ファイナルファンタジーVII リバース」の楽曲制作に携わった鈴木光人氏、河盛慶次氏へのインタビューをお届けする。

目次
  1. 「FFVII」の音楽の枠をさらに広げていきたいという挑戦があった
  2. チョコボレースの曲は元々3曲しかなかった!?
  3. 「ルーファウス歓迎式典」や「スキンヘッドの歌」などジュノンエリアの楽曲たち
  4. クイーンズ・ブラッドの音楽は新人の碓井氏と共に作り上げた
  5. ゴールドソーサーのデートBGMは好感度によっても細かな分岐が!
  6. 「ギはマテリアを求めたり」では「聴いたことのない音楽」に挑戦
  7. ラップなどは多言語対応ならではの苦労も……
  8. テーマ曲「No Promises to Keep」や、AKIRAのコンサート秘話も

スクウェア・エニックスから2024年2月29日に発売されたPS5用ソフト「ファイナルファンタジーVII リバース」(以下、「FFVII リバース」)。本作は、2020年4月10日にPS4にて発売された「ファイナルファンタジーVII リメイク」(以下、「FFVII リメイク」)から、約4年を経ての続編。そして、1997年にPlayStationで発売された、「ファイナルファンタジー」シリーズの7作目「ファイナルファンタジーVII」(以下、「FFVII」)リメイクプロジェクトの第2作目となる。

「FFVII リバース」のとにかく物量の多い音楽にはさまざまな苦労があった――鈴木光人氏・河盛慶次氏インタビューの画像

本稿では、楽曲を担当したコンポーザーの鈴木光人氏と、ミュージックスーパーバイザーの河盛慶次氏へのインタビューをお届けする(※4月中旬に実施)。

左から河盛慶次氏、鈴木光人氏
左から河盛慶次氏、鈴木光人氏

なお、本稿では「FFVII リバース」の内容に触れているため、未プレイの方は注意してほしい。

また4年前、鈴木光人氏に行った「FFVII リメイク」楽曲インタビューの内容も一部含まれているため、未読の方はぜひそちらにも目を通してもらえれば幸いだ。

「FFVII」の音楽の枠をさらに広げていきたいという挑戦があった

――まず河盛さんのミュージックスーパーバイザーというお仕事について、教えていただけますか?

河盛氏:「ファイナルファンタジーVII」リメイクプロジェクトは、まずCoディレクターの鳥山(※鳥山求氏)がBGM全体の設計図を作るのですが、その設計を自分が受け取り、実際にゲーム中で上手くBGMが鳴るように整理した後、誰にどういう曲を頼んで仕上げていくかというのを考え、多くの作曲家さんに作編曲を発注していきます。その後、あがってきたBGMをチェックし、実際にゲーム上でBGMが鳴るように他の音楽スタッフと協力して実装し、その後のデバッグまでを担当しています。

――すごい! “音の総監督”といったところですか?

河盛氏:総監督はやはり鳥山にはなるのですが、その総監督の下で実際にチームが機能するように見ている役割……といったところでしょうか。

「FFVII リバース」のとにかく物量の多い音楽にはさまざまな苦労があった――鈴木光人氏・河盛慶次氏インタビューの画像

――光人さんは、前回関戸さんやとくさしさんや本澤さんなどとチームを組まれていましたけれど、今回も「鈴木チーム」として動かれていたのでしょうか?

鈴木氏:そうですね。基本的なメンバーは前回の「FFVII リメイク」の時とほぼ一緒で、社内は関戸(※関戸剛氏)、土岐(※土岐望氏)、そして外部のアレンジャーとして本澤尚之さん、とくさしけんごさん、外部エンジニアの新保正博さんと松田正博さん、そして今回は新しく大阪開発の碓井淳之介という若手が加わりました。

――今回も、光人さんは「鈴木チーム」全体のディレクションもされていたのでしょうか?

鈴木氏:そうですね。チームの全体をチェックしていました。

――今作はエリアが進むごとに「F.F.VIIメインテーマ」の使われている場所が変わっていくとか、同じ曲がベースでも使い方が面白かったですね。

河盛氏:まず「FFVII」のワールドマップの曲と言えば、やっぱり「F.F.VIIメインテーマ」っていう部分があるので、メインテーマを鳴らしたいところですがアレンジが1バージョンだけだとそのエリアの雰囲気に合っていなかったりするので、ワールドのイメージに合わせた、メインテーマで色々なアレンジのバージョンを作るっていうのが、まず今回のチャレンジのひとつでしたね。

――通信塔が開放されるとアレンジが変わる、なんていう仕掛けもありましたよね。

河盛氏:そうなんですよ。あとはクエストが豊富にありますが、こんなにワールドマップ上で鳴る音楽が変わるゲームはなかなか他にないかなと思います。その分、いまどの音楽を鳴らすかのフラグ管理が大変になってくるので、だいぶ苦労しました。

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――今回、同じ音を聴いていた記憶があまりないんですけれど、意図的にそうされたんでしょうか?

河盛氏:そうですね。これは鳥山の設計図の段階からこのようにものすごい曲数があって、意図的にこうしています。今回はクエストもたくさんありつつ、状況に合わせて曲を切り替えていくことによって、より場面場面の印象を強くしたいという構想が鳥山の中にあったのだと思います。

――「FFVII リメイク」の時はオリジナル版「FFVII」の音楽がかなり前面に出ていたのに対して、今回はあまり「FFVII」の音楽だぞという主張が出ていなかったように感じたんですけれども……。

河盛氏:そこは、すごく意識をしていたわけではないのですが、今作は1作目に比べて曲数が大幅に増え、新規シチュエーションに新曲を流す事も多かった為に、そのような印象になっているのかもですね。あと音楽ジャンルという意味では1作目より攻めているものが多いと思います。

――よりチャレンジされていったと。

河盛氏:「FFVII」の音楽の枠をさらに広げるチャレンジをしたいという気持ちはありますが、今作でも重要なシーンでは原作のテイストを生かしたアレンジを心がけていたのは1作目と変わらずの作り方になります。

――バトル曲も「FFVII リメイク」の時は「闘う者達」のアレンジが多かったですけれど、今作は随分と雰囲気が変わったなという気がしました。実際「闘う者達」のアレンジっていうのは前回よりも減っているんでしょうか?

