コーエーテクモゲームスが2025年9月26日に発売するPS5/PS4/Switch/PC（Steam）用ソフト「紅の錬金術士と白の守護者 ～レスレリアーナのアトリエ～」のプレイレポートをお届けする。
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「紅の錬金術士と白の守護者 ～レスレリアーナのアトリエ～」（以下、「紅白レスレリ」）は、現在スマートフォン／PC向けに配信中の「レスレリアーナのアトリエ」（以下、「レスレリ」）の舞台であるランターナ大陸で、同一時間軸で展開していくタイトルとなっている（※「レスレリ」11章の少し後からスタート）。
そのため、作中では「レスレリ」に登場するキャラクターや出来事がクロスオーバーする場面があるものの、主人公は異なり、物語も独立するかたちで展開する。つまり、本作からプレイしても全く問題ない「アトリエ」シリーズタイトルなのだ。
上記を前提として、本稿では歴代シリーズを数多くプレイしている筆者の視点で、「アトリエ」シリーズの入門作として本作をオススメしたい点を紹介しつつ、その上で1本のタイトルとして面白い点に触れていきたい。
なお、本稿を執筆するにあたってはPS5版の環境でプレイ。また、ゲーム序盤となる4章まで進めた内容をお届けする。
「アトリエ」らしいルックは正統進化
「アトリエ」シリーズではキャラクターを3Dで表現するようになって久しいが、当時からキャラクターデザインのテイストをいかに表現するかを大事に進化を遂げてきた。
近作である「ユミアのアトリエ ～追憶の錬金術士と幻創の地～」もそうした進化の過程とともによりナチュラルな表現のルックとなっていたが、本作「紅白レスレリ」は、従来の「アトリエ」シリーズが持つビビッドな色合いのキャラクター表現になっており、コミカルな演出も相まって、画面が華やかな仕上がりになっている。
ちなみに、本作では「レスレリ」のオリジナルキャラクターをはじめ、歴代の「アトリエ」シリーズキャラクターも多数登場するのだが、インタビューでも語られていた通り、ベースとなるモデル自体は同様のものを用いていても、やはり家庭用のゲームとしてより表現がリッチになっている部分は随所に感じられた。
キャラクター表現とともにモーションのバリエーション、リップシンク、カメラワークも着実に進化しており、「アトリエ」シリーズらしいセルルックの3D表現としての正統進化を味わえるものだった。
ハルフェンを軸に展開する馴染みのあるゲーム進行
本作は近年の「アトリエ」シリーズで主流だったオープンフィールドの作りではなく、移動したい地点を選択していく、従来の「アトリエ」シリーズの作りを踏襲している。一つのマップ自体は広大だが、各所でいわゆるチェックポイントが用意されており、一度訪れるとファストトラベルで移動できるようになっているのは嬉しいところ。
また、主人公のリアス・アイトライゼ（CV：立花日菜）とスレイ・クロスリッター（CV：土岐隼一）は、謎の災害に見舞われ禁足地となった故郷の「ハルフェン」を軸足に冒険をしていくことになるのだが、町の復興に伴ってストーリーが展開していく流れもあり、イベントもマップ上に表示された地点に赴いたり、キーになるキャラクターに話しかけることで強制的に発生する。このあたりも従来のシリーズの作りに近く、良い意味で慣れ親しんだプレイフィールだった。
もちろん、ハルフェンだけでなくランターナ大陸の各所を冒険できる作りになっているのだが、それと同時にアトリエから移動できるランダムダンジョン「亜空の道」が用意されている。実はゲーム進行においてはこの亜空の道の攻略が大きな要素を占めており、同時に素材集めの観点からも必要になってくるだろう。
本作はサブシナリオをこなしつつ、上記のようなフラグになる条件を達成することで章立てでストーリーが進行していく作りになっている。ストーリーを進めたい人はサクサクと、寄り道していろんな要素を触りたい人はじっくりと、どちらの選択肢も許容した作りになっているのはありがたいところだ。
ショップ経営・調合はほどよい距離感で楽しめる
