インティ・クリエイツが2024年5月30日に発売するPS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam向けアクションゲーム「九魂の久遠」(くこんのクオン)のレビューをお届けする。

目次
  1. 幼魔形態(ネコ型)と業魔形態(ヒト型)で大きく変化するプレイフィール
  2. 動物スキルの入手順は「クオンが倒れた原因」により変化。ホープポイントはとっても大事
  3. マルチエンディングはネコ形態でのクリアを促す。これにともなう気になる点も
  4. ときには攻撃の限りを尽くす“背徳プレイ”も!

「蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト」シリーズや「ぎゃる☆がん」シリーズなど、アクションゲームを得意とするインティ・クリエイツが手掛ける完全オリジナル新作である「九魂の久遠」。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

プレイヤーは死した猫であるクオンを操作し、飼い主が待っているであろう現世へと帰るため、冥界を舞台に立ちはだかるさまざまな妖魔たちを退けていく。本来はただの猫であるクオンだが、命を失うたびにほかの動物の能力(動物スキル)を手に入れて復活。この“アニマリヴァイヴ”により9回まで復活できるが、復活を重ねるほど猫としての魂の形は失われてしまう――これが、ストーリーとゲームデザイン、双方に関わる本作の特徴となっている。

独特のシステムが多いゲームなので、このレビューがその一端を把握する助けになればうれしい。なお、レビューのためにプレイしたのはSteam版だ。

幼魔形態(ネコ型)と業魔形態(ヒト型)で大きく変化するプレイフィール

ゲームの進行は章仕立てになっており、各ステージの最後に待ち受けるボスをすべて倒すことで次の章に進める構成となっている「九魂の久遠」。難易度は“永魂モード”、“反魂モード”、“九魂モードの3種類が用意されている。

イージーに該当する“永魂モード”なら何度命を落としてもゲームオーバーにならず、コアなアクションゲーマーではなくても、さほど苦労せずクリアが可能。一方、ハードに該当する“九魂モード”は9つの命をすべて失ってゲームオーバーになると、進行状況はリセットとなり、各章のスタート時点からやり直しになってしまうスリリングな仕様となっている。アクションゲームが好きな人には、最初はこれらの中間となる“反魂モード”でプレイするのがおすすめだ。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

各ステージには特色あるギミックが用意されており、これらに対処しつつ、配置された敵キャラクターをどのように突破していくか? というのがゲームの肝の部分と言える。

前述のとおり、クオンは9つの命を持っており、最初はネコとしての性質が強い“幼魔形態”(以下、“ネコ形態”)だが、5回命を失った時点で高い戦闘能力を持った“業魔形態”(以下、“ヒト形態”)に変化する。この間も、クオンは1度命を失うたびに新たな動物スキルを手に入れて戦闘能力が高まっていくのだが、とりわけネコ形態からヒト形態への変化は、各ステージの攻略方針に大きな変化をもたらす。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像
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まず、ネコ形態は基本となる攻撃手段を持ち合わせておらず、敵キャラクターのことは“シャドウスルー”と呼ばれる無敵時間が発生する高速移動で避けながら進むことになる。シャドウスルーは“スタミナゲージ”を消費するので連発はできない。また、ゲーム開始時点のネコ形態は敵の攻撃を一度受けただけで命をひとつ失ってしまうので、敵の行動パターンを把握できていないうちは、敵への接近には大きな危険をともなう。

これを回避する手段として、本作のステージ設計には文字通り数多くの“抜け道”が用意されている。これらの抜け道は敵がいる場所を迂回できるような配置になっており、ある程度近づくことでその存在が視認できる。多くのプレイヤーが、か弱いクオンを危険に晒さないために、こうした抜け道がどこかにないか、探して回ることになるだろう。

抜け道を通った先でクオンを強化するための消費物が手に入る場合もある。また、垂直な壁をジャンプでよじ登ることもできたりと、本物の猫さながらのしなやかさを活かしたアクションがネコ形態の特徴だ。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像
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戦闘能力に特化したヒト形態になると、敵はすべて倒して進むことができるようになる。近接攻撃のアクションが標準で使えるようになり、HPも増加して複数回ダメージを受けないと命を失うことはない。代わりに、シャドウスルーは使えなくなり、抜け道を通ることも不可能に。