河盛氏:はい、今回はワールドマップのフィールド曲に基づいたバトル曲になっているので、全体的に見ると減っていると思います。もちろん、ちょっとしたモチーフではたくさん使ってはいるのですが、メロディ全体をアレンジしているようなものに関しては確実に少なくなっていますね。

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チョコボレースの曲は元々3曲しかなかった!?

――今回はクラウドの「なんでも屋クエスト」専用楽曲も多かったですよね。その大半が初回生産限定サウンドトラックのボーナストラックとして収録されていますが、寄り道要素をボーナストラックディスクにまとめたんでしょうか。

河盛氏:最初はその辺りの楽曲も混ぜて収録しようとしていたのですが、やはり「7枚組」という制約がある中では難しくて……まずはメインルートの曲をしっかり7枚目までに収めようということで、8枚目に寄り道の楽曲を集めました。

――クエストの専用楽曲が多かったことで、何か苦労された点はありましたか?

鈴木氏:苦労というよりは、気づいたらそうなっちゃっているって感じだったので、やっている時はあまり苦労とは思わないんですよね(笑)。もう次から次と、来ちゃうから。制作している時は曲数ももう数えないし、自分がどれだけの作業をやっているかも実はよくわかっていないんですよ。リストはもちろんあるのですが、終わったものを色分けする位でほぼ途中から感覚的に進めていましたね(笑)。

――それだけ曲数が多いということですよね。

鈴木氏:どんどん増えていくんで……例えばリストに10曲って書いてあったのに、気づいたらそれが15曲になっていたりとか、クエストの進行によって細かく枝が分かれてるっていうのはあったけど、それはもはや誤差みたいなもので。

河盛氏:そうですね。なんかはめてみると、やっぱりここはこういう曲がほしいな、となったりするんですよね。

――でも曲数が増えると、河盛さんもその分大変になりますよね?

河盛氏:大変は大変なんですが、先ほどもちょっとお話ししましたけれど、こんなに音楽が鳴り変わっていくゲームはなかなかないので、実験的で面白かったですし、何より新曲が届いてシーンと合わせて聴くのが楽しいので、夢中になって確認と実装作業をやっていましたね。スケジュールに追われながらですけれども(笑)。

――具体的にはどのような曲が枝分かれしていったんでしょう?

鈴木氏:その究極の形は多分チョコボレースだと思いますね。

――チョコボレースはゴールドカップとか含めると10曲以上ありましたね。

鈴木氏:チョコボカップのファンファーレとか、長さが微妙すぎたんですよね(笑)。河盛の指定では何秒って書かれているんですけれども、その通りに作ったらなんか1秒足りないな、そしたら今度は1秒多いな~、とか。もう途中で何が何だかわからない状態になっちゃいましたね。

河盛氏:チョコボは本当に数多かったですね。初級、上級、ゴールドカップ3つと、メインストーリーとですね。チョコボレースは作業が終わってまだ2ヶ月くらいしか経っていないので、よく覚えています(笑)。

鈴木氏:チョコボレースは、僕らのほうから枝葉を増やしちゃったというのはあるんですけれどね。

――光人さんが「多いほうがいいだろう」ということで増やされたんですか?

鈴木氏:ええ、チョコボレースは元々は1曲ずつしかなかったんですよ。

河盛氏:メイン1曲、初級1曲、上級1曲、くらいでしたね。で、ゴールドカップが1曲です。なので、メイン以外は3曲くらいしかなかったんですよね。

鈴木氏:と、割と常識の範囲内だったんですけれど、作っているうちに「もうちょっと曲のバリエーションを増やそうか」という感じになっていって……僕が個人的にレースゲームがすごく好きで、チョコボレースも大好きだったのもあって、「曲の違いがあったほうが絶対変化があって良いから」ってなったんですよね。そうしたら、「こういうジャンルもいいじゃん」「こういうのもいいじゃん」みたいにどんどん増えていっちゃって、あれだけの曲数になったんですよね。

――チョコボレースとか本当にやり込みの要素なのに、なんてもったいないリソースの使い方をするんだ、とかちょっと思いました(笑)。ちなみに、私はチョコボレースの「アタシとチョコボ」が今回の実装曲の中でも一番好きなんですが、何か制作秘話とかありますか?

河盛氏:あれは、ユフィの鼻歌のほうが先に台詞としてあったんですよね。それを鳥山からある日、鈴木にメールで、歌詞と「これを曲にしたい」と新規で発注がきた流れでした。

鈴木氏:よくあるパターンなんですけれど、バッチリしっかりした歌詞がドーンと送られてきて、それが割と力入ってるんですよね(笑)。ユフィの鼻歌は全然もっと前からあって、鼻歌に歌詞も入っていたんですけれど、それをちゃんとした1曲にしたい、という発注で、かなり開発末期に来ていましたから急いで進めた曲でした。

――ということは、もしかしたら「アタシとチョコボ」は実装されない可能性もあったと……!

河盛氏:それもランダム再生ですからね、聴けない可能性もあるという。

――そうですよね、私「アタシとチョコボ」が好きで好きでサントラ発売前にもっと聴きたくて、すごい何回もチョコボレース周回したんですよ。でもそういう時に限ってちっともかからないんですよね……(笑)。これは本当に聴けていない人もいるんじゃないかと思うと、もったいない使い方をしているなぁ、と思いました。

河盛氏:多分、8分の1とかの確率ですからね(笑)。

鈴木氏:ちなみに3周目だけメロディが入るんですけれど、アサミさん、気付きました?