ハルフェンでは本作独自の要素であるショップ経営が楽しめる。これまでも錬金術士としての成長と、町の発展や住民からの信頼といった要素は連動するものとして存在したのだが、本作ではショップ経営によって町の発展度が上がっていき、そこからさらにできることが増えていく、といった作りになっている。
とはいえ、実際にやることといえばショップ内に所持しているアイテム（素材含む）を配置していくこと、そしてショップ経営を助けてくれる妖精さんたちを適所に配置することぐらい。（在庫管理には気をつけつつ）おまかせでショップに並ぶアイテムを選択することも可能なので、こういったことが億劫に感じる人も安心だ。
そうした気軽さは調合のシステムにも反映されている。本作で採用されている「ギフトカラー調合」は、レシピにそって素材を入れるだけのシンプルな作りで、素材のギフトカラーをつなげて投入することでその特性が反映される。
基本となるその仕組みに、特定の素材の組み合わせで新たなレシピの解放、最大3つのアレンジ枠への素材投入、活性素材の活用といった要素が加わることで、シンプルな中にも奥行きが生まれている。
一度の調合で生成されるアイテム数も多めで、かつゲーム進行に応じてアイテムの複製もできるようになるので、まだゲーム序盤とはいえ、管理も含めて比較的やりやすい印象を受けた。近年のタイトルでも意識されている点ではあるが、本作は特に遊びやすい調合システムであり、一個人としてはオススメしやすいタイトルだ。
シリーズのエッセンスを盛り込んだターン制コマンドバトル
「アトリエ」シリーズとしては伝統としてターン制コマンドバトルが採用されている。シリーズを重ねる中でさまざまな進化や派生を見せてきているが、本作は従来のシリーズファンが一番馴染みのある、タイムラインに沿って行動していく、前衛3人・後衛3人の最大6人編成によるオーソドックスなバトルシステムになっている。
通常攻撃、固有のスキル、装備したアイテムの3つを駆使して戦っていくのだが、本作ではタイムラインに差し込むかたちで、複数キャラでスキル／アイテムを発動させる「マルチアクション」、後衛のキャラクターがアイテムを使用できる「インタラプト」といった行動も用意されている。プレイヤーが意図的に介入できる遊びが多いのは、「アトリエ」シリーズが積み上げてきたターン制コマンドバトルの魅力だろう。
また、例えば「マナケミア2 ～おちた学園と錬金術士たち～」から登場のロゼリュクス・マイツェン（CV：小野大輔）は、タイムライン上にタイムカードを生成して自身のほかのスキルをランダム発動できるスキルを習得するのだが、こうしたタイムラインに作用するスキルが個人的には大好きなので、地味に嬉しかったりした。
なお、本作では属性の相性やタイムライン上に発生するバフ・デバフといった要素も重要になっており、前衛・後衛の交代も含めて突き詰めれば突き詰めるほどにバトルの味わいが深まっていく。歴代のキャラクターが多数登場する分、各キャラクターのバトルを見てみたいという欲も出てしまうが、本作のプレイアブルキャラクターであるリアス、スレイ、ロゼ、ウィルベル（CV：瀬戸麻沙美）、トトリ（CV：名塚佳織）、ソフィー（CV：相坂優歌）の6人だけでもバリエーションのある戦闘が楽しめることだろう。
レガシーな「アトリエ」シリーズとしての現在地
本作の主人公であるリアス、スレイは基本的には行動をともにしているものの、冒頭ではどちらで操作するかを選択することで、一部ストーリー描写が変わってくる点は触れておきたい。本稿ではあえてストーリーの部分についてはほぼ触れてこなかったのだが、復興に向かう物語ということもあり、スケール感の大きさよりも二人の立ち位置や成長を描く、等身大の姿が楽しめる流れになっている（もちろん彼らを取り巻く謎も出てくるのだが）。
ストーリーラインは作品のテーマ性とも関わってくるため一概にはいえないが、「アトリエ」シリーズというタイトルを語る時に、調合、採取、ターン制バトルの3つは確実に必要な要素となっている。本作はそれぞれの魅力がバランスよく構成されており、個人的には「ソフィーのアトリエ2 ～不思議な夢の錬金術士～」から連なる、レガシーな「アトリエ」シリーズとしての現在地になっていると感じた。気になる人はぜひチェックしてみてほしい。
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