バンダイナムコエンターテインメントからリリース予定のiOS/Android向けアプリ「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」。開発陣へのインタビューをお届けする。
スマートフォン向けにリリースされる「ジージェネ」シリーズ最新作「SDガンダム ジージェネレーション エターナル(以下、ジージェネ エターナル)」。2025年春から放送がスタートする「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」を始め、サービス開始時には約70ものガンダム作品が参戦し、家庭用の「ジージェネ」シリーズに引けを取らない戦闘アニメや、本格的なSLGパートが特徴のタイトルだ。
今回はそんな本作の開発を務めるチーフプロデューサー・白陸周佑氏と、プロデューサー・小島省吾氏にインタビュー。本作の誕生の経緯から、「ガンダム」への思い出まで様々なお話を聞くことができた。

「クロスレイズ」に収録されたユニット以外はすべて新規アニメーションに
――まず、「ジージェネ エターナル」の開発の経緯についてお聞かせください。
白陸氏:「ジージェネ」は元々家庭用をメインに脈々と続いてきたシリーズで、間にスマートフォン向けのタイトルも2本ほどあったりはしてたんですけど、最近はスマホ向けにも、特に中国・韓国からすごくクオリティの高いタイトルがリリースされるようになってきて。段々とコンシューマライクなものが好まれるようになってきたという変化もあって、改めてSLGでの「ジージェネ」をスマホ向けにも展開できるんじゃないか、というところから企画がスタートしています。
あとは「ジージェネ」って、膨大な作品数を収録するのが特徴で、同時に「ガンダム」シリーズは毎年毎年で新しい作品が増え続けていくので、運用型のゲームとの相性がいいのではないかという狙いもありました。
――「ジージェネ エターナル」は、発表からここまで結構な期間があったと思うのですが、ここまで時間が掛かった大きな要因というのは何だったのでしょうか?
白陸氏:発表の後、東京ゲームショウであったり、クローズドベータテスト(以下、CBT)を実施させていただいたんですが、その時は今以上に従来の「ジージェネ」に寄せていたのもあって、シリーズをずっと遊んでいただいているプレイヤーの方々からの評判も良かったんです。
ただ、そこからいろいろプレイデータを分析していくと、やっぱりスマートフォン向けにもっとシステムを最適化する必要があることも分かってきまして。ゲームのサイクルであったりバランスであったりを見直して、スマホで遊びやすくするための時間をいただいたという形でした。

――具体的には、CBTの頃からはどんな点が変わったんでしょうか?
白陸氏:まず大きく違うのが、自軍の戦艦の扱いです。今は自軍の戦艦はサポーターという形で実装しているんですが、CBTまでは従来のシリーズと同じように、マップに出撃してユニットを収容したりもできるようになっていました。
もう一つ、作品選択の仕様も違っていて、直近の「ジージェネ」だと、どの作品からプレイするかはプレイヤーが自由に選べる形式だったんですけど、例えばいきなり宇宙世紀の最後の方からプレイするとめちゃくちゃ難しかったり、逆にその後が簡単になりすぎてしまったりというバランスの問題がありました。
今回はスマホ向けということで、新しいお客さんも大勢入ってくる中で、その体験はそのままでいいのかというところで、序盤はある程度選べる作品を限定して、ある程度ゲームを進めると従来のように多くの作品の中からステージを選べる形式に変更しました。
――前回のネットワークテスト(以下、NWT)だと、「機動戦士ガンダム」のあとは「機動戦士Zガンダム A New Translation」か「機動戦士ガンダムSEED」と、プレイできる作品の順番が決められていましたが、段々作品選択の自由度が上がってくると。
白陸氏:はい、ある程度進めたタイミングで、一気に選べる作品が増えるようになっています。

――「ジージェネ」をスマートフォン向けにリリースするにあたって、本作はどんなコンセプトで開発されたのでしょうか。
白陸氏:コンセプトとしては「いつどこでも遊べる『ジージェネ』」というところに尽きますね。「ジージェネ」の根幹って、「これさえ遊んでいれば、ある程度『ガンダム』シリーズが分かる」って教科書的な面だと思っていて、そこは絶対に守ろうと。そこから初期から実装するモビルスーツを最低500機は入れようとか、可能な限りアニメの原作追体験をできるようにしようとかの仕様も決めていきました。
作品によっては、複数の作品がクロスオーバーしたりもしていましたけど、今回はそれはやらずに、原作を再現するという点を重視しています。
――バトル部分に関してはかなり従来の「ジージェネ」に近い一方で、開発については大分仕様が変わっています。
小島氏:開発については、先ほどの話にもあった通り、スマホへの最適化にあたるゲームサイクルの見直しの一貫として、開発の系譜を作品ごとに区切ることで、遊びやすさを向上させるというのが狙いになっています。
やっぱりガンダムからスタートして、開発を進めてνガンダムが作れてしまうと、どうしてもバランスを取るのが難しくなってしまうというのもありますし、今回メインステージでは、原作の追体験をより深くするために、そのシリーズの機体とキャラクターを育てていただくような遊びも入れています。
また、今後のアップデートで作品や機体を追加していくところとの兼ね合いもあります。

――確かに。後出しで開発先が増えていく、というのはいろいろ問題が出てきそうです。
小島氏:サービス開始時は、「機動戦士ガンダム00[ダブルオー]」など、シナリオが全体の半分までを実装していることに合わせて前半の機体だけを先行して実装しているものもあるのですが、そちらは難易度調整の観点からそういう仕様になっています。やっぱり最後までいくと機体のレベルも高くなり、別の作品を始めた時に難易度が一気に下がってしまうのもあって、後半の機体は後で実装という形を取らせていただいています。
――今までの「ジージェネ」って、乱暴に言えばプレイヤー側に難易度調整を委ねている部分があったと思うのですが、今回はある程度レベルデザインに沿って遊んでもらいたい、とった意図があるような形でしょうか。
小島氏:そうですね。昨今はスマホ向けにも、いろんな素晴らしいゲームが出ていますし、「ジージェネ エターナル」でもしっかりとしたバランスをとっていこうと。自由度という部分は下がってはしまうのですが、少しずつユニットを強化して自軍を強くし、強敵を倒したっていう喜びの体験を提供したいと思っています。
ただ、前回のNWTでは、ユニットの強化がやりづらいという声もいただいておりますので、もっと遊びやすいバランスでリリースできればと思っています。

――「ジージェネ」シリーズって、ステージをクリアするだけなら開発するよりも一つのユニットのレベルを上げ続ける方が楽だったり、収集と育成が相反する面もありました。一方で,本作は育成と収集が重なり合うようなサイクルになっているなと。
白陸氏:そこについては、意図したというよりは結果そうなってくれていた……というのが正直なところでしょうか(笑)。
我々としては、「ジージェネ」の楽しさは収集の方にあると考えていて、とにかく収集を楽しみつつ長く遊んでもらうにはどうすればいいのか、かなり話し合いました。開発を分けたのも、その方が「この作品ではこんなモビルスーツが出てくるのか」というのを知る体験がしやすいのではないかという狙いもあり、そういう「遊べる大図鑑」みたいなところを目指そうというビジョンは、ブレないようにしていました。
――図鑑を少しずつ埋めていくのって、それ自体が結構楽しいんですよね。
白陸氏:そうですね。その楽しみもありますし、参戦作品の中には知らない作品もあったりすると思うので、そういう時に原作にも興味をもってもらえるようなきっかけが作れればなとも思っています。
――サービス開始時には、ガシャとそれ以外でどれくらいのユニットが実装されるのでしょうか。
白陸氏:全体としては500機以上のユニットが実装されており、その中でもゲームプレイで入手できるユニットを300機以上用意させていただいております。
――URユニットのEX武装はすべて完全新規の戦闘アニメとなっていましたが、「クロスレイズ」や「ジェネシス」に参戦したユニットの武装はどうなっているんでしょうか?
小島氏:「クロスレイズ」で使われていた戦闘アニメは基本は同じものを使わせていただいているのですが、それ以前のシリーズに参戦したユニットの戦闘アニメはすべて完全新規で作ったものになります。
また、「クロスレイズ」に参戦したユニットにも、EX以外にも一部武装が追加されておりまして、そちらは完全新規で作成しておりますので、楽しんでいただければと思います。


――少し話も出てきましたが、NWTの反響はいかがでしたか?
小島氏:こちらの想定していた以上に深く遊んでいただけたという印象で、意見として多かったのは、バランス面に関するところでしょうか。これについては先程も言った通り、育てたいのに育てられないみたいな状況を改善できるように、バランスは調整していきたいと思っています。
あとはキャラクターのカットインに関するご意見も結構いただいていて、そこについても皆さまの理想に近づけられるよう調整中で、演出面も改善していきます。