――気付きました! ファイナルラップになってようやくメインメロディが入るんですよね。

鈴木氏:それも考えてやったんだよね。

河盛氏:レースゲームとしてはファイナルラップに入るとBGMのテンポが上がるというのがよくある手法なんですけれど、それとは違ったテンションを上げる方法としてファイナルラップでチョコボのメロディがくれば、というのが鈴木の提案でした。

鈴木氏:そうそう、だから「チョコボアレンジ」って言いながらチョコボ要素ほぼ抜いちゃって、3周目までほぼチョコボの要素ないんですよね。3周目でようやくチョコボってわかるような曲もあるし、中にはチョコボのメロディ出てこないまま終わっちゃうような場合もあって、それはそれで面白いなと思って鳥山に提案してこういう形になりました。色んなパターンを楽しめる感じで。

――おかげさまで、チョコボレースが本当に楽しかったです。

鈴木氏:レースそのもののパターンはもちろん、音楽で違いが出た方が広がりがあっていいのかな、なんて話をしましたね。

河盛氏:チョコボレースは開発もすごく気合いを入れて作っていた部分なので、音楽でさらに良いものにしたいなというのがあり力が入りました。

鈴木氏:そうやって考えると、最初の設計の時は音楽が少なすぎではありましたね。だから可能な限り、開発後半で手が空いていたら「チョコボレースの曲、増やしていいですか?」という話をしたんですよ。少なくなるのは困るけど増える分には問題ないということで、どんどん増えていっちゃったという。楽しかったですけれど。

「FFVII リバース」のとにかく物量の多い音楽にはさまざまな苦労があった――鈴木光人氏・河盛慶次氏インタビューの画像

――シューティングコースターなど、ゴールドソーサーのミニゲームも光人さんがご担当されていましたね。

鈴木氏:河盛から事前に「ミニゲーム系は大量にくるから」という話をされていたんですけれど、本当に大量にきましたね(笑)。ただこちらは細かいオーダーはあまりなくて、オリジナル版のほうもあまり意識せず、僕が中学生くらいのころにやっていたシューティングゲームとかを思い返してFM音源で作ったりしたのを、そのまま形にしたような感じです。

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――ゴールドソーサーのミニゲームはどれもバリエーションに富んでいましたね。

鈴木氏:みんなそれぞれゲームの中身が違うから、色んなゲームを作っているような感覚ですごく楽しく作らせてもらいました。

――ミニゲームといえば、カエルのミニゲームもありましたね。「ケロケロ」が印象的な「フロッグフラップ:ホッピングコンパス」とか。

鈴木氏:あれは最初からクラウドがカエルになるって分かっていて作ったんですよ。河盛からその話を聞いていたので、もらってすぐにイメージが湧いて作りました。

――この曲はどんなイメージだったんですか?

鈴木氏:小さい頃に遊んだファミコンゲームとかですね。「バルーンファイト」とか。ノリとしてはあの辺りと一緒だなぁと思います。ちょっとコミカルな感じで。「ケロケロ」というフレーズは絶対に入れてくれと最初からオーダーがあったんですが、逆に言うと「ケロケロ」さえ入っていればなんでもOKくらいだったので、まずは土岐の声をサンプルするところからはじめて、結構好きにやらせていただきました。

「FFVII リバース」のとにかく物量の多い音楽にはさまざまな苦労があった――鈴木光人氏・河盛慶次氏インタビューの画像

――またボーナストラックのお話で恐縮ですが、コハダやゴーヤのクエストで流れる「忠犬スタンプ REBIRTH」も印象的でした。今回は、前作よりもテクノポップ風なアレンジになっていましたね。

鈴木氏:最初は「忠犬スタンプ」が流れるクエストがあるんだという話は、かなり前から河盛に聞いていたんですよね。それで具体的にコハダのカットシーンのゲーム画面が出来てきて、BGMについてはあまり細かいことは書かれていなかったんですよ。「ワンちゃんのクエストなので、忠犬スタンプのアレンジバージョンでよろしく」くらいのものでしかなかったんです。

――そこから光人さんのほうで膨らませていったと。

鈴木氏:そうですね。コハダのクエストの依頼を受けるところから、フィールドに入って、バトルもあって……という3曲が一連の流れになっていて、そこを全部ワンセットで考えて作りました。雰囲気的には全体的に統一感があって、フィールドとバトルが流れるように進んで、関連性がちゃんとあるようには意識しましたね。

――ロドナーのクエスト、すごく力が入っていましたよね。

鈴木氏:僕も大好きなクエストなんですよ。「オモイノカタチ」は渾身の歌詞が鳥山から届いて、プレイされた方はわかると思うんですけれど、母親の気持ちが歌詞にちゃんと乗っていて、その感情を僕のほうで音楽で表現しようとしたら、非常に優しい感じの曲になりました。「オモイノカタチ」もテクノポップ調の曲ですし、そこで関連性を出そうとしてフィールドとバトルの曲もああなっていきました。

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――今回、本当にクエストひとつひとつにも丁寧に音が付けられていますよね。キリエのクエストも「キリエのテーマ」から、「なんでもやりますなんでも屋」、「なんでも屋の歌」と、本当にひとつのシーンのために作られた曲でしたけれども。

鈴木氏:あれも3曲ワンセットみたいな感じできたんですよ。キリエが3か所に出てくるから、それで3曲お願い、みたいな感じだったんだよね。

河盛氏:グラスランドエリア、ジュノンエリア、コスタエリアですね。

鈴木氏:それぞれで全然フィールドも違うし、シチュエーションも違うから、それぞれの特徴で3つください、という風に来て、それと同時に「なんでも屋の歌」をキリエが歌っているバージョンが欲しいというのも来たんですよね。鳥山から「こういう方向性で」みたいな指示があって、それで歌うのはキリエ役の上坂すみれさんでというのも決まっていて、歌いやすい感じの曲がいいですね、っていうのでああいうちょっとわかりやすい曲にしましたね。