ヒト形態ではゲームプレイそのものが、障害を排除して進むものへと様変わりするのだ。これを受けてBGMもロックテイストの激しい曲調に変化するのが高揚感を掻き立てられる。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像
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ネコ形態とヒト形態のプレイフィールの違いは、ボス戦でも顕著に現れる。

ネコ形態でボスの攻撃をシャドウスルーですり抜けると、画面左上に表示された“ヒスイゲージ”が上昇。最大まで溜めるとクオンの頭上にアイコンが現れ、この状態でボスに近づけば超強力な“フェイタルスタンプ”をお見舞いできる。ボスによってはHPバーを複数有している場合もあるのだが、フェイタルスタンプはこのバー1本分を一撃で消し飛ばす大技で、発動時の演出も力が入っている。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像
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一方のヒト形態は、攻撃手段を駆使してボスのHPを削っていく必要があるほか、シャドウスルーによる回避が使えないことで、ボスの攻撃を避けるためにも動きを先読みした操作が求められる。

さらに、9つ目の最後の命しか残っていない状態でクオンは“九魂逢魔形態(くこんおうまけいたい)”に。攻撃能力が非常に高く、道中のザコ敵であれば一撃で葬り去ることができるが、後がない極限状態の緊張感を背負いながら戦うことになる。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像
「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

ネコ形態からヒト形態に変化するとき、飼い主との幸せな記憶が薄れていく演出が入ることもあり、なるべくならネコ形態のままでいたいと感じられるのだが、敵の苛烈な攻撃により否応なくヒト形態になってしまうこともしばしば。こうしたプレイフィールの変化や、それにともなって味わう「クオンが猫ではない“何か”になってしまう寂しさ」といった気持ちが、本作の体験をユニークなものにしている。

動物スキルの入手順は「クオンが倒れた原因」により変化。ホープポイントはとっても大事

クオンの変貌をより変化に富んだものにしているのが、“アニマリヴァイヴ”のたびに手に入る動物スキルだ。手に入る動物スキルの順番は固定されておらず、クオンが倒れる原因となった敵や状況に対抗できる能力が手に入りやすくなっている。そのとき直面している困難を乗り越える力が手に入りやすい仕組みと言えるだろう。

一部の能力を抜粋して書くと、ライオンやトラの能力ならばネコ形態でも常時攻撃が可能となり、チーターの能力ならシャドウスルーが強化されるほかヒト形態でも高速ダッシュがくり出せる。ゾウの能力は遠距離攻撃が接近してきたとき時間の流れをスローにした上で、クオンの被弾を防ぐことができる。

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一部の動物スキルはヒスイゲージを消費しての発動になるので、ネコ形態時のボス戦でフェイタルスタンプの発動を狙う場合は、より使いどころを見極める必要があるだろう。

ここまでに書いてきたクオンの能力の数々は、強化していくことで攻略が有利になっていく。ステージに配置されている結晶(マーキングポイント)や倒した敵からは“ホープポイント”が手に入り、勾玉は“九魂石”、“獣人石”という。これらを手に入れ、消費することで得られる強化の恩恵は、クオンの基礎能力が向上したり、各種動物スキルの使い勝手が良くなったり、マップが開放されたりホープポイントの入手量が増加したりと、多岐にわたる。

ネコ形態のHPを増やし、一撃では命を失わないようにする強化は、とくにいち早く解禁したいものだろう。なお、解禁した強化は、個別にオンオフが切り替えられるので、縛りプレイ時やスリルを求める際は活用するといいだろう。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像
「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

ちなみに、マーキングポイントには、触れるとクオンと飼い主との想い出が回想シーンとして描かれるものもあり、言葉を発さないクオンがどんな想いで現世に帰ろうとしているのか、理解を深める助けにもなってくれる。

ホープポイントは一定数溜まっていれば、消費することでヒト形態への変化を抑えることもできる。溜まっていなければ強制的にヒト形態になってしまうので、何度もミスをしていればたちまちポイントがなくなってしまうため使いどころが悩ましい。能力強化の中には消費するホープポイントを抑えるものもあるので、プレイスタイルによってはこれを習得するのもアリかもしれない。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

また、永魂モード、反魂モードならば各ステージクリア後にクオンの命の数を9個にリセットできるのだが、このときもリセットと引き換えにホープポイントは失われてしまう(第一章のみポイントを消費せずリセットが可能)。