「ジージェネ」を遊んでいる感を残しつつ、プレイ時間の短縮を目指した
――原作を再現したステージについて、従来のマップ上での演出から、原作アニメの静止画をメインにした演出に変わったのも大きな変更点でした。こちらはどんな意図があったのでしょうか。
白陸氏:スマートフォンの画面で原作を再現する時、どんな見せ方がいいのかを考えたのですが、最近ってもうスマホでアニメを見るという文化も一般的になってきたじゃないですか。それなら、もうそのまま場面写真を見てもらえばいいんじゃないかと思ったのがきっかけです。

現実問題、従来みたいにマップ上でのアニメーションを入れようとすると、アプリの容量がどんどん大きくなってしまうという問題もあって、シンプルに絵を見ていただいてからマップに入っていく方が、スマホで遊ぶには分かりやすい体験なんじゃないかなと考えまして。我々としても初めての試みでもあったのですが、いろんなところに相談をさせていただいて、今の形式が実現しました。
――純粋にスマホに適した見せ方を追求した結果だったと。
白陸氏:そうですね。実は、今までのようなマップ上での演出というのも試したのですが、スマホの画面で見ると結構小さくて、原作の再現をしていく上で、正しく伝わるだろうかという懸念があったんです。
一時的にモビルスーツをアップにするとか、ムービーを入れるとかいろいろ案はあったんですけど、結局は場面写真をメインに、時にムービーも入れて、という形式が一番手元で見るのには適しているのではないかと思ったところが大きいです。

――ただ、ちょっと気になったが、この形式だと映像作品しか原作再現ができないんじゃないかなと(※本インタビューは2025年2月末に実施)。
小島氏:大変ではあるんですけど、そこはやります。期間限定のイベントのよう形式となりますが、まず「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」のストーリーを予定していて、場面写真の分は、スチルとキャラクター絵で頑張って再現していきます。
――バトルについては、ステージの規模などはあるにしても、コンシューマ向けと比較してもほぼ遜色ないものになっていると思うのですが、もっと簡略化するようなことは考えなかったのでしょうか。
白陸氏:そこについてはあまりなかったです。そもそもの出発点が、SLGとしての「ジージェネ」をどうスマホに最適化するかというところから始まっているので、これ以上簡略化すると、もうSLGじゃなくなってしまうだろうなと。
ユニットの位置取りであったり、どの順番で敵を倒していくのかとか、今までにあった遊びの部分を変えてしまうと、もうそれは別のゲームになってしまう問題もありましたし、極力従来の「ジージェネ」の要素は残しつつ、敵の演出を省略したり、遊んでいる時の体感は変えず、プレイ時間は短くするような方向性を目指しました。

――従来の「ジージェネ」は、終盤の方になると平気で1ステージに数時間掛かっていましたからね。その点ちょっと変わっているなと思ったのが、オートとか倍速とかの設定に関わらず、初めて使った武器は必ず戦闘アニメが再生されるようになっていますよね。
小島氏:そうですね。やっぱり今回、URユニットが使用できるEX武装のアニメーションは目玉でもありますし、家庭用と遜色ない戦闘演出というのは一番力を入れて作った部分ですので、まず1回は見ていただきたいなと。
――支援攻撃や支援防御は、回数や使用できるキャラに制限が入ったのもゲーム的な影響が結構大きかったです。
小島氏:「ジージェネ」を作る上で、支援攻撃と支援防御というのは外してはいけない要素として認識していました。ただ、スマホに持っていった時、どこに紐づいていて何の条件で発動するかがちょっと分かりにくいという問題があって、耐久タイプと支援タイプのキャラクターが使えるスキルという形に整理させていただきました。
キャラクターのアビリティがユニットに影響を及ぼすというのもシリーズの伝統なので、そこを踏襲する意味合いもあります。

――ユニット側にもタイプが設定されていますが、パイロットと違ってあくまでも性能の目安のようなもので、支援タイプのパイロットを支援タイプのユニットに乗せるのを推奨しているわけではないのでしょうか。
小島氏:おっしゃる通り、ユニットのタイプは編成の際の指標としての参考にしていただくための要素でして、ソーシャルゲームに多い「攻撃タイプが耐久タイプに与えるダメージが増える」みたいな、属性のような位置付けにはしていません。
支援タイプのパイロットを支援タイプのユニットに乗せないといけないということも一切なく、攻撃タイプのユニットに支援タイプのパイロットを乗せて、強力な武装を活かして支援攻撃するみたいなのも効果的ですし、自由な編成を楽しんでいただければと思っています。