――「かめ道楽」のようなじわじわ感がある曲でした、「なんでも屋の歌」。上坂さんの歌もとても可愛かったですね。

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「ルーファウス歓迎式典」や「スキンヘッドの歌」などジュノンエリアの楽曲たち

――では次に「ルーファウス歓迎式典」の一連のBGMについてお伺いしたいのですが、曲はオリジナル版の「ルーファウス歓迎式典」があって、タイミングが進むごとにアレンジが色々な形に変わっていくというのが面白かったです。

河盛氏:どんどん派手にしていかなきゃいけないっていうのが大変でしたね。パレードが一番派手なんですけれど、その前のバージョンも結構派手なので、どう派手さの変化をつけていくかというところでしたが、アレンジを担当した古川亮さんが良い仕事をしてくれました。

――「ルーファウス歓迎式典 -新社長の歌-」の時点で充分派手ですからね……(笑)。でもコーラス部分以外は抑えめにしていくという工夫が感じられました。

河盛氏:アレンジを控えめにする以外でも、兵士を集めるところでは、部隊が最低限集まると「神羅軍総攻撃」の曲に展開するようになっていて、そういうところでもアレンジバリエーションをつけています。歌を入れると全部で4バージョンあったと思うんですが、色々な苦労をしてでも、やはりパレードのところは一番派手に聴かせたいですから。

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――ジュノンエリアでは、あと「スキンヘッドの歌 -オレの太陽-」がとても印象に残ったのですが、こちらは光人さんの作曲ですね。

鈴木氏:映画でよく見る海賊たちがみんなで肩を組んでお酒を飲んでいるようなイメージがあったので、鳥山に「そういう感じでどうでしょう?」みたいに確認をして、「いいんじゃない?」と返ってきたので、その方向性で歌詞を見ながらピアノと歌で10分くらいだったかな?ノリで一気に作りました。

――あのコーラスも、失礼ですけれどちょっと素人の方が歌っているような雰囲気がありましたよね?

鈴木氏:よくぞ聞いてくださいました(笑)。あれは「FFVII リメイク」の時とまったく同様、うちのサウンドスタッフが歌っています。社内のサウンド部メインで募集して、本当に画面内にいる人数と同じくらい……25人くらいの人に集まってもらって、そのまま社内スタジオで収録しました。

――ああ、それであのガヤガヤ感のような良い雰囲気も出ていたんですね。

鈴木氏:酔っ払いの集まりということも伝えてあったので、中にはやっぱり良い意味ですごいふざけてくれる人とかもいたんですよ。さすがにわかってんなー、みんな上手いなーと思いましたね。

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――英語版は英語で歌っているんですよね?

鈴木氏:そうです、そうです。日本版はサウンドスタッフが協力してくれて、英語版は英語でやっています。それはローカライズチームの有志の方たちが協力してくれましたね。

――「FFVII リバース」はドイツ語版とかもありますけど、同じように録られたんですか?

河盛氏:「スキンヘッドの歌」は日英のふたつだけですね。なので他の言語では英語版が流れるようになっています。

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クイーンズ・ブラッドの音楽は新人の碓井氏と共に作り上げた

――それでは続いてクイーンズ・ブラッドの音楽についてお伺いしたいです。今回、先程もおっしゃっていた新人の碓井さんと光人さんとでクイーンズ・ブラッドの音楽を作られていますが、最初はどのように分担されたんですか?

鈴木氏:クイーンズ・ブラッドのメインテーマみたいなものがあって、それが「クイーンズ・ブラッド・ジャムセッション」という曲なんですけれど、この曲が基本的なベースになっているんですよ。で、実際のゲーム中のカードゲームシーンでは、この曲をアレンジしたものを使うことになっていたんです。このメインテーマのほうは僕が作っていて、カードゲームのほうは碓井にアレンジをお願いしたんですけれど、碓井はこれまで僕と一緒に仕事をしたことがなくて今回が初めてだったんです。

――何か碓井さんにお願いするきっかけとかはあったのですか?

鈴木氏:たまたま碓井のデモテープを聴く機会があって、そのテープがビッグバンドというかジャズテイストのある曲だったんで、これはクイーンズ・ブラッドの雰囲気にも合っていてちょうどいいかなと思って碓井に声を掛けたんです。そうしたら「やらせてください!」とのことだったので渡してみたんですけど、これがメインテーマと全然違う曲になっていまして(笑)。

――えっ(笑)。

鈴木氏:「完全に新曲なのでは」と僕も思って聞いてみたんですけれど、「いやいや、ここは元のメロディで」とか碓井が色々説明してくれて、彼なりのリスペクトで「自分なりに精一杯やりました」ということだったので、「最高じゃん!」ということで、じゃあこれ共作にしようよということになりました。躊躇せず「地味に派手に」っていうチャレンジ精神と姿勢が良いなぁと。

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――チャドリー戦でも碓井さんはご活躍されていますね。

鈴木氏:メインテーマのアレンジがすごい良かったので、クイーンズ・ブラッドの大会の後半戦のチャドリーのアレンジも、「もうちょっと大きい編成でテンポ早いけどやってみる?」と聞いたら、やる気満々で「やります」とのことだったので、チャドリー戦は島翔太朗さんの曲なんですけれど、やってもらいました。そっちはいい感じにメロディが残っていましたが、後で島さんから「ダブルクレジットでご検討ください!」というありがたいお言葉が来て、碓井に聞いたら「ぜひ」ということだったんで、それも共作になりました。

――碓井さんは大阪開発の方なんですよね? クイーンズ・ブラッドの曲は大阪で収録されたそうですけれど、関係しているんですか?

