2025年3月13日、スウェーデンのゲーム開発会社10 Chambersが開発する新作Co-Op型FPS「Den of Wolves」のイベントツアーが開催。本記事ではツアーにて体験した先行プレイレポートと開発者インタビューをお届けする。
「Den of Wolves」を開発する「10 Chambers」は、「PAYDAY」を世に送り出したウルフ・アンダーソン氏が業界のベテランとともに2015年にストックホルムに設立したゲーム開発会社である。当初10人のメンバーでスタートしたチームは、“作らなければならなかったゲーム”こと「GTFO」を2019年にリリースすると、熱烈なファンを獲得し、2020年にはテンセントからの出資を受け、現在では約100人ものチームに成長している。

「PAYDAY」1と2の流れを汲み、「GTFO」を送り出すなど、Co-Op(協力)型FPSの進化を目指し続けるこのチームが“我々が心底作りたかったゲーム”として現在開発中なのが「Den of Wolves」だ。
以下では今回のイベントツアーにて、筆者が試遊したアクションパートのプレイレポートと開発者インタビューを記述していく。

「PAYDAY 2」「GTFO」の遺伝子を引き継いだ、新作Co-Op型FPS
まず簡単に「Den of Wolves」の世界観を説明すると以下の通りになっている。
2030年初頭、ハッカーがAIを駆使したサイバー攻撃を金融システムを標的に行い、世界市場や政府を不安定化させると、人間はパニックに陥り戦争状態へと突入。こうした危機的な状況下でそれぞれの企業は自らの身を守るために、サイバーセキュリティーの強化に邁進していく。
AIと企業の力がより強力になり、民主主義の存続が危ぶまれる時代背景の中で、人間の脳を応用した画期的なデータ伝送・保存技術により、完全に安全なITインフラを備えた地球上で唯一の場所が本作の舞台となるミッドウェイ・シティーだ。
プレイヤーはそうした世界で「犯罪企業家」として、人間の脳により構築されたITインフラを脅かす存在として活躍することになる。
今回の試遊イベントでは「犯罪企業家」として手掛けることになる、競合他社の汚い秘密を暴露したり、取締役会全員を暗殺するといった数あるミッションの中から、重要人物の脳内に侵入する本作で重要な技術、「神経技術:”the dive”(ダイブ)」を用いるミッションを体験できた。映画「インセプション」のように、相手の脳内に侵入し、重要な秘密を奪うことが本作でのミッションの目的となるわけだ。

コミュニケーションディレクターのロビン・ビョールケル氏
Co-Opプレイの醍醐味と、独特な時間感覚でのゲーム体験
今回、筆者は「相手の脳内に侵入し、情報を集め、脱出する」という目的のために敵地の真っ只中に侵入することになった。大筋での流れはステージの周縁部の小部屋にある鍵を集めて周り、中央部にいるボスへの門を開き、ボスの脳内にある情報を盗み出し、脱出するというものとなる。

いくつもある小部屋は、重厚な扉で保護されており、ドリルを用いて破壊する必要がある。小部屋ではゲーム攻略に必要な鍵が見つからないこともあるが、戦闘を有利に進められるヘルスパックや銃弾などのアイテムや、ミッション成功後に持ち帰ることができるルートボックスが見つかることも多く、ミッション攻略に必要な鍵を集めるだけにとどまらず、仲間と協力して手際よく壁を破壊し、ルートボックスを可能な限りを回収していくことが、一歩進んだやり込み要素となってくる。

プレイヤーのメインウェポンは銃だが、サブウェポンでは地雷やシールドなども選択可能。仲間同士でどのサブウェポンを持つか、役割分担をすることも当然ながら重要な連携要素となっており、こうした点からもCo-Opプレイの魅力を感じられる。