――今後のアップデートについて、作品やモビルスーツの追加といったところは想像できるんですが、期間限定イベントのようなものも予定していますか?
小島氏:そうですね。期間限定のイベントは毎月行う予定で、先ほどお話した「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」のように原作追体験ができ、開発ができるイベントを予定しています。その他にもいろいろなバリエーションのイベントを予定しています。
期間限定でストーリーが読めたり、機体を開発できたりするイベントは、イベント終了後すぐにではないですが、後に常設化してイベント終了後もストーリーを読めたり開発できたりする予定です。
他にも素材をお得に集められるようなマップをプレイできたり、いろいろなバリエーションのイベントの実施を予定しています。
――お二人の「ガンダム」シリーズとの出会いや思い出のようなものはありますか?
白陸氏:私の場合、父が「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のビデオを借りて一緒に見たのが一番最初でした。その時に「『ガンダム』ってこういうアニメなんだ」ということを知って、ちょうどSDガンダムが流行っていた頃だったので、騎士ガンダムとかにもハマっていって、夏休みとかにやってた「機動戦士Zガンダム」の再放送とかも見たりしつつ……という、結構僕の世代の「ガンダム」ファンとしては結構“あるある”なパターンなんじゃないかと思います。
――では「逆襲のシャア」が一番思い入れが深かったり?
白陸氏:そうですね。作品としては「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」とかがめちゃくちゃ好きだったりはするんですけど、一番好きなモビルスーツとなるとνガンダムになりますね。
小島氏:私の方は、結構「ガンダム」シリーズとしては谷間くらいの世代で、アニメは見ていなくて、ゲームセンターの「連邦vs.ジオン」が最初の入口でした。その時は「ガンダム」のことは全然知らなくて、純粋に面白い対戦ゲームとして遊んでいたような形でした。

――分かります。「連邦vs.ジオン」の面白さは衝撃的でしたから。
小島氏:あとは当時、「GUNDAM WAR」っていうカードゲームを友人に誘われてやっていまして。その頃、ガンダムはゲームの知識しかないくらいだったんですけど、その時に偶然見た「ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに」のモビルスーツのイラストがあまりにもカッコよくて。そこから「ガンダム」のアニメを全部見たっていう経緯があったのもあって、「AOZ」が一番思い入れが深いですね。
――先日「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」の主題歌を担当されている米津玄師さんが、「ジージェネF」でガンダムを知ったというエピソードを披露されていたのも話題になっていましたが、自分も結構近くて。あの頃って原作のアニメを見るのって、結構ハードル高かったじゃないですか。まだDVDも出る前ですし。
白陸氏:分かります(笑)。自分もそういう世代だったので。
――そういう意味でも、「ジージェネ」の原作再現ってめちゃくちゃありがたかったんですけど、今はサブスクとかで原作にかなり触れやすくなっています。そのあたり、「ジージェネ」にファンが求めることが変わってきた需要みたいな印象はありますか?
白陸氏:そこはあまり変わってはいない印象で、やっぱり「ガンダム」って毎年新しい作品がドンドン増えていくので、作品を見るのに何らかの取っ掛かりが欲しいって人は多いみたいなんです。
それは原作のストーリー再現だけじゃなくて、カッコいいモビルスーツがいるとかでもよくて、「このカッコいい機体はどの作品に出たんだろう」とかでも原作に興味をもつ人こともあるじゃないですか。あとから原作を見るにしても、そこを先に抑えておくことで気持ちを盛り上げた状態で作品に入れたりもするので、「ジージェネ」に求められるものというのはそこまで変わってないのかなと。

――確かに。そもそも「クロスレイズ」も結構前になってきたので、収録されたことがない作品のストックというのもかなり溜まっていますしね。放送前に参戦が決まった「GQuuuuuuX(ジークアクス)」もその一つですが、このあたりは運営型ならではの強みですよね。
小島氏:そうですね。やはり運用タイトルという形でリリースさせていただく以上、そこの強みはうまく活かしつつ、ファンの皆様に最新の作品を触っていただけるように今後も頑張っていきたいと思います。

――最後に、改めて本作の「ジージェネ」としての見どころを教えていただければと思います。
白陸氏:スマートフォン化したことによって隙間時間で遊んでいただけるようになりつつも、今までの家庭用シリーズから遊びの味は変えないというところを大事に作っています。
初心者の方も経験者の方も、「ガンダム」シリーズのことを幅広く知れる教科書的なゲームであり、今回はゲームとしても歯ごたえを味わえるように作っておりますので、楽しんでいただければと思います。
小島氏:やはりスマートフォンという媒体でプレイできるという手軽さに加えまして、UI・UXについては何度直したか数え切れないくらい、とにかくストレスフリーな操作性を目指して開発しております。本当に遊びやすい「ジージェネ」として仕上がっておりますので、是非是非触っていただければと思います。
――ありがとうございました。
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