鈴木氏:それもあるんですが、メインでブラスセクションをやっていただいた方が関西の神戸在住の広瀬未来さんという方なんですよ。広瀬さんのネットワークで普段演奏されている方を集めていただいて録ったほうが絶対にいいものになると思ったので、クイーンズ・ブラッドは広瀬さんにメンバーも全部お願いして、僕らが関西に出向いて録るという形にしたんです。

――第八神羅丸で流れているような他のクイーンズ・ブラッド関連の曲も同じように収録されているんですか?

鈴木氏:少なめのジャズ編成の曲は、名古屋の渡辺翔太さんというジャズピアニストの方を中心にやっていただいていて、そちらも渡辺さんが普段一緒に演奏をされているメンバーを集めていただいたんですけれど、すごくいいメンバーが集まってくださいました。こちらの収録自体は東京で録っています。

――なるほど! だから第八神羅丸でジャズバーのような雰囲気が漂っていたんですね?

鈴木氏:そうなんですよ。ジャズの雰囲気を上手く活かせたかなと思います。それで渡辺さんにお願いした時に、「とにかくビッグバンドに精通した上手いトランペッターを探しているんだけどいい人いませんか?」と聞いたら、関西の広瀬さんのお名前が出てきて、すぐに碓井とライブを観に行って、上手い具合に繋がっていきましたね。そのおかげであのシーンが全部成り立っていると言っても過言ではないです。

「FFVII リバース」のとにかく物量の多い音楽にはさまざまな苦労があった――鈴木光人氏・河盛慶次氏インタビューの画像

――クイーンズ・ブラッドと言えば、黒紅の女王戦の「クイーンズ・ブラッド -女王の血統-」も最高でした。黒紅の女王のひずんだ感じがとても音に再現されていたと思います。あのひずんだ音を出しているのは「FFVII リメイク」の時と同じエレキヴァイオリンですか?

鈴木氏:そうですそうです。「くすぶりの逃走」とか「ヘルハウス」でも使っていた手法で、演奏はいつもの飛鳥さん(※マレー飛鳥ストリングス・マレー飛鳥氏)です。「かっこいい曲ですね~」とか言いながら1~2回弾いていただいておしまいっていう、飛鳥さんの一筆はとても大きな要素で欠かせないですね。

――飛鳥さん、本当に素敵な演奏ですものね。「クイーンズ・ブラッド -女王の血統-」は他に何かエピソードはありますか?

鈴木氏:「クイーンズ・ブラッド -女王の血統-」は、オケ調ではあるんですけれどピアノベースになっているんですね。激しい音が欲しいということだったので、ピアノベースで激しい音を入れています。あと鳥山が観てたドラマの音楽を参考にしたり。

――本当にクイーンズ・ブラッドのラスボスに相応しい曲でした……拝んでしまうくらい好きな曲のひとつです。最初は戦い方がわからなくてボロ負けしたんですけれども(笑)。

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ゴールドソーサーのデートBGMは好感度によっても細かな分岐が!

――次に、「ヤッホー! コレル山」についてお伺いしたいんですけれども、あそこで今までと雰囲気がガラっと変わりましたよね。ユフィが加入して初めてのマップだったからかな、とも思ったのですが、いかがでしょう?

河盛氏:これは真相を話すと、「ヤッホー! コレル山」は、実は別シーン用の曲でした(笑)。大概、そこ専用の曲としてBGM制作をしているんですが、「ヤッホー! コレル山」だけは鈴木が別用に書いていた曲を「ちょっと雰囲気が違うけど、でも別のところで合う場所があるから」ということでコレル山のBGMにしたんですね。勿論、ただ流用したわけではなく、ちゃんとコレル山に合うように調整はかけています。

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河盛氏:「ヤッホー! コレル山」って、「FFVII リメイク」の時の「陥没道路」のノリじゃないですか。「雰囲気を変えたい」という鳥山の意図もあったんだと思いますね。

鈴木氏:そう、それで差し替え元エリアの曲を別途用意したんだよね。

河盛氏:結果的にすごくシーンに噛み合ったので、良かったと思います。

鈴木氏:まぁこっちも狙って書いているからね(笑)。

――話は変わりますが、ゴンガガ用BGM「ゴンガガの森」に関しては、これまで結構「F.F.VIIメインテーマ」が使われてきたのに、結構がらりと雰囲気の変わる曲ですよね。

河盛氏:これはもう最初から「F.F.VIIメインテーマ」ではなく新曲で行こうという話でしたね。

――それは、ゴンガガがオリジナル版では寄らなくてもいいエリアだから、とかでしょうか?

河盛氏:そうです。なので、他の曲とは変えて新曲を当てようという、鳥山の設計でした。

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――では次にゴールドソーサー周りについてお伺いしたいです。今回「Welcome Dance -ハダカノココロ-」も、前回の「STAND UP」同様、海外レコーディングだったのでしょうか?

鈴木氏:はい、今回はロンドンで収録しました。おかげさまで今回はハプニングもなくちゃんと通常通り飛行機も飛んだので、滞りなくレコーディングできました。

――ロンドンにした理由は何かあるんでしょうか? ウェストエンドっぽい雰囲気を目指されたとか?

鈴木氏:これも「FFVII リメイク」の時と同様、ボーカルがロンドンの方だったんですよ。あと今回ラップも取りましたけれど、ラップの方もロンドンの方だったので、それでロンドンまで出向く形で行ってきました。現地に住んでいる方のところで録ったほうが、リラックスして歌っていただけるんじゃないかと。収録後はロンドンのスタジオを回ったり、ロケハンしつつフィールドレコーディングをしたり、次回作に活かす事もできるかなぁって。

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――あとゴールドソーサーと言えば観覧車でのデートBGMで、「花火に消された言葉」から各キャラクターのテーマに上手く遷移していくのがすごかったですね。

河盛氏:あれは物量が半端なくて大変でした……。各キャラクターのテーマというだけじゃなく、好感度によってもさらに細かく分岐するので、全部で11パターン必要なんですよ。それでも、「花火に消された言葉」と各キャラクターのテーマは混ぜたいなと思っていました。アレンジを担当してくれた櫻木咲子さんが、原作への思い入れを強く持ち制作してくれたのも良い結果に繋がったかと思います。

ケット・シーとかヴィンセントとかとのデートも個人的にはとても好きでして、ちょっと笑える感じでいいですよね。

――そうですよね! ちなみにデートBGMでご苦労された部分とかはありますか?