特にボスのいる中央部は周辺から、一気に敵が押し寄せてくるエリアのため、より高度な連携やサブウェポンを駆使した戦闘が必要となってくるエリアとなっている。
また今回体験したステージは構造がシンプルだったため、進むべき方向に迷うといったことが少ないスムーズなデザインなっていたが、ステージは立体感のある作りとなっており、分岐点も多く、どちらの道から進めば効率よく敵を倒すことができるのか、ルートボックスを安全に回収できるのか、あらかじめ戦略立ててゲームプレイに臨む本作ならではの醍醐味を味わえる設計となっていた。

鍵を全て集め、ボスの脳内に侵入”the dive”(ダイブ)すると、ガラリとステージが変わる。スピード感あふれるFPSゲームから、パルクールアクション主体の幻想的なゲーム性へと変化するのだ。時間もFPSならではの相手に合わせて時間が流れていく感覚から、自分だけの世界で時間が流れていく感覚へと変わっていく。

このように全く異なるアクション体験が交互に訪れることによって、本作では常に刺激のあるゲーム体験が味わえる。実際の作中では脳内に侵入する相手に応じて「the dive」での体験も異なるなど、より多彩な体験がプレイヤーを待ち受けているという。
こうして無事、脳内から情報を抜き出したら、ステージの奥部にある壁を破壊し、脱出完了となり、ミッションクリア。こうしたジャンルに不慣れな筆者ではあったが、10 Chambersスタッフの助力を受けることで、Co-Opプレイの醍醐味と、独特な時間感覚でのゲーム体験を存分に味わうことができる機会となった。
開発者インタビュー

コミュニケーション・ディレクターであるロビン・ビョールケル氏(写真右)
――テンセントからの出資を受けての作品開発であったかと思うのですが、資金のリソースは主にどの面に使われたでしょうか?
サイモン・ビクランド氏:メインは優秀な人材の雇用ですね。ファイナンスチームなどのバックオフィスへの人員増強も行いましたが、中でもやはり開発チーム、(主にプログラミングチーム)の人員増強にメインの投資を行いました。
――開発エンジンにUnityを使われた理由はどのような点にありますか?日本のゲーム開発だとUnreal Engineの勢いを強く感じるのですが、あえてUnityを使われた理由や、利点、こだわりがあれば教えてください。
サイモン・ビクランド氏:まずUnityの便利な面として、たくさんのツールと連携できる点が挙げられます。また、もっと挑戦的な面として、Unityはプロトタイプを簡単に作ることができるので、ラフにスケッチをする感覚で、たくさんの実験をすることができました。チームのメンバーが次々アイデアを出しあえる環境ができたからこそ、ユニークな作品を作ることができたと考えます。
――本作が影響を受けた作品を教えてください。
サイモン・ビクランド氏:ゲーム作品ですと「Destiny」が挙げられます。特にエリアごとにステージが区切られていますが、一つのオープンワールドのように世界を楽しめる点に、強く影響を受けました。
また、やはり前作の「GTFO」が挙げられます。本作を開発する上で、プレイヤーがどこに進めばいいのか、何をすればいいのかといった導線を引く上で、改めて参考となった作品です。ゲーム以外の作品だと、「ブラック・ミラー」、「マトリックス」、「インセプション」、「AKIRA」、「攻殻機動隊」、「ブレードランナー」などが挙げられます。

――日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
サイモン・ビクランド氏:とにかく”the dive”(ダイブ)の感覚を味わって欲しいです。誰かの脳内に入っていくという体験は、どこかよくないことをしているという気持ちになったり、危ないところへと足を進めていく感覚を味わうことになります。ただその点こそが、本作のワクワク感に繋がっていますので、ぜひその面も楽しんで欲しいですね。

「Den of Wolves」はUnity 6環境にて開発中。Steamにてアーリーアクセスを予定しており、アーリーアクセスの日程はしっかりとした作りこみができた上で、決定するとのことなので、今後の続報にも期待したい。
(C) 2025 10 Chambers AB。無断複写・転載を禁じます。「Den of Wolves」および「GTFO」は登録商標であり、世界中の様々な地域における10 Chambers ABの商標です。
※画面は開発中のものです。
コメントを投稿する
この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー