2024年10月24日にNintendo Switch、10月25日にPC(Steam、Epic Games Store)で発売されたメトロイドヴァニア「Voidwrought」のレビューをお届けする。

目次
  1. 独特な世界観とビジュアル表現
  2. 戦闘と探索が織りなすゲーム性
  3. やりごたえのある成長システム

「Voidwrought」は、セルアニメ調の2Dグラフィックスで描かれる王道のメトロイドヴァニア作品。グロテスクな敵のデザインと緻密な背景描写が特徴で、荒廃した神殿や雪山などの独自の世界観を構築している。探索による能力強化と戦闘が融合しており、難易度はやや高めながら、探索の自由度が高く、隅々までマップを回りたくなる魅力を持っている。

グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像

独特な世界観とビジュアル表現

いわゆる「メトロイドヴァニア作品」は多くのゲームがリリースされている。マップを探索し敵を倒しながらアイテムを集めていく。最初は行けない場所や、動かせないギミックなどがあるが、ゲームの進行にあわせて新しい能力やアイテムを見つけて、それらを使うことで行き先が見つかったりする。こうやってキャラクターの成長と、探索要素が交わってプレイの奥深さが増していくゲームだ。

本作もそういったジャンルのゲームの1つだが、ユニークな特徴がある。それらの特徴について順番に紹介していこう。

まず、最初に取りあげる特徴は、セルアニメ調の2Dグラフィックスによって描かれる独特な世界観だ。特にグロテスクな敵の造形には強いこだわりが感じられ、不気味さとおどろおどろしさが目を惹きつける。その独特なデザインは、ホラーというよりは芸術性を感じさせる。

グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像
グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像
独特なグロテスクさを感じる敵のデザインがプレイヤーの印象に残る
独特なグロテスクさを感じる敵のデザインがプレイヤーの印象に残る

背景描写にも同様のこだわりが見られる。荒廃した神殿や雪山、工場のような空間など、それぞれのエリアが独自の雰囲気になっている。こういったそれぞれのエリアを探索して見つけていくのが楽しいし、暗い通路に差し込む光や、松明の明かりなど、細やかな表現がそれぞれのエリアの雰囲気をより強調している。

グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像
それぞれの異なるロケーションは独自の雰囲気を醸し出している。これらのエリアを探索するのも楽しいのだ
それぞれの異なるロケーションは独自の雰囲気を醸し出している。これらのエリアを探索するのも楽しいのだ

音楽やサウンドデザインも、ゲームの雰囲気作りに重要な役割を果たしている。派手な演出を抑えた淡々としたサウンドで、自然と探索に没頭できるような環境になっている。この控えめなサウンド設計が、ダンジョンの不気味さや未知への期待感を際立たせているのだ。

エフェクトも極端な派手さはないが、戦闘の気持ちよさや、敵がダメージを受けている様子を演出したりと、爽快感を増すような演出になっている。

このように、本作はビジュアル面とサウンド面から、プレイヤーをこの暗く閉塞的な空間に没入させているのだ。特徴的なクリーチャーや背景を現代的なアニメーション技術を活用し表現しているのは本作の魅力の1つである。

グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像
派手さはないが、エフェクトの数々はきっちりと爽快感を出している
派手さはないが、エフェクトの数々はきっちりと爽快感を出している

戦闘と探索が織りなすゲーム性

本作の戦闘システムは、シンプルだ。序盤は近接攻撃のみで、ゲームを進めて行くと、ほかの攻撃方法も入手できる。とはいえ、序盤では敵の硬さが目立ち、メインの攻撃手段が近接攻撃であることから、やや単調に感じられる部分もあった。

特に通常の雑魚敵との戦闘では、何度も何度も攻撃を当てる必要がある上に、敵の攻撃を回避するためにジャンプで乗り越えたり、距離を取ったりする必要があり、戦闘が長引きがちだ。

ゲームが進むとショップでキャラクターをアップグレードできるのだが、敵を倒すことで得られる報酬を使う。このシステムにより、戦闘を避けずに積極的に挑むような仕組みになっており、これにより、戦闘の重要度が増しているのは、テンポの悪い戦闘とはかみ合わせが悪い印象だ。

グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像
敵を倒したり、探索中に見つけられるアイテムでキャラクターをアップグレードできる
敵を倒したり、探索中に見つけられるアイテムでキャラクターをアップグレードできる

一方、ボス戦ではその単調さがなくなる。各ボスには複数の攻撃パターンが用意されており、それぞれに異なるアクションが求められる。パターンを見切れば対処は可能だが、実際の操作がなかなか追いつかず、何度もリトライを強いられた。復活ポイントが近いため、リトライにそれほどストレスは感じられないのは救いだが、戦闘に関する難易度が変更できれば、醍醐味である探索により集中できるので、個人的には搭載してほしかった機能だ。

グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像
ボスの攻撃は多彩だ。プレイヤーに相応のスキルを求めてくる
ボスの攻撃は多彩だ。プレイヤーに相応のスキルを求めてくる

探索面は高い自由度があり、それが魅力になっている。隠し通路や巧妙に配置されたアイテム、様々なギミックが探索の面白さを生み出しているのだ。一見何もない壁に隠された通路や、攻撃することで現れる秘密の場所などがあり、こうした仕掛けは、プレイヤーに細部まで探索する楽しみを与えてくれる。

特に、「ゲームを進行して新たな能力をアンロックするとこのアイテムが取れますよ」と言わんばかりに配置されているアイテムは、同じ場所でも何度も探索し直したくなる楽しさがある。必須の目的地以外にも選択肢が用意されており、目的地に最短で行くこともできるし、隅々まで探してアイテムを集めキャラクターを強化することもできる。プレイヤーの裁量で探索を進められる点は、魅力的に感じた。

序盤ではたどり着けないところにこれ見よがしにアイテムが置いてある
序盤ではたどり着けないところにこれ見よがしにアイテムが置いてある
寄り道的な場所にもアイテムが隠されていることがある
寄り道的な場所にもアイテムが隠されていることがある

また、各エリアには独自のギミックが用意されており、探索にバリエーションを持たせることに成功している。ゲームの進行の途中で獲得できる能力を使うと突破できるギミックなどがあり、同じポイントを複数回通っても得るものがある。そういった探索の楽しさが本作にはあるのだ。

やりごたえのある成長システム

本作の楽しみは、この探索とキャラクターの強化が関連している点だ。新しい能力を解放し、新たなエリアを訪れるたびに隠されたアイテムを探す楽しみがある。そこで入手できるアイテムがキャラクターの強化につながるため、プレイヤーは自然と隅々まで探索したくなるというわけだ。

先ほども述べたとおり、序盤はキャラクターが成長しておらず、フラストレーションを感じさせる要素もあった。しかし、アイテム収集や能力強化を重ねることで、徐々に戦闘が有利になっていく展開は、成長を実感できる要素として効果的だとも言える。

グロいクリーチャーが目を引くメトロイドヴァニアーーセルアニメ調の2Dグラフィックスが印象的な「Voidwrought」レビューの画像
新たな能力を身につけたり、アイテムを購入してキャラクターを強くしていく。そうすることでいけなかった場所にいけるようになったり、戦闘が快適になったりする
新たな能力を身につけたり、アイテムを購入してキャラクターを強くしていく。そうすることでいけなかった場所にいけるようになったり、戦闘が快適になったりする

本作は全体として、探索、戦闘、成長のバランスが絶妙に組み合わさった良作と言える。特に、プレイヤーの探索心をくすぐる構造と、その探索がが確実な成長につながる設計は、メトロイドヴァニアの醍醐味を存分に味わえる。冒険心を刺激されたいプレイヤーはぜひ遊んでみてほしい。

得意分野はビデオゲーム全般だが、メタバースやAI関連の記事も積極的に執筆中。ライター業以外にもVTuberとしての活動や、メタバース内ではラジオパーソナリティや、DJとしての顔もあり、肩書きが混雑してきたのが最近の悩み。

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