引き込まれる物語と最先端の2Dビジュアル!歯ごたえのある戦闘が魅力的な「ブラウンダスト2」レビュー

プレイレビュー
0コメント 田中一広

NEOWIZからリリースされた「ブラウンダスト2」をレビュー。2Dビジュアルの美しさを最大限活かした采配バトルRPG。ビジュアルのみならず奥深い戦闘も魅力となっている。

「ブラウンダスト2」は、「ブラウンダスト」の正式な後継作品となるスマートフォン向け采配バトルRPG。残念ながら筆者は前作「ブラウンダスト」をプレイしたことがない。しかし本作はそんな筆者でも、どっぷりとその魅力を堪能できた。美しいビジュアルに引き込まれるストーリー、そして奥深い戦闘。すべてのRPGファンがプレイする価値のある一作なので、ぜひその魅力をお伝えしたい。

カセットにより異なる冒険の旅へ!マルチバース的な世界観がユニークなRPG

先に書いた通り、筆者は前作「ブラウンダスト」のプレイ経験がない。しかし本作は、そんな筆者でもスムーズに楽しむことができた。その理由のひとつが、「カセット」という形で表現されたマルチバース的世界観だ。

「カセット」というのは、家庭用ゲーム機の「カセット」のこと。…といっても最近のゲーム機は光ディスクやカードといったかたちでゲームソフトの提供を行うため、ピンとこないという人もいるかもしれない。その昔…まだ3Dゲームが主流になる前の時代は、家庭用ゲーム機向けのゲームソフトが「カセット」として提供されていたのだ。

本作はこうした背景を取り入れており、「カセット」を選ぶことで世界観が変化する。もちろん、ゲームソフトのようにゲームシステムまでガラッと変化してしまうわけではない。基本的なゲームシステムは共通で、登場人物や舞台となる世界が変化するかたち。いわゆる「マルチバース」的な見せ方といえるだろう。

本作は「マルチバース」的な見せ方を前提としているからこそ、前作の知識がなくともすんなりプレイできる。一般的な「マルチバース」を採用した作品が単体でも違和感なく楽しめるのに近い。もちろん、他の「マルチバース」作品と同様、シリーズを通してプレイしたほうが楽しさはアップするだろう。しかし仮に本作単体でプレイしても、頭に疑問符が浮かんで世界観に浸ることができない…なんてことなかった。なので、筆者同様、前作未経験という人も支障なくプレイできるだろう。

本作でプレイヤーは傭兵団の団長となる。これは本作でプレイする最初の「カセット」の設定であるとともに、本作全体を通してのプレイヤー設定にもなっているようだ。本作の世界観は、各「カセット」の個別世界と、それらすべての「カセット」を繋ぐ、より高次の世界から構成されている。プレイヤーが担当する傭兵団団長は最初の「カセット」の登場人物であるとともに、すべての「カセット」を繋ぐ高次の世界の住人でもある…というかたちだ。

傭兵団の団長が直接の主人公となる最初の「カセット」はチュートリアルのようなもので、ストーリーとしては短い。ただ、コミカルな掛け合いに満ちた展開は、世界観へと引き込む強力な力を持っている。ゲームシステムをびつつ各キャラクターのセリフの応酬に笑っていると、いつの間にか本作の世界に引き込まれていた…という感覚だ。

これが2つめの「カセット」に移ると、様相が大きく変化する。2つめの「カセット」の主人公は、ルーゴ村に住む薬草収集者・ラテル。彼が森の中で白いローブ姿の旅人と出会ったことからストーリーは動き出す。当初はのどかに思えるが、やがて黒魔術師を巡るシリアスで重苦しい話へと展開していくのだ。このストーリー展開は非常に見事。傭兵団長からラテルへと主人公が変わってなかなか感情移入できなくとも、物語がクライマックスを迎えるころにはラテルと感情を共有し、運命を呪わずにはいられないだろう。

そして本作において、ストーリーの味わいを一層深いものにしているのが、2Dビジュアルだ。本作は2Dビジュアルに圧倒的なこだわりを見せている。世界観を象徴するアイテムが「ブルーレイ」でも「DVD」でも「ゲームカード」でもなく、なぜ「カセット」なのか。恐らくそれは、2Dゲーム時代を象徴するゲーム媒体だからなのではないか。…この推測が、あながち間違いではないと思えるくらい、本作の2Dへのこだわりは凄まじい。

圧倒的美しさ!2Dビジュアルを駆使したストーリー演出

本作は主にマップ探索シーンと戦闘シーンから構成されており、いずれもナナメ見下ろし型視点で表現されている。マップ探索シーンはクエストボタンタップで自動進行することもできるが、仮想パッドやタッチを使った自由移動も可能。こうした見せ方がまず、2D時代のRPG的だ。

