しでもSTR値やDEF値を上げたい高難易度でない限りはさくさくと進められるのは、筆者的には面倒がなくて良いと感じます。
「イース」好きなら一度は聞いたことがあるかも?至極の名曲「バレスタイン城」
本作のBGMの筆頭は、やはり今でも「Falcom jdk BAND」のライブなどでも演奏されることが多い名曲「バレスタイン城」でしょう。他にも「翼を持った少年」、「灼熱の死闘」、「The Theme of Chester」、「愛しのエレナ」など、数々の名曲を産み出した本作。
基本は「イース」節なメタルを基調としたロックが多いですが、しっとりとした楽曲もあり、音楽の良さはシリーズで一番とも謳われるのが「フェルガナ」です。音楽だけではなく、アドルが攻撃するときのSEの爽快感と、楽曲の疾走感が合わさることで織りなすメロディが素晴らしいです。
なお楽曲は、「フェルガナ」PC版で使われた「オリジナル版」のほか、元祖「PC-8801版」、「X68000版」の3種類から選択できるのが、古参のファンにも嬉しいところです。音質もSwitch版にて高音質化されているので、より綺麗な音でSEやBGMを楽しむことができるようになりました。
Switch版ではイベントがフルボイスに!グラフィックもリファイン
本作ではイベントがフルボイスに。そしてアドルのCVには、「イースVIII」「イースIX」などでアドルのCVを担当した梶裕貴さんのボイスが加わりました。梶裕貴さんのボイスが聞けるのは基本的にバトルのみですが、一部のボスバトルなどではそのボスバトル専用のものと思われるボイスなども聞けたので、ファンの方は楽しみにしていてください。
また、ナレーションはボイスのオンオフが可能で(「Option」欄にて)、オンにすれば銀河万丈さんによる素敵なナレーションを楽しむことができます。
グラフィックも、リファイン。全てのキャラクターイラストが新規描き起こしされていますが、PSP版のクラシックver.も搭載。どちらでも好きな絵柄でプレイすることができます。
さらに、ゲームスピードが1.5倍速、2倍速になるハイスピードモードも搭載。こちらは少々わかりにくいですが、Rスティック押し込みで切り替えができるので、フェルガナの広いマップ内では2倍速、細かいアクションが求められるダンジョンでは通常の速度など、うまく切り替えて使用すると良いでしょう。なお先程のクリア時間は、ハイスピードモードを一切使用していないタイムとなります。
「フェルガナ」は大きな山場はひとつという、「イース」にしては少々あっさりめの物語ではありますが、コンパクトな作りのゲームですので、携帯機のSwitchとも非常に相性が良いと感じました。改めてプレイして、やはりチェスターは良い男だなぁ、とストーリーにもしみじみしました(エレナも可愛いですよ!)。
バレスタイン城から見える夕陽に、「イース」の魂を感じます。
2Dアクションとしてはシリーズ最高難度を誇りつつも、だからこそやりがいも感じられる内容となっています。アクションゲームとしての奥は非常に深く、自身の遊び方次第でさまざまな楽しみ方ができるでしょう。
また、「Gallery」ではこれまでに公開された「フェルガナ」のイラストなどを見ることができます。難易度「INFERNO」や各種難易度のタイムアタックをクリアしないと開かれないページも多いため、コンプリートするのはなかなか至難の業ですが、だからこそその道を目指して頑張ってみるのも良いでしょう。
久しぶりの方から初見の方まで楽しめる内容になっていますので、ぜひ「フェルガナ」の世界を堪能してみてください。
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