命の数がリセットされる際のホープポイントの消費数はとくに下限などは決まっていないようで、例えばポイントが10しかなかったとしてもリセットは可能だし、たくさん所持している際の消費数はかなり勿体ないことになってしまう。命の数をリセットすることになりそうならば、各ステージをクリアする前にできるだけクオンを強化してポイントを消費してしまうのが効率の良い運用となる仕様だ。

マルチエンディングはネコ形態でのクリアを促す。これにともなう気になる点も

「九魂の久遠」はマルチエンディングが採用されており、強化した能力を引き継いでの周回プレイが可能となっている。初回プレイで筆者がクリアに掛かった時間は5時間半程度で、このボリューム感も周回プレイのしやすさを踏まえると丁度いいものだと感じた。そしてエンディングの分岐条件の詳細はまだ分かっていないのだが、クリアまでにネコ形態とヒト形態、どちらでプレイしてきたかが関わっているようなのだ。

きっと初回プレイでは多くのプレイヤーがクオンを強化し切れておらず、敵の行動パターンも把握し切れていないため、ヒト形態の戦闘能力に頼ったプレイになるだろう。そして耐久力をはじめとした各種能力の向上と、プレイヤー自身のプレイスキルの向上、そして「以前とは異なる結末に辿り着きたい」というモチベーションにより、2周目以降は“ネコ形態を維持したプレイ”を意識することになるのではないかと思う。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

動物スキルの入手順によってはネコ形態の時点でボスたちを通常の攻撃手段で倒すことも可能だが、ゲームデザイン全般や演出の意図を踏まえると、徹底的にシャドウスルーとフェイタルスタンプを駆使してボスたちを攻略していくスタイルが、本作において目指すべき指針のひとつであることは確かだと感じる。

これが可能になるようクオンを強化したり、試行錯誤してプレイしていくのはやりがいがあって楽しいのだが、このシャドウスルーとフェイタルスタンプを駆使する戦い方自体は少々“ゲームプレイが薄味になる”のが気になった。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

どういうことかというと、こちらから攻撃も行う必要がある状況でのボス戦は、「いかにボスの攻撃をかわすか」「いかに隙を突いて攻撃を叩き込むか」のふたつを念頭に置いた立ち回りが必要となる。しかし、シャドウスルーを前提にすると「いかに敵の攻撃をかわすか」だけに意識を集中することになるので、前者と比較すると物足りなさがあるのだ。

シャドウスルーが真横への移動(正確には微妙に放物線を描く軌道)のみだったりと、「複数のアクションを状況にあわせて使い分ける」といった遊びが生じづらいのも、こういった印象を受ける理由のひとつかもしれない。

こうした体験の落差は意図的なものだと思うし、ヒト形態と比べると穏やかなネコ形態でのプレイのほうが好みだと感じる人もいるかもしれない。ただ、いちアクションゲーム好きとしては、攻撃性を抑えたゲームプレイならではのやり込みがい、極めがいがもう少しあれば……と感じずにはいられなかった。

ときには攻撃の限りを尽くす“背徳プレイ”も!

荒削りな部分は見受けられるものの、インティ・クリエイツの久々となる完全オリジナル新作である「九魂の久遠」は、ほかのアクションゲームではなかなか味わえない感覚がいくつも味わえるゲームとなっている。

「九魂の久遠」レビュー:ネコ形態とヒト形態、変化するプレイフィールが荒削りながら独特な体験をもたらす快作アクションの画像

ひとつひとつのアクションのレスポンスの良さから来る気持ち良さは2Dアクションを作り続けてきた開発会社ならではだと感じるし、ゲームが推奨しているのがネコ形態を維持したプレイだからこそ、ときにはあえてヒト形態や九魂逢魔形態の能力により攻撃の限りを尽くす背徳プレイをするのも、ゲームだから味わえる楽しさだろう。

幅広い難易度が用意されているので、単に“クオンがかわいい”という理由で手に取るのもアリだ。Nintendo SwitchとSteamでは体験版も配信されているので、ここまでレビューを読んで気になった人は自分に合ったゲームかどうか、ぜひ試してみてほしい。

深淵なるゲームのおもしろさを探求しながら「アイカツ!」シリーズや「プリキュア」シリーズ、「プリティーシリーズ」などの女児アニメの魅力を広める活動にも力を入れている。

X(旧Twitter):https://twitter.com/Kusare_gamer

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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