河盛氏:ああいう風にイベントの途中で分岐するっていうのは、音楽的な実装はちょっと難しい部分もあり、そこで苦労したのはありますね。

――どこで切り替わっているかなんて、全然わからないくらいでした。というか、普通に観覧車用楽曲を1曲ずつ作っているんだと思っていました……。

河盛氏:今回は全体的に分岐が多いんですけれど、例えば上手く繋がるように切り替わる直前の音をちょっと伸ばしていたりしていますね。プレイヤーの皆さんが気付かないよう、そういうところで目立たない工夫をしています。

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――今回、ありとあらゆるところで分岐しているというイメージですが、そういうところでご苦労なさっているんですね……。

河盛氏:ローチェに勝ったところで分岐しているのって気づきましたか?

――えっ、気付かなかったです!

河盛氏:表彰式後、逃走中のバトルの結果で、カットシーンの内容が少し変わるんですよ。そういうプレイヤーの皆さんが気付かないレベルの分岐がたくさんあって、音楽的には大分地獄でしたね(笑)。

鈴木氏:何回かやらないとわからないものね。

河盛氏:何回やっても、違うパターンにわざと入ろうとしなければ同じままですしね。

――実際私ローチェのところは2回プレイしていますが、どちらも隊員が全員生存していたので、分岐には気付かなかったですね……。

河盛氏:音楽はそういう尺に合わせて作ることが多いので、分岐して尺が違うと結構大変でしたね。

鈴木氏:レッドXIIIとかね(笑)。

河盛氏:ああ、レッドXIIIも大変だったんですよね。船の上で登場した時のシーンで分岐しています。

――ああ、優勝した時とそうでない時とで分岐するとかでしょうか? 私は毎回優勝してレッドXIIIが出てくる流れだったので、こちらも気づかなかったです。

鈴木氏:微妙な尺で変わるんですよね(笑)。僕も見ていてもわからないくらいの尺で。

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――これは純粋な疑問なんですけれど、そういう細かい分岐って、河盛さんはどう管理されているんですか?

河盛氏:僕らもここまでの分岐があるゲームを作ったことがなかったので、自分たちで手探りでやっていったことが多いんですけれど、最初に鳥山がシナリオを作って全てを把握しているので、鳥山の情報でほぼ全てキャッチはできるんですよ。ただ鳥山は相当早い段階で設計してくれているので、どうしてもそこから変更が入るものもあり、そういうのは自分たちで発見して、現状の状態に曲を合わせにいくようにしました。

鈴木氏:それがめちゃくちゃ怖くて(笑)。結構何回も、僕と河盛さんとふたりの間だけでも「あれっ」ていう尺違いがありましたね。あと「それ、違うバージョンだよ」みたいなこともあって。

河盛氏:タークス戦とかみたいに、複数で出てくるボスとかいるじゃないですか。例えばツォン&イリーナみたいな。ああいうのって、どちらから先に倒したかによって少しカットシーンの尺が違うんですよ。

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――なるほど、「これはイリーナから先に倒したバージョン」とか「ツォンから先に倒したバージョン」とか、そういう違いも出てくるわけですね。

河盛氏:同じようなパターンではギルガメッシュもありますね。白い巨人の時のギルガメッシュを見ているか見ていないかで分岐します。

――2周した程度じゃまだまだ足りていないくらい、細かい分岐があるんですね……! 頑張ってもっともっとプレイしたいと思います。

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「ギはマテリアを求めたり」では「聴いたことのない音楽」に挑戦

――では次にギ族の里関連のお話を伺いたいです。ギ族関連の音って、全体的に奥行き感がすごかったです。特に「ギ族の里」や「ギはマテリアを求めたり」とか、音の広がりがぶわぁっときて、印象的でした。

鈴木氏:河盛さんのほうで何かやりました?

河盛氏:強いて言うならギ族のあたりは環境音にかなり低音が乗っていたので、それと上手く作用したのかな、と思いますね。

鈴木氏:「ギ族の里」とかは、普段使わないエフェクターを使ったりして、なので割と広がりを重視して作ったっていうのはあります。あそこのシーンは、とても音数が少ないんですよ。明確なリズムとかもありませんし。ノイズ系の音を中心に使って広げたっていうのはありますね。でも「ギはマテリアを求めたり」あたりは、もういつもと同じ感覚で取り掛かったんですけれど。

――「ギはマテリアを求めたり」はお経のような……教会音楽のような民族調のような不思議な音でしたよね。

鈴木氏:あれは元々ギ族のボイスが、音楽としてではなくボイスとして後ろで鳴っていてそこに音楽がかぶさって一緒になるというような設計にしたい、というオーダーがあって、どういう風に進行するか色々実験をしたいから早めにデータがほしい、というようなことを言われて作り始めたんです。で、基本はお経だったよね?

河盛氏:コンセプトはお経でしたね。

鈴木氏:お経みたいな声があって、それにうまい具合に乗るようにリズムを作っていきました。あの曲のキーワードはとにかく「聴いたことがない気持ち悪い音楽」と「後ろでお経が鳴っていて、上手い具合に音楽になる」っていう感じだったんです。なので割と長い間、ずっとお経を聴きながら作業していました(笑)。

「FFVII リバース」のとにかく物量の多い音楽にはさまざまな苦労があった――鈴木光人氏・河盛慶次氏インタビューの画像

――なかなかヘヴィですね……。

鈴木氏:歌はやっぱり教会音楽っていう感じで、ラテン語の歌だし、入ってくるオケはアラビック調の音階で、さらに途中で祭囃子みたいなものも入っているんですよ。それは祇園祭のイメージで。そういったものを組み込んでいくと、ちょっと無国籍というかエスニックな感じにはなるんですよね。でもやさしいワールドミュージックには絶対したくなくて、色んなものが混ざった新しい音楽を作りたいなと思って挑みました。そうしたら結果、すごい怖い感じになっちゃいましたけれど(笑)。

――私普段ネックスピーカーでゲームをするんですけれど、ネックスピーカーって元々音で空間が包まれるような感じなので、この「ギはマテリアを求めたり」の音が本当にすごくて、ゲームをプレイしている最中もとても不気味で印象的だったんですよね。

鈴木氏:なるほど、それはとても嬉しいですね!

――ちなみにゲーム中とサウンドトラックで音の鳴らし方って変えていたりしますか? このギ族関連の音とかちょっと聴こえ方に違いがあるような気がしたんですけれども。

河盛氏:特に変えてはいないんですが、先程も少しお話した通り、環境音とかでゲーム中のほうでより広がりを感じてもらえたのかもしれないですね。

鈴木氏:環境音はすごく良かったよね。あそこは低音が本当にすごかった。

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ラップなどは多言語対応ならではの苦労も……

――ソッチとコッチのラップ「The fun DON't stop」は多言語に対応されているんですか?

鈴木氏:あれは日英独仏の4ヶ国語で作っています。全部のパートを作ったので、なかなかの地獄でした(笑)。なんか、あのシーンは力の入れ具合がすごかったですよね。

河盛氏:ですね。あのラップの部分が元々はダイアログだったということもあり、それもあって4ヶ国語のラップになったんですけれど、僕は4ヶ国語のラップって聞いた時に、そういえばドイツ語のラップって聞いたことないので、どんな感じになるのかすごく楽しみでしたね。

鈴木氏:フランス語のラップもあまり聞いたことないけどね(笑)。あれはでも言語にあわせてリズムが変わるので、おもしろかったですよ。ドイツ語は、なんていうか韻が縦割りなんですよ。英語だとちょっとルーズな感じになって、いい感じにリズムにはまるんですよね。元々日本語ベースで作っているので、曲というかリズム自体も揺れるんですよね。なんだけど、ドイツ語バージョンだけすごいビシッビシッとしていて、こちらとしてはすごく面白かったです。テクノっぽくならないように編集が大変でしたけれど(笑)。

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――コルネオの「コルネオ & アプス HOHI HOHI Mix」とかも全部言語によって違うんですよね?

鈴木氏:これは共通で1曲ですね。そしてこの曲だけ1曲内で4言語全てのコルネオボイスを組み合わせて使ってます。不思議と全部同じ人がやっているのかな? と思うくらい、声のキャラクター性が一緒で驚きましたね。ローカライズのアサインしている人が上手いなぁと思いました。

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――「タークス vs ディオ軍団」はとくさしさんがご担当されていますけれど、「タークスのテーマ」をバトルアレンジするにあたって光人さんからとくさしさんにお話されたこととかはあるのでしょうか?

鈴木氏:とくさしさんのやりやすいところは、要点のみであまり細かく色々聞いてこないところなんですよ。なので、最初に映像と、原曲は「タークスのテーマ」、あとはバトル、っていうキーワードを渡したくらいなんですよね。そうしたら、原曲の素材を上手い具合に繰り返してああいう展開を作ってくれて、それできたものに対して僕のほうで手を加えることはもちろんあるんですけれども、基本的な形はもうほぼ完成していて、匙加減が非常に良いです。

――長年ご一緒にお仕事されていますもんね。

鈴木氏:とくさしさんは「このあとこのトラック、光人さんのほうで差し替えますよね」みたいなのも、すごくよくわかっているんですよ(笑)。大体ギターなんですけれど、とくさしさんも「ここは関戸さんに差し替えですよね?」みたいな暗黙の了解があって、もらった時に「ここ関戸に変えるね」って言うと「その想定でした」って返ってくるんです。本当に考えていることが一緒で、意思疎通がすごく取れていますね。もちろん関戸も普段からやり取りしていますので、すごく円滑に進みます。

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――光人さんチームのギターはほぼ関戸さんがご担当されているんですか?

鈴木氏:そうですね。めっちゃ上手いギターとか、めっちゃ細かいカッティングとか、リズム重視のやつとかは関戸で、譜面に出来ないようなギターは土岐にお願いしています。

――関戸さん、素敵な曲も書かれて、ギターも上手くて、本当にすごいですよね。

鈴木氏:関戸のギターはすごいヌケもいいし、さすがですよね。

河盛氏:クイーンズ・ブラッドの大会が始まるときの曲で、初めて関戸のカッティングを聴きましたよ。長年一緒にやってきていますけれど、カッティングしているイメージがなかったです(笑)。すごいレアなイメージ。

鈴木氏:そうそう、だから「これ誰?」ってすごく聞いてきていたよね(笑)。

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テーマ曲「No Promises to Keep」や、AKIRAのコンサート秘話も

――植松伸夫さんが作られたテーマ曲「No Promises to Keep」とかは、光人さんは何か関わられたりしたんでしょうか?