キャラクターやマップの背景なども、もちろん2Dで作られている。2Dゲームといえばピクセルアートの印象が強いが、本作で採用されているのはピクセルアートではなく、イラストに近いタッチ。ただ2Dビジュアルの空気感は損なわれていない。

ストーリー演出は、2Dマップ上を2Dキャラクターが動くことによって行われ、セリフはマンガの吹き出しのようなかたちで表示される。これもまた2D時代のRPGを連想させる演出。、とはいえ本作は「懐かしの2DRPG」的な要素をただ盛り込んでいるわけではない。会話シーンの一部においては、キャラクターのカットシーンが効果的に挿入され、ストーリーを盛り上げる。このカットシーンについても、キャラクターのバストアップ…通称立ち絵を使ったアドベンチャーゲーム的な見せ方や、2Dムービーを使ったものなど、とことん2Dにこだわった演出手法が採用されている。

こうした2D演出は、すべてがビジュアル的に高いクオリティで表現されている。光やぼかしの効果を使ったビジュアルは、どのシーンをとっても美しい。ただ見た目的に美しいだけではなく、挿入されるポイントが絶妙。ストーリー上のこのシーンを、この演出で見せれば効果的…という点をピンポイントに突いてくる。このため、ことのほか美しいと感じてしまうのだ。個人的には2Dビジュアルを使った演出において、最先端にある一作だと感じた。

パズルのような戦術構築が楽しい!歯ごたえ抜群の采配バトル

ここまで、ストーリーやビジュアルといった本作の魅力について触れてきたが、ゲーム的なメインディッシュといえば、やはりバトル。そして本作は、バトルもストーリーやビジュアルに劣らぬ魅力的な仕上がりになっている。「采配バトルRPG」という冠は伊達ではないと感じた。

バトルシステムについて触れる前に、本作の全体的なシステムについて解説しておこう。本作は家庭用ゲーム機向けに提供される2DRPGのスタイルを踏襲しており、マップ探索シーンのイベントによってクエストを受注。クエスト達成を目指してマップを探索し、その途中敵と遭遇するとバトルシーンへ移る…というかたちだ。

仲間キャラクターをガチャで獲得したり、経験値アイテムによって任意のタイミングで育成したり…などスマートフォン向けRPG的な要素も持っているが、これらの機能はマップ探索シーンのボタンからアクセスするという形式。このため、スマートフォン向けのRPGではなく、家庭用ゲーム機向けのRPGをプレイしている感覚が強い。

バトルシーンは、3×4マスのフィールドを使ったターン制コマンド選択式。敵味方それぞれ3×4マスのフィールドに配置された様子は、一見ウォーシミュレーションゲームのように見える。実際、ウォーシミュレーションゲームのように位置取りが重要ではあるのだが、移動力的なものがあるわけではなく、キャラクターはいつでもどこへでも配置可能。さらに行動順も自由に変更できるため、ウォーシミュレーションゲームのバトルというよりRPGのバトルを発展させたものという印象だ。

移動力がなくどこでも自由にキャラクターを配置できるが、射程と攻撃範囲の概念はある。なので、キャラクターの攻撃をヒットさせるためには敵が攻撃範囲に入る位置へと移動させなければならない。

この時ポイントになるのが「ノックバック」。敵を一マス分後ろへ移動させることができるスキルだ。本作のスキルはタテ2マス分、ヨコ3マス分…といったかたちで攻撃範囲が設定されているため、「ノックバック」をうまく使えば攻撃範囲内に複数の敵を入れ、まとめて攻撃することができる。

ただし、まとめて攻撃するためには、当然ながら「ノックバック」が発動して敵が移動した後に攻撃スキルを発動させなければならない。このため、どのキャラクターをどこに移動させ、どのスキルをどんなタイミングで発動させるか…が極めて重要となる。最大ダメージを叩き出すための最適なオーダーを考え出すのは、パズルのように悩ましい。しかしその一方で、適切なオーダーで攻撃できれば1ターンで敵を葬り去ることができ、最高に気持ちイイ。脳汁が出る瞬間だ。

最先端の2DRPG!RPGファンならプレイする価値のある一本

引き込まれるストーリーと、美しいビジュアル。そして、攻略し甲斐のある采配バトル。さらに、本作はキャラクターたちが魅力的だ。2Dイラストレーションならではのカッコよさとかわいらしさ、そしてセクシーさを持ったキャラクターたちは、コレクションしたいという欲求を痛いほど刺激してくる。かつで2Dゲーム全盛だったころのRPGの魅力と、現代的なスマートフォンRPGの魅力が融合した本作は、まさに最先端の2DRPGといえるだろう。RPGファンなら、プレイする価値のある一本だと思う。

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