鈴木氏:あれは植松さんからデモが届いて、その時はラフオケとシンセメロディだけが入っていたんですけれど、開発チームのほうから歌詞を乗せたものを今日の夕方までに欲しいと言われて、それが13時くらいにきたんですよね(笑)。それですぐに僕のほうで仮歌を録って開発に16時くらいに渡した、というエピソードがあります。

――意外ですね、そんな関わり方もあるんですね。

鈴木氏:そうそう、そうしたら僕が入れたのは日本語詞だったんですけれど、最終的にやっぱり英語になるから英語で録りなおして、って頼まれたんですよね。後日、土岐とスタジオに入って。これは開発のかなり初期の頃でした。

河盛氏:もう3年前とかですかね。その後はいい感じに進んでいきました。

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――あとは、カームでのAKIRAのコンサートについてお伺いしたいですね。こちら、スルーされてもおかしくないような部分なのに、すごい力の入れようでしたね(笑)。

鈴木氏:僕のところにくるのはそういう案件が多いんですけれど(笑)、これも事前に河盛に「今回AKIRAがコンサートをやっているらしい」と聞いていました。ただ、はっきりしたことはわからなかったんですよね。

河盛氏:そうそう、鳥山のイメージから始まっているんですけど、最初は1曲だった気もするのですが(笑)、それがやりとりしているうちに3曲になり、3曲もあるんだ~~、とは思っていましたね。なんかめちゃくちゃ力入ってましたよね、でも曲が増えたおかげで名曲が生まれたと思います(笑)。

――そうですよね、カームで30分くらいずっと聴き入っちゃいましたもん。

鈴木氏:「ミッドガル・ブルース アモール Ver.」は歌詞が元々あったんで、良かったんですけれどね。でも方向性はとても明確に書いてありました。「ミッドガル・ブルース」は今回サンバ調で、とか。「旅の途中 夢の途中」も「黄金の花火」もめちゃくちゃちゃんとした歌詞があって、それも方向性がしっかり書いてあって、一個はバラードで、一個は今風の曲で、とあったので、それになぞって作りました。「ミッドガル・ブルース」のアレンジは本澤さんにお願いして、「旅の途中 夢の途中」は京都精華大学で収録した時に、アシスタントをしてくれた学生の田村那由多さんがデモテープをくれて「今、ここで聴いてください!」って。それがとても良かったので手伝ってもらいました。

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――AKIRAの曲って、特に「FFVII リメイク」の時のイメージだと昭和歌謡っぽい感じだったのに、「旅の途中 夢の途中」とかかなり雰囲気が違いましたよね。

鈴木氏:最上川さん(※最上川司氏)がやはりとても歌唱力のある方なので、僕自身、こういう今風の曲に最上川さんのこぶしが入ったらどうなるんだろうという興味も、とてもあったんですよね。そこをすごく楽しみにしながら作っていて、実際歌っていただいたらやっぱりすごく良くて、それでそのまま進めていきました。3曲歌っていただきましたけれど、どれもいい感じになったと思っています。

――実際、すごい寄り道要素なのにずっと立ち止まって聴いていられて、とても楽しかったです。でも次どうなっちゃうんでしょう……(笑)。

鈴木氏:本当に、3作目でどうなっちゃうのか……。何せお父さんまで出てきちゃいましたからねぇ。AKIRAの今後は僕も恐怖ですよ(笑)。

――本当に色んなところで物量の多いゲームですよね。

河盛氏:僕がこれまで携わってきた中でも、効果音も音楽もひときわすごい物量でしたね。鳥山の設計図で見てはいましたけれど、実際やってみると「こんなにクエストあるんだ」となりましたからね……(笑)。チェックも大変でした。

鈴木氏:河盛のところに次から次へと色々積まれていくから、確認の速度とかがなかなか合わなくて大変でしたね。

河盛氏:やっぱりユーザーが自由にマップを歩けて、メインストーリーだけでなく途中クエストを進めるのもやめるのも自由だったので、実装となんの曲を鳴らすかのフラグ管理が大変だったんですよね。「FFVII リメイク」はほぼ一本道のゲームだったのでフラグ管理という部分ではそれ程大変じゃなかったんですが。。。でも鳥山が積極的にチェックしてくれるので、そこですごく助けられました。そして毎週金曜日に定例があり、鳥山のチェックリストを見ながら進捗確認するのですが、進みが一進一退だった時の事は、今は良い思い出です(笑)。

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河盛氏:本当に物量が多かったので、色々リスト化してくれて、助かりましたけれどね。ちなみにクエストの量とかいかがでした?

――個人的にはとても楽しませてもらえる量でした。私は今回、全エリアのワールドレポートをコンプリートするまでに大体100時間ほどかかっているんですけれど、ストーリーが40時間で、クエストが60時間くらい、という感じですね。とても楽しませていただきました。

鈴木氏:この物量のゲームをこの短期間で作ったことにも驚きですけどね(笑)。とにかく色々追われていたので、時間の感覚がなくて(笑)。

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――それでは最後にゲームを遊んでくれたファンにひとことお願いできますか?

河盛氏:今回、クエストにもしっかり音楽がついていたりと専用の音楽が非常に多いので、メインストーリーしか楽しんでいない方もぜひクエストとか色々プレイしてみて音楽も楽しんでもらえると嬉しいです。

鈴木氏:ゲーム音楽がどのように進化しているか、ゲームと合わせてサウンドトラックも是非楽しんでもらえると嬉しいです。そして「ファイナルファンタジーVII リバース オーケストラワールドツアー」が8月のLA公演を皮切りに開催されますので、こちらも是非お楽しみに!

――ありがとうございました。

植松伸夫氏作曲によるテーマソング「No Promises to Keep LOVELESS Ver.」を含む厳選された楽曲をCD7枚におよぶ大ボリュームで収録。初回生産限定の「FINAL FANTASY VII REBIRTH Original Soundtrack ~Special edit version~」は、CD7枚には収まりきらなかったミニゲームなどのBGMを集めたボーナストラックCD1枚が付属。
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植松伸夫氏作曲によるテーマソング「No Promises to Keep LOVELESS Ver.」を含む厳選された楽曲をCD7枚におよぶ大ボリュームで収録。初回生産限定の「FINAL FANTASY VII REBIRTH Original Soundtrack ~Special edit version~」は、CD7枚には収まりきらなかったミニゲームなどのBGMを集めたボーナストラックCD1枚が付属。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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